役人やくにん)” の例文
きみが役人やくにんになったのを、わたしがさんせいするように、きみは、わたしが役人やくにんにならないのをみとめてくれなくっちゃ、いけない。
浴衣ゆかたかみの白い老人ろうじんであった。その着こなしも風采ふうさい恩給おんきゅうでもとっている古い役人やくにんという風だった。ふきいずみひたしていたのだ。
泉ある家 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
桟橋さんばしると、がらんとした大桟橋だいさんばし上屋うはやしたに、三つ四つ卓子テーブルならべて、税関ぜいくわん役人やくにん蝋燭らふそくひかり手荷物てにもつ検査けんさをしてる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
「こんどは、ゆだんをして、このおとこがすようなことがあってはならないぞ。」と、番人ばんにんは、目上めうえ役人やくにんから注意ちゅういをされました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
御寝所ごしんじょの下のへびかえるのふしぎも、あれら親子おやこ御所ごしょ役人やくにんのだれかとしめしわせて、わざわざれていたものかもれません。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
天下てんか役人やくにんが、みな其方そちのやうに潔白けつぱくだと、なにふことがないのだが。‥‥』と、但馬守たじまのかみは、感慨かんがいへぬといふ樣子やうすをした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
人殺ひとごろしをして、やまげて、大木たいぼくこずゑぢて、えだからえだへ、千仭せんじんたにつたはるところを、捕吏とりて役人やくにん鐵砲てつぱうられたひとだよ。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
願ひしかば程なく檢使けんし役人やくにん入來いりきたりて疵所きずしよを改め家内の口書くちがきをとり何ぞ心當りはなきやとたづねの時右彦兵衞が事を委細ゐさいに申立しにぞこれまた町所ちやうところ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
みかどは、てん一番いちばんちかやま駿河するがくににあるときこして、使つかひの役人やくにんをそのやまのぼらせて、不死ふしくすりかしめられました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
明治政府めいぢせいふになツてからも、ひさしくお役人やくにん大頭おほあたまに加へられてゐて、頭は古いが馬鹿でなかツたので、一度は歐羅巴えうろツぱ駐剳ちうさつ公使こうしになツたこともある。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
お祭りだというので、いつものように役人やくにんは牢屋の中を見まわりにもこないし、部屋へや検査けんさもされず、さけを持ちこむのも、おおめに見られていたのです。
するとまた、盗人ぬすびとのかしらはじぶんのなみだをこぼしていることにがつきました。それを老人ろうじん役人やくにん
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
台州たいしうから天台縣てんだいけんまでは六十はんほどである。日本にほんの六はんほどである。ゆる/\輿かせてたので、けんから役人やくにんむかへにたのにつたとき、もうひるぎてゐた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
それにも答えずにいると、今度は、「じゃお役人やくにん?」とまた聞かれた。私も先生も笑い出した。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
大広間おおひろまとびらがあきますと、そこには宮中きゅうちゅうのお役人やくにんが、ひとりのこらず、いならんでいました。
御参列ごさんれつのお役人やくにんところ御参拝ごさんぱいがあるといふ事で、それを思ふと私共わたくしども有難ありがたい事で、おともをいたしてまゐりましても毎日々々うまもの御馳走ごちそうになつて、ひるも風が吹くと外へ出られんといふので
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
うつかりすつとちゝぎしまでへえるやうなふかばうえつとこぢやどうしたつて晩稻おくいねでなくつちやれるもんぢやねえな、それから役場やくば役人やくにん講釋かうしやくすつからふかばうぢやうだつちはなししたら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これはその時分じぶん河内かはち役人やくにんから朝廷ちようてい報告ほうこくした事實じじつでありまして、とにかく當時とうじうまることがおこなはれてをり、また埴輪はにわうま御陵ごりようつてゐたことを、われ/\にをしへてくれるはなしであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
同車どうしやひとかつたらぼく地段駄ぢだんだんだらう、帽子ばうしげつけたゞらう。ぼくつて、眞面目まじめかほして役人やくにんらしい先生せんせいるではないか、ぼくだがつかりしてこまぬいてしまつた。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この土地とちのものではありませんが、みんなの気持きもちは、よくわかっています。お役人やくにんや、金持かねもちや、学者がくしゃは、自分じぶんらの仲間なかまでない。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
道満どうまん晴明せいめい右左みぎひだりわかれてせきにつきますと、やがて役人やくにんが四五にんかかって、おもそうに大きな長持ながもちかついでて、そこへすえました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
だい四には、国民こくみんだ。士族しぞくはもちろん、ひゃくしょうや町人ちょうにんどもでも、すこしばかり文字もじがわかるやつは、みんな役人やくにんになりたがっている。
聞給ふとなりまことにありがたき事なり然るに當世たうせい奉行ぶぎやう役人やくにんは町人百姓を夜中やちうにてもかまはず呼出よびいだこしかけに苦勞くらう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「まだ沢山たくさんありますよ。さがしてあげましょう。」私が云いましたら紺服こんふく役人やくにんがあわてて手をふってさけびました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
中には、どこかの役人やくにんのうちの入口のところに、かごに入れたままて子にされて、こごえんだのもいるし、乳母うばにそえをされながら、いきがつまって死んだ子もいる。
やう/\のこと、くに役人やくにん世話せわ手輿てごしせられていへきました。そこへ家來けらいどもがけつけて、お見舞みまひをまをげると、大納言だいなごんすもゝのようにあかくなつたひらいて
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
たゞ息子むすこ一人ひとりあつて、それが朝鮮てうせん統監府とうかんふとかで、立派りつぱ役人やくにんになつてゐるから、月々つき/″\其方そのはう仕送しおくりで、氣樂きらくらしてかれるのだとことだけを、出入でいり商人しやうにんのあるものからみゝにした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
やうや三組みくみ役人やくにんかほそろうて、いざ檢死けんしといふとき醫師いしとして中田玄竹なかだげんちく出張しゆつちやうすることになつた。流石さすが職掌柄しよくしやうがらとて玄竹げんちくすこしも死體したい臭氣しうきかんじないふうで、こもした腐肉ふにくこまかに檢案けんあんした。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すで獻立こんだてしてちたればたゞちに膳部ぜんぶ御前ごぜんさゝげつ。「いま一膳いちぜんはいかゞつかまつらむ」とうかゞへば、幼君えうくん「さればなりそのぜんかごなかつかはせ」との御意ぎよい役人やくにんいぶかしきことかなと御顏おんかほみまもりて猶豫ためらへり。
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
といって、かしらは弟子でしをつれて、また役人やくにんいえにはいっていきました。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ことに樂浪郡らくろうぐん役所やくしよのあつたところは、今日こんにち平壤へいじようみなみ大同江だいどうこうむかぎしにあつて、ふる城壁じようへきのあともありますが、支那しなから派遣はけんせられた役人やくにんがこゝにとゞまつて朝鮮ちようせんをさめてゐたのであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「なるほど、これは上等じょうとうしなだ。なかなかいいおとがする。」といって、お役人やくにんは、ちゃわんをうえせて、つめではじいてていました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
いまのは勝負しょうぶなしにすんだので、また、四五にんのお役人やくにんが、大きなお三方さんぽうなにせて、その上にあつぬのをかけてはこんでました。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
明治めいじ四(一八七一)ねんには、いままでのはんをやめて、あたらしくけんをおくことになりました。とのさまも、政府せいふ役人やくにんとおなじになったわけです。
呼び出すに付七右衞門はすなはち自身番へ罷出し所役人やくにん申ける其の方儀此度このたび山口惣右衞門のたのみにつて嘉川藤五郎兄弟并に建部がう右衞門伴すけ十郎の人々を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それからそおっとかやをわけて林のうしろの方へ出ようとしました。すると早くも役人やくにんの一人がさけんだのです。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
但馬守たじまのかみ着任ちやくにんしてもなく、るところで變死人へんしにんがあつたとき土地とち關係くわんけいで、但馬守たじまのかみ配下はいか與力よりきと、近衞關白家このゑくわんぱくけ役人やくにんともう一ヶしよ何處どこかの代官だいくわんなにかの組下くみしたと、かう三にんそろはなければ
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「すべて陶器とうきは、かるい、薄手うすでのをたっとびます。ちゃわんのおもい、厚手あつでのは、まことにひんのないものでございます。」と、役人やくにんはおこたえしました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
天子てんしさまはたいそうおおどろきになって、さっそく役人やくにんをやって為朝ためともをおかえしになりました。けれども為朝ためとも
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もう大丈夫だいじょうぶ役人やくにんどもは私たちをころしに来たのでもなく、私どものることさえも知らないことがわかったのです。まるで世界せかいが明るくなったように思いました。
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
画家がかが、托児所たくじしょ小屋こやをとりいれて、新緑しんりょく木立こだち写生しゃせいしていました。役人やくにんや、学者がくしゃの一こうが、そのそばをとおりかかりました。
托児所のある村 (新字新仮名) / 小川未明(著)
無慈悲むじひ役人やくにんなんぞにきずられて、どこだかれないしまてられるよりも、これはいっそ、自分じぶんでおかあさんをててほう安心あんしんだ。」とおもうようになりました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「もう、これよりかるい、薄手うすでにはできないのでございます。」と、主人しゅじんは、うやうやしくあたまげて役人やくにんもうしました。
殿さまの茶わん (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにしてもこのままおけば、いつか役人やくにんの目にふれるにちがいありません。お百姓ひゃくしょうはいろいろかんがえたあげく、ゆかの下に穴倉あなぐらって、その中におかあさんをかくしました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
また、まる役人やくにんたちは、このままにててはおかれないので、こんどは、どういうようにしたらいいかということを協議きょうぎしたのであります。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
天子てんしさまの御命令ごめいれいすこしもかないばかりでなく、みやこからさしけてある役人やくにんめてころしたり、人民じんみんものをかすめて、まるで王様おうさまのようないきおいをふるっておりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
すこしはなれて、監督かんとくらしい役人やくにんが、茶色ちゃいろ帽子ぼうしかぶり、ゲートルをいて、さくらしたって見守みまもっていたのです。
汽車は走る (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると為朝ためとものために大島おおしまわれた役人やくにんがくやしがって、あるときみやこのぼり、為朝ためとも伊豆いずの七とう勝手かってうばった上に、おにしまからおにをつれてて、らんぼうをはたらかせている、ててくと
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
じょうのかかっているのを役人やくにんたちははずして、せまろうとびらひらいてなかへはいり、くまなく、あたりを調しらべてみました。
おけらになった話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
せめて無慈悲むじひ役人やくにんにかけるよりはとおもったからです。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)