つよ)” の例文
むかし、金太郎きんたろうというつよ子供こどもがありました。相模国さがみのくに足柄山あしがらやま山奥やまおくまれて、おかあさんの山うばといっしょにくらしていました。
金太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
にいさん、この金魚きんぎょは、ほんとうにつよ金魚きんぎょですこと。たった一つになっても、元気げんきよくあそんでいますのね。」と、いもうとがいいました。
水盤の王さま (新字新仮名) / 小川未明(著)
この夏もおたがひたび先や何かで久しくかほを合せなかつた二人、さて新秋になると、むかうはあた海で勉強べんけうして大につよくなつたと自しんを持ち
海岸かいがんで、とび喧嘩けんくわをしてけたくやしさ、くやしまぎれにものをもゆはず、びをりてきて、いきなりつよくこつんと一つ突衝つゝきました。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
で、高等かうとうればしたがつてよりつよ勢力せいりよくもつて、實際じつさい反應はんおうするのです。貴方あなた醫者いしやでおゐでて、如何どうして那麼譯こんなわけがおわかりにならんです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
どこまでも執着しゅうじゃくつよわたくしは、自分じぶん家族みうちのこと、とりわけ二人ふたり子供こどものことがにかかり、なかなか死切しにきれなかったのでございます。
このほねつのいしよりもやはらかいのでありますけれども、また一方いつぽうにはいしよりもつよくてをれやすくないといふことがその特長とくちようであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
仰立おほせたてられなば其事のみにて渠等かれらつみし候なり其上主と家來の事なれば此公事このくじに於ては御前に九分のつよみが之あるゆゑ事の次第しだい
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
われ/\は最初さいしよよわ部分ぶぶん初期微動しよきびどうづけ、中頃なかごろつよ部分ぶぶん主要動しゆようどうあるひ主要部しゆようぶをはりのよわ部分ぶぶん終期部しゆうきぶづけてゐる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
あっと思うひまもなく、ホールは、なにものともしれぬつよい力に、どんとむねをつかれ、ひとおしに廊下ろうかにつきだされてしまった。
かない⁉ それはつよい! けれどいまあぶないからいけません、追付おつつ成長おほきくなつたら、大佐たいさ叔父おぢさんもよろこんでれてつてくださるでせう。
もっとも、富士山ふじさん日本につぽんアルプス以下いか、すべての高山こうざんいたゞちかくには、さむさがつよくて樹木じゆもくそだちません。このことはのちにくはしくおはなしします。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
小柄こがらぢいさんは突然いきなりたゝみくちをつけてすう/\と呼吸いきもつかずにさけすゝつてそれからつよせきをして、ざら/\につたくちほこり手拭てぬぐひでこすつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
屋根やねいても、いたつても、一雨ひとあめつよくかゝつて、水嵩みづかさすと、一堪ひとたまりもなく押流おしながすさうで、いつもうしたあからさまなていだとふ。——
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
兩樣の土偶一ヶ所より出づる事有るとはをして土偶形状のべつは男女の別を示すものならんとの考へをつよからしむるなり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
糟谷かすやはこう考えながら、自分には子どもがふたりあるということをつよく感じて、心持ちよくねむっている妻子さいしをかえりみた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
なにしろこりゃおとこだもの、きりょうなんかたいしたことじゃないさ。いまつよくなって、しっかり自分じぶんをまもるようになる。」
産婆さんばほそ硝子がらすくだやうなものをつて、さいくちなかつよ呼息いきをしきりにんだが、効目きゝめまるでなかつた。うまれたものは肉丈にくだけであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「どこか堅いところへ速くお片着きなさい。やっぱり商売屋がいいんですよ。商いは何といってもつよござんすからね。」
足迹 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
つよいなあ、才蔵さいぞうさまはまったく強い。あれは福島市松ふくしまいちまつ家来けらいでおいらはあのおじさんを知っている! あのおじさんと口をきいたことがある!」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてただ、くろ海面かいめんを、あとから、あとから、走ってくる白いなみと、いつやむともわからないつよい風とが、いのきちたちの心をひきさらっていた。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
ところで、この四にんの、大きい人たち、つよい人たち、元気げんきひとたちは、きゅうちどまります。地面じめんに一ぴきの生きものがんでいるのを見つけたのです。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
ほとんど、なんのやかましい思想しそうつよ感情かんじようもないが、あかるい、にこにこした氣持きもちが、われ/\をこゝろそこからゆすりてるようにかんじないでせうか。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
そこで、いしころのおほ坂路さかみちあるいてもつかれないやうなつよあしちからが、木曾生きそうまれのうまには自然しぜんそなはつてるのです。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
たとえんであろうと、ひきずってもれてかねばならぬという、つよ意地いじ手伝てつだって、荒々あらあらしくかたをかけた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
傳「どうも芝居なら磯之丞なんというと、突転つッころばしがする役だが、こりゃつよそうだ、そうしてお前は素足かえ」
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あなたが(このあなたがは、とてもではあらはせないけれど、語氣ごきつよめてつているのですよ)兎角とかくまあちやんのこゑ母親はゝおやらしい注意ちういをひかれがちなのを
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
さて手毬てまりの大さになりたる時他のわらべが作りたる玉栗たまくり庇下ひさししたなどにおかしめ、我が玉栗を以他の玉栗にうちあつる、つよき玉栗よわき玉栗をくだくをもつて勝負しようぶあらそふ。
たるれい想像さうぞうぎるので、加瀬貝塚かせかひづか疑問ぎもんをして、一そうつよからしめる論證ろんしようとするにはらぬけれども、一おう參考さんかうとするには充分じうぶんだらうとおもうのである。
あめ次第しだいつよくなつたので外面そと模樣もやう陰鬱いんうつになるばかり、車内うち退屈たいくつすばかり眞鶴まなづる巡査じゆんさがとう/\
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
りしも二度にど三度さんど車夫しやふまたみちくはしからずやあらんいま此職このしよくれざるにやあらんおなみち行返ゆきかへりてかうてもしたらんにつよくいひてもしもせずしめすがまゝみちりぬ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この場合に臨みなお譲らせようとするものもあれば、断然御免ごめんこうむって、あべこべにみぞに叩き込むのが至当である。しかしてこの場合にいたり真のつよみが発揮される。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
顔色をえてそとへとびだしたばかりなのですが、——というのは、ちょうどそのとき、つよそうな百姓ひゃくしょうが六人がかりで、よっぱらったダッタン人のガージンをやっつけようと
爲方しかたがないから、ギリ/\齒噛をしながらも、つよい心でおツこらへてゐる。其れがまたつらい。其の辛いのを耐へて、無理に製作をつゞける。がて眼が血走ちはしツて來、心が惑亂わくらんする。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
それがちょうどその時いて来てだんだん痛みようがつよなって、——と、そこは昨日見た通り詳しいに話して、そないなって来ると自分にも責任あるよって帰るに帰られへん
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
文句もんく色々いろ/\へて、あるひつよく、あるひよわく、あるひのゝしり、あるひはふざけ、種々樣々しゆ/″\さま/″\こといてやつた。中途ちうとへたたれてはまつたてき降伏かうふくするわけだから、れい持藥ぢやくのつもりで毎日まいにちいた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
耶蘇教はつよく、仏教は陰気いんきくさく、神道に湿しめりが無い。かの大なる母教祖ははきょうそ胎内たいないから生れ出た、陽気で簡明切実せつじつな平和の天理教が、つちの人なる農家に多くの信徒をつは尤である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
審問しんもんすゝめることが出來できない』と王樣わうさまきはめて嚴格げんかくこゑで、『陪審官ばいしんくわんのこらずその位置ゐちふくするまでは——のこらず』とすこぶことばつよめて繰返くりかへし、屹然きつとあいちやんのはう御覽ごらんになりました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
木村は気の毒です。あの男は表面はあんなに楽天的に見えていて、意志がつよそうだけれども、ずいぶん涙っぽいほうだから、その失望は思いやられます。けれどもそれだってしかたがない。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
なぜなら、どんな高いところへあがっても平気なほどしっかりした気象きしょうでしたから、一番つよかったのですし、またちゃんとみちをこしらえておくほど用心深ようじんぶかかったから、一番かしこいのでした。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
さうはれると、よわものどもはつよものめい服從ふくじうするよりほかはなかつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
歴史れきしても最初さいしよから伏羲氏ふくぎし蛇身じやしん人首じんしゆであつて、神農氏しんのうし人身じんしん牛首ぎうしゆである。ういふふう支那人しなじん太古たいこから化物ばけもの想像さうざうするちから非常ひぜうつよかつた。是皆これみな國土こくど關係くわんけいによることおもはれる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
乳母 おのれ、わしのことなんとでもうてをれ、ものせうぞい。よしんばかけよりつよからうと、あんなやつがまだべつに二十にんあらうと、大事だいじない。自力じりきかなはぬなら、ひとたのむわいの。
磯目 何がつよいものかい。多寡の知れた奴だ。
沓掛時次郎 三幕十場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
あはれまたせはてし髪のまげつよきくゆりに
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
つよし、はげし、あまりにゆし
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
「ペンはけんよりもつよし。」
とよもしうなる聲つよ
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
ほのほはあまりつよくして
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
あなたのような、つよかたがおきなさるのは、よくよくのことでございましょう。わたしどもだったら、どうなってしまったかしれない。
負傷した線路と月 (新字新仮名) / 小川未明(著)