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暮
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くれ
ふりがな文庫
“
暮
(
くれ
)” の例文
その
歳
(
とし
)
も段々
迫
(
せまっ
)
て、とう/\慶応三年の
暮
(
くれ
)
になって、世の中が
物騒
(
ぶっそう
)
になって来たから、生徒も自然にその影響を
蒙
(
こうむ
)
らなければならぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
索搜
(
たづね
)
密々
(
こつそり
)
呼出
(
よびだ
)
し千太郎に小夜衣よりの
言傳
(
ことづて
)
を
委
(
くは
)
しく語りおいらんは明ても
暮
(
くれ
)
ても若旦那の事のみ云れて此頃は
泣
(
ない
)
てばつかり居らるゝを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日永
(
ひなが
)
の頃ゆえ、まだ
暮
(
くれ
)
かかるまでもないが、やがて五時も過ぎた。場所は院線電車の
万世橋
(
まんせいばし
)
の停車
場
(
じょう
)
の、あの高い待合所であった。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
是
(
ここ
)
に
於
(
おい
)
て
齊
(
せい
)
の
軍
(
ぐん
)
の
善
(
よ
)
く
射
(
い
)
る
者
(
もの
)
をして、
(五三)
萬弩
(
ばんど
)
、
道
(
みち
)
を
夾
(
はさ
)
んで
伏
(
ふく
)
せしめ、
(五四)
期
(
き
)
して
曰
(
いは
)
く、『
暮
(
くれ
)
に
火
(
ひ
)
の
擧
(
あ
)
がるを
見
(
み
)
ば
倶
(
とも
)
に
發
(
はつ
)
せよ』
国訳史記列伝:05 孫子呉起列伝第五
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
それがまた、この九年間、少しも時刻を
違
(
たが
)
えずに、
暮
(
くれ
)
六ツに
点
(
つ
)
いて
明
(
あけ
)
六ツに消えるので、里人たちには時刻を知る便宜にもなっていた。
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
けれど何等の響きも聞えない。左に小道を
折
(
お
)
るれば、例の
墓所
(
はかしょ
)
に出るので、誰れ見るともなく、静かな秋はいつとなく
暮
(
くれ
)
て行くのである。
面影:ハーン先生の一周忌に
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
やがて、男は、日の
暮
(
くれ
)
に帰ると云って、娘一人を
留守居
(
るすい
)
に、
慌
(
あわただ
)
しくどこかへ出て参りました。その
後
(
あと
)
の淋しさは、また一倍でございます。
運
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
さて
日
(
ひ
)
も
暮
(
くれ
)
なんとするにいたれば、みな
水面
(
すゐめん
)
におちいりて
流
(
なが
)
れくだる、そのさま
白布
(
しらぬの
)
をながすがごとし。其蝶の
形
(
かたち
)
は
燈蛾
(
ひとりむし
)
ほどにて
白蝶
(
しろきてふ
)
也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
不幸
(
ふかう
)
にも、
此
(
この
)
心配
(
しんぱい
)
が
暮
(
くれ
)
の
二十日過
(
はつかすぎ
)
になつて、
突然
(
とつぜん
)
事實
(
じじつ
)
になりかけたので、
宗助
(
そうすけ
)
は
豫期
(
よき
)
の
恐怖
(
きようふ
)
に
火
(
ひ
)
が
點
(
つ
)
いた
樣
(
やう
)
に、いたく
狼狽
(
らうばい
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それに雨は降るし日は
暮
(
くれ
)
るし、もうお客も有りますまいから心配しないで留守をして居て下さい、少しの間に往って来ますから
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
葬式に
傭
(
やと
)
われた帰りでもないらしい。と云って、これから傭われて行くにしては、時間が変だ。長い春の日が、もう
暮
(
くれ
)
るに間もないのだから。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
媒妁人
(
ばいしやくにん
)
が
只
(
たゞ
)
酒
(
さけ
)
を
飮
(
の
)
んで
騷
(
さわ
)
いだ
丈
(
だけ
)
であつた。お
品
(
しな
)
は
間
(
ま
)
もなく
女
(
をんな
)
の
子
(
こ
)
を
産
(
う
)
んだ。それがおつぎであつた。
季節
(
きせつ
)
は
暮
(
くれ
)
の
押
(
お
)
し
詰
(
つま
)
つた
忙
(
いそが
)
しい
時
(
とき
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「天のはら富士の柴山木の
暗
(
くれ
)
の」までは「
暮
(
くれ
)
」(夕ぐれ)に続く序詞で、空に
聳
(
そび
)
えている富士山の森林のうす暗い写生から来ているのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
私は
草
(
くさ
)
の中へ
腰
(
こし
)
を降ろすと
煙草
(
たばこ
)
を取り出した。
妻
(
つま
)
も私の
横
(
よこ
)
へ
座
(
すわ
)
つて落ちついたらしく、
暮
(
くれ
)
て行く空の
色
(
いろ
)
を
眺
(
なが
)
めてゐた。——
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
暮
(
くれ
)
のお
席書
(
せきが
)
きの方が、試験よりよっぽど活気があった。十二月にはいると
西
(
にし
)
の
内
(
うち
)
一枚を四つに折ったお手本が渡る。
旧聞日本橋:03 蕎麦屋の利久
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
日の
暮
(
くれ
)
に平潟の宿に帰った。湯はぬるく、便所はむさく、魚は
鮮
(
あたら
)
しいが料理がまずくて
腥
(
なまぐさ
)
く、水を飲もうとすれば
潟臭
(
かたくさ
)
く、
加之
(
しかも
)
夥
(
おびただ
)
しい
蚊
(
か
)
が
真黒
(
まっくろ
)
にたかる。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
我等は
夕
(
ゆふべ
)
の間、まばゆき
暮
(
くれ
)
の光にむかひて目の及ぶかぎり遠く
前途
(
ゆくて
)
を見つゝ歩みゐたるに 一三九—一四一
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
どこに往つて見ても、防備はまだ目も鼻も開いてゐない。土井は
暮
(
くれ
)
六つ
時
(
どき
)
に改めて巡見することにした。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
翌
(
よく
)
廿
(
にぢう
)
三年の七月になると、
未
(
ま
)
だ
妄執
(
まうしう
)
が
霽
(
は
)
れずして、
又々
(
また/\
)
江戸紫
(
えどむらさき
)
と
云
(
い
)
ふのを出した、
是
(
これ
)
が九号の
難関
(
なんくわん
)
を
踰
(
こ
)
へたかと思へば、
憐
(
あはれ
)
むべし、
其
(
そ
)
の
歳
(
とし
)
の
暮
(
くれ
)
十二号にして、
又
(
また
)
没落
(
ぼつらく
)
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
家敷町で、この近処に何もそう、せわしい商売をして居る家もないので
暮
(
くれ
)
らしい気持もしない。
午後
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
如何
(
いか
)
に
聞
(
きゝ
)
て
如何
(
いか
)
ばかり
案
(
あん
)
じやしけん、
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
のことしてけるよ、いで
今日
(
けふ
)
の
日
(
ひ
)
も
暮
(
くれ
)
なんとするを、
例
(
れい
)
の
足
(
あし
)
おとする
頃
(
ころ
)
なり、
日頃
(
ひごろ
)
くもりし
胸
(
むね
)
の
鏡
(
かゞみ
)
すゞしき
物語
(
ものがたり
)
に
晴
(
はら
)
さばやとばかり
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いわばすッてんてんの
着
(
き
)
のみ
着
(
き
)
のままで
蛆
(
うじ
)
が
湧
(
わ
)
くのも
面白
(
おもしろ
)
かろうと、
男
(
おとこ
)
やもめの
垢
(
あか
)
だらけの
体
(
からだ
)
を
運
(
はこ
)
び
込
(
こ
)
んだのが、
去年
(
きょねん
)
の
暮
(
くれ
)
も
押
(
お
)
し
詰
(
つま
)
って、
引摺
(
ひきずり
)
り
餅
(
もち
)
が
向
(
むこ
)
ッ
鉢巻
(
ぱちまき
)
で
練
(
ね
)
り
歩
(
ある
)
いていた
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「馬鹿だなア、松が取れたばかりぢやないか。そんなのは年の
暮
(
くれ
)
に出て來る
臺詞
(
せりふ
)
だよ」
銭形平次捕物控:230 艶妻伝
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼が
密
(
ひそ
)
かに
一挺
(
いっちょう
)
の三味線を手に入れようとして主家から給される時々の手あてや使い先で
貰
(
もら
)
う
祝儀
(
しゅうぎ
)
などを貯金し出したのは十四歳の
暮
(
くれ
)
であって翌年の夏ようよう
粗末
(
そまつ
)
な稽古三味線を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
一昨年の
暮
(
くれ
)
ごろであったが、その新たな構想がまだまとまらないうちに、たまたま、宗教雑誌「大法輪」の編集者がたずねて来て、同誌上に第五部を
連載
(
れんさい
)
したいという希望をのべた。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
かくてはその
災害
(
さいがい
)
を待つに
同
(
おなじ
)
くして
本意
(
ほんい
)
に非ざれば、今より毎年
寸志
(
すんし
)
までの
菲品
(
ひひん
)
を
呈
(
てい
)
すべしとて、その後は
盆
(
ぼん
)
と
暮
(
くれ
)
に
衣物
(
いぶつ
)
金幣
(
きんへい
)
、或は予が特に
嗜好
(
しこう
)
するところの数種を
添
(
そ
)
えて
※
(
おく
)
られたり。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
秋の日の暮れ切つた
暮
(
くれ
)
六
(
む
)
つ
半
(
はん
)
(午後七時)頃である。小僧はどこへか
使
(
つかい
)
に出た。
赤膏薬
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
歳
(
とし
)
の
暮
(
くれ
)
になると鴨や雁を籠詰めにして進物にするのを
貰
(
もら
)
った人が
直
(
す
)
ぐ
吊
(
つる
)
しておけばようございますがそのまま
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の温い処へ飾っておいて二、三日過ぎて外の家へ転送する事があります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
七
里
(
り
)
の
途
(
みち
)
はたゞ
山
(
やま
)
ばかり、
坂
(
さか
)
あり、
谷
(
たに
)
あり、
溪流
(
けいりう
)
あり、
淵
(
ふち
)
あり、
瀧
(
たき
)
あり、
村落
(
そんらく
)
あり、
兒童
(
じどう
)
あり、
林
(
はやし
)
あり、
森
(
もり
)
あり、
寄宿舍
(
きしゆくしや
)
の
門
(
もん
)
を
朝早
(
あさはや
)
く
出
(
で
)
て
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
に
家
(
うち
)
に
着
(
つ
)
くまでの
間
(
あひだ
)
、
自分
(
じぶん
)
は
此等
(
これら
)
の
形
(
かたち
)
、
色
(
いろ
)
、
光
(
ひかり
)
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
我が国は当時の地理上の知識において、知りうる限りの世界の最東にあるが故に、所謂
日出処
(
ひいづるところ
)
、すなわち「
朝
(
あさ
)
」の国であり、これに対して西方なる支那は日の
没
(
い
)
る国、すなわち「
暮
(
くれ
)
」の国である。
国号の由来
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
既
(
も
)
う
大丈夫
(
だいじやうぶ
)
だといふ
所
(
ところ
)
で、
望生
(
ぼうせい
)
に一
體
(
たい
)
如何
(
どう
)
したのかと
問
(
と
)
うて
見
(
み
)
ると、
草刈
(
くさかり
)
の
中
(
なが
)
に、
子供
(
こども
)
が
居
(
ゐ
)
て、
去年
(
きよねん
)
の
暮
(
くれ
)
、
此處
(
こゝ
)
へ
大穴
(
おほあな
)
を
開
(
あ
)
けたのは、
此人達
(
このひとたち
)
だと
告
(
つ
)
げた
爲
(
ため
)
に、いくらお
前達
(
まへたち
)
が
猫
(
ねこ
)
を
冠
(
かぶ
)
つても
駄目
(
だめ
)
だと
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
あたかも
歳
(
とし
)
の
暮
(
くれ
)
にて、春のいそぎの
門松
(
かどまつ
)
を、まだ
片方
(
かたほう
)
はえ立てぬうちに
早
(
はや
)
元日になりたればとて、今もこの家々にては吉例として門松の片方を地に伏せたるままにて、
標縄
(
しめなわ
)
を引き渡すとのことなり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
やがてグリフォンが
海龜
(
うみがめ
)
に
云
(
い
)
ふには、『もつと
先
(
さ
)
きをサ!
早
(
はや
)
くしないと
日
(
ひ
)
が
暮
(
くれ
)
るよ!』
促
(
うな
)
がされて
漸
(
やうや
)
く
彼
(
かれ
)
は、『
全
(
まつた
)
く、
私
(
わたし
)
どもは
海
(
うみ
)
の
中
(
なか
)
の
學校
(
がくかう
)
へ
行
(
い
)
つたのです、お
前方
(
まへがた
)
が
信
(
しん
)
じないかも
知
(
し
)
れないけど—』
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
明
(
あけ
)
ても
暮
(
くれ
)
ても
肘
(
ひじ
)
を
擦
(
さす
)
り
肝
(
きも
)
を焦がし、
饑
(
うえ
)
ては敵の肉に
食
(
くら
)
い、渇しては敵の血を飲まんとするまで
修羅
(
しゅら
)
の
巷
(
ちまた
)
に
阿修羅
(
あしゅら
)
となって働けば、功名
一
(
ひ
)
トつあらわれ二ツあらわれて総督の
御覚
(
おんおぼ
)
えめでたく
追々
(
おいおい
)
の出世
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
わきてこの
暮
(
くれ
)
こそ
袖
(
そで
)
は露けけれ物思ふ秋はあまた経ぬれど
源氏物語:09 葵
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
日
(
ひ
)
をまつ
時
(
とき
)
まつ
暮
(
くれ
)
をまあつ……
桜さく島:春のかはたれ
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
双六
(
すごろく
)
の目をのぞくまで
暮
(
くれ
)
かゝり 翁
俳句への道
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
菜の花や
鯨
(
くじら
)
も寄らず海
暮
(
くれ
)
ぬ
郷愁の詩人 与謝蕪村
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
鼬
(
いたち
)
鳴く庭の
小雨
(
こあめ
)
や
暮
(
くれ
)
の春
自選 荷風百句
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
おひさま
暮
(
くれ
)
れや
未刊童謡
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
打越て
堅石部
(
かたいしべ
)
や草津宿
草枯時
(
くさがれどき
)
も今日と
暮
(
くれ
)
明日
(
あした
)
の空も定め無き老の身ならねど坂の下五十三次半ば迄
懷
(
ふとこ
)
ろの兒に
添乳
(
そへぢ
)
を貰ひ當なき人の乳を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
有
(
あ
)
るには
有
(
あ
)
るが
預
(
あづ
)
けてある。
勢
(
いきほ
)
ひ
兵
(
へい
)
を
分
(
わか
)
たねば
成
(
な
)
らない。
暮
(
くれ
)
から
人質
(
ひとじち
)
に
入
(
はひ
)
つてゐる
外套
(
ぐわいたう
)
と
羽織
(
はおり
)
を
救
(
すく
)
ひだすのに、
手
(
て
)
もなく
八九枚
(
はつくまい
)
討取
(
うちと
)
られた。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
明
(
あ
)
くる
日
(
ひ
)
の
暮
(
くれ
)
れ
方
(
がた
)
のこと、
雪
(
ゆき
)
がちらちらと
風
(
かぜ
)
にまじって
降
(
ふ
)
っていました。こまどりは、ひとりいい
声
(
こえ
)
で、この
木立
(
こだち
)
に
止
(
と
)
まって
鳴
(
な
)
いていました。
美しく生まれたばかりに
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
長「お
前
(
めえ
)
さんの
処
(
とこ
)
は
余
(
あんま
)
り御無沙汰になって敷居が鴨居で
往
(
い
)
かれねえから、
何
(
いず
)
れ
春永
(
はるなが
)
に往きます、
暮
(
くれ
)
の内は少々へまになってゝ往かれねえから何れ…」
文七元結
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「まあ、そんな
見当
(
けんとう
)
だな。どうしてもまた、五十両ばかり
要
(
い
)
ることができちゃって、
暮
(
くれ
)
じゃああるし、弱ってるんだ」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勘次
(
かんじ
)
とお
品
(
しな
)
は
相思
(
さうし
)
の
間柄
(
あひだがら
)
であつた。
勘次
(
かんじ
)
が
東隣
(
ひがしどなり
)
の
主人
(
しゆじん
)
に
傭
(
やと
)
はれたのは十七の
冬
(
ふゆ
)
で十九の
暮
(
くれ
)
にお
品
(
しな
)
の
婿
(
むこ
)
に
成
(
な
)
つてからも
依然
(
いぜん
)
として
主人
(
しゆじん
)
の
許
(
もと
)
に
勤
(
つと
)
めて
居
(
ゐ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しからばこゝならんかしこならんなど
家僕
(
かぼく
)
とはかりて
尋求
(
たづねもとめ
)
しかど
更
(
さら
)
に
音問
(
おとづれ
)
をきかず、日もはや
暮
(
くれ
)
なんとすれば
空
(
むな
)
しく家に
皈
(
かへ
)
りしか/\のよし母に
語
(
かた
)
りければ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そして、無情の時は、
容赦
(
ようしゃ
)
もなくたって行った。一時間、二時間、だが、まだやっと日が
暮
(
くれ
)
た時分だ。石炭が焚かれるのは、夜更けてからというではないか。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
御米
(
およね
)
は
臺所
(
だいどころ
)
で、
今年
(
ことし
)
も
去年
(
きよねん
)
の
樣
(
やう
)
に
水道
(
すゐだう
)
の
栓
(
せん
)
が
氷
(
こほ
)
つて
呉
(
く
)
れなければ
助
(
たす
)
かるがと、
暮
(
くれ
)
から
春
(
はる
)
へ
掛
(
か
)
けての
取越苦勞
(
とりこしぐらう
)
をした。
夜
(
よる
)
になると
夫婦
(
ふうふ
)
とも
炬燵
(
こたつ
)
にばかり
親
(
した
)
しんだ。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ボロ市過ぎて、冬至もやがてあとになり、行く/\年も
暮
(
くれ
)
になる。
蛇
(
へび
)
は穴に入り人は家に
籠
(
こも
)
って、
霜枯
(
しもがれ
)
の武蔵野は、静かな
昼
(
ひる
)
にはさながら
白日
(
まひる
)
の夢に
定
(
じょう
)
に入る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
暮
常用漢字
小6
部首:⽇
14画
“暮”を含む語句
薄暮
日暮
夕暮
歳暮
年暮
朝暮
鰥暮
旦暮
日暮里
日暮方
御暮
暮秋
田舎暮
野暮
暮方
明暮
暮靄
皆暮
暮春
盆暮
...