繰返くりかへ)” の例文
とき繰返くりかへすやうだけれども、十圓じふゑんたい剩錢つりせん一錢いつせんなるがゆゑに、九圓九十九錢きうゑんきうじふきうせんわかつたが、またなんだつて、員數ゐんすうこまかきざんだのであらう。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
取出し源兵衞といふ餠屋や有と繰返くりかへし改めしに茗荷屋みやうがや源兵衞と云があり是は近頃遠國ゑんごくより歸し人ときゝ及ぶさだめてこれならんと寶澤にも是由を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
『モ一度いちど合唱がつせうを!』とグリフォンがさけびました、海龜うみがめがそれを繰返くりかへさうとしたとき丁度ちやうど、『審問しんもんはじめ!』のさけごゑ遠方えんぱうきこえました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
もつと道路どうろあるひ堤防ていぼうさがりにつて地割ぢわれをおこすこともあるが、それはたんひらいたまゝであつて、開閉かいへい繰返くりかへすものではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しづい、しづい』と彼は心に繰返くりかへしながら室内をのそ/\歩いて居たが、突然ソハの上に倒れて両手を顔にあてゝあふるゝ涙をおさへた。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
堪忍かんにんして堪忍かんにんしてと繰返くりかへし/\、さながらまへなにやらにむかつてわびるやうにふかとおもへば、いまゆきまする、いまゆきまする
うつせみ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
軍艦ぐんかん! 軍艦ぐんかん! とわたくし何故なぜともなく二くちうち繰返くりかへうちに、端艇たんていはだん/\と本艦ほんかんちかくなる。
百度千度ももたびちたび繰返くりかへし候ても、是非に御耳に入れまゐらせ度存候たくぞんじさふらへども、今此の切なく思乱れをり候折さふらふをりから、又仮初かりそめにも此上に味気無あぢきなき昔を偲び候事は堪難たへがたく候故
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
而も争論そうろんは何時も要領をずにをはつて、何時までも底止とめどなく同じことを繰返くりかへされてゐるのであツた。そしてグヅグヅの間に一ねん二年と經過けいくわして今日こんにちとなツた。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
いとすで長吉ちやうきちのよく知つてゐる事情をば再びくど/\しく繰返くりかへした。おいとが芸者になるとふ事は二三年いやもつと前から長吉ちやうきちにもわかつてゐた事である。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
カピ長 先度せんどまうしたとほりを繰返くりかへすまでゞござる。何分なにぶんにも世間せけん知らず、まだ十四度よどとはとし變移目かはりめをばむすめ、せめてもう二夏ふたなつ榮枯わかばおちばせいでは、適齡としごろともおもひかねます。
今日けふは三十にん患者くわんじやければ、明日あすは三十五にんる、明後日あさつては四十にんつてく、毎日まいにち毎月まいげつ同事おなじこと繰返くりかへし、打續うちつゞけてはくものゝ、市中まち死亡者しばうしやすうけつしてげんじぬ。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それでゐて一度バラバラとやつて見なくては氣がまないのだ。それ以上は堪らなくなつて其處へ置いてしまふ。以前の位置へもどすことさへ出來ない。私は幾度もそれを繰返くりかへした。
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
代理大使だいりたいしがついわたしよこほうにゐたが、かれはまだのこりをしさうに「キヤニユスピークイングリシユ?」を繰返くりかえしてゐた。わたしはまたわらひながら、まえおなじことを繰返くりかへすよりほかなかつた。
微笑の渦 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
「へエ、何べんでも繰返くりかへしますが、大したお役に立ちやうもありませんよ、親分」
と、のつぺらぽうを二遍繰返くりかへしてゐる。三四郎は黙然として考へ込んでゐた。すると、うしろから一寸ちよいと肩を叩いたものがある。例の与次郎であつた。与次郎を図書館で見掛けるのはめづらしい。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
墓原はかはらたのは十二時過じすぎ、それから、あゝして、あゝして、と此處こゝまであひだのことをこゝろ繰返くりかへして、大分だいぶん時間じかんつたから。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
たゞ櫻島さくらじまはかういふ大噴火だいふんか百年ひやくねんあるひ二三百年にさんびやくねん間隔かんかくもつ繰返くりかへすので、したがつて鎔岩ようがん流出量りゆうしゆつりようおほく、前回ぜんかい場合ばあひいちろく立方粁りつぽうきろめーとる計算けいさんせられてゐるが
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
すると今度こんどかはづ歩兵ほへいが、おなおごそかな口調くてう繰返くりかへしました、たゞわづ言葉ことばじゆんへて、『女王樣ぢよわうさまより。球投まりなげのおもよほしあるにつき公爵夫人こうしやくふじんへの御招待状ごせうたいじやう
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
今更いまさらふも愚痴ぐちなれど………ほんに思へば………岸よりのぞ青柳あをやぎの………と思出おもひだふしの、ところ/″\を長吉ちやうきちうち格子戸かうしどける時まで繰返くりかへ繰返くりかへし歩いた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
だから吾等われら海岸かいがんいへ出發しゆつぱつするときも、櫻木大佐さくらぎたいさ繰返くりかへして『すなすべりのたに注意ちうゐせよ。』とはれたが、吾等われらつひあやまつて、このおそたに陷込おちこんだのである。
繰返くりかへし/\何のはゞかる色も無く申立ければ居並びたる人々はなはだ氣のどくに思ひは物にくるひしか吉兵衞御奉行樣の御前にて主人の養子千太郎を締殺しめころしたりと自訴に及びし久八を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
アンドレイ、エヒミチは依然やはり相手あひてかほずに、知識ちしきあるもの話計はなしばかりをつゞける、ミハイル、アウエリヤヌヰチは注意ちゆういしていてゐながら『れは眞實まつたくです。』と、ばかりを繰返くりかへしてゐた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
差配さはいどのがえられてとはゝことば繰返くりかへしてなにわけらねど今直いますぐに此家こゝ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
この人はその頃熱心な基督キリスト信者でしたが、ある時私に、聖書を日に何頁づゝとか讀むと、丁度ちやうど三年目に新舊兩約全書を通讀する事になるといつて、それを日課として毎日おこたらず繰返くりかへしてゐるやうでした。
『伝説の時代』序 (旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
私は幾度となく此の言葉ことばを心のなか繰返くりかへして見た。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
繰返くりかへして三度さんど、また跫音あしおとがしたが、其時そのときまくらあがらなかつた。室内しつない空氣くうきたゞいやうへ蔽重おほひかさなつて、おのづと重量ぢうりやう出來できおさへつけるやうな!
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あいちやんはなになんだか薩張さつぱり道理わけわからず、『長靴ながぐつにもなれは半靴はんぐつにもなる!』と不審いぶかしげな調子てうし繰返くりかへしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
一秒間いちびようかん二三回にさんかい繰返くりかへされるほどの急激きゆうげきなものであつたならば、木造家屋もくぞうかおく土藏どぞう土壁つちかべおとし、器物きぶつたなうへから轉落てんらくせしめるくらゐのことはありべきである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
稽古けいこの男は小稲半兵衛こいなはんべゑをさらつたのち同じやうなおつま八郎兵衛はちろべゑ語出かたりだしを二三度繰返くりかへして帰つて行つたのである。蘿月らげつもつともらしくすわなほして扇子せんすで軽くひざたゝいた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
さりとてこの大事だいじ生命いのちつなを、むさ/″\海中かいちう投棄なげすてるにはしのびず、なるべくていすみほう押遣おしやつて、またもや四五にちまへのあはれな有樣ありさま繰返くりかへして一夜いちやあかしたが、翌朝よくあさになると
きやうさん母親おふくろ父親おやぢからつきりあていのだよ、おやなしでうまれてがあらうか、れはうしても不思議ふしぎでならない、とやきあがりしもち兩手りやうてでたゝきつゝいつもふなる心細こゝろぼそさを繰返くりかへせば
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
女は三四郎を見た儘で此一言ひとこと繰返くりかへした。三四郎は答へなかつた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
たゞ、いひかはされるのは、のくらゐなこと繰返くりかへす。ときに、鶺鴒せきれいこゑがして、火桶ひをけすみあかけれど、山茶花さざんくわかげさびしかつた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いづれも富士形ふじがた單式火山たんしきかざんであつて、歴史年代れきしねんだいおいあま活溌かつぱつでない噴火ふんか數回すうかい乃至ないし十數回じゆうすうかい繰返くりかへした。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
景色けしきひくしたのぞむものとおもつてたのに、繰返くりかへしていふが、密林みつりんあひだは、さながらながれうかんでぶのである。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また構造物こうぞうぶつ地震動ぢしんどうつてしようじ、それが振動繼續中しんどうけいぞくちゆう開閉かいへい繰返くりかへすこともあるが、問題もんだい大地だいち關係かんけいしたものであつて、構造物こうぞうぶつおこ現象げんしようすのではない。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
新婚當時しんこんたうじ四五年しごねん故郷こきやうかへりみなかつた時分じぶん穗科閣下ほしなかくかは、あゝ糠鰊こぬかにしんひたいな、と暫々しば/\つて繰返くりかへした。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
阿蘇あそはこの百年ひやくねんぐらゐのあひだ平均へいきん十一年目じゆういちねんめ活動かつどう繰返くりかへしてゐるが、それはそのみつつのいけのいづれかゞ活氣かつきていするにるものである。しかしながら、まれにはほか場所ばしよからすこともある。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
渠等かれら無頼ぶらいなる幾度いくたびこの擧動きよどう繰返くりかへすにはゞかものならねど、ひとそのふが隨意まゝ若干じやくかん物品ものとうじて、その惡戲あくぎえんぜざらむことをしやするをて、蛇食へびくひげい暫時ざんじ休憩きうけいつぶやきぬ。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
主人しゆじんは、支那しな福州ふくしう大商賈おほあきんどで、きやくは、それも、和蘭陀オランダ富豪父子かねもちおやこと、しま酋長しうちやうなんですがね、こゝでね、みんながね、たゞひとツ、それだけにいて繰返くりかへしてはなしてたのは、——のね
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
繰返くりかへすやうだが、それが二日ふつかで、三日みつかひるすぎ、大雨おほあめよわてて、まだ不安ふあんながら、破家やぶれや引返ひきかへしてから、うす味噌汁みそしる蘇生よみがへるやうなあぢおぼえたばかりで、くわんづめの海苔のり梅干うめぼしのほかなんにもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こゝろそらはせよ。しからずんば——くるしいから、繰返くりかへして
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
口眞似くちまねのやうに繰返くりかへして
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またひとつがおなこと繰返くりかへす。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたし繰返くりかへした。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)