)” の例文
もちろん、老人ろうじんこころざしとならなかったばかりか、B医師ビーいしは、老人ろうじんきだったらしいすいせんを病院びょういんにわえたのでありました。
三月の空の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
はしのあつたのは、まちすこはなれたところで、堤防どてまつならむではつてて、はしたもと一本いつぽん時雨榎しぐれえのきとかいふのであつた。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
眞中まんなかには庭園ていえんがあり、噴水ふんすいえずみづし、あたりには青々あを/\しげつた庭木にはきゑてあり、あつなつでもすゞしいかんじをあた
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
柳橋やなぎばしに柳なきは既に柳北りゅうほく先生『柳橋新誌りゅうきょうしんし』に「橋以柳為名而不一株之柳はしやなぎもっすに、一株いっしゅやなぎえず〕」
「なんだい、ザネリ」とジョバンニは高くさけかえしましたが、もうザネリはこうのひばのわった家の中へはいっていました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しもに焼けたつつじのみが幾重いくえにも波形に重なって、向こうの赤松あかまつの森につづいている。空は青々とんでおり、風もない。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
今日こんにち、ひのき、すぎなどはやしをこのたいなかるのは、ひとうつゑたもので、もと/\ひのき、すぎなど温帶林おんたいりん生育せいいくしてゐたものです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
白刃しらはえたような稲妻いなづま断間たえまなく雲間あいだひらめき、それにつれてどっとりしきる大粒おおつぶあめは、さながらつぶてのように人々ひとびとおもてちました。
すでにしもえられた龍牙りゅうが短刀たんとう、もしくはながき秋水しゅうすい晃々こうこうたる剣陣けんじんを作って、すばやくふたりのげ道をかこんでしまった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また私のむねやはらぎの芽をゑそめたものは、一頻ひとしきり私のはらわたきざんでゐたところの苦惱くなうんだ、ある犧牲的ぎせいてきな心でした。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
なあに爺樣ぢいさまそつちこつちからつてゑたてたのよ、去年きよねんはそんでも其處そこらへ玉蜀黍位たうもろこしぐれえつくれたつけが、れ、邪魔じやまだともはんねえしなあ
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
いかめしい鉄のとびらの門をはいると、大きなソテツが、ドッカリとわっていて、そのしげった葉の向こうに、りっぱな玄関が見えています。
怪人二十面相 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
門の前は一めんに柳がわり、かきの内には桃やあんずの花が盛りで、それに長い竹をあしらってあったが、野の鳥はその中へ来て格傑かっけつと鳴いていた。
嬰寧 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
「あれのお蔭で飛んだ目に逢ひました。花を見るつもりでゑて置くと、あれは藥にもなるんださうで、泰道さんに頼まれて根を干したのですが」
いちといつても、いま市場いちばではなく、商人しようにんみせつらねてゐる町通まちどほりで、そこには、いま街路樹がいろじゆたものをゑたのです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
けれども先生せんせい其家そのいへかこ幾畝いくせかの空地くうちみづからたがやして菜園さいゑんとし種々しゆ/″\野菜やさいゑてます。また五六羽ごろつぱにはとりふて、一もちゆるだけのたまごつてます。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
猫間川ねこまがはきし柳櫻やなぎさくらゑたくらゐでは、大鹽おほしほ亡魂ばうこんうかばれますまい。しかし殿樣とのさま御勤務役ごきんむやくになりましてから、市中しちう風儀ふうぎは、ちがへるほどあらたまりました。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
でも、このあたりの砂は、ほうっておくと、風に吹きとばされてしまうのでしょう。で、それをふせぐために、あちこちにマツの木がたくさんえてありました。
しゅねがわくはおんてんよりたまえ、なんじ右手めてもてたまえるこの葡萄園ぶどうぞの見守みまもらせたまえ、おとなたまえ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
二つの目玉めだまがみがきげたかがみならべたようにきらきらかがやいて、つるぎえたようなきばがつんつんえたあいだから、あかしたがめらめら火をくようにうごいていました。
田原藤太 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
〔評〕南洲城山にる。官軍さくゑて之を守る。山縣やまがた中將書を南洲に寄せて兩軍殺傷さつしやうさん極言きよくげんす。南洲其の書を見て曰ふ、我れ山縣にそむかずと、斷然だんぜん死にけり。
主人しゆじん細君さいくん説明せつめいによると、この織屋おりやんでゐるむら燒石やけいしばかりで、こめあはれないから、やむくはゑてかひこふんださうであるが、餘程よほどまづしいところえて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
若し権力をもって得たるものは、瓶鉢中へいはつちゅうの花の如く、そのえず、そのしぼむこと立って待つべし
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
赤とんぼの休んでいる竹には、朝顔あさがおのつるがまきついています。昨年さくねんの夏、この別荘べっそうの主人がえていった朝顔の結んだ実が、またえたんだろう——と赤とんぼは思いました。
赤とんぼ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
これははちなしをたべるものですから、はちをよけるために紙袋かみぶくろをかぶせるのです。お勝手かつてよこには祖父おぢいさんのゑたきりがありました。そのきりしたは一めん桑畑くはばたけでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
この菊塢きくう狂歌きやうかしゆ発句ほつくあり、(手紙と其書そのしよ移転ひつこしまぎれにさがしても知れぬは残念ざんねんにもかくにも一個いつこ豪傑がうけつ山師やましなにやらゑし隅田川すみだがは」と白猿はくゑんが、芭蕉ばせうの句をもじりて笑ひしは
隅田の春 (新字旧仮名) / 饗庭篁村(著)
まさか忍び返えしのソギ竹を黒板塀の上に列べたり、煉瓦塀れんがべいうえに硝子の破片を剣の山とえたりはせぬつもりだが、何、程度ていどの問題だ、これで金でも出来たら案外其様そんな事もやるであろうよ。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
彼は、二人が堕胎を計った第九工場というのに、(夜泣よな鉄骨てっこつ)という怪談をえつけた。その実、彼がコッソリ、夜中になると、工場へ忍びこみ、自分で、クレーンをキィキィ云わせたのだ。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
あの畑にはなにがへてあるんです
はなを、いよこの、ゑやれ
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
もとに ゑし山椒はじかみ二六
けんゑたるいたゞき
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
にわのすみにえてやろう。そうはやおおきくなりはしないだろうから、邪魔じゃまになりはしない。」といって、にわのすみにえました。
いちじゅくの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
みちのゆくには、藁屋わらやちひさく、ゆる/\うねみちあらはれた背戸せどに、牡丹ぼたんゑたのが、あのときの、子爵夫人ししやくふじんのやうにはるかのぞいてえた。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ひとりいてふにかぎらず、しひのきやかしのきなどいへのまはりや公園こうえん垣根沿かきねぞひにゑてあるは、平常へいじよう木蔭こかげかぜよけになるばかりでなく
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
その大きなとうもろこしの木がほとんどいちめんにえられて、さやさや風にゆらぎ、その立派りっぱなちぢれたのさきからは
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
いつのまにか、卜斎ぼくさい蛾次郎がじろうのまわりには、十数槍すうそう抜身ぬきみ穂尖ほさき、音もせずに、ただ光だけをギラギラさせて、すすきのようにえならんでいた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼等かれらあめわらみのけて左手ひだりてつたなへすこしづつつて後退あとずさりにふかどろから股引もゝひきあし退く。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
そして両側りょうがわ広々ひろびろとしたおにわには、かたちまつそのほどよくみになってり、おくはどこまであるか、ちょっと見当けんとうがつかぬくらいでございます。
つきつてゐるところいてゐる、まちのとほりにゑてあるに、あたるところのかぜおとたかさに、なるほどひどいかぜだとおもつてそらると、げられたちり
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まっくろなからだがもじゃもじゃえて、あたまかみはまっで、はりえたようでした。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
または小屋こやてたときはしらんだあとだとかゞまるならんでゐることがあります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
正門を這入ると、取突とつつきの大通りの左右にゑてある銀杏の並木が眼に付いた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
はなゑやれ、雛罌粟ひなげしを。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
いはたかつるぎゑて
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
「おまえが、もらってきてえたのが、親木おやぎになって丹精たんせいしたから、こんなにいい子供こどもまれたんです。」と、ははこたえられました。
親木と若木 (新字新仮名) / 小川未明(著)
去年きょねんの九月古い競馬場けいばじょうのまわりから掘って来てえておいたのだ。今ごろ支柱を取るのはまだ早いだろうとみんな思った。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
つぎには紅葉もみぢするは、どんなかといひますと、日本につぽんでは普通ふつうもみぢ(槭樹せきじゆ)がいちばんおほいのです。なかでも、やまもみぢはにはにもよくゑられます。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
衣絵きぬゑさんに、となへ似通にかよふそれより、ほ、なつかしく、なみだぐまるゝは、ぎんなべれば、いつも、常夏とこなつかげがさながらゑたやうにくのである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
しかるにあるとし八幡宮はちまんぐうがこの鶴岡つるがおか勧請かんじょうされるにつけ、その神木しんぼくとして、わしかずある銀杏いちょううちからえらされ、ここにうつえられることになったのじゃ。