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捨
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す
ふりがな文庫
“
捨
(
す
)” の例文
姉
(
ねえ
)
さん、
私
(
わたし
)
が、あなたやお
父
(
とう
)
さんを
捨
(
す
)
てて、どこへかゆくといわれるのですか。
私
(
わたし
)
は、一
生
(
しょう
)
お
父
(
とう
)
さんや、あなたのそばで
暮
(
く
)
らします。
木と鳥になった姉妹
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「おかあさんを
捨
(
す
)
てたのはやはりわたくしが
悪
(
わる
)
うございました。こんどはどんなにしてもおそばについてお
世話
(
せわ
)
をいたしますから。」
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
直
(
たゞ
)
ちに
此
(
こ
)
れが
扇子
(
せんす
)
を
持
(
も
)
つて
居
(
ゐ
)
た
所爲
(
せい
)
だと
云
(
い
)
ふ
事
(
こと
)
を
知
(
し
)
つて
急
(
いそ
)
いで
其扇子
(
そのせんす
)
を
捨
(
す
)
てました、
恰
(
あだか
)
も
縮
(
ちゞ
)
むのを
全
(
まつた
)
く
恐
(
おそ
)
れるものゝ
如
(
ごと
)
く。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
わたしは
床屋
(
とこや
)
さんの前でかれが「なに、友だちを
捨
(
す
)
てる」とさけんだとき、どんな感じがしたか、ことばで語ることはできなかった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
地声を現した新九郎は、大音声と共に竹の子笠を
刎
(
は
)
ね
捨
(
す
)
てて、
来国俊
(
らいくにとし
)
の
鯉口
(
こいぐち
)
を前落しに引っ掴み、ジリジリと玄蕃の前に詰め寄った。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
日本人
(
にほんじん
)
が
固有
(
こゆう
)
の
風習
(
ふうしふ
)
を
捨
(
す
)
てゝ
外國
(
ぐわいこく
)
の
慣習
(
くわんしふ
)
にならうは
如何
(
いか
)
にも
外國
(
ぐわいこく
)
に
對
(
たい
)
して
柔順過
(
じうじゆんす
)
ぎるといふ
怪訝
(
けげん
)
の
感
(
かん
)
を
起
(
おこ
)
さしむるに
過
(
す
)
ぎぬと
思
(
おも
)
ふ。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
柿
(
かき
)
の
好
(
す
)
きなお
百姓
(
ひやくしやう
)
の
子供
(
こども
)
は
青
(
あを
)
い
柿
(
かき
)
を
見
(
み
)
に
來
(
き
)
ましたが、
取
(
と
)
つて
食
(
た
)
べて
見
(
み
)
る
度
(
たび
)
に
澁
(
しぶ
)
さうな
顏
(
かほ
)
をして、
食
(
た
)
べかけのを
捨
(
す
)
てゝしまひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
捨
(
す
)
てた
燐寸
(
マツチ
)
の
燃
(
も
)
えさしが
道端
(
みちばた
)
の
枯草
(
かれくさ
)
に
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けて
愚弄
(
ぐろう
)
するやうな
火
(
ひ
)
がべろ/\と
擴
(
ひろ
)
がつても、
見向
(
みむ
)
かうともせぬ
程
(
ほど
)
彼
(
かれ
)
は
懶
(
ものう
)
げである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いゝよ
親方
(
おやかた
)
からやかましく
言
(
い
)
つて
來
(
き
)
たら
其時
(
そのとき
)
の
事
(
こと
)
、
可愛想
(
かあいさう
)
に
足
(
あし
)
が
痛
(
いた
)
くて
歩
(
ある
)
かれないと
言
(
い
)
ふと
朋輩
(
ほうばい
)
の
意地惡
(
いぢわる
)
が
置去
(
おきざ
)
りに
捨
(
す
)
てゝ
行
(
い
)
つたと
言
(
い
)
ふ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
毒を
注
(
さ
)
したところだけ、きれいにさき
捨
(
す
)
てて、毒のない部分をさんざん食いあらしていたのです。一
服
(
ぷく
)
盛
(
も
)
ろうたってあいつにゃ
駄目
(
だめ
)
です。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
三階の天に登り、永遠の慈悲に接せんと欲せば、下界の交際より遮断さるるに
若
(
し
)
かず、国人は余を
捨
(
す
)
て余は霊界に受けられたり。
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
『罪造りの横笛殿、あたら勇士に世を
捨
(
す
)
てさせし』。あゝ
半
(
なか
)
ば
戲
(
たはむ
)
れに、
半
(
なか
)
ば
法界悋氣
(
ほふかいりんき
)
の此一語、横笛が耳には如何に響きしぞ。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
汲
(
くみ
)
て
參
(
まゐ
)
りし者は當時は拙者弟子なれども元は
師匠
(
ししやう
)
天道
(
てんだう
)
が弟子にて
渠
(
かれ
)
は師匠が未だ
佐渡
(
さど
)
の
淨覺院
(
じやうがくゐん
)
の持主たりし時門前に
捨
(
す
)
て有しを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
己
(
おの
)
れを
捨
(
す
)
つるには、その
疑
(
うたが
)
いを処するなかれ。その疑いを処すればすなわち
捨
(
しゃ
)
を
用
(
もち
)
うるの
志
(
こころざし
)
多く
愧
(
は
)
ず。人に
施
(
ほどこ
)
すにはその
報
(
ほう
)
を
責
(
せ
)
むるなかれ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
或る人民の
好
(
この
)
んで
食
(
くら
)
ふ物を他の人民は
捨
(
す
)
てて
顧
(
かへり
)
みず、或る人民の食ふ可からずとする
物
(
もの
)
を他の人民は
喜
(
よろこ
)
んで
賞玩
(
せうくわん
)
するの類其
例
(
れい
)
决
(
けつ
)
して少からす。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
いえ/\
此
(
これ
)
も
定
(
さだ
)
まる
約束
(
やくそく
)
。……しかし、
尚
(
な
)
ほ
懐
(
なつか
)
しい。
奥様
(
おくさま
)
を
思切
(
おもひき
)
り、
世
(
よ
)
を
捨
(
す
)
てゝも
私
(
わたし
)
の
傍
(
そば
)
に
命
(
いのち
)
をかけて
居
(
ゐ
)
やうとおつしやる。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
捨
(
す
)
て
科白
(
ぜりふ
)
を残して、俺はひらりと窓に飛び乗った。岸に寄せる波はさして強くないのに、白い波頭が岸までとどかないうちに暗い沖で崩れている。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
昨秋からは追うても
捨
(
す
)
てゝも戻って来る、いまだ名無しの
風来
(
ふうらい
)
の牝犬も居る。然し愚な鈍な弱い白が、主人夫妻にはいつまでも忘られぬのである。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
しかし
金屬
(
きんぞく
)
がはひつて
來
(
き
)
たからとてすぐに
今
(
いま
)
までの
石器
(
せつき
)
を
悉
(
こと/″\
)
く
捨
(
す
)
てゝ
全部
(
ぜんぶ
)
金屬器
(
きんぞくき
)
を
使
(
つか
)
ふようになつたのではありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
裂
(
さ
)
き
捨
(
す
)
てられる
立禁
(
たちきん
)
の
札
(
ふだ
)
。
馘首
(
かくしゆ
)
に
対
(
たい
)
する
大衆抗議
(
たいしうこうぎ
)
。
全市
(
ぜんし
)
を
揺
(
ゆる
)
がすゼネストの
叫
(
さけ
)
び。
雪崩
(
なだ
)
れを
打
(
う
)
つ
反
(
はん
)
×
(15)
のデモ。
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
その
蒼
(
あを
)
ざめた
顏
(
かほ
)
の
上
(
うへ
)
には、
竹
(
たけ
)
に
交
(
まじ
)
つた
杉
(
すぎ
)
むらの
空
(
そら
)
から、
西日
(
にしび
)
が
一
(
ひと
)
すぢ
落
(
お
)
ちてゐるのです。わたしは
泣
(
な
)
き
聲
(
こゑ
)
を
呑
(
の
)
みながら、
死骸
(
しがい
)
の
繩
(
なは
)
を
解
(
と
)
き
捨
(
す
)
てました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「それにぼくは、きみの
家
(
うち
)
の入口のところにきみをおろすまでは、どんなことがあっても、きみを
捨
(
す
)
てはしないよ。」
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
『お
絹
(
きぬ
)
さんは
最早
(
もう
)
居
(
ゐ
)
ませんよ、』と
言
(
い
)
ひ
捨
(
す
)
てゝばた/\と
逃
(
に
)
げて
去
(
い
)
つた。
哀
(
あは
)
れなる
哉
(
かな
)
、これが
僕
(
ぼく
)
の
失戀
(
しつれん
)
の
弔詞
(
てうじ
)
である!
失戀
(
しつれん
)
?、
失戀
(
しつれん
)
が
聞
(
き
)
いてあきれる。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
理学士の称号を貰い、三年の大学院の研究を終えて来た丘助手にとって、博士の仰有った一言は、いくら木戸博士と
仰
(
あお
)
ぐにしても、
聞
(
き
)
き
捨
(
す
)
てになり兼ねた。
キド効果
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
一人
(
ひとり
)
で
着物
(
きもの
)
を
着換
(
きか
)
えたが、
脱
(
ぬ
)
ぎ
捨
(
す
)
てた
洋服
(
やうふく
)
も、
人手
(
ひとで
)
を
借
(
か
)
りずに
自分
(
じぶん
)
で
疊
(
たゝ
)
んで、
押入
(
おしいれ
)
に
仕舞
(
しま
)
つた。それから
火鉢
(
ひばち
)
へ
火
(
ひ
)
を
繼
(
つ
)
いで、
湯
(
ゆ
)
を
沸
(
わ
)
かす
用意
(
ようい
)
をした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ちょうど
寄辺
(
よるべ
)
なぎさの
捨
(
す
)
て
小舟
(
おぶね
)
とでも言いたい無気力なこころもちにつつまれる朝夕、栄三郎は何度となく万事を棄てて仏門へでも入りたく思ったのだが。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
川崎備寛
(
かはさきびくわん
)
、
長尾克
(
ながをこく
)
などの
面面
(
めんめん
)
で、一
筒
(
とう
)
二
筒
(
とう
)
を一
丸
(
まる
)
二
丸
(
まる
)
、一
索
(
さう
)
二
索
(
さう
)
を一
竹
(
たけ
)
二
竹
(
たけ
)
といふ
風
(
ふう
)
に
呼
(
よ
)
び、
三元牌
(
サンウエンパイ
)
を
碰
(
ポン
)
されたあと
殘
(
のこ
)
りの一
枚
(
まい
)
を
捨
(
す
)
てると、それが
槓
(
カン
)
になり
麻雀を語る
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それに
引
(
ひ
)
き
換
(
か
)
えあたしゃそこらに
履
(
は
)
き
捨
(
す
)
てた、
切
(
き
)
れた
草鞋
(
わらじ
)
もおんなじような、
水茶屋
(
みずぢゃや
)
の
茶汲
(
ちゃく
)
み
娘
(
むすめ
)
。
百夜
(
ももよ
)
の
路
(
みち
)
を
通
(
かよ
)
ったとて、お
前
(
まえ
)
に
逢
(
あ
)
って、
昔話
(
むかしばなし
)
もかなうまい。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
例の、みなさん、ご承知の「
信不退
(
しんふたい
)
」「
行不退
(
ぎょうふたい
)
」というものがありまして「もろもろの
雑行
(
ぞうぎょう
)
を
振
(
ふ
)
り
捨
(
す
)
てて」
生活と一枚の宗教
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
……ああ、今まで、私のどれいが何人も何人も、この象がりのために命を
捨
(
す
)
てたけれど、もうもうこれからは、そんなことをしなくても、よくなったんだねえ。
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
他
(
た
)
に
例
(
れい
)
の
無
(
な
)
かつたのを
今回
(
こんくわい
)
見出
(
みだ
)
したのだ。
俵形
(
ひやうけい
)
の
土器
(
どき
)
から
植物
(
しよくぶつ
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
したのは、
實
(
じつ
)
に
余
(
よ
)
である。
危
(
あやう
)
く
人夫
(
にんぷ
)
が
捨
(
す
)
てやうとしたのを、
引取
(
ひきと
)
つて
調
(
しら
)
べたからである。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
妻子
(
さいし
)
を
振
(
ふ
)
り
捨
(
す
)
てて、
奮然
(
ふんぜん
)
学問のしなおしをやってみようかしら、そんならばたしかに人をおどろかすにたるな。やってみようか、おもしろいな
奮然
(
ふんぜん
)
やってみようか。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
盗賊
(
とうぞく
)
どもは
腹
(
はら
)
を立てて、人形の首を
引
(
ひ
)
きぬき、手足をもぎ取って、
本堂
(
ほんどう
)
の
隅
(
すみ
)
っこに
投
(
な
)
げ
捨
(
す
)
てて
置
(
お
)
いたのです。それを見て
猿
(
さる
)
は、
鬼
(
おに
)
の人形の中からどなりつけました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
中には、どこかの
役人
(
やくにん
)
のうちの入口のところに、かごに入れたまま
捨
(
す
)
て子にされて、こごえ
死
(
し
)
んだのもいるし、
乳母
(
うば
)
にそえ
乳
(
ぢ
)
をされながら、
息
(
いき
)
がつまって死んだ子もいる。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
いひ
傳
(
つた
)
へでは、
大
(
たい
)
へん
貧乏
(
びんぼう
)
な
暮
(
くら
)
しをしてゐて、しかも
國學
(
こくがく
)
や
歌
(
うた
)
の
樂
(
たの
)
しみを
捨
(
す
)
てなかつた
人
(
ひと
)
であります。この
人
(
ひと
)
にも、
諸平
(
もろひら
)
同樣
(
どうよう
)
同
(
おな
)
じ
句
(
く
)
をはじめに
据
(
す
)
ゑて
詠
(
よ
)
んだ
歌
(
うた
)
があります。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
船橋
(
せんけう
)
の
上
(
うへ
)
から
一心
(
いつしん
)
に
双眼鏡
(
そうがんきやう
)
を
我
(
わ
)
が
船
(
ふね
)
に
向
(
む
)
けて
居
(
を
)
つたが、
不思議
(
ふしぎ
)
だ、
私
(
わたくし
)
の
視線
(
しせん
)
と
彼方
(
かなた
)
の
視線
(
しせん
)
とが
端
(
はし
)
なくも
衝突
(
しようとつ
)
すると、
忽
(
たちま
)
ち
彼男
(
かなた
)
は
双眼鏡
(
そうがんきやう
)
をかなぐり
捨
(
す
)
てゝ、
乾顏
(
そしらぬかほ
)
に
横
(
よこ
)
を
向
(
む
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
人はかかる
言草
(
いいぐさ
)
を耳にせば
直
(
ただち
)
に
栄耀
(
えいよう
)
の餅の皮といひ
捨
(
す
)
つべし。されど芸術を味ひ楽しむ心はもと貧富の別に関せず。深刻の
情致
(
じょうち
)
は何事によらずかへつて富者の知らざる処なり。
矢はずぐさ
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
せっかく日本から買って来た
山雀
(
やまがら
)
も
張子
(
はりこ
)
の
虎
(
とら
)
も
捨
(
す
)
てて、みんなと一しょにボウトに乗りうつりましたが、それでもセルゲイとの約束の武者人形だけはしっかりかかえていたのです。
海からきた卵
(新字新仮名)
/
塚原健二郎
(著)
それは
痩我慢
(
やせがまん
)
とも
捨
(
す
)
て
鉢
(
ばち
)
とも思えるものだった。しかし一番底の感情は、都会っ児の彼の臆病からだった。彼は斯ういう態度を取って居なければ直ぐに滅入った気持ちに誘い込まれた。
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
二人の大将は、その死がいを引き出して、ずたずたに切り
刻
(
きざ
)
んで投げ
捨
(
す
)
てました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
然
(
しかれ
)
どもこの
癖漢
(
へきかん
)
の
冷々
(
れい/\
)
たる
苦笑
(
くせう
)
を
起
(
おこ
)
すのみなる
事
(
こと
)
を
示
(
しめ
)
し、
實際家
(
じつさいか
)
を
卑
(
いや
)
しむの
念
(
ねん
)
をあらはし、「でなくば
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てんのみ。
運命
(
うんめい
)
に
服從
(
ふくじゆう
)
し、
百事
(
ひやくじ
)
を
放擲
(
はうてき
)
し」、
云々
(
しか/″\
)
の
語
(
ご
)
を
發
(
はつ
)
せしむるに
至
(
いた
)
る。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
火星
(
くわせい
)
ではトマトの
種
(
たね
)
はたべません 種は、ていねいに出して
運河
(
うんが
)
に
捨
(
す
)
てます
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
と見る/\面色赤くなり青くなり新聞紙
引裂
(
ひきさき
)
捨
(
す
)
て
何処
(
いづく
)
ともなく
打付
(
うちつけ
)
たり。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
きっとそのひとたちは見
捨
(
す
)
てずにいてくれると、いばっていました。
ラ・ベルとラ・ベート(美し姫と怪獣)
(新字新仮名)
/
ガブリエル=シュザンヌ・バルボ・ド・ヴィルヌーヴ
(著)
お
上
(
かみ
)
さんはぶつたまげてしまひました。けれど「あんなものをあげないで、よかつた」とおもひました。そして
裏
(
うら
)
の
竹藪
(
たけやぶ
)
にでてみますと、
捨
(
す
)
てられたその
芋
(
いも
)
は
青々
(
あを/\
)
と芽をふいてゐるではありませんか。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
塵
(
ちり
)
のうき
世
(
よ
)
に
捨
(
す
)
てられて
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
はたして、
自分
(
じぶん
)
は、
捨
(
す
)
て
子
(
ご
)
だったろうか。ほんとうのお
母
(
かあ
)
さんは、ほかにいるのだろうか?
木
(
き
)
の
上
(
うえ
)
で、
彼
(
かれ
)
はいろんな
空想
(
くうそう
)
にふける。
高い木と子供の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「だがさし当たりわたしたちは一
銭
(
せん
)
の金も、一かけのパンもなしに、パリのどぶの中に
捨
(
す
)
てられている……おまえおなかがすいたろう」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
そこで
夜更
(
よふ
)
けにはかまわず、またさっきのしおり
道
(
みち
)
をたどって、あえぎあえぎ、おかあさんを
捨
(
す
)
てて
来
(
き
)
た
山奥
(
やまおく
)
まで
上
(
あ
)
がって行きました。
姨捨山
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「くわしいことは、あとで
若君
(
わかぎみ
)
からお話があろうが、きょうからわれわれは、
甲州土着
(
こうしゅうどちゃく
)
の
武士
(
ぶし
)
という心を
捨
(
す
)
てることになったのだ」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
捨
常用漢字
小6
部首:⼿
11画
“捨”を含む語句
打捨
取捨
捨置
聞捨
捨身
喜捨
姨捨山
姨捨
焼捨
言捨
用捨
見捨
捨台詞
捨小舟
脱捨
容捨
捨札
捨扶持
呼捨
摂取不捨
...