“科白”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
せりふ76.9%
ぜりふ16.9%
かはく4.6%
セリフ1.5%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
冷やかに主人の態度をかえりみた夫人は突立ったまま、両手を静かにみ合わせた。冴え切った微笑を含み含み天下無敵の科白せりふを並べ初めた。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
生首正太郎と自転車お玉とが、築地河岸の闇で七五三科白せりふで、匕首あいくちを持ち合う出合場であいばのところで、小使はちょっと本をふせた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
佐野治郎左衛門の芝居を見ますと、「籠釣瓶かごつるべはよく切れるなあ」という科白せりふがありますがあの刀もたしか村正だったと思います。
猫と村正 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
先週、一緒にやっている劇研究会のかえり、友雄は日曜の一時ごろ芸術座のカチャーロフの科白せりふを吹込んだレコードを持って寄るかもしれないと云った。
杉子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
気息いきがはずんで二の句がつげない。彼は芝居で腹を切つた俳優が科白せりふの間にやるやうに、深い呼吸を暫くの間苦しさうについてゐた。
An Incident (新字旧仮名) / 有島武郎(著)
すると、街の噂では、そのときの父の処置に、高毬がたいそう父へ怨みをふくみ、いつかはこの仕返しをするぞと、捨て科白ぜりふを吐いていったとか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ただわけもなく糺弾されて引っ込んでいるもんか。このとおりだ」の意味で、味わえば味わうほど不気味な、変に堂々たる捨て科白ぜりふである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
科白ぜりふを残して、俺はひらりと窓に飛び乗った。岸に寄せる波はさして強くないのに、白い波頭が岸までとどかないうちに暗い沖で崩れている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
と一つ、時代にぶっつけておいて口裏を引いてみると、女は何にもいわずにまじまじとこっちの顔を見ていたが、そのうち捨て科白ぜりふを残して逃げ出した。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
捨て科白ぜりふを残して弁天松代が、部屋から駈け出ようとした時である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
大抵能楽のあいの狂言を模し、衣裳いしょう素襖すおう上下かみしも熨斗目のしめを用い、科白かはくには歌舞伎かぶき狂言、にわか、踊等のさまをも交え取った。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
以上記する所は菊五郎が権太の科白かはくにつきての大概なり。
俳優は種々な人物にふんして、それぞれ自然らしい科白かはくをしなくてはならない。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
枳園は自らその科白かはくを学んだ。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
すべては、神が発言したと考へられた呪言の中に、副演者の身ぶりが更に、科白セリフを発生させたのである。