科白ぜりふ)” の例文
「ただわけもなく糺弾されて引っ込んでいるもんか。このとおりだ」の意味で、味わえば味わうほど不気味な、変に堂々たる捨て科白ぜりふである。
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
すると、街の噂では、そのときの父の処置に、高毬がたいそう父へ怨みをふくみ、いつかはこの仕返しをするぞと、捨て科白ぜりふを吐いていったとか。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
科白ぜりふを残して、俺はひらりと窓に飛び乗った。岸に寄せる波はさして強くないのに、白い波頭が岸までとどかないうちに暗い沖で崩れている。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
と一つ、時代にぶっつけておいて口裏を引いてみると、女は何にもいわずにまじまじとこっちの顔を見ていたが、そのうち捨て科白ぜりふを残して逃げ出した。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
捨て科白ぜりふを残して弁天松代が、部屋から駈け出ようとした時である。
神秘昆虫館 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「理窟はいうものの、やはり、賊にも本心にはひるむものがあるとみえ、それを科白ぜりふに、ふたたび、女を引っ張って、どこへともなく立ち去りました」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俺の科白ぜりふを聞きとがめて男が
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
酒売りの捨て科白ぜりふは、もとより楊志ようしへのつらアテだったが、兵たちの妄念もうねんを、一そうあおり立てたふうでもあった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、捨て科白ぜりふを吐いて、どうやら露地から往来の方へ逃げ失せてしまった様子。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
田之助芝居の、つら科白ぜりふを真似して、しらけたきょうを取り戻す努力にかかった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
伊織へ一言ひとこと、捨て科白ぜりふを置いて、さっと身をかわすように立去ろうとした。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
科白ぜりふを投げ返すと、七は、さっさと自分の家へ帰ってしまった。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
グイと睨んで、捨て科白ぜりふをいったまま、後も見ずに一目散。
鳴門秘帖:04 船路の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、捨て科白ぜりふを言い残して一目散に逃げ出した。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それが、科白ぜりふだった。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)