ばう)” の例文
すぐに庫裏くり玄関先げんくわんさきあゆると、をりよく住職ぢゆうしよくらしい年配ねんぱいばうさんがいまがた配達はいたつされたらしい郵便物いうびんぶつながらつてゐたので
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ばう谿間たにあひの崖に臨むで建てかけた新建しんたちで、崖の中程からによつきりときあがつて、欄干らんかんの前でぱつと両手をひろげたやうなかへでの古木がある。
茸の香 (新字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
大抵たいていこれにはむかし名僧めいそうはなしともなつてて、いづれも讀經どきやうをり誦念しようねんみぎりに、喧噪さわがしさをにくんで、こゑふうじたとふのである。ばうさんはえらい。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
博物館の門はたちばうの指先で押したベルつてあけられ、僕は中庭へはひつたが、番人の妻は縦覧時間が過ぎたと云つて謝絶した。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
わたしばうやはね、ひづめが二つにれてゐて、毛色けいろはぶちでつぽもちやんとついてゐて、わたしぶときは、もう/\つて可愛かあいこゑびますよ。」
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
不動院が聞付て中へ立入りしかば然ば御ばうに御まかせ申すとて夫より懸合かけあひの上金三十五兩今宵中に才覺さいかくして渡すべしと約束やくそく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
この居士こじかほばうさんらしいので、時々とき/″\僧堂そうだうしゆうまじつて、むら御齋おときなど出掛でかけることがあるとかつて宜道ぎだうわらつてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とつちやん血が大層たいそう出るよ。父「アー大層たいそう出るか。子「アー大層たいそう流れるからね……あのねばうすつてげようか。 ...
旦那だんなさまのおもひも、わたしおもひもおなじであるといふこと此子これそもそをしへてれたので、わたし此子これをばきしめて、ばう父樣とうさまものぢやあい、おまへ母樣かあさま一人ひとりのだよ
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ロレ あれはヂョンばうこゑぢゃ。……さてようこそおもどりゃったマンチュアから。してロミオはなん被言おしゃった? ふでものせられたならば、その書面しょめんせやれ
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
早速さつそくくすり調合てうがふし、土地とち醫者いしや方劑はうざいさづけたが、玄竹げんちくは、塔頭たつちううめばうといふのへ案内あんないされて、精進料理しやうじんれうり饗應きやうおうけ、下男げだんとともに一ぱくして、翌朝よくてうかへることになつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
「え、——まア/\あのしはばうにしては、清水の舞臺から飛降りたつもりでせうよ」
「ありやあそれ、勘次かんじたあちがあから、なんちつても有繋まさかあかばうときつからのがだから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
小松殿逝去せいきよと聞きては、それもかなはず、御名殘おんなごり今更いまさらしまれて、其日は一日ばう閉籠とぢこもりて、内府が平生など思ひ出で、𢌞向三昧ゑかうざんまいに餘念なく、夜に入りては讀經の聲いとしめやかなりし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
はだかばうのわたしの心に、ああ天よ、花の紋うつくしい緑の晴れ着を與へたまへ
展望 (旧字旧仮名) / 福士幸次郎(著)
この人の紹介せうかい社中しやちうに加はる事になつたのでした、其頃そのころ巌谷いはや独逸協会学校どいつけふくわいがくかうまして、おばうさんの成人せいじんしたやうな少年で、はじめ編輯室へんしうしつに来たのは学校の帰途かへりで、黒羅紗くろらしや制服せいふくを着てました
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ばうやはよいだ、ねんねしな。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ばうやのぐきは
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
いゝえ可厭いやかぜいたんです……そして、ばん可恐おそろしい、氣味きみわるばうさんに、忌々いま/\しいかねたゝかれましたから……」
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わかはうが、今朝けさはじめてうぐひす鳴聲なきごゑいたとはなすと、ばうさんのはうが、わたしは二三日前にちまへにも一いたことがあるとこたへてゐた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
きけば上新田村無量庵の庵主あんしゆとか申事もつとも水呑村より三里にちか隣村りんそんなれども此九郎兵衞もとより歸依きえなければ御ばうかほ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどかへるが、「子守歌こもりうたらないでどうしてあかばうそだてられませう。」といひますので、また元氣げんきして、「げつ げつ げつ」とならふのでした。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
へい、今日けふは休みましてござります、きまして差配さはいさん少々せう/\ねがひがあつて出ました。「アヽなんだイ。金「私共わたしども隣家となり源八げんぱち修業しゆげふに出ますばうさんナ。 ...
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
早速さつそくたちばう君に五文銭一枚を与へねば成らなかつた。ゴンドラは軽くをどる様に水を切つて小さな運河へはひつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ばうさんはおもけないいおきやくたらしく、にはかたゝいて小坊主こばうずちや菓子くわしとをつてさせた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
土筆つくしばう二人連ふたりづれで頭をもたげるやうに、偉い主人は屹度きつと秀れた家来を連れて出るものなのだ。熊本の名君細川霊感公の家来に堀勝名かつなが居たのもちやうどそれである。
たとへには三歳兒みつご淺瀬あさせひますけれど、わたし一生いつしやうをしへたのはまだものはないあかばうでした。
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うつかりすつとちゝぎしまでへえるやうなふかばうえつとこぢやどうしたつて晩稻おくいねでなくつちやれるもんぢやねえな、それから役場やくば役人やくにん講釋かうしやくすつからふかばうぢやうだつちはなししたら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「何だ、おばうか。親分てえ奴があるかい」
ばうやはし、ははもなし。
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ばうさん
歌時計:童謡集 (旧字旧仮名) / 水谷まさる(著)
それから小鳥ことり牝牛めうしはいつものやうにまだうまれてゐない自分じぶんたちのあかばうのことで、自慢じまんをしあひました。
お母さん達 (旧字旧仮名) / 新美南吉(著)
弥「へえー……「にゆう」てえのはばうさまかい。長「何故なぜえ。弥「づくにゆうでございますツて。長「うぢやアねえ、ぢくに「にゆう」がりますとふのだ。弥
にゆう (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
また様子やうすては、たれあやしまずにはられない。——越中ゑつちううまひかへ、坐頭ざとうばうなにをする、とふ。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ばうさんは道子みちこ孝心かうしんを、いまにはまれなものとして絶賞ぜつしやうし、そのかへるのを門際もんぎはまでおくつてやつた。
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
何時いつまでつてゐても音沙汰おとさたがないので、宗助そうすけ不思議ふしぎおもひをして、また庫裡こりもんはう引返ひきかへした。すると石段いしだんしたから剃立そりたてあたまあをひからしたばうさんがあがつてた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かあさまが何處どこくにしろばうかならずいてはかない、わたしものわたしのだとてほゝひますとなんともはれぬけるやうな笑顏ゑがほをして、莞爾々々にこ/\とします樣子やうす可愛かあいこと
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いや飛乗らうものならぐに顛覆てんぷくするに決つてるが、其れと見て岸に居る一人のたちばうが船をおさへてれる。其処そこへ船の中から差出す船頭の手につかまつてつと乗つたのだ。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
とゞろかし末世まつせ奉行のかゞみと成たる明斷めいだんちなみて忠相ぬしが履歴りれきとその勳功くんこう大略あらましとを豫て傳へきゝ異説いせつ天一ばうさへ書記かきしるして看客かんかくらんそなふるなれば看客此一回を熟讀じゆくどくして忠相ぬしが人と成りはらにを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そこなばうさま
第二海豹と雲 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
帷子かたびらなんでござりますか、ぶわ/\したものをましたばうさんが、をかいて𢌞まはつてります。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
まアまアなにしろみなしに雪がつては為方しかたがない、此家檐下のきした拝借はいしやくしようか……エーう日がれたからな、一倍いちばい北風きたかぜが身にむやうだ、ばうは寒くはないか。
金澤かなざはにてまつみゝは初茸なり。きのこは、まつうつくしくくさあさところにあれば子供こどもにもらるべし。(つくしんばうめつかりこ)ぐらゐな子供こどもに、何處どこだつて松茸まつたけれはしない。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あいおとつちやん、ばうは寒くはないけれども、おとつちやんが痛からうと思つて……。父「ン、ンーいたはつてれるの。子「おとつちやんさすつてげようか。父「ンーさすつてれ。 ...
たけらちひたるなかに、三四人さんよにんつちをほりるあたりにて、みちわからずなりしが、洋服やうふくたるばうちやん二人ふたり學校がくかうもどりゆるがつか/\ととほるに頼母たのもしくなりて、あとをつけ
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
イヤあのばうさんに困つてるのだよ、店請たなうけがあつたんだけれど其店請そのたなうけ何所どつか逃亡かけおちをしてしまつたので、今にもアノばうさんにねむられると係合かゝりあひだと思つて誠にあんじてるのサ。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
……まはりを𢌞まはつてふとつたばうさんは、たしかに、御亭主ごていしゆか、旦那だんなちがひないのでございますよ。
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ういふわけ黄金餅こがねもちなづけたかとまうすに、しば将監殿橋しやうげんどのばしきは極貧ごくひんの者ばかりがすん裏家うらやがござりまして金山寺屋きんざんじや金兵衛きんべゑまうす者の隣家となりるのが托鉢たくはつばうさんで源八げんぱちまうす者
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)