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吹
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ふ
ふりがな文庫
“
吹
(
ふ
)” の例文
鈍
(
にぶ
)
い
砂漠
(
さばく
)
のあちらに、
深林
(
しんりん
)
がありましたが、しめっぽい
風
(
かぜ
)
の
吹
(
ふ
)
く五
月
(
がつ
)
ごろのこと、その
中
(
なか
)
から、おびただしい
白
(
しろ
)
い
蛾
(
が
)
が
発生
(
はっせい
)
しました。
北海の波にさらわれた蛾
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
番
(
ばん
)
ごと
喧嘩
(
けんくわ
)
をして
遣
(
や
)
り
込
(
こ
)
めてやるのだが
隨分
(
ずゐぶん
)
おもしろいよと
話
(
はな
)
しながら、
鐵網
(
かなあみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
餅
(
もち
)
をのせて、おゝ
熱々
(
あつ/\
)
と
指先
(
ゆびさき
)
を
吹
(
ふ
)
いてかゝりぬ。
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
風
(
かぜ
)
は
冷
(
つめた
)
く
爽
(
さわやか
)
に、
町一面
(
まちいちめん
)
に
吹
(
ふ
)
きしいた
眞蒼
(
まつさを
)
な
銀杏
(
いてふ
)
の
葉
(
は
)
が、そよ/\と
葉
(
は
)
のへりを
優
(
やさ
)
しくそよがせつゝ、
芬
(
ぷん
)
と、
樹
(
き
)
の
秋
(
あき
)
の
薫
(
かをり
)
を
立
(
た
)
てる。……
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
森
(
もり
)
の
奥
(
おく
)
の
住
(
す
)
まいには、
毎日
(
まいにち
)
木枯
(
こが
)
らしが
吹
(
ふ
)
いて、
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
も
落
(
お
)
ちつくすと、やがて
深
(
ふか
)
い
雪
(
ゆき
)
が
森
(
もり
)
をも
谷
(
たに
)
をもうずめつくすようになりました。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
僕は
吹
(
ふ
)
き
晒
(
さら
)
しだ。吹き晒しの裸身が僕だったのか。わかるか、わかるかと僕に押しつけてくる。それで、僕はわかるような気がする。
鎮魂歌
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
▼ もっと見る
「
押
(
おし
)
の強い事ばかり云つて。
人
(
ひと
)
の気も知らないで」と梅子は誠吾の方を見た。誠吾は
赤
(
あか
)
い
瞼
(
まぶた
)
をして、ぽかんと
葉巻
(
はまき
)
の
烟
(
けむ
)
を
吹
(
ふ
)
いてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
言いつけられたとおりにわたしがしていると、かれは火の中から一本小えだを引き出して、火をふき消して、
燃
(
も
)
えている先を
吹
(
ふ
)
いた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
西の山地から
吹
(
ふ
)
いて来たまだ少しつめたい風が私の見すぼらしい黄いろの
上着
(
うわぎ
)
をぱたぱたかすめながら何べんも通って行きました。
サガレンと八月
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
なんでも、その大女は、あたりまへの人間のせいの三倍も高くて、その髪はふとい
繩
(
なは
)
のやうによれて目からは
焔
(
ほのほ
)
が
吹
(
ふ
)
き出してゐる。
虹猫の大女退治
(新字旧仮名)
/
宮原晃一郎
(著)
其
(
それ
)
が
少
(
すこ
)
し
過
(
す
)
ぎて、ポカ/\する
風
(
かぜ
)
が、
髯面
(
ひげつら
)
を
吹
(
ふ
)
く
頃
(
ころ
)
となると、もう
気
(
き
)
が
重
(
おも
)
く、
頭
(
あたま
)
がボーツとして、
直
(
ひた
)
と
気焔
(
きえん
)
が
挙
(
あが
)
らなくなつて
了
(
しま
)
ふ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
近年日本の空を重くるしくとじこめている雲の中を一道のさわやかな自由の風が
吹
(
ふ
)
きぬけて行くような心地が、かれにはしたのである。
次郎物語:05 第五部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
それで
其
(
そ
)
の一
町
(
ちやう
)
四
方
(
はう
)
は
晝間
(
ひるま
)
も
戸
(
と
)
を
締
(
し
)
めたといふほど、ひどい
臭氣
(
しうき
)
が、
其
(
そ
)
の
頃
(
ころ
)
の
腐
(
くさ
)
つた
人間
(
にんげん
)
の
心
(
こゝろ
)
のやうに、
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれて
飛
(
と
)
び
散
(
ち
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
なんと、
飴屋
(
あめや
)
さんの
上手
(
じやうず
)
に
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
くこと。
飴屋
(
あめや
)
さんは
棒
(
ぼう
)
の
先
(
さき
)
に
卷
(
ま
)
きつけた
飴
(
あめ
)
を
父
(
とう
)
さんにも
賣
(
う
)
つて
呉
(
く
)
れまして、それから
斯
(
か
)
う
言
(
い
)
ひました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
卯平
(
うへい
)
は
其
(
そ
)
の
薄暗
(
うすぐら
)
い
家
(
うち
)
の
中
(
なか
)
に
只
(
たゞ
)
煙草
(
たばこ
)
を
吹
(
ふ
)
かしては
大
(
おほ
)
きな
眞鍮
(
しんちう
)
の
煙管
(
きせる
)
で
火鉢
(
ひばち
)
を
叩
(
たゝ
)
いて
居
(
ゐ
)
た。
卯平
(
うへい
)
と
勘次
(
かんじ
)
とは
其
(
そ
)
の
間
(
あひだ
)
碌
(
ろく
)
に
口
(
くち
)
も
利
(
きか
)
なかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
寺の門、町はずれから見たる日光群山、桑畑の
鶏
(
とり
)
、路傍の
吹
(
ふ
)
き
井
(
い
)
、うどんひもかわと書いた
大和障子
(
やまとしょうじ
)
などの写生がだんだんできた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
「なんてけち な
風
(
かぜ
)
だらう。
吹
(
ふ
)
くなら
吹
(
ふ
)
くらしくふけばいいんだ。
此
(
こ
)
の
暑
(
あつ
)
いのに。みてくんな、
此
(
こ
)
の
汗
(
あせ
)
を。どうだいまるで
流
(
なが
)
れるやうだ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
昨夜
(
さくや
)
も、
一昨夜
(
いつさくや
)
も、
夕食
(
ゆふしよく
)
果
(
は
)
てゝ
後
(
のち
)
は
部室
(
へや
)
の
窓
(
まど
)
を
開放
(
あけはな
)
して、
海
(
うみ
)
から
送
(
おく
)
る
凉
(
すゞ
)
しき
風
(
かぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かれながら、さま/″\の
雜談
(
ざつだん
)
に
耽
(
ふけ
)
るのが
例
(
れい
)
であつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
小頭
(
こがしら
)
の
雁六
(
がんろく
)
が、ピューッと
口笛
(
くちぶえ
)
を一つ
吹
(
ふ
)
くと、上から、下から
伊部熊蔵
(
いのべくまぞう
)
をはじめすべての者のかげが、ワラワラとそこへ
駈
(
か
)
けあつまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新秋
(
しんしう
)
の
氣
(
き
)
もちいゝ
風
(
かぜ
)
が
簾
(
すだれ
)
を
透
(
とほ
)
して
吹
(
ふ
)
く、それが
呼吸氣管
(
こきうきくわん
)
に
吸
(
す
)
ひ
込
(
こ
)
まれて、
酸素
(
さんそ
)
が
血
(
ち
)
になり、
動脈
(
どうみやく
)
が
調子
(
てうし
)
よく
搏
(
う
)
つ………その
氣
(
き
)
が
味
(
あぢ
)
はへない。
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
ありあまる力を、ほかにどうにも使いようがないので、ただ風のまにまに
吹
(
ふ
)
き散らしてしまうところに、あるのかもしれない。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
ございませぬが子供等が
夫婦
(
ふうふ
)
に成ました故憑司と私しも
夫婦
(
ふうふ
)
に成ましたとの
答
(
こた
)
へに白洲の一
同
(
どう
)
フツと
吹
(
ふ
)
き出せしが大岡殿
笑
(
わら
)
ひを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
余が
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
いたら、
彼女
(
かのじょ
)
はふっと見上げたが、やがて尾を
垂
(
た
)
れて、小さな
足跡
(
あしあと
)
を深く雪に残しつゝ、裏の方へ往って了うた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
見るさえまばゆかった雲の
峰
(
みね
)
は風に
吹
(
ふ
)
き
崩
(
くず
)
されて夕方の空が青みわたると、真夏とはいいながらお日様の
傾
(
かたむ
)
くに連れてさすがに
凌
(
しの
)
ぎよくなる。
太郎坊
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
だんだんひどくなって、
横
(
よこ
)
から
吹
(
ふ
)
きつけてくる風を、マサちゃんは
不平
(
ふへい
)
そうにながめて、それから決心して、目かくしをして歩きだしました。
風ばか
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
なんてまぶしくって、
人間
(
にんげん
)
がどっさりいて、馬だの
車
(
くるま
)
だのが
走
(
はし
)
りまわって、おまけに、
寒
(
さむ
)
い身をきるような風が、
吹
(
ふ
)
きまわっているのだろう。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
其翌五日
(
そのよくいつか
)
、
奮然
(
ふんぜん
)
として
余
(
よ
)
は
唯
(
たゞ
)
一人
(
ひとり
)
で
行
(
ゆ
)
つた。
寒
(
さむい
)
い
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
き、
空
(
そら
)
の
曇
(
くも
)
つた、
厭
(
いや
)
な
日
(
ひ
)
であつたが、
一人
(
ひとり
)
で一
生懸命
(
しやうけんめい
)
に
掘
(
ほ
)
つたけれど、
何
(
なに
)
も
出
(
で
)
て
來
(
こ
)
ぬ。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
夏はさ中にも近づいたが山の
傾斜
(
けいしゃ
)
にさしかかって建て連らねられたF——町は南の山から風が北海に
吹
(
ふ
)
き
抜
(
ぬ
)
けるので熱気の割合に涼しかった。
みちのく
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
まだ山国は
肌寒
(
はださむ
)
い四月の中旬の、花ぐもりのしたゆうがた、
白々
(
しろじろ
)
と遠くぼやけた空の下を、
川面
(
かわづら
)
に風の
吹
(
ふ
)
く道だけ細かいちりめん波を立てて
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
媚
(
あま
)
へるやうな
聲
(
こゑ
)
で、『まァ、
可哀相
(
かあいさう
)
に!』と
云
(
い
)
つて、
思
(
おも
)
はず
口笛
(
くちぶえ
)
を
吹
(
ふ
)
かうとしました、が、
待
(
ま
)
てよ、
若
(
も
)
し
其犬
(
そのいぬ
)
ころが
飢
(
う
)
ゑて
居
(
ゐ
)
ては
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
一段高い岩の上に「虎狼の宮」の古風の社殿が
厳
(
おごそ
)
かに立っているばかりで、木立さえない
吹
(
ふ
)
き
晒
(
さ
)
らしの境内には犬の子一匹いないのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
大きなすきまには、わらや、ぼろきれが、つめてはありますけれど、それでも、風はピューピュー
吹
(
ふ
)
きこんでくるのです。
マッチ売りの少女
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
まるで、
閨
(
ねや
)
を共にする男へなんぞの
色気
(
いろけ
)
は、
大嵐
(
おおあらし
)
の中へ
吹
(
ふ
)
き飛ばしたかのように、自分一人で涙を楽しんでいる風なのだ。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
山門の所からは
杉
(
すぎ
)
森は暗いほどに
繁
(
しげ
)
り、
奥
(
おく
)
へ行くにしたがって
肌
(
はだ
)
がひやりとするような寒い風が流れるように
吹
(
ふ
)
いて来た。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
野
(
の
)
に
山
(
やま
)
に
陽炎
(
かげらふ
)
が
燃
(
も
)
えてきます。ところによつて
芽
(
め
)
を
吹
(
ふ
)
く
時季
(
じき
)
はむろん
違
(
ちが
)
ひますが、
東京附近
(
とうきようふきん
)
では
三月
(
さんがつ
)
の
中旬頃
(
ちゆうじゆんごろ
)
から
五月頃
(
ごがつごろ
)
までに、
芽
(
め
)
を
出
(
だ
)
します。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
朝靄
(
あさもや
)
を、
微風
(
びふう
)
が
吹
(
ふ
)
いて、さざら波のたった海面、くすんだ緑色の島々、
玩具
(
おもちゃ
)
のような
白帆
(
しらほ
)
、
伝馬船
(
てんません
)
、久し
振
(
ぶ
)
りにみる故国日本の姿は
綺麗
(
きれい
)
だった。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
鬼
(
おに
)
七と呼ばれてはいるが、
名前
(
なまえ
)
とはまったく
違
(
ちが
)
った、すっきりとした
男前
(
おとこまえ
)
の、
結
(
ゆ
)
いたての
髷
(
まげ
)
を
川風
(
かわかぜ
)
に
吹
(
ふ
)
かせた
格好
(
かっこう
)
は、
如何
(
いか
)
にも
颯爽
(
さっそう
)
としていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
人々はもはや耳かきですくうほどの理性すら無くしてしまい、場内を黒く走る風にふと寒々と
吹
(
ふ
)
かれて右往左往する表情は、何か
狂気
(
きょうき
)
じみていた。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
隨分
(
ずゐぶん
)
長
(
なが
)
く
待
(
ま
)
たされたと
思
(
おも
)
つたが
實際
(
じつさい
)
は十
分
(
ぷん
)
ぐらゐで
熱海
(
あたみ
)
からの
人車
(
じんしや
)
が
威勢
(
ゐせい
)
能く
喇叭
(
らつぱ
)
を
吹
(
ふ
)
きたてゝ
下
(
くだ
)
つて
來
(
き
)
たので
直
(
す
)
ぐ
入
(
い
)
れちがつて
我々
(
われ/\
)
は
出立
(
しゆつたつ
)
した。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
お
爺
(
じい
)
さんはと
見
(
み
)
れば
何所
(
どこ
)
に
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
くと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、ただ
黙々
(
もくもく
)
として、あちらを
向
(
む
)
いて
景色
(
けしき
)
などを
眺
(
なが
)
めていられました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
次
(
つぎ
)
にかえって
来
(
き
)
たのは、
少年
(
しょうねん
)
の
角兵ヱ
(
かくべえ
)
でありました。
角兵ヱ
(
かくべえ
)
は、
笛
(
ふえ
)
を
吹
(
ふ
)
きながら
来
(
き
)
たので、まだ
藪
(
やぶ
)
の
向
(
む
)
こうで
姿
(
すがた
)
の
見
(
み
)
えないうちから、わかりました。
花のき村と盗人たち
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
もしそこを
通過
(
つうか
)
するのが
夜
(
よる
)
であるならば、
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばされた
赤熱鎔岩
(
せきねつようがん
)
が
斜面
(
しやめん
)
を
流
(
なが
)
れ
下
(
くだ
)
つて、
或
(
あるひ
)
は
途中
(
とちゆう
)
で
止
(
と
)
まり、
或
(
あるひ
)
は
海中
(
かいちゆう
)
まで
進入
(
しんにゆう
)
するのが
見
(
み
)
られるが
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
...
貴樣達
(
きさまたち
)
も
知
(
し
)
つとる
通
(
とほ
)
り
中根
(
なかね
)
はあの
行軍
(
かうぐん
)
の
途中
(
とちう
)
過
(
あやま
)
つて
川
(
かは
)
へ
落
(
お
)
ちた‥‥」と、
軍曹
(
ぐんそう
)
はジロりと
中根
(
なかね
)
を
見
(
み
)
た。「クスつ‥‥」と、
誰
(
だれ
)
かが
同時
(
どうじ
)
に
吹
(
ふ
)
き
出
(
だ
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
さゐ
川
(
かは
)
から、
雲
(
くも
)
がずっと
立
(
た
)
ち
續
(
つゞ
)
いて、この
畝傍山
(
うねびやま
)
、その
山
(
やま
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
が、
騷
(
さわ
)
いでゐる。
今
(
いま
)
、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
かうとしてゐるのだ。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
「あの
人
(
ひと
)
を
殺
(
ころ
)
して
下
(
くだ
)
さい。」——この
言葉
(
ことば
)
は
嵐
(
あらし
)
のやうに、
今
(
いま
)
でも
遠
(
とほ
)
い
闇
(
やみ
)
の
底
(
そこ
)
へ、まつ
逆樣
(
さかさま
)
におれを
吹
(
ふ
)
き
落
(
おと
)
さうとする。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何分
(
なにぶん
)
支那
(
しな
)
は
廣
(
ひろ
)
い
國
(
くに
)
でありますし、またその
東部
(
とうぶ
)
は
大河
(
たいが
)
の
流
(
なが
)
した
泥
(
どろ
)
だとか、
風
(
かぜ
)
が
吹
(
ふ
)
き
送
(
おく
)
つてきた
小
(
ちひ
)
さい
砂
(
すな
)
だとかゞつもつて、
非常
(
ひじよう
)
にそれが
深
(
ふか
)
いために
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
「ああ。
騒
(
さわ
)
がしい
奴
(
やつ
)
らであったぞ。月のおもしろさはこれからじゃ。また
笛
(
ふえ
)
でも
吹
(
ふ
)
いて聞かせい」こう言って、甘利は若衆の
膝
(
ひざ
)
を
枕
(
まくら
)
にして横になった。
佐橋甚五郎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
空
(
そら
)
は、ドンヨリ
曇
(
くも
)
ツて、
南風
(
みなみかぜ
)
が
灰
(
はひ
)
の
都
(
みやこ
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
り、そしてポカ/\する、
嫌
(
いや
)
に
其所
(
そこ
)
らのざわつく日であツた、此様な日には、頭に
故障
(
こしやう
)
のない者すら氣が重い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
ヘルンはそれがたいへん気に入り、『面白いの音』といいながら、
頬
(
ほお
)
をふくらして、ボオボオと
吹
(
ふ
)
き鳴らしては、また『いかに面白い』といって吹き続けた。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
みんなが
吹
(
ふ
)
きだし、
噂
(
うわさ
)
はその日のうちにひろまった。しかし仁太は、ふしぎとビンタもくわなかったという。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
吹
(
ふ
)
きまく
弾
(
だん
)
×
(16)
の
嵐
(
あらし
)
の
中
(
なか
)
に
生命
(
せいめい
)
を
賭
(
と
)
して
闘
(
たゝか
)
ふお
前
(
まへ
)
たちおれたちの
前衛
(
ぜんゑい
)
、あゝ×××××
(17)
!
生ける銃架:――満洲駐屯軍兵卒に――
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
吹
常用漢字
中学
部首:⼝
7画
“吹”を含む語句
吹雪
吹掛
鼓吹
吹込
吹出
一吹
吹消
吹奏
吹散
吹溜
潮吹
吹懸
吹聴
息吹
灰吹
吹上
吹降
吹荒
吹通
吹捲
...