たす)” の例文
かみさま、どうぞ、わたしをおたすけくださいまし。」と、かれは、こたえるかわりに、くらい、御堂おどううちかってわせておがんだのです。
酒屋のワン公 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それでもわたくしはどうしてもこの方たちをおたすけするのが私の義務ぎむだと思いましたから前にいる子供らをしのけようとしました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
たすけくださいまして、まことにありがとうございます。なんにもおもてなしはございませんが、どうぞゆっくりおあそびくださいまし
浦島太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かげ名誉めいよたすかった。もう出発しゅっぱつしましょう。こんな不徳義ふとくぎきわまところに一ぷんだってとどまっていられるものか。掏摸すりども墺探おうたんども
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
そして、年とった頭をニールスのうでになんどもなんどもこすりつけて、こまっている者をよくたすけてくれたと言って、ほめました。
よる燭火ともしびきて、うれしげなあしためが霧立きりたやまいたゞきにもうあし爪立つまだてゝゐる。はやぬればいのちたすかり、とゞまればなねばならぬ。
そこで、わたくし心配しんぱいするのは、義侠をとこぎ大佐閣下たいさかつかは、吾等われら大難だいなんたすけやうとして、御自身ごじしん危險きけんをおまねきになるやうことはあるまいか。
縁起えんぎでもないことだが、ゆうべわたしは、上下じょうげが一ぽんのこらず、けてしまったゆめました。なさけないが、所詮しょせん太夫たゆうたすかるまい
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
たすたき一心に理も非もなく只々一生懸命に申立けるにぞ越州殿ゑつしうどのには何樣なにさま愍然びんぜんとは思はるれども故意わざと聲をはげまされて成程親の爲に一命を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
谷川たにがはからあがつてさしつたとき手足てあしかほひとぢやから、おらあ魂消たまげくらゐ、お前様まへさまそれでも感心かんしんこゝろざし堅固けんごぢやからたすかつたやうなものよ。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
林檎りんごつてるッて、眞箇ほんとか!』とうさぎ腹立はらだゝしげにひました。『オイ、たすけてれ!』(硝子ガラスれるおとがする)
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、おかげでこの近頃ちかごろはすっかりこちらの世界せかい生活せいかつれ、よくわし指図さしずをきいてくれるのでたいへんにたすかってります。
墓塲はかば掃除さうぢ男衆をとこしゆたすくるまではたらけば、和尚おしやうさま經濟けいざいより割出わりだしての御不憫ごふびんかゝり、としは二十からちがうてともなきことをんな心得こゝろゑながら
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
は人にたすけられて高所たかきところ逃登にげのぼはるか駅中えきちゆうのぞめば、提灯ちやうちんたいまつともしつれ大勢の男どもてに々に木鋤こすきをかたげ、雪をこえ水をわたりこゑをあげてこゝにきたる。
不都合ふつごうやつだ。しかしおとなしく人形をだしたから、いのちだけはたすけてやる。どこへなりといってしまえ。またこれから泥坊どろぼうをするとゆるさんぞ」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
ことによるとあのをんなは、わたしが太刀打たちうちはじめるがはやいか、ひとたすけでもために、やぶをくぐつてげたのかもれない。
藪の中 (旧字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
下敷したじきになつたひとたすすことは震災しんさい防止上ぼうしじようもつと大切たいせつなことである。なんとなれば震災しんさいかうむ對象物中たいしようぶつちゆう人命じんめいほど貴重きちようなものはないからである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「しろ公、ありがとうよ。われのおかげで林太郎はたすかったぞ。林太郎のおっかさんもおとっつあんも助かったぞ。」
あたまでっかち (新字新仮名) / 下村千秋(著)
それは印氣インキたすけをらないで、鮮明せんめい印刷物いんさつぶつこしらえるとかふ、一寸ちよつとくとすこぶ重寶ちようはう器械きかいついてであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それで車錢くるませんだけでもいくたすかるかれないといふので貧乏びんばふ百姓ひやくしやうからよばれてるのであつた。勘次かんじ途次みち/\しな容態ようだいかたつて醫者いしや判斷はんだんうながしてた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
たすからんね支倉はぜくら君、たぶん海精シレエヌの魅惑かも知らんが、こりゃまったくたまらない事件だぜ。だって、考えて見給え。海、装甲、ドア——と、こりゃ三重の密室だ」
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
思ふにコロボックルは數人連合し互にあひたすけて獸獵に從事し、此所彼所ここかしこより多くの矢を射掛ゐかけ、鹿なり猪なり勢おとろへて充分じうぶんはしる事能はざるに至るを見濟みすまし
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
それではなんにもならないでせう。ほんとに其處そこではたすけることもたすけられることもできない。まつたく薄情はくじやうのやうだが自分々々じぶん/″\です。自分じぶんだけです。それほかいのさ、ね
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
これしからん事をするものだな、どうか勘忍かんにんしてやつてれまいか。亭「いや勘忍かんにん出来できません、れをたすけるとほかつて喋舌しやべるからいけません……おかんきましたよ。 ...
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ともかくその男はたすかったそうである。大方おおかた、くまもふいをうたれてびっくりしたのだろう。
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
ところが小田原をだはらから熱海あたみまでの人車鐵道じんしやてつだうこの喇叭がある。不愉快ふゆくわい千萬なこの交通機關かうつうきくわんこの鳴物なりものいてるけで如何どうきようたすけてるとはかね自分じぶんおもつてたところである。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
妹では何時か僕の手から持つて行かれるでせうからね。僕の望むのは妻です。唯一人、僕が人生に於て意のまゝにし得る、そして死ぬまで絶對に離れぬたすけ手が要るのです。
それが集まって一つの大きなおたすけになるとまで考えることもできず、むしろ念力ねんりきの分散に帰することはわかっているはずで、言わばただ一つのまじないだから試みにそうしてみる
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
なんぢおきなよ、そちはすこしばかりのいことをしたので、それをたすけるために片時かたときあひだひめくだして、たくさんの黄金おうごんまうけさせるようにしてやつたが、いまひめつみえたのでむかへにた。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
おとよさんが手早く省作のスガイわらを三十本だけ自分のへ入れてたすけてくれたので、ようやく表面おはまに負けずに済んだけれど、そういうわけだから実はおはまに三十本だけ負けたのだ。
隣の嫁 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
醫道いだうおもてからまをしますれば、んだものをきてゐるとして、白々しら/″\しい見立みたきで、かみいつはるのは、おもつみあたりませうが、これもまア、五まん千石ぜんごくの一家中かちうたすけるとおもうていたしました。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
……どうぞしてたすけてやりたいものだ
南蛮秘話森右近丸 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
たすけてくだされぬる
とんぼの眼玉 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
たすけありとも思はれね。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
すると、おっと病気びょうきにかかりました。病気びょうきはだんだんとおもくなって、医者いしゃにみてもらうと、とてもたすからないということでありました。
ちょうと三つの石 (新字新仮名) / 小川未明(著)
こと大切たいせつ御病人ごびょうにんいのちたすけようとしておいでのとき、ほかの人間にんげんいのちるというのは、ほとけさまのおぼしめしにもかなわないでしょう。
葛の葉狐 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「かわいいミーや、ぼくをたすけておくれよ。」と、ニールスは言いました。「ぼくが魔法まほうにかけられているのがわからないの?」
けれどもまた、そんなにしてたすけてあげるよりはこのままかみ御前みまえにみんなで行く方が、ほんとうにこの方たちの幸福こうふくだとも思いました。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
かげ名譽めいよたすかつた。もう出發しゆつぱつしませう。這麼不徳義こんなふとくぎきはまところに一ぷんだつてとゞまつてゐられるものか。掏摸すりども墺探あうたんども
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
『おたすくださいませ』と帽子屋ばうしやつゞけて、『なんだか澤山たくさんうしろにちら/\してます——はなしをしたのは三月兎ぐわつうさぎだけです——』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
それにわたくしあやふければ、おとうとたすけてくれます、わたくしもまたおとうと一人ひとりころしません。それ二人ふたりとも大丈夫だいぢやうぶおもひますから。すこしもこはくはござらぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
じつ先刻せんこくきふおもつて、この兵曹へいそうとも遊獵いうれうたのが、天幸てんこうにも君等きみらをおたすまうことになつたのです。』とひながら、大空おほぞらあほて。
うけんや其中は母の看病かんびやうくすり何呉なにくれさだめて不自由ふじいうならんと此事のみ心にかゝ牢舍らうしやしたる我心を少しは汲譯くみわけはや現在ありのまゝに申上て此苦このくるしみをたすけられよと申を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
母此状態ありさまを見て大におどろきはしりよりてたすおこし、まづ御はたやよりいだしさま/″\にいたはりしが、気息いきあるのみにてしたるがごとし。
貴様きさまどもはわるやつだ。甚兵衛じんべえさんの生人形いきにんぎょうぬすんだろう。あれをすぐここにだせ、だせばいのちたすけてやる。ださなければ八裂やつざきにしてしまうぞ」
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
げてのわびごとなんとしてするべきならずよしやひざげればとて我親わがおやけつしてきゝいれはなすまじく乞食こつじき非人ひにん落魄おちぶるとも新田如につたごときに此口このくちくされてもたすけを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
このまへ關東大地震かんとうだいぢしんさいし、熱海あたみ津浪つなみさらはれたものゝうち伊豆山いづさんほうむかつておよいだものはたすかつたといふ。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「まあたすかつた」とづかしつた。そのうれしくもかなしくもない樣子やうすが、御米およねにはてんからちた滑稽こつけいえた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ロレ まア、おちゃれ。たすかるすべおもひついたわ。必死ひっしやくのがれうためゆゑ必死ひっし振舞ふるまひをもせねばならぬ。
「そんでもまあ大丈夫だいぢやうぶになつた、くぬぎなくつてたすかつた」勘次かんじはげつそりとちからなくいつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)