頂戴ちやうだい)” の例文
そのかは小六ころくさん、はゞかさま座敷ざしきてて、洋燈ランプけて頂戴ちやうだいいまわたしきよはなせないところだから」と依頼たのんだ。小六ころく簡單かんたん
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
將軍樣しやうぐんさまより其方へくださるゝ金子なれば有難く頂戴ちやうだい致されよとて渡しあらためて申けるは當將軍樣には加納將監方にて御成長遊ばし御幼名ごえうみやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
頂戴ちやうだいしてしまつた。何しろ仙桂和尚の春風のやうな、のんびりした人柄が、良寛さんの心も、さいうふ工合ぐあひにしてしまふのであつた。
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
『もうないから、萬望どうぞはなして頂戴ちやうだいな』とあいちやんは謙遜けんそんして、『二くちれないわ。屹度きつとそんな井戸ゐどひとくらゐあつてよ』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
先日せんじつ歳暮せいぼまゐつたらまつうめ地紋ぢもんのある蘆屋あしやかま竹自在たけじざいつて、交趾かうちかめ香合かうがふ仁清にんせい宝尽たからづくしの水指みづさしといふので一ぷく頂戴ちやうだいしました。
七福神詣 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
みんなおさへても、ふるあがるやうに、寢臺ねだいうへから、天井てんじやうて、あれ/\彼處あすこへんなものがて、にらみます、とつて頂戴ちやうだい、よう、とつて頂戴ちやうだい
浅茅生 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「お父さん! おつ母さん! 私は今日からしばらくの間お暇を頂戴ちやうだいしたうございます。私は今日から遠い遠い国へ行つて、うんとお金をまうけて帰ります。」
蚊帳の釣手 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
『今行きます、お濱さん。』と甲高かんだかな声で言つて、『あきらにいさん、お濱さんも僕と一緒に伴れてつて上げて頂戴ちやうだい。』
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
そして、ひとかど、かんがんで、眞面目まじめかほをして、一寸ちよつとつて頂戴ちやうだいつて頂戴ちやうだいつたら、と喧嘩けんくわしてゐる。
こうみえてもまだ貴樣等きさまら臺所だいどころ土間どまにおすはりして、おあまりを頂戴ちやうだいしたこたあ、たゞの一どだつてねえんだ。あんまおほきなくちたゝきあがると、おい、くればんはきをつけろよ
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
親類の顔に美くしきも無ければ見たしと思ふ念もなく、裏屋の友達がもとに今宵約束も御座れば、一まづいとまとしていづれ春永に頂戴ちやうだいの数々は願ひまする、折からお目出度めでたき矢先
大つごもり (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
会長なんて大した名前を頂戴ちやうだいして居りましても何の御役にも立ちませず、一切皆様に願つて居る様な始末でしてネ、ほんとにお顔向けも出来ないので御座いますよオホヽヽヽ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
しかし人間が本当に神様の思召おぼしめしどほりの行ひをするなら、その残りの一分も神様の御心を頂戴ちやうだい出来て神様と同じになれるのです。さうなつたら大変です。我々悪魔はもうこの世にはをられません。
悪魔の尾 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
「それを残して置いてその翌日あくるひ学校へ持つて来て私に頂戴ちやうだい。毎日よ。」
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
かあさま、それは何ですか早く話して頂戴ちやうだい
黄金機会 (新字旧仮名) / 若松賤子(著)
「よして頂戴ちやうだい、そんな口上こうじやうは‥‥」
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
にいさんひとつ頂戴ちやうだいよ」
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
「あたしに頂戴ちやうだい!」
かぶと虫 (新字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「まあ御金持おかねもちね。わたし一所いつしよれてつて頂戴ちやうだい」とつた。宗助そうすけあいすべき細君さいくんのこの冗談じようだんあぢは餘裕よゆうたなかつた。眞面目まじめかほをして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
は、強情がうじやう不敵ふてきやつ。さて、入替いれかはつて按摩あんまがシツペイのばんると、つてぼんはらひにありつきました、と白銀はくぎんまい頂戴ちやうだいことめてかゝつて
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宿やどし奉つり御形見おんかたみ等を頂戴ちやうだいし將監方をいとまを取生國は佐渡さどなれば則ち佐州へ老母諸共らうぼもろともに立歸りしが其後そののち澤の井殿には若君わかぎみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
へい/\、それでは何卒どうぞソノ塩餡しほあんふのを頂戴ちやうだいしたいもので。「左様さやうか、しばらひかへてさつしやい。 ...
士族の商法 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
親類しんるいかほうつくしきもければたしとおもねんもなく、裏屋うらや友達ともだちがもとに今宵こよひ約束やくそく御座ござれば、一まついとまとしていづ春永はるなが頂戴ちやうだい數々かず/\ねがひまする、をりからお目出度めでたき矢先やさき
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
し、梅子さん、御気にさはつたならゆるして頂戴ちやうだいな、わたし只だ気になつて堪らないもんですから
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「昨日は新しいお衣をかたじけな頂戴ちやうだいしました。このたびもう一つ御無心を申したい。針一本と、白い木綿糸をたくさんに、黄、青、赤の糸を少しづつお届け下さい。早々とお届け下さい。」
良寛物語 手毬と鉢の子 (新字旧仮名) / 新美南吉(著)
「オツパイいやよ。もつと/\おいしいもの頂戴ちやうだいな。」
熊と猪 (新字旧仮名) / 沖野岩三郎(著)
頂戴ちやうだいする気には、どうしても、なれません。
孝行鶉の話 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
そのかくはま、と夫人ふじんとに、紹介状せうかいじやう頂戴ちやうだいして、春葉しゆんえふ二人ふたりかけた。あゝ、この紹介状せうかいじやうなかりせば……おもひだしても、げつそりとはらく。……
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
出すひまの有べきや其方はなさけなき爲方しかたなり是には何か樣子やうすあらんといはれしかば粂之進くめのしん心中しんちういきどほり小身せうしんなりともそれがしも上の御扶持ごふち頂戴ちやうだいことに人の理非りひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
たらはらつて頂戴ちやうだい」とつてふところなかからよごれた男持をとこもち紙入かみいれと、銀貨入ぎんくわいれ蟇口がまぐちして、宗助そうすけわたした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おほきにねえさんから小言こごと頂戴ちやうだいしたりなんかしました、へいぢやうさんらつしやいまし、うも先達せんだつての二番目狂言ばんめきやうげん貴嬢あなたがチヨイと批評くぎをおさしになつた事を親方おやかたに話しましたら
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
それはなんぞのお間違まちがひなるべしわたくし客樣きやくさまにお懇親ちかづきはなしいけはたよりおともせしに相違さうゐけれど車代しやだいたまはるよりほか御用ごようありとはおぼえず其譯そのわけおほせられて車代しやだい頂戴ちやうだいねがくだされたしと一歩いつぽうごかんとせぬ芳之助よしのすけ
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「梅子、頂戴ちやうだいしないのかね」と、お加女は目に角立かどたてぬ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
だから、おもはれたとほりにつて——のかはり貴方あなた差上さしあげたものを、御新造ごしんぞから頂戴ちやうだいしました。かありませんか。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
へえ頂戴ちやうだいを……うも流石さすが御商売柄ごしやうばいがらだけあつて御主人ごしゆじん愛嬌あいけうがあつてにこやかなお容貌かほつき番頭ばんとうさんから若衆わかいしう小僧こぞうさんまでみな子柄こがらいなモシ、じつしいやうですな
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
とて御利生ごりしやうのないところを、御新姐樣ごしんぞさまのお執成とりなしで、ちつまとまつた草鞋錢わらぢせん頂戴ちやうだいする、とあし新地入しんちばひりでござります。
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
どうも有難ありがたぞんじます……左様さやうなら御遠慮ごゑんりよなしに頂戴ちやうだいいたしますと、亭主ていしゆ河合金兵衛かはひきんべゑちやつてるあひだに、小丼こどんぶりまへ引寄ひきよせて乞食こじきながらも、以前いぜんは名のある神谷幸右衛門かみやかうゑもん
……これはそのまゝ、いま頂戴ちやうだいつてる。……ふろ敷包しきづつみ御持參ごぢさんで、「つくゑしな。」とおえにつた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
槍先やりさき功名こうみやうよつ長年ながねん大禄たいろく頂戴ちやうだいしてつたが、これから追々おひ/\なかひらけてるにしたがつて時勢じせい段々だん/\変化へんくわしてまゐるから、なにに一のうそなへたいと考へて、人知ひとしれず医学いがくを研究したよ。
華族のお医者 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
わし手早てばや草鞋わらじいたから、早速さツそく古下駄ふるげた頂戴ちやうだいして、えんからとき一寸ちよいとると、それれい白痴殿ばかどのぢや。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
また折々をり/\のおかたのおともをいたして、大坂おほさか有名いうめい藤田様ふぢたさま御別荘ごべつさうまゐりまして、お座敷ざしき拝見はいけんしたり、御懐石ごくわいせき頂戴ちやうだいしたあと薄茶うすちやいたゞいたりして、誠に此上このうへもない結構けつこうな事でございます。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其處そこちまして、手前てまへ了簡れうけんで、なんと、今年ことしひとつ、おもむきをかへて、おさけ頂戴ちやうだいしながら、各々めい/\國々くに/″\はなし土地とちところ物語ものがたりふのをしめやかにしようではあるまいか。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まア結構けつこうなおくすりいたゞくのみならず、お料理れうり残余物あまりものまでくだされ、有難ありがたぞんじます、左様さやうならこれへ頂戴ちやうだいいたしますと、襤褸手拭ぼろてぬぐひくるんであつた麪桶めんつう取出とりだして、河合金兵衛かはひきんべゑまへ突出つきだすのを
御懇情ごこんじやうはもとよりでございますが、あなたは保勝会ほしようくわい代表だいへうなすつて、みづうみ景勝けいしよう顕揚けんようのために、御尽力ごじんりよくをなすつたので、わたしが、日日社にちにちしやより旅費りよひ頂戴ちやうだいおよんで、遥々はる/″\出向でむきましたのも
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
エヘ、御免ごめんなさい、かく頂戴ちやうだいしませう、一たいくろくなりやしたな、うも、南無阿弥陀仏なむあみだぶつ々々/\々々/\々々/\成程なるほど此木このきはしたけはしうするんですな、おまいさん彼方あつちつてゝおんなさい。
黄金餅 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「あゝ、うまい、が、おどろいた、この、たひはらわたけてる。」「よして頂戴ちやうだいつともない。それはね、ほら、たひのけんちんむしといふものよ。」なにかくさう、わたしはうまれてはじめてべた。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
世辞せじいのがありましたら二三個ふたつみつ頂戴ちやうだいしませうか。
世辞屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
小母をばさん頂戴ちやうだいな」「其蟲そのむし頂戴ちやうだいな」とくうちに、むしは、うつくしいはねひろげず、しづかに、鷹揚おうやうに、そしてかるたて姿すがたさばいて、水馬みづすまし細波さゝなみかけごとく、ツツツと涼傘ひがさを、うへ梭投ひなげにくとおもふと
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其上そのうへめづらかなるくまの皮を頂戴ちやうだいしましたよ、敷皮しきがはを。
八百屋 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
其處そこちまして、手前てまへ了簡れうけんで、なんと、今年ことしひとおもむきをかへておさけ頂戴ちやうだいしながら、各々めい/\國々くに/″\はなし土地とちところ物語ものがたりふのを、しめやかにしようではあるまいかと申出まをしでましたところ部屋頭へやがしらだいばん
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)