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杯
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ぱい
ふりがな文庫
“
杯
(
ぱい
)” の例文
お
品
(
しな
)
の
塔婆
(
たふば
)
の
前
(
まへ
)
にそれから
其處
(
そこ
)
ら一
杯
(
ぱい
)
の
卵塔
(
らんたふ
)
の
前
(
まへ
)
に
線香
(
せんかう
)
を
少
(
すこ
)
しづゝ
手向
(
たむ
)
けて、
火
(
ひ
)
を
點
(
つ
)
けてほつかりと
赤
(
あか
)
く
成
(
な
)
つた
提灯
(
ちやうちん
)
を
提
(
さ
)
げて
戻
(
もど
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
顏色
(
かほいろ
)
は
蒼白
(
あをじろ
)
く、
姿
(
すがた
)
は
瘠
(
や
)
せて、
初中終
(
しよつちゆう
)
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
き
易
(
やす
)
い、
少食
(
せうしよく
)
で
落々
(
おち/\
)
眠
(
ねむ
)
られぬ
質
(
たち
)
、一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
にも
眼
(
め
)
が
廻
(
まは
)
り、
往々
(
まゝ
)
ヒステリーが
起
(
おこ
)
るのである。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ちょうどそれは日の
永
(
なが
)
い汗の出る季節でもあったゆえに、たびたび少しずつの休憩をしないと、かえって
力
(
ちから
)
一
杯
(
ぱい
)
の働きができなかった。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
取上見るに女の
生首
(
なまくび
)
なり
仍
(
よつ
)
て
月影
(
つきかげ
)
に
透
(
すか
)
して猶
熟々
(
つく/″\
)
改し處
紛
(
まが
)
ふ方なき妻白妙が首に候間何者の所業なるやと一時は
胸
(
むね
)
も一
杯
(
ぱい
)
に相成我を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「どうだい、これは、
自分
(
じぶん
)
はまあ
何
(
なん
)
といふ
幸福者
(
しあはせもの
)
だらう。こんやは、それこそ
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
、
腹
(
はら
)
一
杯
(
ぱい
)
うまい
生血
(
いきち
)
にありつける
譯
(
わけ
)
だ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
A院長
(
エーいんちょう
)
は、
居間
(
いま
)
で、これから一
杯
(
ぱい
)
やろうと
思
(
おも
)
っていたのです。そこへはばかるような
小
(
ちい
)
さい
跫音
(
あしおと
)
がして、
取
(
と
)
り
次
(
つ
)
ぎの
女中
(
じょちゅう
)
兼
(
けん
)
看護婦
(
かんごふ
)
が
入
(
はい
)
ってきて
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
実はゆうべ茶を買ってくれと
頼
(
たの
)
んでおいたのだが、こんな苦い
濃
(
こ
)
い茶はいやだ。一
杯
(
ぱい
)
飲むと胃に答えるような気がする。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
八
王子
(
わうじ
)
街道
(
かいだう
)
を
横切
(
よこぎ
)
つて、いよ/\
深大寺
(
じんだいじ
)
近
(
ちか
)
く
成
(
な
)
つたのが、
午後
(
ごゞ
)
の五
時
(
じ
)
過
(
す
)
ぎ。
夕立
(
ゆふだち
)
でも
來
(
く
)
るか、
空
(
そら
)
は一
杯
(
ぱい
)
に
曇
(
くも
)
つて
來
(
き
)
た。
探検実記 地中の秘密:05 深大寺の打石斧
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
毎朝
(
まいあさ
)
此
(
こ
)
の
水
(
みづ
)
で
顏
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
ふ、一
杯
(
ぱい
)
頭
(
あたま
)
から
浴
(
あ
)
びようとしたけれども、あんな
蟹
(
かに
)
は、
夜中
(
よなか
)
に
何
(
なに
)
をするか
分
(
わか
)
らぬと
思
(
おも
)
つてやめた。
星あかり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
おとうさんはやっと
座
(
すわ
)
って、お
茶
(
ちゃ
)
を一
杯
(
ぱい
)
のむ
暇
(
ひま
)
もないうちに、
包
(
つつ
)
みの中から
細長
(
ほそなが
)
い
箱
(
はこ
)
を
出
(
だ
)
して、にこにこしながら
松山鏡
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
何しろ
腕
(
うで
)
一
杯
(
ぱい
)
のところを見せて、
少
(
すくな
)
くとも日本の
洋畫界
(
やうぐわかい
)
に一
生面
(
せいめん
)
を
開
(
ひら
)
かうといふ
野心
(
やしん
)
であツたから、其の用意、其の
苦心
(
くしん
)
、實に
慘
(
さん
)
憺たるものであツた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
幸
(
さいはひ
)
に一
杯
(
ぱい
)
を
酌
(
く
)
みて
歇息
(
やす
)
ませ給へとて、酒をあたため、
下物
(
さかな
)
を
列
(
つら
)
ねてすすむるに、赤穴
九一
袖をもて
面
(
おもて
)
を
掩
(
おほ
)
ひ、其の
臭
(
にほ
)
ひを
嫌
(
い
)
み
放
(
さ
)
くるに似たり。左門いふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
「ふん。
何
(
なに
)
をいっても、
張合
(
はりあ
)
いのねえ
野郎
(
やろう
)
だ。
飯
(
めし
)
は
腹
(
はら
)
一
杯
(
ぱい
)
食
(
く
)
わせてあるはずだに。もっとしっかり
返事
(
へんじ
)
をしねえ」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
馬車屋
(
ばしゃや
)
のフィアレンサイドは、
黒馬旅館
(
くろうまりょかん
)
にきみょうな
客
(
きゃく
)
の
荷物
(
にもつ
)
を
運
(
はこ
)
んだ日の夜おそく、アイピング村のはずれのちいさなビヤホールで、一
杯
(
ぱい
)
かたむけながら
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
この仕事をするあいだ、私は私の手足や道具などをその
牝牛
(
めうし
)
の血に
浸
(
ひた
)
し、地面へも同じ血を一
杯
(
ぱい
)
にまいた。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
どりゃ、
太陽
(
ひ
)
が
其
(
その
)
燃
(
も
)
ゆるやうな
眼
(
まなこ
)
を
擧
(
あ
)
げて
今日
(
けふ
)
の
晝
(
ひる
)
を
慰
(
なぐさ
)
め、
昨夜
(
さくや
)
の
濕氣
(
しっき
)
を
乾
(
かわか
)
す
前
(
まへ
)
に、
毒
(
どく
)
ある
草
(
くさ
)
や
貴
(
たふと
)
い
液
(
しる
)
を
出
(
だ
)
す
花
(
はな
)
どもを
摘
(
つ
)
んで、
吾等
(
われら
)
の
此
(
この
)
籃
(
かご
)
を一
杯
(
ぱい
)
にせねばならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
おや、
旦那
(
だんな
)
好
(
よ
)
くお
出
(
い
)
でなさいましたね、
金吹町
(
かねふきちやう
)
さんまア
好
(
よ
)
く
入
(
い
)
らつしやいましたね、
今年
(
ことし
)
は
元日
(
ぐわんじつ
)
から
縁起
(
えんぎ
)
が
好
(
よ
)
い事ね。乙「
時
(
とき
)
に
昼飯
(
ひるめし
)
の
支度
(
したく
)
をしてちよいと一
杯
(
ぱい
)
おくれ。 ...
七福神詣
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
さあお
前
(
まへ
)
さん
此子
(
このこ
)
をもいれて
遣
(
や
)
つて
下
(
くだ
)
され、
何
(
なに
)
をぐたりと
爲
(
し
)
てお
出
(
いで
)
なさる、
暑
(
あつ
)
さにでも
障
(
さわ
)
りはしませぬか、さうでなければ一
杯
(
ぱい
)
あびて、さつぱりに
成
(
な
)
つて
御膳
(
ごぜん
)
あがれ
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
黄色いちゃんぽんうどんの一
杯
(
ぱい
)
を親子で分けあった長い生活、それも、道路
妨害
(
ぼうがい
)
とかで
止
(
や
)
めさせられると、荷車を
牽
(
ひ
)
いて北九州の田舎をまわった義父の真黒に疲れた姿
清貧の書
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
近所の子供たちは、皆愉快な
庶民的
(
しょみんてき
)
風貌をそなえている。
裸足
(
はだし
)
で泥んこになって、毎日遊びあっている。知らぬ間に、博雄のポケットには、メンコやビー玉が一
杯
(
ぱい
)
になっている。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
モコウが走って、食堂からやき肉、
固
(
かた
)
パン、茶、および一
杯
(
ぱい
)
のブランデーを持ってきた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
表面
(
へうめん
)
にこそ
見
(
み
)
せなかつたが、青木さん
夫婦
(
ふうふ
)
の
頭
(
あたま
)
にはさういふ
思
(
おも
)
ひがいつも一
杯
(
ぱい
)
だつた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
ちょっと茶一
杯
(
ぱい
)
飲むにしても、こんなまずい茶をよくも恥かしげもなく出せたものだ。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
おっかさんに
云
(
い
)
いつけられると虔十は水を五百
杯
(
ぱい
)
でも
汲
(
く
)
みました。一日一杯畑の草もとりました。けれども虔十のおっかさんもおとうさんも仲々そんなことを虔十に云いつけようとはしませんでした。
虔十公園林
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
私はいきなり、
助手
(
じょしゅ
)
やほかの
火夫
(
かふ
)
といっしょに、
機関車
(
きかんしゃ
)
からとびだして、かけつけていきました。みると、
火夫
(
かふ
)
は大きな
獣
(
けだもの
)
を力一
杯
(
ぱい
)
におさえつけています。それは、年とった一ぴきの大きな
狸
(
たぬき
)
でした。
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
たゞ
公務
(
こうむ
)
の
餘暇
(
よか
)
ある
一團
(
いちだん
)
の
士官
(
しくわん
)
水兵等
(
すいへいら
)
が
吾等
(
われら
)
を
唯
(
と
)
ある
船室
(
せんしつ
)
に
導
(
みちび
)
き、
濡
(
ぬ
)
れたる
衣服
(
きもの
)
を
脱
(
ぬ
)
がせ、
新
(
あたら
)
しき
衣服
(
ゐふく
)
を
與
(
あた
)
へ、
中
(
なか
)
にも
機轉
(
きてん
)
よき一
士官
(
しくわん
)
は
興奮
(
こうふん
)
の
爲
(
ため
)
にと、
急
(
いそ
)
ぎ「ブランデー」の一
杯
(
ぱい
)
をさへ
惠
(
めぐ
)
んで
呉
(
く
)
れた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
其
(
その
)
どちらもの顔一
杯
(
ぱい
)
に
西日
(
にしび
)
と共に
照
(
てり
)
渡つた事でした。
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
「旦那は平家の一
杯
(
ぱい
)
水
(
みず
)
の
謂
(
い
)
われを御存知でしょうな」
ぐうたら道中記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「
烏竜茶
(
ウーロンちや
)
をもう一
杯
(
ぱい
)
。」
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
関羽
(
かんう
)
一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
三国志:03 群星の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
みそ
萩
(
はぎ
)
の
側
(
そば
)
には
茶碗
(
ちやわん
)
へ一
杯
(
ぱい
)
に
水
(
みづ
)
が
沒
(
く
)
まれた。
夕方
(
ゆふがた
)
近
(
ちか
)
く
成
(
な
)
つてから三
人
(
にん
)
は
雨戸
(
あまど
)
を
締
(
しめ
)
て、
火
(
ひ
)
のない
提灯
(
ちやうちん
)
を
持
(
も
)
つて
田圃
(
たんぼ
)
を
越
(
こ
)
えて
墓地
(
ぼち
)
へ
行
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
得たれば
久々
(
ひさ/″\
)
にて一
杯
(
ぱい
)
飮
(
のま
)
ふと
或料理屋
(
あるれうりや
)
に
立入
(
たちいり
)
九郎兵衞惣内夫婦三人
車座
(
くるまざ
)
になり
獻
(
さし
)
つ
酬
(
おさへ
)
つ
數刻
(
すうこく
)
酌交
(
くみかは
)
せしが
良
(
やゝ
)
夜
(
よ
)
も
戌刻過
(
いつゝすぎ
)
漸
(
やうや
)
く此家を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
顔色
(
かおいろ
)
は
蒼白
(
あおじろ
)
く、
姿
(
すがた
)
は
瘠
(
や
)
せて、しょっちゅう
風邪
(
かぜ
)
を
引
(
ひ
)
き
易
(
やす
)
い、
少食
(
しょうしょく
)
で
落々
(
おちおち
)
眠
(
ねむ
)
られぬ
質
(
たち
)
、一
杯
(
ぱい
)
の
酒
(
さけ
)
にも
眼
(
め
)
が
廻
(
まわ
)
り、ままヒステリーが
起
(
おこ
)
るのである。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「もう、ふるさとに
帰
(
かえ
)
れば、
飲
(
の
)
もうと
思
(
おも
)
っても、
飲
(
の
)
まれないのだから、一
杯
(
ぱい
)
だけ
飲
(
の
)
んでゆこう……。」と
思
(
おも
)
いました。
砂漠の町とサフラン酒
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
……
旅
(
たび
)
の
単衣
(
ひとへ
)
のそゞろ
寒
(
さむ
)
に、
膚
(
はだ
)
にほの
暖
(
あたゝ
)
かさを
覚
(
おぼ
)
えたのは一
杯
(
ぱい
)
のカクテルばかりでない。
焚火
(
たきび
)
は
人
(
ひと
)
の
情
(
なさけ
)
である。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ぎっしり、
抽斗
(
ひきだし
)
一
杯
(
ぱい
)
に
詰
(
つま
)
った
衣装
(
いしょう
)
を、一
枚
(
まい
)
残
(
のこ
)
らず
畳
(
たたみ
)
の
上
(
うえ
)
へぶちまけたその
中
(
なか
)
を、
松江
(
しょうこう
)
は
夢中
(
むちゅう
)
で
引
(
ひ
)
ッかき
廻
(
まわ
)
していたが、やがて
眼
(
め
)
を
据
(
す
)
えながら
新
(
しん
)
七に
命
(
めい
)
じた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
あのロボのやつには、これまでにもう羊や
牝牛
(
めうし
)
合わせて二千頭あまりやられています。一体おおかみは意地きたないやつで、なんでも
腹
(
はら
)
一
杯
(
ぱい
)
食いさえすれアいい。
動物物語 狼の王ロボ
(新字新仮名)
/
アーネスト・トンプソン・シートン
(著)
私
(
わたし
)
の
家
(
うち
)
へ
来
(
き
)
て、
酒
(
さけ
)
を一
杯
(
ぱい
)
出
(
だ
)
せといふゆゑ、一
合
(
がふ
)
附
(
つ
)
けて
出
(
だ
)
しますると、
湯呑
(
ゆのみ
)
で半分も
飲
(
の
)
まない
内
(
うち
)
に、
渋
(
しぶ
)
い
面
(
つら
)
をして、
是
(
これ
)
までに
斯
(
こ
)
んな
渋
(
しぶ
)
い
酒
(
さけ
)
は
飲
(
の
)
んだ事がないといひましたから
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
帰りに山嵐は
通町
(
とおりちょう
)
で氷水を一
杯
(
ぱい
)
奢
(
おご
)
った。学校で逢った時はやに
横風
(
おうふう
)
な失敬な奴だと思ったが、こんなにいろいろ世話をしてくれるところを見ると、わるい男でもなさそうだ。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのせつ
那
(
な
)
に、
奧
(
おく
)
さんのまぶたに一
杯
(
ぱい
)
にじんでゐた
涙
(
なみだ
)
にひよいと
氕
(
き
)
がつくと、今まで
何氕
(
なにげ
)
なさを
装
(
よそほ
)
つてゐた青木さんの心は
思
(
おも
)
はずよろめいた。青木さんはあわててイスから
立
(
た
)
ち上つた。
夢
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
此
(
この
)
一
日
(
にち
)
の
運動
(
うんどう
)
は、
骨
(
ほね
)
の
髓
(
ずい
)
まで
疲勞
(
ひろう
)
する
樣
(
やう
)
に
感
(
かん
)
じるのであるが、
扨
(
さ
)
て
其
(
その
)
洗
(
あら
)
ひ
上
(
あ
)
げたる
破片
(
はへん
)
を
食卓
(
しよくたく
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
並
(
なら
)
べて、
然
(
さ
)
うして、一
杯
(
ぱい
)
やる
時
(
とき
)
の
心持
(
こゝろもち
)
といふものは、
何
(
な
)
んとも
云
(
い
)
はれぬ
愉快
(
ゆくわい
)
である。
探検実記 地中の秘密:01 蛮勇の力
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
村
(
むら
)
の
酒屋
(
さかや
)
の
店前
(
みせさき
)
までくると、
馬方
(
うまかた
)
は
馬
(
うま
)
をとめました。いつものやうに、そしてにこにことそこに
入
(
はい
)
り、どつかりと
腰
(
こし
)
を
下
(
をろ
)
して
冷酒
(
ひやざけ
)
の
大
(
おほ
)
きな
杯
(
こつぷ
)
を
甘味
(
うま
)
さうに
傾
(
かたむ
)
けはじめました。一
杯
(
ぱい
)
一
杯
(
ぱい
)
また一
杯
(
ぱい
)
。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
これでも
延
(
の
)
びるかと
押
(
おさ
)
へるやうな
仕方
(
しかた
)
に、
堪
(
た
)
へて
眞直
(
まつす
)
ぐに
延
(
の
)
びたつ
事
(
こと
)
人間
(
にんげん
)
わざには
叶
(
かな
)
ふまじ、
泣
(
な
)
いて
泣
(
な
)
いて
泣
(
な
)
き
盡
(
つく
)
くして、
訴
(
うつた
)
へたいにも
父
(
ちゝ
)
の
心
(
こゝろ
)
は
鐵
(
かね
)
のやうに
冷
(
ひ
)
えて、ぬる
湯
(
ゆ
)
一
杯
(
ぱい
)
たまはらん
情
(
なさけ
)
もなきに
ゆく雲
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
驚
(
おどろ
)
いてはいけません。わたしはけっして
怪
(
あや
)
しいものではありません。大ぜいの
悪者
(
わるもの
)
に
追
(
お
)
われて、こんなにけがをしたのです。どうぞ
水
(
みず
)
を一
杯
(
ぱい
)
飲
(
の
)
ませて
下
(
くだ
)
さい。のどが
渇
(
かわ
)
いて、
苦
(
くる
)
しくってたまりません。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
小原捕手
(
こはらほしゅ
)
はいつもよりはやく目をさましそれから十
杯
(
ぱい
)
のつるべ水を浴び心身をきよめてから屋根にあがって朝日をおがんだ。これはいかなる厳冬といえども一度も休んだことのないかれの日課である。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
「
舶来
(
はくらい
)
ウェスキイ 一
杯
(
ぱい
)
、二
厘
(
りん
)
半。」と書いてありました。
カイロ団長
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
勘次
(
かんじ
)
は
自分
(
じぶん
)
の
壁際
(
かべぎは
)
には
薪
(
たきゞ
)
が一
杯
(
ぱい
)
に
積
(
つ
)
まれてある。
其
(
その
)
上
(
うへ
)
に
開墾
(
かいこん
)
の
仕事
(
しごと
)
に
携
(
たづさ
)
はつて
何
(
なん
)
といつても
薪
(
たきゞ
)
は
段々
(
だんだん
)
殖
(
ふ
)
えて
行
(
ゆ
)
くばかりである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
半時間毎
(
はんじかんごと
)
位
(
くらい
)
に
彼
(
かれ
)
は
書物
(
しょもつ
)
から
眼
(
め
)
を
離
(
はな
)
さずに、ウォッカを一
杯
(
ぱい
)
注
(
つ
)
いでは
呑乾
(
のみほ
)
し、そうして
矢張
(
やはり
)
見
(
み
)
ずに
胡瓜
(
きゅうり
)
を
手探
(
てさぐり
)
で
食
(
く
)
い
欠
(
か
)
ぐ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
ビールを、ガブ、ガブ、
飲
(
の
)
むかわりに、一
杯
(
ぱい
)
の
水
(
みず
)
を、かやの
根
(
ね
)
もとにやればいいのにと、
子供
(
こども
)
は、
思
(
おも
)
ったのです。
あらしの前の木と鳥の会話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
持出
(
もちいだ
)
せば雲助どもは是は有難う御座りますと手ん/″\に五六
杯
(
ぱい
)
ヅツ
引
(
ひつ
)
かける所へ藤八ソレ
肴
(
さかな
)
と
銘々
(
めい/\
)
に金二分
宛
(
づつ
)
遣
(
やる
)
に雲助はイエ親方是は入やせんと
辭退
(
じたい
)
なすを馬鹿を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
杯
常用漢字
中学
部首:⽊
8画
“杯”を含む語句
一杯
酒杯
洋杯
三杯
硝子杯
乾杯
小杯
手杯
杯盤
杯盤狼藉
精一杯
杯事
大杯
幾杯
高脚杯
罰杯
床杯
腹一杯
朱杯
一杯機嫌
...