トップ
>
平
>
たひら
ふりがな文庫
“
平
(
たひら
)” の例文
「はじめはえらく噴き出しましたよ。場所は
中宿
(
なかじゆく
)
の
平
(
たひら
)
ですがね。それがあんた、どういふもんか、だんだんに勢ひがなくなりましてね」
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
姓
(
せい
)
は
元來
(
ぐわんらい
)
身分
(
みぶん
)
の
分類
(
ぶんるゐ
)
で、
例
(
たと
)
へば
臣
(
おみ
)
、
連
(
むらじ
)
、
宿禰
(
すくね
)
、
朝臣
(
あそん
)
などの
類
(
るゐ
)
であり、
氏
(
うぢ
)
は
家系
(
かけい
)
の
分類
(
ぶんるゐ
)
で、
例
(
たと
)
へば
藤原
(
ふじはら
)
、
源
(
みなもと
)
、
平
(
たひら
)
、
菅原
(
すがはら
)
、
紀
(
き
)
などの
類
(
るゐ
)
である。
誤まれる姓名の逆列
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
雪下
(
ゆきふる
)
事
盛
(
さかん
)
なる
時
(
とき
)
は、
積
(
つも
)
る雪家を
埋
(
うづめ
)
て雪と
屋上
(
やね
)
と
均
(
ひとし
)
く
平
(
たひら
)
になり、
明
(
あかり
)
のとるべき処なく、
昼
(
ひる
)
も
暗夜
(
あんや
)
のごとく
燈火
(
ともしび
)
を
照
(
てら
)
して家の内は
夜昼
(
よるひる
)
をわかたず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
畳半分ほどの大きさでしかも上が
真
(
ま
)
つ
平
(
たひら
)
な石である。私はその上に腰をかけて額の汗をぬぐつた。あたりには人影もない明るい秋の午後である。
赤蛙
(新字旧仮名)
/
島木健作
(著)
お仕着せの一本づつを
平
(
たひら
)
げて、八五郎は陶然としましたが、まだお勝手ではコトコトとお料理の品を揃へてゐる樣子です。
銭形平次捕物控:331 花嫁の幻想
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
たゞ服のまへの方だけが、くびのところから足のあたりまで、すべつこく、まつすぐに見え、まつ
平
(
たひら
)
になつてゐます。
青い顔かけの勇士
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
おつぎは
勘次
(
かんじ
)
が
起
(
おこ
)
した
塊
(
かたまり
)
を一つ/\に
萬能
(
まんのう
)
の
脊
(
せ
)
で
叩
(
たゝ
)
いてさらりと
解
(
ほぐ
)
して
平
(
たひら
)
にならして
居
(
ゐ
)
る。
輕鬆
(
けいしよう
)
な
土
(
つち
)
から
凝集
(
こゞ
)
つて
居
(
ゐ
)
た
塊
(
かたまり
)
は
解
(
ほぐ
)
せば
直
(
すぐ
)
に
吹
(
ふ
)
き
拂
(
はら
)
はれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
そして、
變化
(
へんくわ
)
のない
街道
(
かいだう
)
は
相變
(
あいかは
)
らず
小川
(
をがは
)
に
沿
(
そ
)
うて、
平
(
たひら
)
な
田畑
(
たはた
)
の
間
(
あひだ
)
をまつ
直
(
す
)
ぐに
走
(
はし
)
つてゐた。
霧
(
きり
)
は
殆
(
ほとん
)
ど
霽
(
は
)
れ
上
(
あが
)
つて、
空
(
そら
)
には
星影
(
ほしかげ
)
がキラキラと
見
(
み
)
え
出
(
だ
)
した。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
その
日
(
ひ
)
、はじめて
店
(
みせ
)
をあけた
通
(
とほ
)
りの
地久庵
(
ちきうあん
)
の
蒸籠
(
せいろう
)
をつる/\と
平
(
たひら
)
げて、「やつと
蕎麥
(
そば
)
にありついた。」と、うまさうに、
大胡坐
(
おほあぐら
)
を
掻
(
か
)
いて、また
飮
(
の
)
んだ。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
宮はこの散歩の間に
勉
(
つと
)
めて気を
平
(
たひら
)
げ、色を
歛
(
をさ
)
めて、ともかくも人目を
逭
(
のが
)
れんと計れるなり。されどもこは酒を
窃
(
ぬす
)
みて酔はざらんと欲するに
同
(
おなじ
)
かるべし。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そしてそれに対する町奉行以下諸役人の処置に
平
(
たひら
)
かなることが出来なかつた。
賑恤
(
しんじゆつ
)
もする。
造酒
(
ざうしゆ
)
に制限も加へる。
併
(
しか
)
し民の
疾苦
(
しつく
)
は増すばかりで減じはせぬ。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
父
(
とう
)
さんの
田舍
(
ゐなか
)
は
信濃
(
しなの
)
の
山國
(
やまぐに
)
から
平
(
たひら
)
な
野原
(
のはら
)
の
多
(
おほ
)
い
美濃
(
みの
)
の
方
(
はう
)
へ
降
(
おり
)
て
行
(
ゆ
)
く
峠
(
たうげ
)
の一
番
(
ばん
)
上
(
うへ
)
のところにあつたのです。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
立ちたる者顏を
後額
(
こめかみ
)
のあたりによすれば、より來れる
材
(
ざい
)
多くして耳
平
(
たひら
)
なる頬の上に出で 一二四—一二六
神曲:01 地獄
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
同
(
おな
)
じ
平地
(
へいち
)
でも
臺灣
(
たいわん
)
と
本州
(
ほんしゆう
)
と
北海道
(
ほつかいどう
)
とでは
樹木
(
じゆもく
)
が
違
(
ちが
)
つてゐるように
地球上
(
ちきゆうじよう
)
の
緯度
(
いど
)
の
差
(
さ
)
につれて、
言
(
い
)
ひかへると
赤道
(
せきどう
)
から
南
(
みなみ
)
と
北
(
きた
)
とへ
向
(
むか
)
つて
平
(
たひら
)
にすゝんでいくとすれば
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
神の
工
(
たくみ
)
が削りなしけん千仞の絶壁、
上
(
うへ
)
平
(
たひら
)
に草生ひ茂りて、三方は奇しき木の林に包まれ、東に向ひて開く一方、遙の下に群れたる人家、屈曲したる川の流を見るべし。
花枕
(旧字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
電信柱の一列がどこまでも續いて行つて、マツチの棒をならべたやうになり、そしてそれが見えなくなつても、まだ
平
(
たひら
)
であり、何んにも眼に邪魔になるものがなかつた。
防雪林
(旧字旧仮名)
/
小林多喜二
(著)
遠くの八ヶ岳の裾までひろがつてゐる
佐久
(
さく
)
の
平
(
たひら
)
を見下ろしながら中山道となつて低くなつてゆく。
ふるさとびと
(旧字旧仮名)
/
堀辰雄
(著)
これが古い物語の中から、わたしの前に浮んで来た「
天
(
あめ
)
が
下
(
した
)
の
色好
(
いろごの
)
み」
平
(
たひら
)
の
貞文
(
さだぶみ
)
の似顔である。
好色
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
街
(
まち
)
にいでて
何
(
なに
)
をし食はば
平
(
たひら
)
けき心はわれにかへり来むかも」などと
詠
(
よ
)
んだ気もちであろうか。
茂吉の一面
(新字新仮名)
/
宇野浩二
(著)
織田
平
(
たひら
)
ノ信長没落後、家臣
鳥屋尾
(
とりやを
)
左京ト申ス者、当所ニ来住ス。
傍輩
(
はうばい
)
ノ浪人ハ其ノ縁ヲ以テ諸大名ニ奉公ニ出デ、又左京儀ハ他家ノ主人ニ仕フル事、本意ナラズ存ゼラレ候。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
菓子
(
くわし
)
は
疾
(
と
)
くに
平
(
たひら
)
げて
了
(
しま
)
つて、
其後
(
そのあと
)
へ
持參
(
ぢさん
)
の
花竦薑
(
はならつきやう
)
を、
壜
(
びん
)
から
打明
(
うちあ
)
けて、
酒
(
さけ
)
の
肴
(
さかな
)
にして
居
(
ゐ
)
る。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
を
切
(
き
)
り
開
(
ひら
)
いて、一二
丁
(
ちやう
)
奧
(
おく
)
へ
上
(
のぼ
)
る
樣
(
やう
)
に
建
(
た
)
てた
寺
(
てら
)
だと
見
(
み
)
えて、
後
(
うしろ
)
の
方
(
はう
)
は
樹
(
き
)
の
色
(
いろ
)
で
高
(
たか
)
く
塞
(
ふさ
)
がつてゐた。
路
(
みち
)
の
左右
(
さいう
)
も
山續
(
やまつゞき
)
か
丘續
(
をかつゞき
)
の
地勢
(
ちせい
)
に
制
(
せい
)
せられて、
決
(
けつ
)
して
平
(
たひら
)
ではない
樣
(
やう
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
秋風
(
あきかぜ
)
に白波さわぎと萬葉集にうたはれたのは
思
(
おも
)
へば久遠の時代であるやうだけれど、
平
(
たひら
)
の
將門
(
まさかど
)
が西の
大串
(
おほくし
)
から、
東
(
ひがし
)
の
小渡
(
こわたり
)
へ船を漕いだ時は、一面の
水海
(
みづうみ
)
だつたとはいふまでもない。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
宣長の「
足引城
(
あしひきき
)
」説が平凡だが一番真に近いか。「
足
(
あし
)
は山の
脚
(
あし
)
、引は長く
引延
(
ひきは
)
へたるを云。
城
(
き
)
とは凡て
一構
(
ひとかまへ
)
なる
地
(
ところ
)
を云て此は即ち山の
平
(
たひら
)
なる処をいふ」(古事記伝)というのである。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
岩山を上り下りしてやゝ
平
(
たひら
)
なる浅き谷を行く。午後の日
射
(
さ
)
して、馬上
頗
(
すこぶ
)
る退屈す。
馬上三日の記:エルサレムよりナザレへ
(新字旧仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
之もホーロク
平
(
たひら
)
(一八九二米の一帶を云ふ)の先の
鳥屋場
(
とやば
)
を持つてゐる者で隣の鳥屋場へ遊びに行く所だといふ。私達が女達は川俣へ歸る所だといふと、
踵
(
きびす
)
をめぐらして三人の先に立つ。
黒岩山を探る
(旧字旧仮名)
/
沼井鉄太郎
(著)
雨の音、雨の音。私は直と其のまゝ筆を執り、手頸が
觸
(
さは
)
ると其の
平
(
たひら
)
かなふわりとした感覺の云ふに云はれず快い白紙の上に、墨の色も濃く、「雨の音」と大きく三字、表題を書き記した。
歓楽
(旧字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
一三八
治承
(
ちしよう
)
三年の秋、
平
(
たひら
)
の重盛
病
(
やまひ
)
に
係
(
かか
)
りて世を
逝
(
さ
)
りぬれば、
一三九
平相国
(
へいさうこく
)
入道、
一四〇
君をうらみて
一四一
鳥羽
(
とば
)
の
離宮
(
とつみや
)
に
籠
(
こ
)
めたてまつり、かさねて
一四二
福原の
茅
(
かや
)
の宮に
困
(
くるし
)
めたてまつる。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
我国本土の
中
(
うち
)
でも中国の如き、人口
稠密
(
ちうみつ
)
の地に成長して山をも野をも人間の力で
平
(
たひら
)
げ尽したる光景を見慣れたる余にありては、東北の原野すら既に我自然に
帰依
(
きえ
)
したるの情を動かしたるに
空知川の岸辺
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
それから
愛
(
あい
)
ちやんは
食
(
た
)
べ
初
(
はじ
)
めると、
直
(
ぢ
)
きに
其菓子
(
そのくわし
)
を
平
(
たひら
)
げて
了
(
しま
)
ひました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
...
臣
(
しん
)
を
以
(
もつ
)
て
君
(
きみ
)
を
弑
(
し
)
す、
仁
(
じん
)
と
謂
(
い
)
ふ
可
(
べ
)
けんや』と。
(三〇)
左右
(
さいう
)
(三一)
之
(
これ
)
を
兵
(
へい
)
せんと
欲
(
ほつ
)
す。
(三二)
太公
(
たいこう
)
曰
(
いは
)
く、『
此
(
こ
)
れ
義人
(
ぎじん
)
也
(
なり
)
』と。
扶
(
たす
)
けて
去
(
さ
)
らしむ。
武王
(
ぶわう
)
已
(
すで
)
に
殷
(
いん
)
の
亂
(
らん
)
を
平
(
たひら
)
げ、
天下
(
てんか
)
、
周
(
しう
)
を
(三三)
宗
(
そう
)
とす。
国訳史記列伝:01 伯夷列伝第一
(旧字旧仮名)
/
司馬遷
(著)
現世
(
うつしよ
)
は めでたきみ代ぞ
平
(
たひら
)
けく
微笑
(
ゑみ
)
て
在
(
お
)
はせな
百済
(
くだら
)
みほとけ
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
チエロの胸ひたかきむしり
平
(
たひら
)
なり揺り曳きにけり
灯
(
ひ
)
に光る
弓
(
きゆう
)
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
アレース皆に
平
(
たひら
)
なり、打たんずるもの、打ちとらむ。
イーリアス:03 イーリアス
(旧字旧仮名)
/
ホーマー
(著)
取揃
(
とりそろ
)
へ
自身
(
じしん
)
に持來たれば清兵衞は長兵衞に向ひ
嘸々
(
さぞ/\
)
草臥
(
くたひれ
)
しならん
然樣
(
さう
)
何時までも
畏
(
かしこ
)
まり居ては
究屈
(
きうくつ
)
なりモシ/\
御連
(
おつれ
)
の
衆
(
しゆ
)
御遠慮
(
ごゑんりよ
)
なさるなコレサ
平
(
たひら
)
に/\と是より皆々
寛
(
くつろ
)
ぎ兄弟久し
振
(
ぶり
)
にての
酒宴
(
しゆえん
)
となり女房も
傍
(
そば
)
にて
酌
(
しやく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
まるで
平
(
たひら
)
とさへみえる、荒模様なる空の下。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
佐久
(
さく
)
の
平
(
たひら
)
の
片
(
かた
)
ほとり
孔雀船
(旧字旧仮名)
/
伊良子清白
(著)
如何
(
いか
)
なる
窪
(
くぼ
)
も
平
(
たひら
)
かに
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
この
平
(
たひら
)
なる心には
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
なだらかに
流
(
なが
)
れて、
薄
(
うす
)
いけれども
平
(
たひら
)
に
日
(
ひ
)
を
包
(
つゝ
)
むと、
沼
(
ぬま
)
の
水
(
みづ
)
は
靜
(
しづか
)
に
成
(
な
)
つて、そして、
少
(
すこ
)
し
薄暗
(
うすぐら
)
い
影
(
かげ
)
が
渡
(
わた
)
りました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日本に来て
間
(
ま
)
もないHは、まだ芸者に
愛嬌
(
あいけう
)
を売るだけの修業も積んでゐなかつたから、唯出て来る料理を片つぱしから
平
(
たひら
)
げて、差される
猪口
(
ちよく
)
を片つぱしから飲み干してゐた。
東京小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
宜道
(
ぎだう
)
が
竈
(
へつつひ
)
の
火
(
ひ
)
を
消
(
け
)
して
飯
(
めし
)
をむらしてゐる
間
(
あひだ
)
に、
宗助
(
そうすけ
)
は
臺所
(
だいどころ
)
から
下
(
お
)
りて
庭
(
には
)
の
井戸端
(
ゐどばた
)
へ
出
(
で
)
て
顏
(
かほ
)
を
洗
(
あら
)
つた。
鼻
(
はな
)
の
先
(
さき
)
にはすぐ
雜木山
(
ざふきやま
)
が
見
(
み
)
へた。
其
(
その
)
裾
(
すそ
)
の
少
(
すこ
)
し
平
(
たひら
)
な
所
(
ところ
)
を
拓
(
ひら
)
いて、
菜園
(
さいゑん
)
が
拵
(
こしら
)
えてあつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
汁椀
(
しるわん
)
は
手
(
て
)
に
取
(
と
)
つて、
椀
(
わん
)
の
腹
(
はら
)
を
左
(
ひだり
)
の
手
(
て
)
に
輕
(
かる
)
く
打
(
う
)
ちつけるやうにして
納豆
(
なつとう
)
を
平
(
たひら
)
にした。おつぎは
午餐
(
ひる
)
から
開墾地
(
かいこんち
)
へ
出
(
で
)
る
時
(
とき
)
、
菜
(
さい
)
にする
干納豆
(
ほしなつとう
)
を
汁椀
(
しるわん
)
へ
入
(
いれ
)
て
彼
(
かれ
)
の
爲
(
ため
)
に
膳
(
ぜん
)
を
据
(
す
)
ゑて
行
(
い
)
つたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
何か
平
(
たひら
)
かでないものがあるのか、お松は突つ立つたまゝ斯う先手を打ちました。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
○かくて
中
(
なか
)
の
平
(
たひら
)
村(九軒)
天酒
(
あまさけ
)
村(二軒)
大赤沢
(
おほあかさは
)
村(九軒)を
歴
(
へ
)
たる道みな
嶮
(
けはし
)
き
山行
(
やまぶみ
)
して此日
申
(
さる
)
の
下刻
(
さがり
)
やう/\小赤沢にいたりぬ。こゝには人家廿八軒ありて、秋山の中二ヶ所の大村也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼は
喊声
(
かんせい
)
を上げて来る。打つて
癅
(
こぶ
)
を
拵
(
こしら
)
へる。癅が
平
(
たひら
)
になる。又喊声を上げて来る。又癅を拵へる。又それが平になる。Sisypos の石は何度押し上げても又
転
(
ころ
)
がり落ちて来るのである。
金貨
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
興義
点頭
(
うなづ
)
きていふ。誰にもあれ一人、
二四
檀
(
だん
)
家の
平
(
たひら
)
の助の殿の
館
(
みたち
)
に
詣
(
まゐ
)
りて
告
(
まう
)
さんは、法師こそ不思議に生き侍れ。君今酒を
酌
(
く
)
み
鮮
(
あざらけ
)
き
二五
鱠
(
なます
)
をつくらしめ給ふ。しばらく
宴
(
えん
)
を
罷
(
や
)
めて寺に詣でさせ給へ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
落つる日の夕かがやきはこの山の
平
(
たひら
)
に居りてしばしだに見む
つゆじも
(新字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
山畑の雪の
平
(
たひら
)
に暮がたの青ぞらのいろの吸はれつつぞある
海阪
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
渠
(
かれ
)
の
前
(
まへ
)
には、
一座
(
いちざ
)
滑
(
なめら
)
かな
盤石
(
ばんじやく
)
の、
其
(
そ
)
の
色
(
いろ
)
、
濃
(
こ
)
き
緑
(
みどり
)
に
碧
(
あを
)
を
交
(
まじ
)
へて、
恰
(
あだか
)
も
千尋
(
せんじん
)
の
淵
(
ふち
)
の
底
(
そこ
)
に
沈
(
しづ
)
んだ
平
(
たひら
)
かな
巌
(
いは
)
を、
太陽
(
ひ
)
の
色
(
いろ
)
も
白
(
しろ
)
いまで、
霞
(
かすみ
)
の
満
(
み
)
ちた、
一塵
(
いちぢん
)
の
濁
(
にご
)
りもない
蒼空
(
あをぞら
)
に
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“平”の意味
《名詞》
(たいら)でこぼこのない様子。突出や沈降のない様子。
(たいら)でこぼこのない土地。
(ひら)特別な地位を持っていない様子。接頭語的にも使用される。
(なみ)平均的。標準的。或いは平均値や標準に近い様子。優れても劣ってもいない様子。
(出典:Wiktionary)
平
常用漢字
小3
部首:⼲
5画
“平”を含む語句
平常
平生
平和
平素
平日
大平
平伏
扁平
平等
平均
平坦
平安
平地
平時
平癒
平相国
北平
地平
真平
不平
...