安全あんぜん)” の例文
そして、もう一こくもここにいるのが危険きけんになりましたときに、二人ふたり相談そうだんをして、どこか安全あんぜんなところへのがれることにいたしました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すると、前のほうに、ほらあなに通じる半円形はんえんけいの入口が見えました。ガンたちは、その中に飛びこんで、ようやく安全あんぜんになりました。
には木陰こかげけてしんみりとたがひむね反覆くりかへとき繁茂はんもしたかきくり彼等かれらゆゐ一の味方みかた月夜つきよでさへふか陰翳かげ安全あんぜん彼等かれらつゝむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
大地震後だいぢしんご餘震よしんあまりに恐怖きようふするため、安全あんぜん家屋かおく見捨みすてゝ、幾日いくにちも/\野宿のじゆくすることは、震災地しんさいちける一般いつぱん状態じようたいである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
しかりしのちの(一人坊主ひとりばうず)は、さきとは正反對せいはんたい位置ゐちちて、乘合のりあひをしてかへりてわれあるがためにふね安全あんぜんなるをたしかめしめぬ。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
が、れもれもぢきかれ疲勞つからしてしまふ。かれそこでふとおもいた、自分じぶん位置ゐち安全あんぜんはかるには、女主人をんなあるじ穴藏あなぐらかくれてゐるのが上策じやうさくと。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それをみて、ぼくは、ほっとしたね。これでぼくの秘密ひみつ安全あんぜんだ——そう考えると同時に、なにか新しい勇気ゆうきがわいてくるような気がしたんだ
それは四面しめん鐵檻てつおり堅牢けんらうなるうへにも堅牢けんらうならんことのぞんで、如何いか力強ちからつよてきおそひきたつても、けつして車中しやちう安全あんぜんがいせられぬため特別とくべつ注意ちうゐであるさうな。
以手紙てがみをもつて申上候貴兄きけい彌々いよ/\安全あんぜん醫業いげふ被成なされ目出度めでたくぞんじ奉つり候然れば此方このはう八年まへ近邊きんぺんよりの出火しゆつくわにて家財道具を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夫婦ふうふになつてるのがにくらしいつて、いしあたまられるおそれは、まあいですからね。しかも双方さうはうともに二十ねんも三十ねん安全あんぜんなら、まつた御目出おめでたいにちがひありませんよ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ネコとオンドリは、木のえだにのぼって、やすみました。ことに、オンドリは木のてっぺんまでとびあがりました。たしかに、そこなら、オンドリにとっていちばん安全あんぜんです。
あいちやんはまつた其動物そのどうぶつ容子ようすこのみませんでしたが、それでもだあの野蠻やばん女王樣ぢよわうさまあといてくよりは、それとともとゞまつてはういく安全あんぜんだかれないとおもひました
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すこおもいけれど、かうしてあるけば途中とちう威張ゐばれて安全あんぜんだといふので、下男げなんいさつてあるした。るほどあふひもんと『多田院御用ただのゐんごよう』の木札きふだは、人々ひと/″\皆々みな/\みちゆづらせた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
こんな時には手のとどかない、地面をはなれてしまうのが一番安全あんぜん
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
森林しんりん洪水こうずいがいふせぎ、かはみづ不斷ふだんえずながし、水田すいでんをもからさないといふてんで、土地とち安全あんぜんたもつてくれる效用こうようがあることがわかつてたので、以來いらいはじめて森林しんりん保護ほごしてそだてるようになり
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
「うん、どうもあぶないとぼくも思った。こっちはそう。とってしまおう。その辺へかくしておいてあとでわれわれがとったということにしておじょうさんにでも上げればいいじゃないか。そのほうが安全あんぜんだよ。」
二人の役人 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
さあ ぼくたちがあなたたち安全あんぜんな所へ案内あんないしませう
といひかけてわらことばなにとしらねどおほどこしとはお情深なさけぶかことさぞかし可哀かあいさうのも御座ございませうとおもふことあればさつしもふか花子はなこ煙草たばこきらひときゝしがかたはら煙管きせるとりあげて一服いつぷくあわたゞしくおしやりつそれはもうさま/″\ツイ二日計前ふつかばかりまへのこと極貧ごくひん裏屋うらやもの難産なんざんくるしみましてあに手術しゆじゆつ母子ふたりとも安全あんぜんでは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
うつくしいちょうは、自分じぶんたまごをどこにんだらいいかとまどっているふうでありました。なるたけあたたかな、安全あんぜん場所ばしょさがしていたのでした。
冬のちょう (新字新仮名) / 小川未明(著)
だから、この子どもたちのそばにいるのが、いちばん安全あんぜんです。そこでニールスは、どんな子どもたちかと思って、ふりかえってみました。
それゆゑにかような場合ばあひおいては、屋外おくがいることを斷念だんねん屋内おくないおい比較的ひかくてき安全あんぜん場所ばしよもとめることがむし得策とくさくであらう。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
が、それもこれもじきかれ疲労つからしてしまう。かれはそこでふとおもいた、自分じぶん位置いち安全あんぜんはかるには、女主人おんなあるじ穴蔵あなぐらかくれているのが上策じょうさくと。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
それでもおほきな建物たてもの燒盡せうじんするには時間じかんえうした。あひだ村落むらもの手當てあた次第しだい家財かざいつてれを安全あんぜん地位ちゐうつした。てんおい白晝はくちう動作どうさ敏活びんくわつ容易よういであつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
丁度ちやうど此時このとき一度いちど逃去にげさつたる猛獸まうじうは、ふたゝ其處此處そここゝ森林もりからあらはれてたが、つる/\と空中くうちうに、のぼつて吾等われら姿すがたて、一種いつしゆ異樣ゐやう咆哮ほうかうした。つひに、吾等われら五人ごにん安全あんぜんに、輕氣球けいきゝゆうたつした。
かなら安全あんぜんなる航行かうかうをなしべしとしんじたればなり。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
取し男にて其頃の噂にもあさ起出おきいで神棚かみだなに向ひ先我が安泰あんたい家内かない安全あんぜん町内大變たいへんいのりしと云ふ程の心底故か御番所の腰掛こしかけにてくふ辨當べんたうは何がなくても別段べつだんうましと言しとかや何故に町内大變々々たいへん/\と言かと思ふに支配内に變がなければ家主は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もっと、もっと、氷山ひょうざんのおくふかく、安全あんぜん場所ばしょをさがして、はいりこむだろう。いや、それもだめだ、どんなかくれでも、人間にんげんはさぐる。
太陽と星の下 (新字新仮名) / 小川未明(著)
教場内きようじようないおいてはつくゑしたもつと安全あんぜんであるべきことは説明せつめいようしないであらう。下敷したじきになつた場合ばあひおいて、致命傷ちめいしようあたへるものははりけたとである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
が、とにかく、ここは安全あんぜんなところよ。そんなにびくびくするこたあないぜ。ここはトーケルンじゃねえからな。
『して、日出雄少年ひでをせうねんは——安全あんぜんですか——それとも——。』
そとると、あっちの屋根やねからも、こちらの屋根やねからも、かわらがちてきました。しかし、みんなは、安全あんぜんに、広場ひろばげてまいりました。
時計とよっちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
どんな大風おおかぜいても、それは安全あんぜんなものです。わたしたちには、とてもあなたのようなおぼつかない生活せいかつはできないのです。
二つの運命 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんあたえた安全あんぜんが、なんでいつまでたよりになろう。いまから、わたしたちは、それをさがしにてもおそくはないのだ。」と、ケーがんがいいました。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
かみさま、どうしたら、わたしども二人ふたりは、安全あんぜんにゆくすえながいとげられますか、あなたのおちからで、おすくいくださいまし。
うずめられた鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
おおきなふねがいったぞ。そのときは、おれたちは、なみなかきこまれようとした。やっといそいでほどへだたった、安全あんぜん場所ばしょけることができた。
なまずとあざみの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、あなたをにぎやかなまちれてゆくことができます。そして、安全あんぜんなところに、あなたをくこともできます。
公園の花と毒蛾 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そこには、ちいさなほこらがあって、そのえんしたなら、安全あんぜんおもったのでしょう。けれどそこは湿気しっけにみち、いたるところ、くものが、かかっていました。
どこかに生きながら (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたしは、がしても、ねこにられるとおもった。まだ、ここにいるほうが、とりにとって安全あんぜんであろう。そうかんがえると、がすことにちゅうちょしました。
自由 (新字新仮名) / 小川未明(著)
人間にんげんのみずからもうけた禁猟区きんりょうくにいて、こちらの安全あんぜんをはかるということは、なんと賢明けんめいなやりかたではないか。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
だから、きみ評判ひょうばんは、たかいけれど、かえって、安全あんぜんなのです。これにはんして、わたしたちはたかがらないでしょう。あるいは、性質上せいしつじょうできないのかもしれません。
平原の木と鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ゆこう、ゆこう、ここで、こうして意気地いくじなく、このふゆおくるよりか、つばさちからのつづくかぎり、ひろい、自由じゆうな、そして、安全あんぜん世界せかいさがしにかけようじゃないか。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
ある、りょうしにうたれて、きずついたからだで、みんなといっしょに、やまおくの安全あんぜんなところまでにげのびてきました。そして、ついに、ちからつきてたおれました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もしここで、太陽たいようひかりと、ほしかがやくのがられ、そして、みつばちや、ちょうがきてくれたなら、すみれは、おそらくこんなに安全あんぜん生活せいかつはなかったのでありましょう。
つばきの下のすみれ (新字新仮名) / 小川未明(著)
こうして、ほどなくははねこになろうとするくろねこは、自分じぶんものさがすことよりも、かわいい子供こども安全あんぜん場所ばしょいだすことにいっしょうけんめいでありました。
ねこ (新字新仮名) / 小川未明(著)
つきのいいばんには、往来おうらいするふねも、なんとなく安全あんぜんおもわれますが、うみいかって、くらな、波音なみおとのすさまじいときには、どんなに航海こうかいをするふね難儀なんぎをしたかしれません。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねずみは、いのちたすかると、もはやうちなかこわくて、すんでいるには、どうしてもなれませんでした。かれは、みんなからわかれて、安全あんぜん場所ばしょいだすためにくるしみました。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかし、ちょうはどこへりたらいちばん安全あんぜんだろうと、しばらく空中くうちゅうまよっていました。そのとき、なんともいわれない、やさしいいい音色ねいろがきこえてきたのであります。
ちょうと怒濤 (新字新仮名) / 小川未明(著)
まちにいるほうが、どれほど、安全あんぜんであり、にぎやかであり、愉快ゆかいであるかわかりません……。もしわたしといっしょにまちへおいでなさるがあるなら、つれていってあげましょう……。
兄弟のやまばと (新字新仮名) / 小川未明(著)
ねずみがここにすんだのは、この場所ばしょ安全あんぜんだとおもったのにほかなりませんでした。
ねずみとバケツの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
小鳥ことりは、こんなにくらくなった、よるそらをかつてんだ経験けいけんをもっていませんでした。れるに、はやくから、安全あんぜんふかもりなかりて、えだまってねむりについたものです。
小さな金色の翼 (新字新仮名) / 小川未明(著)