“あんぜん”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:アンゼン
語句割合
安全49.4%
黯然25.9%
暗然11.8%
晏然5.9%
安然2.4%
案前1.2%
菴前1.2%
諳然1.2%
闇然1.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
すると、前のほうに、ほらあなに通じる半円形はんえんけいの入口が見えました。ガンたちは、その中に飛びこんで、ようやく安全あんぜんになりました。
ぼくは、あなたが、てっきりぼく達のことについて、なにか言われたのではないかと、勝手な想像をして、黯然あんぜんとなったのです。
オリンポスの果実 (新字新仮名) / 田中英光(著)
私は暗然あんぜんと顔を上げた。芸術家気質でそういうだらしない生活をしているのだろうと、旅川が言外に含めたのではないかと邪推じゃすいしたのである。
風宴 (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
長徳でも長保でもよい、寂心は晏然あんぜんとして死んだのである。勿論俗界の仕事師ではなかったから、大した事跡は遺さなかった。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
即ち何不足なく驚愕安然あんぜんとしてられるのを有難く存じ奉る義と心得あるべからんに、密夫みっぷを引入れてからに、何うも酒肴さけさかなをとり引証いんしょうをするのみならず、安眠たる事は有るまからんと存奉候ぞんじたてまつりてそろ
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
玄石サアこれだ、我は役所に入って判決するから、汝はしっかりやれと言うて去った。いくばくならずして冤家直ちに案前あんぜんに来り、陳訴することば至って毒々し。
仁宗じんそう洪凞こうき元年正月、建文帝観音大士かんおんだいし潮音洞ちょうおんどうに拝し、五月山に還りたもう。このとし仁宗また崩じて、帝をもとむること、ようやくに忘れらる。宣宗せんそう宣徳せんとく元年秋八月、従亡じゅうぼう諸臣を菴前あんぜんに祭りたもう。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ぬぐえば佐助も諳然あんぜんとして云うべき言葉なく共に嗚咽おえつするばかりであったがようござります
春琴抄 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「君子の道は闇然あんぜんたり、か。」魚容は苦笑して、つまらぬ洒落しゃれを言い、「しかし、いんむかいて怪を行う、という言葉も古書にある。よろしく窓を開くべしだ。漢陽の春の景色を満喫しよう。」
竹青 (新字新仮名) / 太宰治(著)