トップ
>
格子
>
かうし
ふりがな文庫
“
格子
(
かうし
)” の例文
が和泉屋の戸締りは鐵の藏のやうに嚴重で、土臺下を掘つて入つた形跡がなく、
格子
(
かうし
)
一本々々にも、少しのゆるみもありません。
銭形平次捕物控:210 飛ぶ女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
浴衣
(
ゆかた
)
の
後影
(
うしろかげ
)
が、
裏口
(
うらぐち
)
へ
出
(
で
)
る
所
(
ところ
)
で
消
(
き
)
へてなくなる
迄
(
まで
)
其處
(
そこ
)
に
立
(
た
)
つてゐた。それから
格子
(
かうし
)
を
開
(
あ
)
けた。
玄關
(
げんくわん
)
へは
安井
(
やすゐ
)
自身
(
じしん
)
が
現
(
あらは
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
致して居る樣子を
格子
(
かうし
)
の
外
(
そと
)
にて承まはりしが
黄昏頃
(
たそがれごろ
)
故
(
ゆゑ
)
竊
(
そつ
)
と
覗
(
のぞ
)
きし所百兩包を取出し御門跡へ納める金なりと云ひ又
箪笥
(
たんす
)
の引出へ
入
(
いれ
)
たる處を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その三畳の
格子
(
かうし
)
の前のところで、軽い
艶
(
なまめ
)
かしい駒下駄の音が来て留つた。かれは
幼心
(
をさなごころ
)
にもそれが誰だかちやんと知つてゐた。
ある僧の奇蹟
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
番頭のやつはてれ隠しに、若え者を叱りながら、そこそこ帳場の
格子
(
かうし
)
の中へ這入ると、
仔細
(
しさい
)
らしく
啣
(
くは
)
へ
筆
(
ふで
)
で算盤をぱちぱちやり出しやがつた。
鼠小僧次郎吉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
さあ
何
(
なん
)
とで
御座
(
ござ
)
んす、と
袂
(
たもと
)
を
捉
(
と
)
らへて
捲
(
まく
)
しかくる
勢
(
いきほ
)
ひ、さこそは
當
(
あた
)
り
難
(
がた
)
うもあるべきを、
物
(
もの
)
いはず
格子
(
かうし
)
のかげに
小隱
(
こかく
)
れて
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
美女
(
たをやめ
)
は
又
(
また
)
算
(
かぞ
)
へて、
鼓草
(
たんぽゝ
)
の
駒
(
こま
)
を
取
(
と
)
つて、
格子
(
かうし
)
の
中
(
なか
)
へ、……
菫
(
すみれ
)
の
花
(
はな
)
の
色
(
いろ
)
を
分
(
わ
)
けて、
静
(
しづか
)
に
置替
(
おきか
)
へながら、
莞爾
(
につこ
)
と
微笑
(
ほゝゑ
)
む。……
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それでも六
畳
(
でふ
)
と三畳と
二室
(
ふたま
)
あツて、
格子
(
かうし
)
を啓けると直ぐに六畳になツてゐた。此處でお房の母は、近所の小娘や若い者を集めてお
師匠
(
ししやう
)
さんを爲てゐる。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
と、
然
(
さ
)
う
思返
(
おもひかへ
)
したものゝ、
猶且
(
やはり
)
失望
(
しつばう
)
は
彼
(
かれ
)
の
心
(
こゝろ
)
に
愈〻
(
いよ/\
)
募
(
つの
)
つて、
彼
(
かれ
)
は
思
(
おも
)
はず
兩
(
りやう
)
の
手
(
て
)
に
格子
(
かうし
)
を
捉
(
とら
)
へ、
力儘
(
ちからまか
)
せに
搖動
(
ゆすぶ
)
つたが、
堅固
(
けんご
)
な
格子
(
かうし
)
はミチリとの
音
(
おと
)
も
爲
(
せ
)
ぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
何
(
なに
)
がつて、こんなところに
何
(
なに
)
か
惡
(
わる
)
いことでもした
人間
(
にんげん
)
のやうに、
誰
(
だれ
)
をみても、かうして
鐵
(
てつ
)
の
格子
(
かうし
)
か、そうでなければ
金網
(
かなあみ
)
や
木柵
(
もくさく
)
、
石室
(
いしむろ
)
、
板圍
(
いたがこい
)
なんどの
中
(
なか
)
に
閉込
(
とぢこ
)
められてさ
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
いんきんだむしの
附着
(
くつゝ
)
いてる箱は
川原崎
(
かはらさき
)
権
(
ごん
)
十
郎
(
らう
)
の
書
(
か
)
いたてえ……えゝ
辷
(
すべ
)
つて
転
(
ころ
)
んだので忘れちまつた、
醋吸
(
すすひ
)
の三
聖
(
せい
)
格子
(
かうし
)
に
障子
(
しやうじ
)
に……
簾
(
すだれ
)
アハヽヽヽ、おい
何
(
ど
)
うした、
確
(
しつ
)
かりしねえ。
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
教室と寄宿舍のある新らしい方は、壁に仕切があり、
格子
(
かうし
)
のある窓が光つてゐて、それはこの
建物
(
たてもの
)
に、教會風の樣子を想はせてゐた。入口の上にある石の額面に、次のやうな彫刻があつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
格子戸
(
かうしど
)
の
格子
(
かうし
)
を一本々々一生懸命に
磨
(
みが
)
いて
居
(
ゐ
)
るのもある。
長吉
(
ちやうきち
)
は
人目
(
ひとめ
)
の多いのに
気後
(
きおく
)
れしたのみでなく、さて
路地内
(
ろぢうち
)
に
進入
(
すゝみい
)
つたにした
処
(
ところ
)
で、自分はどうするのかと初めて反省の地位に返つた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
小川方
(
をがはかた
)
」とあつた、よろしいこれだと、
躊躇
(
ためら
)
うことなく
格子
(
かうし
)
を
開
(
あ
)
けて
節操
(新字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
文章の
続柄
(
つゞきがら
)
さうより
外
(
ほか
)
には取れぬ、で、吉原の景気を叙するあたりにも大分珍聞もあるが、それは省略して、此通信員
連
(
つれ
)
の独逸人とトある
格子
(
かうし
)
先に立つた……とは書いてないが、立つたに違ひない。
露都雑記
(新字旧仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
棺
(
くわん
)
は
僅
(
わづか
)
な
人
(
ひと
)
で
葬
(
はうむ
)
られた。それでも
白提灯
(
しろぢやうちん
)
が
二張
(
ふたはり
)
翳
(
かざ
)
された。
裂
(
さ
)
き
竹
(
だけ
)
を
格子
(
かうし
)
の
目
(
め
)
に
編
(
あ
)
んでいゝ
加減
(
かげん
)
の
大
(
おほ
)
きさに
成
(
な
)
るとぐるりと四
方
(
はう
)
を一つに
纏
(
まと
)
めて
括
(
くゝ
)
つた
花籠
(
はなかご
)
も二つ
翳
(
かざ
)
された。
孰
(
ど
)
れも
青竹
(
あをだけ
)
の
柄
(
え
)
が
附
(
つ
)
けられた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
が
格子
(
かうし
)
は、ミシリともしなかつた。
天国の記録
(旧字旧仮名)
/
下村千秋
(著)
たまたまに、
灯
(
あかり
)
さす
格子
(
かうし
)
はあれど
第二邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「内儀の方は、小僧が
格子
(
かうし
)
から投り込んで行つたが、
伜
(
せがれ
)
の手紙は宵の口に、お勝手の入口へ、石つころを
載
(
の
)
せてあつた相だ」
銭形平次捕物控:298 匕首の行方
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
宅
(
うち
)
の
門口
(
かどぐち
)
迄
(
まで
)
來
(
く
)
ると、
家
(
いへ
)
の
中
(
なか
)
はひつそりして、
誰
(
だれ
)
もゐない
樣
(
やう
)
であつた。
格子
(
かうし
)
を
開
(
あ
)
けて、
靴
(
くつ
)
を
脱
(
ぬ
)
いで、
玄關
(
げんくわん
)
に
上
(
あ
)
がつても、
出
(
で
)
て
來
(
く
)
るものはなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
あかりのついた、お
附合
(
つきあひ
)
の
隣
(
となり
)
の
窓
(
まど
)
から、
岩
(
いは
)
さんの
安否
(
あんぴ
)
を
聞
(
き
)
かうとしでもしたのであらう。
格子
(
かうし
)
をあけた
婦
(
をんな
)
があつたが、
何
(
なん
)
にも
女房
(
にようばう
)
には
聞
(
きこ
)
えない。……
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
胸
(
むね
)
はわくわくと
上氣
(
じようき
)
して、
何
(
ど
)
うでも
明
(
あ
)
けられぬ
門
(
もん
)
の
際
(
きわ
)
にさりとも
見過
(
みすご
)
しがたき
難義
(
なんぎ
)
をさま/″\の
思案
(
しあん
)
盡
(
つく
)
して、
格子
(
かうし
)
の
間
(
あいだ
)
より
手
(
て
)
に
持
(
も
)
つ
裂
(
き
)
れを
物
(
もの
)
いはず
投
(
な
)
げ
出
(
いだ
)
せば
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
が、K先生はどう思つたか、武さんを玄関の中へ入れずに
格子
(
かうし
)
戸越しにかう言ふのだつた。
素描三題
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何
(
なん
)
だらうと思つて
直
(
すぐ
)
に
飛出
(
とびだ
)
して
格子
(
かうし
)
を明けて見ますると、
両側
(
りやうがは
)
共
(
とも
)
に
黒木綿
(
くろもめん
)
の
金巾
(
かなきん
)
の
二巾位
(
ふたはゞぐらゐ
)
もありませうか
幕張
(
まくは
)
りがいたしてございまして、
真黒
(
まつくろ
)
で
丸
(
まる
)
で
芝居
(
しばゐ
)
の
怪談
(
くわいだん
)
のやうでございます。
牛車
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見物
(
けんぶつ
)
あれと無理に
勸
(
すゝ
)
むる故毎度の
勸
(
すゝ
)
め
然々
(
さう/\
)
斷
(
ことわ
)
るも氣の毒と思ひ
或日
(
あるひ
)
夕暮
(
ゆふぐれ
)
より兩人同道にて二丁町へ到り
其處此處
(
そこここ
)
と見物して
行歩
(
あるく
)
中常盤屋と書し
暖簾
(
のれん
)
の下りし
格子
(
かうし
)
の中におときといふ女の居りしが文藏
不※
(
ふと
)
恍惚
(
みとれ
)
し
體
(
さま
)
に
彳
(
たゝず
)
みける佐五郎はやくも
見付
(
みつけ
)
何
(
なに
)
か文藏に
私語
(
さゝやき
)
其家へ上りしが
病
(
やみつき
)
にて文藏は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
初めは使ひ屋に頼んだけれど、さうすると、反つて足が付きさうだから二度目から自分で
格子
(
かうし
)
から抛り込んだんです。
銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と、はぎれのいゝ
聲
(
こゑ
)
を
掛
(
か
)
けて、
水上
(
みなかみ
)
さんが、
格子
(
かうし
)
へ
立
(
た
)
つた。
私
(
わたし
)
は、
家内
(
かない
)
と
駈出
(
かけだ
)
して、ともに
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
て
手
(
て
)
を
握
(
にぎ
)
つた。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それは
京都
(
きやうと
)
に
共通
(
きようつう
)
な
暗
(
くら
)
い
陰氣
(
いんき
)
な
作
(
つく
)
りの
上
(
うへ
)
に、
柱
(
はしら
)
や
格子
(
かうし
)
を
黒赤
(
くろあか
)
く
塗
(
ぬ
)
つて、わざと
古臭
(
ふるくさ
)
く
見
(
み
)
せた
狹
(
せま
)
い
貸家
(
かしや
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
小兒
(
ちご
)
に
添
(
そ
)
へ
乳
(
ぢ
)
の
美
(
うつ
)
くしきさま
見
(
み
)
るべきを、
格子
(
かうし
)
の
外
(
そと
)
より
伺
(
うかゞ
)
ふに
燈火
(
ともしび
)
ぼんやりとして
障子
(
しようじ
)
に
映
(
うる
)
るかげも
無
(
な
)
し、お
美尾
(
みを
)
お
美尾
(
みを
)
と
呼
(
よび
)
ながら
入
(
い
)
るに、
答
(
こた
)
へは
隣
(
となり
)
の
方
(
かた
)
に
聞
(
きこ
)
えて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
其大仏餅屋
(
そのだいぶつもちや
)
の
一軒
(
いつけん
)
おいて
隣家
(
となり
)
が、
表
(
おもて
)
が
細
(
こまか
)
い
栂
(
つが
)
の
面取
(
めんど
)
りの
出格子
(
でがうし
)
になつて
居
(
を
)
りまして
六尺
(
いつけん
)
、
隣
(
とな
)
りの
方
(
はう
)
が
粗
(
あら
)
い
格子
(
かうし
)
で
其又側
(
そのまたわき
)
が
九尺
(
くしやく
)
ばかりチヨイと
板塀
(
いたべい
)
になつて
居
(
を
)
る、
無職業家
(
しもたや
)
でございまする。
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それにもう、一つ大事なことはその二、三日前に猪之松が三崎町の茶店へ行つて、お葉さんが夜中にそつと出られないやうに、
格子
(
かうし
)
に釘を打つてしまつた。
銭形平次捕物控:314 美少年国
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
五月雨
(
さみだれ
)
の
陰氣
(
いんき
)
な
一夜
(
あるよ
)
、
坂
(
さか
)
の
上
(
うへ
)
から
飛蒐
(
とびかゝ
)
るやうなけたゝましい
跫音
(
あしおと
)
がして、
格子
(
かうし
)
をがらりと
突開
(
つきあ
)
けたと
思
(
おも
)
ふと、
神樂坂下
(
かぐらざかした
)
の
其
(
そ
)
の
新宅
(
しんたく
)
の
二階
(
にかい
)
へ、いきなり
飛上
(
とびあが
)
つて
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
頭腦
(
あたま
)
の
中
(
なか
)
を
此樣
(
こん
)
な
事
(
こと
)
にこしらへて一
軒
(
けん
)
ごとの
格子
(
かうし
)
に
烟草
(
たばこ
)
の
無理
(
むり
)
どり
鼻紙
(
はながみ
)
の
無心
(
むしん
)
、
打
(
う
)
ちつ
打
(
う
)
たれつ
是
(
こ
)
れを一
世
(
せ
)
の
譽
(
ほまれ
)
と
心得
(
こゝろゑ
)
れば、
堅氣
(
かたぎ
)
の
家
(
いゑ
)
の
相續息子
(
そうぞくむすこ
)
地廻
(
ぢまわ
)
りと
改名
(
かいめい
)
して
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と
雨戸
(
あまど
)
を引いて外の
格子
(
かうし
)
をがらがらツと明けまして
燈明
(
あかり
)
を
差出
(
さしだ
)
して見ると、見る影もない
汚穢
(
きたな
)
い
乞食
(
こじき
)
の
老爺
(
おやぢ
)
が、
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
からダラ/″\血の出る所を
押
(
おさ
)
へて
居
(
ゐ
)
ると、
僅
(
わづ
)
か
五歳
(
いつゝ
)
か
六歳
(
むツつ
)
ぐらゐの
乞食
(
こじき
)
の
児
(
こ
)
が
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「オヤ、誰か來た樣子ぢやないか、路地の中へ驅け込んで
格子
(
かうし
)
につかまつて、フウフウ言つてゐるが——」
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
出口
(
でぐち
)
の
柳
(
やなぎ
)
を
振向
(
ふりむ
)
いて
見
(
み
)
ると、
間
(
ま
)
もなく、
俥
(
くるま
)
は、
御神燈
(
ごしんとう
)
を
軒
(
のき
)
に
掛
(
か
)
けた、
格子
(
かうし
)
づくりの
家居
(
いへゐ
)
の
並
(
なら
)
んだ
中
(
なか
)
を、
常磐樹
(
ときはぎ
)
の
影
(
かげ
)
透
(
す
)
いて、
颯
(
さつ
)
と
紅
(
べに
)
を
流
(
なが
)
したやうな
式臺
(
しきだい
)
へ
着
(
つ
)
いた。
明山閣
(
めいざんかく
)
である。
飯坂ゆき
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
車
(
くるま
)
もなし、
女中
(
ぢよちう
)
も
連
(
つ
)
れずか、やれ/\ま
早
(
はや
)
く
中
(
なか
)
へ
這入
(
はい
)
れ、さあ
這入
(
はい
)
れ、
何
(
ど
)
うも
不意
(
ふい
)
に
驚
(
おどろ
)
かされたやうでまご/\するわな、
格子
(
かうし
)
は
閉
(
し
)
めずとも
宜
(
よ
)
い
私
(
わ
)
しが
閉
(
し
)
める、
兎
(
と
)
も
角
(
かく
)
も
奧
(
おく
)
が
好
(
い
)
い
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「靜かに、お神さん、——隣り部屋で聽いて居た源三郎は外へ出て行つた樣子だ。
格子
(
かうし
)
を開けつ放したまゝ、可哀想に、——この俺にはどうする事も出來ない」
銭形平次捕物控:200 死骸の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
八幡樣
(
はちまんさま
)
の
裏
(
うら
)
の
渡
(
わた
)
し
場
(
ば
)
へ
出
(
で
)
ようと
思
(
おも
)
つて、
見當
(
けんたう
)
を
取違
(
とりちが
)
へて、あちらこちら
拔
(
ぬ
)
け
裏
(
うら
)
を
通
(
とほ
)
るうちに、ざんざ
降
(
ぶ
)
りに
降
(
ふ
)
つて
來
(
き
)
た、ところがね、
格子
(
かうし
)
さきへ
立
(
た
)
つて、
雨宿
(
あまやど
)
りをして、
出窓
(
でまど
)
から
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
戻
(
もど
)
らうか、
戻
(
もど
)
らうか、あの
鬼
(
おに
)
のやうな
我良人
(
わがつま
)
のもとに
戻
(
もど
)
らうか、
彼
(
あ
)
の
鬼
(
おに
)
の、
鬼
(
おに
)
の
良人
(
つま
)
のもとへ、ゑゝ
厭
(
い
)
や
厭
(
い
)
やと
身
(
み
)
をふるはす
途端
(
とたん
)
、よろ/\として
思
(
おも
)
はず
格子
(
かうし
)
にがたりと
音
(
おと
)
さすれば
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
三十五の出戻り、存分に
醜
(
みにく
)
い中年女は、この若い二人のやる
瀬
(
せ
)
ない戀路を、
格子
(
かうし
)
に
獅噛
(
しが
)
みついて、大向うから濡れ場を見るやうな熱心さで眺めてゐたのでした。
銭形平次捕物控:290 影法師
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
此
(
これ
)
が、もつと
奧
(
おく
)
へ
詰
(
つ
)
めて
張
(
は
)
つてあれば、
絹一重
(
きぬひとへ
)
の
裡
(
うち
)
は、すぐに、
御廚子
(
みづし
)
、
神棚
(
かみだな
)
と
云
(
い
)
ふのでせうから、
誓
(
ちか
)
つて、
私
(
わたし
)
は、
覗
(
のぞ
)
くのではなかつたのです。が、
堂
(
だう
)
の
内
(
うち
)
の、
寧
(
むし
)
ろ
格子
(
かうし
)
へ
寄
(
よ
)
つた
方
(
はう
)
に
掛
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
ました。
人魚の祠
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「それどころぢやない、娘は赤いお
神籤
(
みくじ
)
を結ぶ時、前にあの
格子
(
かうし
)
に結んであつた、青い
印
(
しるし
)
のあるお神籤を解いて持つて行つたよ。——それに氣が付かなかつたのか」
銭形平次捕物控:138 第廿七吉
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
普請小屋
(
ふしんごや
)
と、
花崗石
(
みかげいし
)
の
門柱
(
もんばしら
)
を
並
(
なら
)
べて
扉
(
とびら
)
が
左右
(
さいう
)
に
開
(
ひら
)
いて
居
(
ゐ
)
る、
門
(
もん
)
の
内
(
うち
)
の
横手
(
よこて
)
の
格子
(
かうし
)
の
前
(
まへ
)
に、
萌黄
(
もえぎ
)
に
塗
(
ぬ
)
つた
中
(
なか
)
に
南
(
みなみ
)
と
白
(
しろ
)
で
拔
(
ぬ
)
いたポンプが
据
(
すわ
)
つて、
其
(
その
)
縁
(
ふち
)
に
釣棹
(
つりざを
)
と
畚
(
ふご
)
とがぶらりと
懸
(
かゝ
)
つて
居
(
ゐ
)
る、
眞
(
まこと
)
にもの
靜
(
しづ
)
かな
三尺角
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
八五郎は
格子
(
かうし
)
をガタピシさせると、挨拶は拔きの、
顎
(
あご
)
を先に立てて、斯う飛び込んで來るのでした。
銭形平次捕物控:289 美しき人質
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
同
(
おな
)
じく
二
(
ふた
)
つづゝ
六行
(
ろくぎやう
)
に……
紫
(
むらさき
)
の
格子
(
かうし
)
に
並
(
なら
)
べた。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
遲い月が一杯に射した窓格子に、生首が一つ、
髷
(
もとゞり
)
を
格子
(
かうし
)
に
絡
(
から
)
んだまゝ、ブラ下げてあつたのです。
銭形平次捕物控:006 復讐鬼の姿
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
と
鶴
(
つる
)
の
姿
(
すがた
)
の
雲
(
くも
)
を
睨
(
にら
)
んで、
鼓草
(
たんぽゝ
)
は
格子
(
かうし
)
を
動
(
うご
)
く。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
他の泥棒ならどんなに
巧
(
うま
)
くやつても忍び込んだ場所が判るものだ、雨戸をコジあけるとか、
格子
(
かうし
)
を
外
(
はづ
)
すとか、土臺の下を掘るとか、窓わくに
跡
(
あと
)
を殘すとか——熊五郎に限つてそれが一つも無い
銭形平次捕物控:157 娘の役目
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
格子
(
かうし
)
の具合を調べてくれとか、いやもう、大變な持てやうでしたよ
銭形平次捕物控:238 恋患ひ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
“格子”の意味
《名詞》
細い角材や竹を縦方向、横方向に組み合わせた建具。
(context、mathematics)ベクトル空間の基底を整数係数で線型結合して得られた全体。
(出典:Wiktionary)
“格子”の解説
格子(こうし)は周期的に並んだ区切り、仕切りのこと。格子戸、鉄格子などとして一般的にも使われる。
(出典:Wikipedia)
格
常用漢字
小5
部首:⽊
10画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“格子”で始まる語句
格子戸
格子縞
格子窓
格子門
格子口
格子越
格子戸作
格子戸造
格子先
格子組