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得意
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とくい
ふりがな文庫
“
得意
(
とくい
)” の例文
先生がみていなきゃ、いますぐおどりかかって、
得意
(
とくい
)
の手でノックアウトするところです。次郎くんは
下唇
(
したくちびる
)
をかみしめてこらえました。
決闘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
旅
(
りよ
)
行の時にはもう
戀
(
こひ
)
人のやうな
伴侶
(
はんりよ
)
で、
撮影
(
さつえい
)
、
現像
(
げんぞう
)
、
燒
(
や
)
き
付
(
つけ
)
の
技量
(
ぎれう
)
も
自然
(
しぜん
)
と巧くなつて、學校での
展覽會
(
てんらんくわい
)
では
得意
(
とくい
)
な出
品
(
ひん
)
物
(
ぶつ
)
であり
写真と思ひ出:――私の写真修行――
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
などゝいふから、
益々
(
ます/\
)
国王
(
こくわう
)
は
得意
(
とくい
)
になられまして、
天下
(
てんか
)
広
(
ひろ
)
しと
雖
(
いへ
)
ども、
乃公
(
おれ
)
ほどの
名人
(
めいじん
)
はあるまい、と思つてお
在
(
いで
)
になりました。
詩好の王様と棒縛の旅人
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
わたしが
鉱山
(
こうざん
)
にはいっていたあいだ、かれは十八フランもうけた。かれはこのたいそうな金をわたしにわたすとき、ひどく
得意
(
とくい
)
であった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
『
私
(
わたし
)
が
公爵夫人
(
こうしやくふじん
)
になつたら』と
愛
(
あい
)
ちやんは
獨語
(
ひとりごと
)
を
云
(
い
)
つて(
甚
(
はなは
)
だ
得意
(
とくい
)
な
口振
(
くちぶり
)
ではなかつたが)『
全
(
まつた
)
く
厨房
(
だいどころ
)
には
胡椒
(
こせう
)
を
置
(
お
)
かないことにしやう、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
▼ もっと見る
大体
(
だいたい
)
天狗
(
てんぐ
)
の
働
(
はたら
)
きはそう
大
(
おお
)
きいものではないらしく、
普通
(
ふつう
)
は
人間
(
にんげん
)
に
憑
(
かか
)
って
小手先
(
こてさ
)
きの
仕事
(
しごと
)
をするのが
何
(
なに
)
より
得意
(
とくい
)
だと
申
(
もう
)
すことでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
今
(
いま
)
は
彼女
(
かのぢよ
)
の
顏
(
かほ
)
に
驕
(
をご
)
りと
得意
(
とくい
)
の
影
(
かげ
)
が
消
(
き
)
えて、ある
不快
(
ふくわい
)
な
思
(
おも
)
ひ
出
(
で
)
のために
苦々
(
にが/\
)
しく
左
(
ひだり
)
の
頬
(
ほゝ
)
の
痙攣
(
けいれん
)
を
起
(
おこ
)
してゐる。
彼女
(
かのぢよ
)
は
起
(
た
)
つて
行
(
い
)
く。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
案
(
あん
)
ずるに、
團子
(
だんご
)
は
附燒
(
つけやき
)
を
以
(
もつ
)
て
美味
(
うま
)
いとしてある。
鹽煎餅
(
しほせんべい
)
以來
(
このかた
)
、
江戸兒
(
えどつこ
)
は
餘
(
あま
)
り
甘
(
あま
)
いのを
好
(
す
)
かぬ。が、
何
(
なに
)
を
祕
(
かく
)
さう、
私
(
わたし
)
は
團子
(
だんご
)
は
饀
(
あん
)
の
方
(
はう
)
を
得意
(
とくい
)
とする。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そんなときです、
徳
(
とく
)
ちゃんは、いつもする
得意
(
とくい
)
の、
指
(
ゆび
)
を
口
(
くち
)
に
入
(
い
)
れて、あかんべいをして、とし
子
(
こ
)
さんの
顔
(
かお
)
をのぞきます。
春の日
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
しかし
得意
(
とくい
)
といふことは
多少
(
たせう
)
競爭
(
きやうさう
)
を
意味
(
いみ
)
する。
自分
(
じぶん
)
の
畫
(
ゑ
)
の
好
(
す
)
きなことは
全
(
まつた
)
く
天性
(
てんせい
)
といつても
可
(
よ
)
からう、
自分
(
じぶん
)
を
獨
(
ひとり
)
で
置
(
お
)
けば
畫
(
ゑ
)
ばかり
書
(
か
)
いて
居
(
ゐ
)
たものだ。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
そんなら
其子
(
そのこ
)
は
亡
(
な
)
くなつてか、
可憐
(
かわい
)
さうなと
奧
(
おく
)
さま
憐
(
あはれ
)
がり
給
(
たま
)
ふ、
福
(
ふく
)
は
得意
(
とくい
)
に、
此戀
(
このこひ
)
いふも
言
(
い
)
はぬも
御座
(
ござ
)
りませぬ、
子供
(
こども
)
の
事
(
こと
)
なれば
心
(
こゝろ
)
にばかり
思
(
おも
)
ふて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
問「幕府の御成立は、尊氏公にすれば、大望
成就
(
じょうじゅ
)
、
得意
(
とくい
)
でありましょうに、なぜそれを境に、お迷いが始まったので」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
此
(
これ
)
は
白坊主
(
しろばうず
)
」とそつけなくいつた。
彼
(
かれ
)
は
鍋
(
なべ
)
といふのが
厭
(
いや
)
でさういつたのである。
兼
(
かね
)
博勞
(
ばくらう
)
はうまく
或
(
ある
)
物
(
もの
)
を
攫
(
とら
)
へた
樣
(
やう
)
に
得意
(
とくい
)
に
成
(
な
)
つて
村落中
(
むらぢゆう
)
へ
響
(
ひゞ
)
かせた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
三日月
(
みかづき
)
なりに
切
(
き
)
ってある、
目
(
め
)
にいれたいくらいの
小
(
ちい
)
さな
爪
(
つめ
)
を、
母指
(
おやゆび
)
と
中指
(
なかゆび
)
の
先
(
さき
)
で
摘
(
つま
)
んだまま、ほのかな
月光
(
げっこう
)
に
透
(
すか
)
した
春重
(
はるしげ
)
の
面
(
おもて
)
には、
得意
(
とくい
)
の
色
(
いろ
)
が
明々
(
ありあり
)
浮
(
うか
)
んで
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
宗助
(
そうすけ
)
は
是
(
これ
)
より
以上
(
いじやう
)
立
(
た
)
ち
入
(
い
)
つて
坂井
(
さかゐ
)
の
事
(
こと
)
を
聞
(
き
)
いた
事
(
こと
)
がなかつた。
學校
(
がくかう
)
を
已
(
や
)
めた
當座
(
たうざ
)
は、
順境
(
じゆんきやう
)
にゐて
得意
(
とくい
)
な
振舞
(
ふるまひ
)
をするものに
逢
(
あ
)
ふと、
今
(
いま
)
に
見
(
み
)
ろと
云
(
い
)
ふ
氣
(
き
)
も
起
(
おこ
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
けさも、これまでにやってきたことを、
得意
(
とくい
)
になって話すんですからね。あきれたもんです。署長! あの男はもう、かなりたくさんの人を
傷
(
きず
)
つけています。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
妄
(
みだ
)
りに
外語
(
ぐわいご
)
を
濫用
(
らんよう
)
して
得意
(
とくい
)
とするの
風
(
ふう
)
が、一
日
(
にち
)
は一
日
(
にち
)
より
甚
(
はなは
)
だしきに
至
(
いた
)
つては、その
結果
(
けつくわ
)
は
如何
(
いかゞ
)
であらう。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「なんだろう、この部屋は。
錬金術師
(
れんきんじゅつし
)
の部屋みたいだが、おい、四本君。これは君のお
得意
(
とくい
)
の科目だぜ」
時計屋敷の秘密
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
呼江戸の
得意
(
とくい
)
を
殘
(
のこ
)
らず預け私し
成人
(
せいじん
)
の後娘に
娶
(
めあは
)
せんとの
遺言
(
ゆゐごん
)
を利兵衞も
承知
(
しようち
)
に付父茂兵衞は
安心
(
あんしん
)
いたし
頓
(
やが
)
て
相果
(
あひはて
)
申候夫より利兵衞は江戸へ
出
(
いで
)
店
(
みせ
)
をも開し由四五年を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
富士男にほめられて、コスターはさっと顔をあからめながら、しかも
得意
(
とくい
)
そうに鼻穴をふくらました。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
それは
作
(
つく
)
るのに大へん
骨
(
ほね
)
が折れたし、
得意
(
とくい
)
なものであった。自分がどんなに
芸術家
(
げいじゅつか
)
であるか見せてやりたかった。ゴットフリートは
静
(
しず
)
かに
耳
(
みみ
)
を
傾
(
かたむ
)
けた。それからいった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
茶番
(
ちやばん
)
をやる
水兵
(
すいへい
)
もある、
軍樂
(
ぐんがく
)
を
奏
(
そう
)
する
仲間
(
なかま
)
もある、
武村兵曹
(
たけむらへいそう
)
は
得意
(
とくい
)
に、
薩摩琵琶
(
さつまびわ
)
『
河中島
(
かはなかじま
)
』の
一段
(
いちだん
)
を
語
(
かた
)
つた。
此
(
この
)
男
(
をとこ
)
に、
此樣
(
こん
)
な
隱
(
かく
)
し
藝
(
げい
)
があらうとは
今日
(
けふ
)
まで
氣付
(
きづ
)
かなかつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
そして、
相手
(
あひて
)
の
鳥
(
とり
)
が
下
(
した
)
の
方
(
ほう
)
へとだんだん
小
(
ちひ
)
さくなつて
墜
(
お
)
ちてゆき、
見
(
み
)
えなくなつてしまふと、その
時
(
とき
)
こそ
得意
(
とくい
)
さうに
羽
(
はね
)
を
反
(
そ
)
らして、カラカラと
空
(
そら
)
のまん
中
(
なか
)
で、
笑
(
わら
)
ふのだつた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
此
(
こ
)
の
写本
(
しやほん
)
の
挿絵
(
さしゑ
)
を
担当
(
たんたう
)
した
画家
(
ぐわか
)
は
二人
(
ふたり
)
で、
一人
(
ひとり
)
は
積翠
(
せきすゐ
)
(
工学士
(
こうがくし
)
大沢三之介
(
おほさはさんのすけ
)
君
(
くん
)
)
一人
(
ひとり
)
は
緑芽
(
りよくが
)
(
法学士
(
はうがくし
)
松岡鉦吉
(
まつをかしやうきち
)
君
(
くん
)
)
積翠
(
せきすゐ
)
は
鉛筆画
(
えんぴつぐわ
)
が
得意
(
とくい
)
で、
水彩風
(
すゐさいふう
)
のも
画
(
か
)
き、
器用
(
きよう
)
で
日本画
(
にほんぐわ
)
も
遣
(
や
)
つた
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
すると、甚兵衛の
評判
(
ひょうばん
)
はもうその
都
(
みやこ
)
にも
伝
(
つた
)
わっていますので、
見物人
(
けんぶつにん
)
が朝からつめかけて、たいへんな
繁昌
(
はんじょう
)
です。甚兵衛は
得意
(
とくい
)
になって、毎日ひょっとこの人形を
踊
(
おど
)
らせました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
其所
(
そこ
)
へ
來合
(
きあは
)
せた一
紳士
(
しんし
)
が、
貴君方
(
あなたがた
)
は
何
(
なに
)
をするんですかと
咎
(
とが
)
めたので、
水谷氏
(
みづたにし
)
は
得意
(
とくい
)
の
考古學研究
(
かうこがくけんきう
)
を
振舞
(
ふりま
)
はした。
其紳士
(
そのしんし
)
連
(
しき
)
りに
傾聽
(
けいちやう
)
して
居
(
ゐ
)
たが、それでは
私
(
わたくし
)
も
仲間
(
なかま
)
に
入
(
い
)
れて
貰
(
もら
)
ひたい。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
後
(
あと
)
に殘つたのは、唯、
或
(
ある
)
仕事
(
しごと
)
をして、それが
圓滿
(
ゑんまん
)
に成就した時の、安らかな
得意
(
とくい
)
と滿足とがあるばかりである。そこで、下人は、
老婆
(
らうば
)
を見下しながら、少し聲を
柔
(
やはら
)
げてかう云つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
マーキュ
鮞
(
はららご
)
を
拔
(
ぬ
)
かれた
鯡
(
にしん
)
の
干物
(
ひもの
)
といふ
面附
(
つらつき
)
ぢゃ。おゝ、にしは、にしは、てもまア
憫然
(
あさま
)
しい
魚類
(
ぎょるゐ
)
とはなられたな! こりゃ
最早
(
もう
)
ペトラークが
得意
(
とくい
)
の
戀歌
(
こひか
)
をお
手
(
て
)
の
物
(
もの
)
ともござらう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
情操
(
じょうそう
)
教育の価値があるであろう。家庭でも、子供をおだてあげて、一つやって御覧というと、子供等は
得意
(
とくい
)
になって、足を動かしたり、手を
叩
(
たた
)
いたり、腕を廻したりするのが普通だ。
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
そのうちに宮中にあるご
宴会
(
えんかい
)
があって、臣下の者の妻女たちが、おおぜいお
召
(
め
)
しにあずかりました。すると
大楯連
(
おおだてのむらじ
)
の妻は、
女鳥王
(
めとりのみこ
)
のお腕飾りを
得意
(
とくい
)
らしく手首に
飾
(
かざ
)
ってまいりました。
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
マスノはかかえていた石を、すてるのをわすれたように、
得意
(
とくい
)
の表情になって
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
向
(
むか
)
ふの一
疋
(
ぴき
)
はそこで
得意
(
とくい
)
になつて、
舌
(
した
)
を
出
(
だ
)
して
手拭
(
てぬぐひ
)
を一つべろりと
甞
(
な
)
めましたが、にはかに
怖
(
こは
)
くなつたとみえて、
大
(
おほ
)
きく
口
(
くち
)
をあけて
舌
(
した
)
をぶらさげて、まるで
風
(
かぜ
)
のやうに
飛
(
と
)
んで
帰
(
かへ
)
つてきました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
感
(
かん
)
じてゐるところはよろしいが、
上
(
うへ
)
の
三句
(
さんく
)
がごた/\として、
感
(
かん
)
じた
氣分
(
きぶん
)
がすっきりと
現
(
あらは
)
れてゐません。けれどもこの
人
(
ひと
)
は、まづ
大體
(
だいたい
)
かういふ
調子
(
ちようし
)
に、
一筋
(
ひとすぢ
)
に
歌
(
うた
)
ふのが
得意
(
とくい
)
だつたと
見
(
み
)
えます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
清兵衛は
得意
(
とくい
)
になって、朝月を見つけた話をきかせたうえ
三両清兵衛と名馬朝月
(新字新仮名)
/
安藤盛
(著)
得意
(
とくい
)
の
弁
(
べん
)
を
揮
(
ふる
)
ひ落語二席を話す。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
新吉は
得意
(
とくい
)
の
絶頂
(
ぜっちょう
)
にいました。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
こんどは
用吉君
(
ようきちくん
)
が、
得意
(
とくい
)
の
手
(
て
)
で
相手
(
あいて
)
の
首
(
くび
)
をしめにかかったが、
反対
(
はんたい
)
に
自分
(
じぶん
)
の
首
(
くび
)
をしめつけられ、ゆでだこのようになってしまった。
ごんごろ鐘
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
醤油屋
(
しょうゆや
)
というのは、
昔
(
むかし
)
からある
店
(
みせ
)
で、この
近在
(
きんざい
)
の
人々
(
ひとびと
)
を
得意
(
とくい
)
としていました。おじいさんも
日
(
ひ
)
ごろ
知
(
し
)
っているので、その
家
(
いえ
)
を
訪
(
たず
)
ねたのであります。
夜の進軍らっぱ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
かれはもっともむずかしい
芸
(
げい
)
の一つをやりとげたときと同様に、
得意
(
とくい
)
らしくわたしの
賞賛
(
しょうさん
)
を
求
(
もと
)
めていた。これはほんの二、三秒の出来事であった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
婆
(
ばばあ
)
はヒラヒラと
釣
(
つ
)
り
橋
(
ばし
)
のそばまできて、かたく
閉
(
と
)
じた
裏門
(
うらもん
)
を見まわしていたが、やがて
得意
(
とくい
)
そうに「ひひひひひひひひ」と、ひとりで笑いをもらした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
また、それだけに
釣
(
つり
)
がうまい。
素人
(
しろうと
)
にはむづかしいといふ、
鰻釣
(
うなぎつり
)
の
絲捌
(
いとさば
)
きは
中
(
なか
)
でも
得意
(
とくい
)
で、
一晩
(
ひとばん
)
出掛
(
でか
)
けると
濕地
(
しつち
)
で
蚯蚓
(
みゝず
)
を
穿
(
ほ
)
るほど
一
(
ひと
)
かゞりにあげて
來
(
く
)
る。
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
友達
(
ともだち
)
は
多
(
おほ
)
く
彼
(
かれ
)
の
寛濶
(
くわんくわつ
)
を
羨
(
うらや
)
んだ。
宗助
(
そうすけ
)
も
得意
(
とくい
)
であつた。
彼
(
かれ
)
の
未來
(
みらい
)
は
虹
(
にじ
)
の
樣
(
やう
)
に
美
(
うつ
)
くしく
彼
(
かれ
)
の
眸
(
ひとみ
)
を
照
(
て
)
らした。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『あの
人
(
ひと
)
はわたくしの
分霊
(
ぶんれい
)
を
受
(
う
)
けて
生
(
う
)
まれたものであるが、あれが一ばん
名高
(
なだか
)
くなって
居
(
お
)
ります……。』そう
言
(
い
)
われた
時
(
とき
)
には
大
(
たい
)
そうお
得意
(
とくい
)
の
御模様
(
おんもよう
)
が
見
(
み
)
えていました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「どうだえ、
博勞
(
ばくらう
)
うまく
打
(
ぶ
)
てたんべ、どつちも
依怙贔負
(
えこひいき
)
なしつち
處
(
とこ
)
だ」
相手
(
あひて
)
は
得意
(
とくい
)
に
成
(
な
)
つて
云
(
い
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
老人はその
曲
(
きょく
)
を
弾
(
ひ
)
いた。——クリストフは
祖父
(
そふ
)
と一しょに
作曲
(
さっきょく
)
したことが、ひどく
得意
(
とくい
)
だった。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
『それ、
其處
(
そこ
)
に!』と
云
(
い
)
つて
王樣
(
わうさま
)
は、
洋卓
(
テーブル
)
の
上
(
うへ
)
の
栗饅頭
(
くりまんぢう
)
を
指
(
ゆびさ
)
しながら、
得意
(
とくい
)
げに
申
(
まを
)
されました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
好
(
す
)
きこそ
物
(
もの
)
の
上手
(
じやうず
)
とやらで、
自分
(
じぶん
)
も
他
(
た
)
の
學課
(
がくゝわ
)
の
中
(
うち
)
畫
(
ゑ
)
では
同級生
(
どうきふせい
)
の
中
(
うち
)
自分
(
じぶん
)
に
及
(
およ
)
ぶものがない。
畫
(
ゑ
)
と
數學
(
すうがく
)
となら、
憚
(
はゞか
)
りながら
誰
(
たれ
)
でも
來
(
こ
)
いなんて、
自分
(
じぶん
)
も
大
(
おほい
)
に
得意
(
とくい
)
がつて
居
(
ゐ
)
たのである。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
江戸歌舞伎
(
えどかぶき
)
の
荒事
(
あらごと
)
と
共
(
とも
)
に、八百八
町
(
ちょう
)
の
老若男女
(
ろうにゃくなんにょ
)
が、
得意中
(
とくいちゅう
)
の
得意
(
とくい
)
とするところであった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
加へけれども
驗
(
しる
)
しなきゆゑ茂兵衞の
枕元
(
まくらもと
)
へ金屋利兵衞を
始
(
はじ
)
め家内
殘
(
のこ
)
らず
呼集
(
よびあつ
)
め
我
(
われ
)
此度の
病氣全快
(
びやうきぜんくわい
)
覺束
(
おぼつか
)
なし因て江戸の
得意
(
とくい
)
を利兵衞殿へ
預
(
あづ
)
け申なり
悴
(
せがれ
)
吉三郎
成人迄
(
せいじんまで
)
何卒我が
得意先
(
とくいさき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
子犬は
得意
(
とくい
)
そうに尾を振りながら、こう白へ話しかけました。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
得
常用漢字
小5
部首:⼻
11画
意
常用漢字
小3
部首:⼼
13画
“得意”で始まる語句
得意先
得意場
得意顏
得意塲
得意氣
得意中
得意気
得意然
得意顔
得意満面