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半身
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はんしん
ふりがな文庫
“
半身
(
はんしん
)” の例文
白襯衣君が、肩を
聳
(
そび
)
やかして
突立
(
つった
)
って、窓から
半身
(
はんしん
)
を
乗出
(
のりだ
)
したと思うと、真赤な
洋傘
(
こうもり
)
が一本、矢のように窓からスポリと
飛込
(
とびこ
)
んだ。
甲乙
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼は土の下で
腐乱
(
ふらん
)
しきった妻の死体を想像した。いまの雨に、その
半身
(
はんしん
)
が流れ出されて、土の上に出ているかもしれないと思った。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
昼は
蓬莱山
(
ほうらいさん
)
の絵ともみえた
竹生島
(
ちくぶしま
)
が、いまは湖水から
半身
(
はんしん
)
だしている
巨魔
(
きょま
)
のごとく、松ふく風は、その息かと思われてものすごい。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寤寐
(
ごび
)
にも
離
(
はな
)
れず
起居
(
ききよ
)
にも
忘
(
わす
)
れぬ
我
(
わ
)
が
後來
(
のち/\
)
の
半身
(
はんしん
)
二世
(
にせ
)
の
妻
(
つま
)
新田
(
につた
)
が
娘
(
むすめ
)
のお
高
(
たか
)
なり、
芳之助
(
よしのすけ
)
はそれと
見
(
み
)
るより
何思
(
なにおも
)
ひけん
前後
(
ぜんご
)
無差別
(
むしやべつ
)
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
輕氣球
(
けいききゆう
)
の
上
(
うへ
)
では、
忽
(
たちま
)
ち
吾等
(
われら
)
の
所在
(
ありか
)
を
見出
(
みいだ
)
したと
見
(
み
)
へ、
搖藍
(
ゆれかご
)
の
中
(
なか
)
から
誰人
(
たれ
)
かの
半身
(
はんしん
)
が
現
(
あら
)
はれて、
白
(
しろ
)
い
手巾
(
ハンカチーフ
)
が、
右
(
みぎ
)
と、
左
(
ひだり
)
にフーラ/\と
動
(
うご
)
いた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
▼ もっと見る
と
彼
(
か
)
の士が大刀の
※
(
つか
)
へ手を掛けて詰め寄りますから、文治は
半身
(
はんしん
)
下
(
さが
)
って身構えを致しましたが、
一寸
(
ちょっと
)
一
(
ひ
)
と息
吐
(
つ
)
きまして
直
(
すぐ
)
に
後
(
あと
)
を申し上げます。
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
に
半身
(
はんしん
)
を
沒
(
ぼつ
)
して、
二人
(
ふたり
)
はいひ
爭
(
あらそ
)
つてゐた。
男
(
をとこ
)
は
激
(
はげ
)
しく
何
(
なに
)
かいひながら、
搖
(
ゆ
)
すぶるやうに
女
(
をんな
)
の
肩
(
かた
)
を
幾度
(
いくど
)
も
小突
(
こづ
)
いた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
何分
(
なにぶん
)
にも
呼吸
(
いき
)
が詰まるような心持で、
終局
(
しまい
)
には眼が
眩
(
くら
)
んで来たから、
兎
(
と
)
にかく一方の
硝子
(
ガラス
)
窓をあけて、それから
半身
(
はんしん
)
を外に出して、
先
(
ま
)
ずほっと一息ついた。
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼は
半身
(
はんしん
)
を起すように体を
俯向
(
うつむ
)
けにして顔をあげた。八畳ばかりの何も置いてない
室
(
へや
)
ががらんとしている。
指環
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
盡し
神佛
(
かみほとけ
)
へも祈りしかど其
驗
(
しるし
)
も
甞
(
かつ
)
てなく後には
半身
(
はんしん
)
叶はず腰も立ねば三度の
食
(
しよく
)
さへ人手を
借
(
かり
)
るほどなれどもお菊は少しも怠らず晝は
終日
(
ひねもす
)
賃仕事
(
ちんしごと
)
或ひは
注
(
すゝ
)
ぎ
洗濯
(
せんたく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
夫
(
をつと
)
は
簑笠
(
みのかさ
)
を吹とられ、
妻
(
つま
)
は
帽子
(
ばうし
)
を
吹
(
ふき
)
ちぎられ、
髪
(
かみ
)
も吹みだされ、
咄嗟
(
あはや
)
といふ
間
(
ま
)
に
眼口
(
めくち
)
襟袖
(
えりそで
)
はさら也、
裾
(
すそ
)
へも雪を吹いれ、
全身
(
ぜんしん
)
凍
(
こゞえ
)
呼吸
(
こきう
)
迫
(
せま
)
り
半身
(
はんしん
)
は
已
(
すで
)
に雪に
埋
(
う
)
められしが
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
窓
(
まど
)
から
半身
(
はんしん
)
を
乘
(
の
)
り
出
(
だ
)
してゐた
例
(
れい
)
の
娘
(
むすめ
)
が、あの
霜燒
(
しもや
)
けの
手
(
て
)
をつとのばして、
勢
(
いきほひ
)
よく
左右
(
さいう
)
に
振
(
ふ
)
つたと
思
(
おも
)
ふと、
忽
(
たちま
)
ち
心
(
こころ
)
を
躍
(
をど
)
らすばかり
暖
(
あたたか
)
な
日
(
ひ
)
の
色
(
いろ
)
に
染
(
そ
)
まつてゐる
蜜柑
(
みかん
)
が
凡
(
およ
)
そ
五
(
いつ
)
つ
六
(
むつ
)
つ
蜜柑
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本舞台いつもの処に置かれたる
格子戸
(
こうしど
)
は恋人を見送る娘をして
半身
(
はんしん
)
をこれに
倚
(
よ
)
らしめ、
以
(
もっ
)
て
艶麗
(
えんれい
)
なる風姿に無限の余情を添へしめ、忠臣義士が決然
家
(
いえ
)
を捨てて難に
赴
(
おもむ
)
かんとする時
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
今、此の海の何處かで、
半身
(
はんしん
)
を
生温
(
なまぬる
)
い水の上に乘出したトリイトンが嚠喨と貝殼を吹いてゐる。何處か、此の晴れ渡つた空の下で、薔薇色の泡からアフロディテが生れかかつてゐる。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(旧字旧仮名)
/
中島敦
(著)
其所
(
そこ
)
には
廿歳
(
はたち
)
位の女の
半身
(
はんしん
)
がある。代助は
眼
(
め
)
を俯せて
凝
(
じつ
)
と女の顔を見詰めてゐた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたし
)
はそれに
從
(
したが
)
はないではゐられなかつた。
手
(
て
)
をのべて、しかしなか/\
屆
(
とゞ
)
きさうもなかつたので
半身
(
はんしん
)
を
乘
(
の
)
り
出
(
だ
)
して、それでも
駄目
(
だめ
)
だつたのでたうとう
起
(
お
)
き
上
(
あが
)
つてまで、
障子
(
しやうじ
)
を
左右
(
さいう
)
に
開
(
ひら
)
いた。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
俄
(
にわか
)
に
音
(
ね
)
を
張
(
は
)
る
鈴虫
(
すずむし
)
に、
浴衣
(
ゆかた
)
を
肩
(
かた
)
から
滑
(
すべ
)
らせたまま、
半身
(
はんしん
)
を
縁先
(
えんさき
)
へ
乗
(
の
)
りだした。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
妻
(
つま
)
には
死
(
し
)
に
別
(
わか
)
れ、
頼
(
たよ
)
りとする
子供
(
こども
)
も、また
病気
(
びょうき
)
でなくなり、
私
(
わたし
)
は、
中風
(
ちゅうふう
)
の
気味
(
きみ
)
で、
半身
(
はんしん
)
がよくきかなくなりましたので、
働
(
はたら
)
くにも
働
(
はたら
)
かれず、たとえ
番人
(
ばんにん
)
にさえも
雇
(
やと
)
ってくれる
人
(
ひと
)
がありませんので
窓の下を通った男
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
半身
(
はんしん
)
だけを窓に出し
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
その
群集
(
ぐんしゅう
)
のなかに立って、かれの
挙動
(
きょどう
)
を
凝視
(
ぎょうし
)
しているふたりの
浪人
(
ろうにん
)
——
深編笠
(
ふかあみがさ
)
に
眉
(
まゆ
)
をかくした者の
半身
(
はんしん
)
すがたがまじって見えた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と
怒鳴
(
どな
)
つて、
笠
(
かさ
)
を
拂
(
はら
)
つて、むつくりと
半身
(
はんしん
)
起上
(
おきあが
)
つて、
透
(
す
)
かして
見
(
み
)
ると、
何
(
なに
)
も
居
(
を
)
らぬ。
其
(
そ
)
の
癖
(
くせ
)
、
四邊
(
あたり
)
にかくれるほどな、
葉
(
は
)
の
伸
(
の
)
びた
草
(
くさ
)
の
影
(
かげ
)
もない。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
急
(
いそ
)
ぎ
其方
(
そなた
)
を
見
(
み
)
ると
少年
(
せうねん
)
は、
今
(
いま
)
の
聲
(
こゑ
)
に
驚
(
おどろ
)
き
目醒
(
めざ
)
め、むつと
起
(
お
)
きて、
半身
(
はんしん
)
を
端艇
(
たんてい
)
の
外
(
そと
)
へ
出
(
だ
)
したが、
忽
(
たちま
)
ち
驚
(
おどろ
)
き
悦
(
よろこび
)
の
聲
(
こゑ
)
で
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
神経の
所為
(
せい
)
か知らぬが今夜も何だか頭の重いような、胸の切ないような、云うに云われぬ嫌な気持になって、思わず
半身
(
はんしん
)
を
起
(
おこ
)
そうとする折こそあれ、
闇
(
くら
)
い、
闇
(
くら
)
い
画工と幽霊
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
ましてや
往来
(
ゆきゝ
)
の人は
通身
(
みうち
)
雪に
射
(
いら
)
れて
少時
(
すこしのま
)
に
半身
(
はんしん
)
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うづめら
)
れて
凍死
(
こゞえし
)
する㕝、まへにもいへるがごとし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
玉太郎は、ベットの上に
半身
(
はんしん
)
を起した。そのときだった。彼はポチのほえる声を、たしかに耳にしたと思った。しかしそれは、遠くの方で聞えた。どこであるか分らない。
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこには洋館の入口の扉を半ば開けて
島田髷
(
しまだまげ
)
の女が
半身
(
はんしん
)
を
露
(
あら
)
わしていた。それは
昨夜
(
ゆうべ
)
飲み物を
搬
(
はこ
)
んで来た女であった。謙作は
昨夜
(
ゆうべ
)
の家の前に帰っていることに気が
注
(
つ
)
いた。
港の妖婦
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
今、この海の
何処
(
どこ
)
かで、
半身
(
はんしん
)
を
生温
(
なまぬる
)
い水の上に乗出したトリイトンが
嚠喨
(
りゅうりょう
)
と貝殻を吹いている。何処か、この晴れ渡った空の下で、
薔薇
(
ばら
)
色の泡からアフロディテが生れかかっている。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
今世
(
こんせ
)
の
主君
(
きみ
)
にも
未來
(
みらい
)
の
主君
(
きみ
)
にも、
忠節
(
ちうせつ
)
のほど
顯
(
あら
)
はしたし、
然
(
し
)
かはあれど
氣遣
(
きづか
)
はしきは
言葉
(
ことば
)
たくみに
誠
(
まこと
)
少
(
す
)
くなきが
今
(
いま
)
の
世
(
よ
)
の
常
(
つね
)
と
聞
(
き
)
く、
誰人
(
たれびと
)
か
至信
(
ししん
)
に
誠實
(
せいじつ
)
に、
我
(
わ
)
が
愛敬
(
けいあい
)
する
主君
(
きみ
)
の
半身
(
はんしん
)
となりて
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
再び刀を
杖
(
つえ
)
に
半身
(
はんしん
)
を屋根の方へ突出してよくよく見れば、消えようとして更に
明
(
あか
)
く
頻
(
しきり
)
と
瞬
(
またた
)
きする石燈籠の
火影
(
ほかげ
)
にそれは誰あろう、先ほど湯呑に都鳥の菓子を持添えて来たかのお園ではないか。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
障子
(
しょうじ
)
を
漏
(
も
)
れる
光
(
ひかり
)
さえない
部屋
(
へや
)
の
中
(
なか
)
は、
僅
(
わず
)
かに
隣
(
となり
)
から
差
(
さ
)
す
行燈
(
あんどん
)
の
方影
(
かたかげ
)
に、
二人
(
ふたり
)
の
半身
(
はんしん
)
を
淡
(
あわ
)
く
見
(
み
)
せているばかり、三
年
(
ねん
)
振
(
ぶ
)
りで
向
(
む
)
き
合
(
あ
)
った
兄
(
あに
)
の
顔
(
かお
)
も、おせんははっきり
見極
(
みきわ
)
めることが
出来
(
でき
)
なかった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
片足を
瓔珞
(
ようらく
)
の
鈴環
(
れいかん
)
にかけ、そろそろと手をのばして、屋根の
青銅瓦
(
せいどうがわら
)
に
半身
(
はんしん
)
ほど乗りだしたところで、
小文治
(
こぶんじ
)
のさしだした
槍
(
やり
)
をつかんでやる。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
双
(
さう
)
の
玉
(
たま
)
の
乳房
(
ちぶさ
)
にも、
糸一条
(
いとひとすぢ
)
の
綾
(
あや
)
も
残
(
のこ
)
さず、
小脇
(
こわき
)
に
抱
(
いだ
)
くや、
此
(
こ
)
の
彫刻家
(
てうこくか
)
の
半身
(
はんしん
)
は、
霞
(
かすみ
)
のまゝに
山椿
(
やまつばき
)
の
炎
(
ほのほ
)
が
𤏋
(
ぱつ
)
と
搦
(
から
)
んだ
風情
(
ふぜい
)
。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ましてや
往来
(
ゆきゝ
)
の人は
通身
(
みうち
)
雪に
射
(
いら
)
れて
少時
(
すこしのま
)
に
半身
(
はんしん
)
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うづめら
)
れて
凍死
(
こゞえし
)
する㕝、まへにもいへるがごとし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
それには枝に
後半身
(
こうはんしん
)
を巻きつけた
鼠
(
ねずみ
)
色の
縞蛇
(
しまへび
)
の
丈
(
たけ
)
の一
間
(
けん
)
位もありそうなのが
半身
(
はんしん
)
を
躍
(
おど
)
りあがるように宙に浮かしながら、武士の眼の前に鎌首をもったてて赤い舌を見せていた。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
車から降りる時、
歩哨
(
ほしょう
)
の大きい声が
襲
(
おそ
)
いかかって来ました。見ると
半身
(
はんしん
)
を衛門の上に輝く
煌々
(
こうこう
)
たる門灯に照し出された歩哨が、剣付銃をこっちへ向けて身構えをしていました。
壊れたバリコン
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
恐
(
おそ
)
る/\
搖籃
(
ゆれかご
)
から
半身
(
はんしん
)
を
現
(
あら
)
はして
下界
(
げかい
)
を
見
(
み
)
ると、
今
(
いま
)
は
何處
(
いづこ
)
の
空
(
そら
)
に
吹流
(
ふきなが
)
されたものやら、
西
(
にし
)
も
東
(
ひがし
)
も
方角
(
ほうがく
)
さへ
分
(
わか
)
らぬ
程
(
ほど
)
だが、
身
(
み
)
は
矢張
(
やはり
)
渺々
(
べう/\
)
たる
大海原
(
おほうなばら
)
の
天空
(
てんくう
)
に
飛揚
(
ひやう
)
して
居
(
を
)
るのであつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
お葉は
愈
(
いよい
)
よ驚いて、縁から
半身
(
はんしん
)
乗出
(
のりだ
)
した。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
やや暫し、
芦
(
あし
)
の洲に
半身
(
はんしん
)
を没して、じっと行手を見定めていたが、何思ったか、俄かに芦を
掻
(
か
)
き分けて走りだした。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
肩
(
かた
)
を
細
(
ほそ
)
く、
片袖
(
かたそで
)
をなよ/\と
胸
(
むね
)
につけた、
風通
(
かぜとほ
)
しの
南
(
みなみ
)
へ
背
(
せ
)
を
向
(
む
)
けた
背後姿
(
うしろすがた
)
の、
腰
(
こし
)
のあたりまで
仄
(
ほのか
)
に
見
(
み
)
える、
敷居
(
しきゐ
)
に
掛
(
か
)
けた
半身
(
はんしん
)
で
帶
(
おび
)
と
髮
(
かみ
)
のみ
艷
(
あで
)
やかに
黒
(
くろ
)
い。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
二人は
裏通
(
うらどおり
)
に出て左の方へ五六
間
(
けん
)
戻ったが、黒い裏門らしい扉をあけて山西の姿が
前
(
さき
)
にかくれた。女は
半身
(
はんしん
)
を入れて門の扉を締めながら、白い小さな顔を岩本の方へ見せて隠れた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
和尚なだれに
押落
(
おしおと
)
され池に入るべきを、なだれの
勢
(
いきほ
)
ひに
身
(
み
)
は
手鞠
(
てまり
)
のごとく池をもはねこえて
掘揚
(
ほりあげ
)
たる雪に
半身
(
はんしん
)
を
埋
(
うづ
)
められ、あとさけびたるこゑに
庫裏
(
くり
)
の雪をほりゐたるしもべら
馳
(
はせ
)
きたり
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
とつぜんハルクは、
半身
(
はんしん
)
をおこすと、竹見の手から、ナイフをうばった。が、ナイフをうばったというだけのことだ。そのまま、また
土間
(
どま
)
にかおを伏せて、うんうんと、高くうなりだした。
火薬船
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
小菊を一束、寒中の事ゆえ花屋の
室
(
むろ
)
のかこいですな——仏壇へお供えなさるのを、片手に、
半身
(
はんしん
)
で立ちなすった、
浅葱
(
あさぎ
)
の半襟で、横顔が、伏目は、特にお優しい。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「寒い、寒い、えらい目にあったよ」女房は寒そうにびしょぬれの傘の
頭
(
かしら
)
を
掴
(
つか
)
んで入って来たが、蒲団をはね
除
(
の
)
けて
半身
(
はんしん
)
を起した主翁を見つけると、「ほんとに恐がりねえ、恥かしくはないの」
黄灯
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
いまにも
遙
(
はるか
)
な
石壇
(
いしだん
)
へ、
面長
(
おもなが
)
な、
白
(
しろ
)
い
顏
(
かほ
)
、
褄
(
つま
)
の
細
(
ほそ
)
いのが
駈上
(
かけあが
)
らうかと
且
(
か
)
つ
危
(
あやぶ
)
み、
且
(
か
)
つ
苛
(
いら
)
ち、
且
(
か
)
つ
焦
(
じ
)
れて、
窓
(
まど
)
から
半身
(
はんしん
)
を
乘
(
の
)
り
出
(
だ
)
して
居
(
ゐ
)
た
私
(
わたし
)
たちに、
慇懃
(
いんぎん
)
に
然
(
さ
)
う
言
(
い
)
つてくれた。
雨ふり
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と、
半身
(
はんしん
)
を斜めにして、
溢
(
あふ
)
れかゝる水の
一筋
(
ひとすじ
)
を、
玉
(
たま
)
の
雫
(
しずく
)
に、
颯
(
さっ
)
と散らして、赤く燃ゆるやうな唇に
請
(
う
)
けた。ちやうど渇いても居たし、水の
潔
(
きよ
)
い事を見たのは言ふまでもない。
伯爵の釵
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
目
(
め
)
一
(
ひと
)
つ
抉
(
えぐ
)
られては
半身
(
はんしん
)
をけづり
去
(
さ
)
られたも
同
(
おな
)
じ
事
(
こと
)
、
是
(
これ
)
がために、
第一
(
だいいち
)
の
作
(
さく
)
は
不用
(
ふよう
)
に
帰
(
き
)
した。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「いけ
可煩
(
うるせ
)
え
畜生
(
ちくしやう
)
ぢやねえか、
畜生
(
ちくしやう
)
!」と、
怒鳴
(
どな
)
つて、
笠
(
かさ
)
を
拂
(
はら
)
つてむつくりと
半身
(
はんしん
)
起上
(
おきあが
)
つて、
透
(
す
)
かして
見
(
み
)
ると
何
(
なに
)
も
居
(
を
)
らぬ。
其
(
そ
)
の
癖
(
くせ
)
四邊
(
あたり
)
にかくれるほどな、
葉
(
は
)
の
伸
(
の
)
びた
草
(
くさ
)
の
影
(
かげ
)
もなかつた。
二た面
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
おなじ
半帕
(
ハンケチ
)
でも、
金澤
(
かなざは
)
の
貸本屋
(
かしほんや
)
の
若妻
(
わかづま
)
と
云
(
い
)
ふのが、
店口
(
みせぐち
)
の
暖簾
(
のれん
)
を
肩
(
かた
)
で
分
(
わ
)
けた
半身
(
はんしん
)
で、でれりと
坐
(
すわ
)
つて、いつも
半帕
(
ハンケチ
)
を
口
(
くち
)
に
啣
(
くは
)
へて、うつむいて
見
(
み
)
せた
圖
(
づ
)
は、
永洗
(
えいせん
)
の
口繪
(
くちゑ
)
の
艷冶
(
えんや
)
の
態
(
てい
)
を
眞似
(
まね
)
て
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
濡
(
ぬ
)
れた手を
間近
(
まぢか
)
な柳の幹にかけて
半身
(
はんしん
)
を出した、お品は与吉を見て
微笑
(
ほほえ
)
んだ。
三尺角
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
半
常用漢字
小2
部首:⼗
5画
身
常用漢字
小3
部首:⾝
7画
“半身”で始まる語句
半身像
半身分
半身魔
半身不随