もつ)” の例文
此大勢このたいせいもつ推算すゐさんすると、朝鮮てうせん臺灣等たいわんとう輸入超過ゆにふてうくわ合算がつさんしても、年末迄ねんまつまでには一おく六七千萬圓まんゑん大凡おほよそ豫想よさういたのであつた。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
けら殿どのを、ほとけさんむし馬追蟲うまおひむしを、鳴聲なきごゑでスイチヨとぶ。鹽買蜻蛉しほがひとんぼ味噌買蜻蛉みそがひとんぼ考證かうしようおよばず、色合いろあひもつ子供衆こどもしう御存ごぞんじならん。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
地震計ぢしんけいもつ觀察かんさつすると、かういふ地下ちかはたらきの所在地しよざいちわかるから、それからして岩漿がんしよう貯藏ちよぞうされてゐる場所ばしよふかさが想像そう/″\せられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
で、高等かうとうればしたがつてよりつよ勢力せいりよくもつて、實際じつさい反應はんおうするのです。貴方あなた醫者いしやでおゐでて、如何どうして那麼譯こんなわけがおわかりにならんです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
たれたのんでころさせたるやおのれ三次に頼んでころさせたれば己れが手を下して殺せしよりなほもつ不屆ふとゞきなり又最前三次と突合せの節三次を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何故と云へば予は従来、公務の余暇よかもつて創作に従事し得る——或は創作の余暇を以て公務に従事し得る恩典に浴してゐたからである。
入社の辞 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
おなしきおなもんうりふたツの類型土器るゐけいどき各地かくちからるのである。それすうからかんがへても、大仕掛おほじかけもつ土器どき製造せいざうしたとへる。
ところ厚利こうりづるものなるに、これくに名高めいかうもつてせば、すなは無心むしんにして事情じじやうとほしとせられ、かなら(六三)をさめられざらん。
冷静れいせいなる社会的しやくわいてきもつれば、ひとしく之れ土居どきよして土食どしよくする一ツあな蚯蚓みゝず蝤蠐おけらともがらなればいづれをたかしとしいづれをひくしとなさん。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
むまじき事なりおとろふまじき事なりおとろへたる小生等せうせいらが骨は、人知ひとしらぬもつて、人知ひとしらぬたのしみと致候迄いたしそろまで次第しだいまるく曲りくものにそろ
もゝはがき (新字旧仮名) / 斎藤緑雨(著)
卯平うへいくぼんだしかめるやうにした。勘次かんじ放心うつかりした自分じぶんふところものうばはれたほど驚愕きやうがく不快ふくわいとのもつ卯平うへいとおつたとをた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
衆と共に仕事をされる場合には小酒井さんは身をもつってひきいました。ですから自然と衆人が小酒井さんを頭目の位置に据えてしまいました。
小酒井さんのことども (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
拝啓、夫人よ、あなたがアンナル誌にお書きに成つた「仏蘭西フランスに於る第一印象」を深い注意と新しい興味とをもつて拝読しました。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
上方から來て江戸を荒した天滿の七之助一味のお白洲しらすが明日開く筈で、笹野の旦那が何彼と前もつて打合せて置き度いと仰しやつて居たんだ。
新渡戸にとべ博士は婦人雑誌の原稿をかく時には、細君の同意をるやうな考へしか書かないさうだが、もつてのほかの不了見である。
夏目漱石氏の「幻のたて」の中にもゴーゴンの頭に似た夜叉の顔の盾の表にきざまれてある有様が艶麗えんれいの筆をもつて写されてある。
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
父はしばらく三稜鏡をいぢつてゐたが、ふとそれもつて炉の火をのぞいた。すると意外にも炉の炎がやはり七つの綾になつて見える。
念珠集 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
如何にしてこの目的を達すべき。顧みれば、わが見証の意識の、超絶駭絶がいぜつにして幽玄深奥なる、到底思議言説のもつて加ふべきものなからむとす。
予が見神の実験 (新字旧仮名) / 綱島梁川(著)
もつて、あゝ云ふ世界を頭から拒絶してしまふのは、むしろあゝ云ふものに敗ける事だよ。その点では僕はもつと勇敢だ。僕はこれからダンスを始めるよ。
私の社交ダンス (新字旧仮名) / 久米正雄(著)
以上いじやう略述りやくじゆつしたごとく、日本家屋にほんかをく木造もくざうもつ出發しゆつぱつし、木造もくざうもつ發達はつたつしたのは、國土こくど特産とくさんする豊富ほうふなる木材もくざいのためであつて、地震ぢしんためではない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
然り、何れの時代にも或一種の預言者あることを疑はざれば、我は文士をもつて最も勢力ある預言者と見るの他なきなり。
徳川氏時代の平民的理想 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
そして、先生せんせいた、一心不亂いつしんふらん此精神このせいしんもつ兒童じどうみちびき、何時いつたのしげにえ、何時いつ其顏そのかほ希望きばうかゞやいてました。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
しかり、海底潜行艇かいていせんかうてい一種いつしゆには相違さうゐないが、しかわたくしたんこの軍艇ぐんていをば潜行艇せんかうていぶのみをもつては滿足まんぞくしない、なにとなれば現今げんこん歐米諸國をうべいしよこく發明家等はつめいから
『否、小子それがしこと色に迷はず、にも醉はず、しんもつて戀でもなく浮氣でもなし、只〻少しく心に誓ひし仔細の候へば』。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
隆三は恩人に報ゆるにその短き生時せいじもつあきたらず思ひければ、とかくはその忘形見を天晴あつぱれ人と成して、彼の一日も忘れざりし志を継がんとせるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
綱宗は不行迹ふぎやうせきかどもつて、七月十三日にに逼塞ひつそくを命ぜられて、芝浜しばはまの屋敷から品川にうつつた。芝浜の屋敷は今の新橋停車場の真中程まんなかほどであつたさうである。
椙原品 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
ゆゑに家毎いへごとこのながれもつ井水ゐすゐかはりとし、しかもをけにてもくむべきながれなれば、平日の便利べんり井戸よりもはるかにまされり。
那智山に代ゆるに白岩をもつてし、雲取妙法の二山と共に三峰と称したものであると推定して誤りはない様である。
二、三の山名について (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
大抵たいてい五十年ごじふねんさだまつたいのち相場さうば黄金こがねもつくるはせるわけにはかず、花降はなふがくきこえて紫雲しうん來迎らいがうするあかつきには代人料だいにんれうにてこと調とゝのはずとはたれもかねてれたるはなし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
帝国議会ハ明治二十三年ヲもつこれヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノトスヘシ
大日本帝国憲法 (旧字旧仮名) / 日本国(著)
註—— Une dentelle s'abolit の句をもつて起るマラルメの難解詩を譯してみた。
薄紗の帳 (旧字旧仮名) / ステファヌ・マラルメ(著)
主人しゆじん宗助そうすけもつてある程度ていど鑑賞家かんしやうか誤解ごかいした。ちながら屏風びやうぶふちけて、宗助そうすけおもて屏風びやうぶおもてとを比較ひかくしてゐたが、宗助そうすけ容易ようい批評ひひやうくださないので
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
數十年前すうじふねんぜんよりおこなれる灌水くわんすゐは、北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじいへどおこたりたることあらず。このにはいま井戸ゐどなきをもつて、斗滿川とまむがはりておこなへり(飮用水いんようすゐこのかはみづもちゆ)
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
僕はどの程度の乱暴をしたか、それは知らないんだが、大体としては私は、手をもつて人を打ち、人の器物を破壊し、人の体に怪我をさせるといふことは大変好かない。
椎の若葉 (新字旧仮名) / 葛西善蔵(著)
いま筆法ひつはふもつ日本國内にほんこくない政治せいぢ改造かいざうせよとせまるものがあつたら、きみは一たいどうするつもりだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
それに大概たいがいうでよりもより以上いじやうくち達者たつしや面面めんめんおほいのだからその騷々さう/″\しさももつさつすべきである。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
もつての外だ。今は絶対の安静が必要だと、つい先日も手紙で云つたばかりぢやありませんか」
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
かの石棒をもつて古史に所謂いはゆるイシツツイなりと爲すがごときは遺物發見はつけんの状况に重みをかざる人のせつにして、苟も石器時代遺跡せききじだいゐせきの何たるを知る者は决して同意どういせざる所ならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
「けれども……、」と友はすこかんがへて、「僕等はとても勞働者をもつ滿足まんぞくすることは出來できない。 ...
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
した徉徜さまよつてると何處どこともなくッとこゑがしたので、おもはずあいちやんは後退あとじさりしました、ト一おほきなはとかほびついて、つばさもつはげしくあいちやんをちました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
同時に世間に利益を与へる事をもつもつとも近代的な、また最も賢明なる事業と考へて居る。
翻訳製造株式会社 (新字旧仮名) / 戸川秋骨(著)
内容は正しく固有のものであっても、称呼はそれぞれの入用の時をもつて始まり、それが一処一人の制定に基づかぬという点は、近世舶載はくさいの商品なども異なる所はないはずである。
やゝ待ちあぐみたる会員は急霰きふさんの如き拍手をもつて温厚なる浦和議長を迎へたり、議長はおもむろに開会の辞を宣して、今や書記をして今夜の議案を朗読せしめんとする時「議長ツ」と
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
これまではなんの気もなく母親からもまた伯父をぢ自身の口からも度々たび/\聞かされてゐた伯父をぢ放蕩三昧はうたうざんまいの経歴が恋の苦痛を知りめた長吉ちやうきちの心にはすべて新しいなにかの意味をもつて解釈されはじめた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
これなんでも下婢かひ下男げなん窃取くすねるに相違さうゐない、一ばん計略はかりごともつためしてやらう。
みぎごと大陽暦たいやうれき日輪にちりん地球ちきうとをてらあはせて其互そのたがひ釣合つりあところもつて一年の日數ひかずさだめたるものゆへ、春夏秋冬しゆんかしうとう寒暖かんだん毎年まいとしことなることなく何月何日なんぐわつなんにちといへば丁度ちやうど去年きよねん其日そのひおな時候じこうにて
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
あるひはさうかも知れないね。実際、あの亀がお前を背に乗せて、水面まで上がつたからこそ、下から鱶に襲はれないですんだのだ。いつてみりやあの亀は身をもつて、鱶からお前をまもつてくれたんだ。
動く海底 (新字旧仮名) / 宮原晃一郎(著)
まへもつまもらねばならぬ前衛ぜんゑいむねに、お前の銃剣じうけんとき
偉大な情𤍠じやうねつおそろしい直覚とをもつ
晶子詩篇全集 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
さいはひ非常ひじやうなる同情どうじやう好意かういもつて一億圓おくゑんのクレデイツトの設定せつていをすることが出來できたことは、日本にほん財界ざいかいつて此上このうへもなき次第しだいである。
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)