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無事
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ぶじ
ふりがな文庫
“
無事
(
ぶじ
)” の例文
「
私
(
わたし
)
が、お
約束
(
やくそく
)
をいたします。
勇
(
いさ
)
ましい、
遠
(
とお
)
い
船出
(
ふなで
)
から、あなたのお
帰
(
かえ
)
りなさる
日
(
ひ
)
を、
氏神
(
かみさま
)
にご
無事
(
ぶじ
)
を
祈
(
いの
)
って、お
待
(
ま
)
ちしています。」
海のまぼろし
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
でもまあ
無事
(
ぶじ
)
でよかつた。
人間
(
にんげん
)
め! もうどれほど
俺達
(
おれたち
)
の
仲間
(
なかま
)
を
殺
(
ころ
)
しやがつたか。これを
不倶戴天
(
ふぐたいてん
)
の
敵
(
てき
)
とゆはねえで、
何
(
なに
)
を
言
(
ゆ
)
ふんだ。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
私
(
わたし
)
は
襟
(
ゑり
)
を
被
(
かぶ
)
つて
耳
(
みゝ
)
を
塞
(
ふさ
)
いだ!
誰
(
だれ
)
が
無事
(
ぶじ
)
だ、と
知
(
し
)
らせて
来
(
き
)
ても、
最
(
も
)
う
聞
(
き
)
くまい、と
拗
(
す
)
ねたやうに……
勿論
(
もちろん
)
、
何
(
なん
)
とも
言
(
い
)
つては
来
(
き
)
ません。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
さて
最初
(
さいしょ
)
地上
(
ちじょう
)
に
生
(
うま
)
れ
出
(
い
)
でた
一人
(
ひとり
)
の
幼児
(
おさなご
)
——
無論
(
むろん
)
それは
力
(
ちから
)
も
弱
(
よわ
)
く、
智慧
(
ちえ
)
もとぼしく、そのままで
無事
(
ぶじ
)
に
生長
(
せいちょう
)
し
得
(
う
)
る
筈
(
はず
)
はございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
このぶんで今年の冬を
無事
(
ぶじ
)
に経過し得ればたしかなものだと、人もそう思い自分もそう思うた。けれどもこれは
空頼
(
そらだの
)
みであった。
廃める
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
▼ もっと見る
そしてその竹童も、
無事
(
ぶじ
)
にこの
館
(
たち
)
をやぶって
逃
(
に
)
げのびたと
卜斎
(
ぼくさい
)
に
聞
(
き
)
いて、
敵
(
てき
)
でも
味方
(
みかた
)
でもないが、なんとなくうれしくおぼえた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
造船所
(
ざうせんじよ
)
内
(
ない
)
の
一部
(
いちぶ
)
に
貯藏
(
ちよぞう
)
されてあつたのだが、あゝ、
昨夜
(
さくや
)
の
大海嘯
(
おほつなみ
)
では
其
(
その
)
一個
(
いつこ
)
も
無事
(
ぶじ
)
では
居
(
を
)
るまい、イヤ、
决
(
けつ
)
して
無事
(
ぶじ
)
で
居
(
を
)
る
筈
(
はづ
)
はありません。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「あのやばん人どもは、だれだって見つかりしだい、殺してたべてしまうのです。
無事
(
ぶじ
)
ににげ出して来たのは、きっとあなた一人でしょう。」
アラビヤンナイト:04 四、船乗シンドバッド
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
それは、新吉が、ファットマンの鼻の上から
無事
(
ぶじ
)
に下へ下りたとき、
例
(
れい
)
の
団長
(
だんちょう
)
がいきなり
飛
(
と
)
んで来て、新吉の
横面
(
よこつら
)
をぴしゃりとなぐったことでした。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
ところが、つかまえられる鳥よりは、つかまえられないで
無事
(
ぶじ
)
に天の川の
砂
(
すな
)
の上に
降
(
お
)
りるものの方が
多
(
おお
)
かったのです。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
次
(
つぎ
)
の
週間
(
しうかん
)
には、
小六
(
ころく
)
も
來
(
こ
)
ず、
佐伯
(
さへき
)
からの
音信
(
たより
)
もなく、
宗助
(
そうすけ
)
の
家庭
(
かてい
)
は
又
(
また
)
平日
(
へいじつ
)
の
無事
(
ぶじ
)
に
歸
(
かへ
)
つた。
夫婦
(
ふうふ
)
は
毎朝
(
まいあさ
)
露
(
つゆ
)
の
光
(
ひか
)
る
頃
(
ころ
)
起
(
お
)
きて、
美
(
うつく
)
しい
日
(
ひ
)
を
廂
(
ひさし
)
の
上
(
うへ
)
に
見
(
み
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
ロミオ なに、
無事
(
ぶじ
)
で、
勝誇
(
かちほこ
)
って? マーキューシオーが
殺
(
ころ
)
されたのに!
此上
(
このうへ
)
は
禮儀
(
れいぎ
)
も
寛大
(
くわんだい
)
も
天外
(
てんぐわい
)
に
抛
(
なげう
)
った。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
その年
閏
(
うるう
)
五月五日、
咸臨丸
(
かんりんまる
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
帰朝
(
きちょう
)
し、
艦
(
かん
)
の
浦賀
(
うらが
)
に
達
(
たっ
)
するや、予が家の
老僕
(
ろうぼく
)
迎
(
むかい
)
に
来
(
きた
)
りし時、先生
老僕
(
ろうぼく
)
に向い、
吾輩
(
わがはい
)
留守中
(
るすちゅう
)
江戸において何か
珍事
(
ちんじ
)
はなきやと。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
「そうか。じゃあかってにおし。わたしはただおまえさんのためにと思っただけだ。さようなら。
無事
(
ぶじ
)
で」
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
火災
(
かさい
)
さへなければ
無事
(
ぶじ
)
に
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
さるべきものまで
燒死
(
しようし
)
の
不幸
(
ふこう
)
を
見
(
み
)
るに
至
(
いた
)
るものが
多數
(
たすう
)
に
生
(
しよう
)
ずるからである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「ピストル」猟銃も亦
雨
(
あめ
)
に
湿
(
うる
)
うて
錆
(
さび
)
を生ぜる
贅物
(
ぜいぶつ
)
となり、唯帰途の一行
無事
(
ぶじ
)
の
祝砲
(
しゆくはう
)
に
代
(
か
)
はりしのみ。
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
すると
愛
(
あい
)
ちやんは
何
(
なん
)
と
思
(
おも
)
つたか一
生懸命
(
しやうけんめい
)
に
逃
(
に
)
げ
出
(
だ
)
して
忽
(
たちま
)
ち
欝蒼
(
こんもり
)
した
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
へ
無事
(
ぶじ
)
に
駈
(
か
)
け
込
(
こ
)
みました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
寺田屋には
無事
(
ぶじ
)
平穏
(
へいおん
)
な日々が流れて行ったが、やがて四、五年すると、西国方面の浪人たちがひそかにこの船宿に泊ってひそびそと、時にはあたり
憚
(
はば
)
からぬ大声を出して
蛍
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それにでえいち、あの
声
(
こえ
)
がいけやせん。おせんの
浴衣
(
ゆかた
)
が
肩
(
かた
)
から
滑
(
すべ
)
るのを、
見
(
み
)
ていなすったまでは
無事
(
ぶじ
)
でげしたが、さっと
脱
(
ぬ
)
いで
降
(
お
)
りると
同時
(
どうじ
)
に、きゃっと
聞
(
き
)
こえた
異様
(
いよう
)
な
音声
(
おんせい
)
。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
其
(
それ
)
とも
此様
(
こん
)
なのが
実際
(
じつさい
)
に
幸福
(
かうふく
)
なので、
私
(
わたし
)
の
考
(
かんが
)
へてゐた
事
(
こと
)
が、
分
(
ぶん
)
に
過
(
す
)
ぎたのかも
知
(
し
)
れぬ。が、これで一
生
(
しやう
)
続
(
つゞ
)
けば
先
(
まづ
)
無事
(
ぶじ
)
だ。
熱
(
あつ
)
くもなく
冷
(
つめた
)
くもなし、
此処
(
こゝ
)
らが
所謂
(
いはゆる
)
平温
(
へいおん
)
なのであらう。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
この風波にさらされて
発育
(
はついく
)
して来た末実りが、将来幸福に生きて行けるであろうか、今日までは
無事
(
ぶじ
)
らしく過ぎて来たが、親の方もかなり疲れて七つさがりになって来ているので
親は眺めて考えている
(新字新仮名)
/
金森徳次郎
(著)
おゝあのよく泣いて母を困らせた
伜
(
せがれ
)
はどうしたろう。あの小さな、かわゆいやつは
無事
(
ぶじ
)
に育っているだろうか。(間)もしや
清盛
(
きよもり
)
が。(ふるえる)いや、そんなことは決してない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
皆
(
みな
)
除
(
のぞき
)
ていさゝかも家内に
故障
(
さゝはり
)
なく平安
無事
(
ぶじ
)
なる者を
撰
(
えら
)
び、
神㕝
(
じんじ
)
の前の
朝
(
あけ
)
神主
沐浴斎戒
(
もくよくさいかい
)
し
斎服
(
さいふく
)
をつけて本社に
昇
(
のぼ
)
り、えらびたる人々の名をしるして
御鬮
(
みくじ
)
にあげ、
神慮
(
しんりよ
)
に
任
(
まかせ
)
て神使とす。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
雲助は
乘掛
(
のりかゝ
)
りつゝ打のめしたる
折
(
をり
)
からに昌次郎は歸り來り拔手も見せず雲助が
肩先
(
かたさき
)
深
(
ふか
)
く切付ればウンと
倒
(
たふ
)
れるを上臺は
漸々
(
やう/\
)
起上
(
おきあが
)
り一息ほつとつき親子三人は
顏
(
かほ
)
を見合せ互ひに
無事
(
ぶじ
)
を
悦
(
よろこ
)
びつゝ
頓
(
やが
)
て四傍を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
歩
(
ある
)
いて
通
(
とほ
)
る
旅人
(
たびびと
)
の
無事
(
ぶじ
)
を
祈
(
いの
)
るためには、
道祖神
(
だうそじん
)
を
祭
(
まつ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
眼裏
(
がんり
)
塵
(
ちり
)
あれば三界は
窄
(
せま
)
く、
心頭
(
しんとう
)
無事
(
ぶじ
)
なれば一
床
(
しょう
)
寛
(
かん
)
なり」
般若心経講義
(新字新仮名)
/
高神覚昇
(著)
どうかかうか、今月も
無事
(
ぶじ
)
に暮らしたりと
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「なに、
心配
(
しんぱい
)
することはない。きっと、
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かえ
)
ってくるから。」と、お
父
(
とう
)
さんは
答
(
こた
)
えて、いくらやめさせようとしてもだめでした。
青いランプ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
然
(
さ
)
うだ、
死
(
し
)
んだと
言
(
い
)
へば、
生死
(
いきしに
)
の
分
(
わか
)
らなかつた、お
前
(
まへ
)
の
無事
(
ぶじ
)
な
顔
(
かほ
)
を
見
(
み
)
た
嬉
(
うれ
)
しさに、
張詰
(
はりつ
)
めた
気
(
き
)
が
弛
(
ゆる
)
んで
落胆
(
がつかり
)
して、
其
(
それ
)
つ
切
(
きり
)
に
成
(
な
)
つたんだ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
無事
(
ぶじ
)
であつて
何
(
なに
)
よりじや。その
黒
(
くろ
)
い
大
(
おほ
)
きな
山
(
やま
)
とは、
鯨
(
くじら
)
ぢやつた。おそろしいこと、おそろしいこと、
聞
(
き
)
いただけでも
慄
(
ぞつ
)
とする」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
皇孫命様
(
こうそんのみことさま
)
、
竜神様
(
りゅうじんさま
)
、
又
(
また
)
産土神様
(
うぶすなかみさま
)
を
礼拝
(
らいはい
)
し、
今日
(
きょう
)
一
日
(
にち
)
の
任務
(
つとめ
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
勤
(
つと
)
めさせて
下
(
くだ
)
さいますようにと
祈願
(
きがん
)
を
籠
(
こ
)
めることにしました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
私
(
わたくし
)
は
何
(
な
)
んだか
心配
(
しんぱい
)
なんです、
稻妻
(
いなづま
)
がいくら
強
(
つよ
)
くつたつて、あの
澤山
(
たくさん
)
な
猛獸
(
まうじう
)
の
中
(
なか
)
を、
無事
(
ぶじ
)
に
海岸
(
かいがん
)
の
家
(
いへ
)
へ
歸
(
かへ
)
る
事
(
こと
)
が
出來
(
でき
)
ませうか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「——この
山城
(
やまじろ
)
は三
段
(
だん
)
郭
(
ぐるわ
)
、
奥
(
おく
)
の
砦
(
とりで
)
のものは
毒水
(
どくみず
)
をのんでたおれたにしろ、まだ八
合
(
ごう
)
目
(
め
)
の
外城
(
そとじろ
)
のものは、
無事
(
ぶじ
)
でなにも知らずにいるかも知れない」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
幸
(
さいはひ
)
に
火
(
ひ
)
も
小火
(
ぼや
)
のまゝで
消
(
け
)
し
止
(
と
)
め、
下敷
(
したじき
)
になつた
六十五名中
(
ろくじゆうごめいちゆう
)
、
五十八名
(
ごじゆうはちめい
)
は
無事
(
ぶじ
)
に
助
(
たす
)
け
出
(
だ
)
されたが、
殘
(
のこ
)
りの
七名
(
しちめい
)
は
遺憾
(
いかん
)
ながら
崩壞物
(
ほうかいぶつ
)
の
第一撃
(
だいいちげき
)
によつて
即死
(
そくし
)
したのであつた。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「どうせまた雪は
降
(
ふ
)
ってくるよ。とちゅうで雪に会ってはたまらない。夜はよけい寒くなる。今夜はここでくらすほうが
無事
(
ぶじ
)
だ。足のぬれないだけでもいいじゃないか」
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
出京
(
しゆつきやう
)
の
當座
(
たうざ
)
は、
大分
(
だいぶん
)
身體
(
からだ
)
が
衰
(
おと
)
ろへてゐたので、
御米
(
およね
)
は
勿論
(
もちろん
)
、
宗助
(
そうすけ
)
もひどく
其所
(
そこ
)
を
氣遣
(
きづか
)
つたが、
今度
(
こんど
)
こそはといふ
腹
(
はら
)
は
兩方
(
りやうはう
)
にあつたので、
張
(
はり
)
のある
月
(
つき
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
段々
(
だん/\
)
と
重
(
かさ
)
ねて
行
(
い
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一行
驚喜
(
けうき
)
して曰く之れ即ち会津街道なりと、人影を見ざるも
既
(
すで
)
に村里に
在
(
あ
)
るの
想
(
おもひ
)
をなせり、
歓呼
(
くわんこ
)
して一行の
無事
(
ぶじ
)
を
祝
(
しゆく
)
す、昨暮
遠望
(
えんばう
)
したる一小板屋は尚之より岩代の方角に
向
(
むかつ
)
て一里余の
遠
(
とほ
)
きに在り
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
傍
(
かたはら
)
より後藤はコリヤ八五郎殿
誠
(
まこと
)
に久し
振
(
ぶり
)
なり貴樣の世話に成しも
稍
(
やゝ
)
十七八年にもなるべし思へば一と昔し半の餘なるが貴樣の娘は
無事
(
ぶじ
)
に
成人
(
せいじん
)
せしなるべし
最早
(
もはや
)
年頃
(
としごろ
)
ゆゑ
聟
(
むこ
)
にても
貰
(
もら
)
ひしか
變
(
かは
)
る事もなきやと尋ねられ八五郎は
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「どうか、この
荷物
(
にもつ
)
を
無事
(
ぶじ
)
に
先方
(
せんぽう
)
へ
届
(
とど
)
けてくれ。そうすれば
帰
(
かえ
)
りに
餡
(
あん
)
ころもちを
買
(
か
)
ってやるぞ。」と、
男
(
おとこ
)
は、
牛
(
うし
)
にいったのであります。
ある男と牛の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
渠
(
かれ
)
さへあらずば
無事
(
ぶじ
)
なるべきにと、
各々
(
おの/\
)
我
(
わが
)
命
(
いのち
)
を
惜
(
をし
)
む
餘
(
あまり
)
に、
其
(
その
)
死
(
し
)
を
欲
(
ほつ
)
するに
至
(
いた
)
るまで、
怨恨
(
うらみ
)
骨髓
(
こつずゐ
)
に
徹
(
てつ
)
して、
此
(
こ
)
の
法華僧
(
ほつけそう
)
を
憎
(
にく
)
み
合
(
あ
)
へり。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
そして、まだこのとりでに
雪
(
ゆき
)
のあるころ、山をくだって京都へ向かった伊那丸の上にも、どうぞ、この山のように
無事
(
ぶじ
)
があるように——と
祈
(
いの
)
った。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
またかの
天女
(
てんによ
)
の
如
(
ごと
)
き
春枝夫人
(
はるえふじん
)
が、
萬一
(
まんいち
)
にも
無事
(
ぶじ
)
であつて、
此
(
この
)
勇
(
いさ
)
ましい
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
たならば、どんなに
驚
(
おどろ
)
き
悦
(
よろこ
)
ぶ
事
(
こと
)
であらう。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私
(
わたくし
)
は
心
(
こころ
)
から
朗
(
ほがら
)
かな
気分
(
きぶん
)
になって、
再
(
ふたた
)
び
例
(
れい
)
の
小娘
(
こむすめ
)
に
導
(
みちび
)
かれて
玄関
(
げんかん
)
に
立
(
た
)
ち
出
(
い
)
で、そこからはただ一
気
(
き
)
に
途中
(
とちゅう
)
を
通過
(
つうか
)
して、
無事
(
ぶじ
)
に
自分
(
じぶん
)
の
山
(
やま
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
に
戻
(
もど
)
りました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
またその
蒼々
(
あを/\
)
とした
大
(
おほ
)
きな
海
(
うみ
)
を
無事
(
ぶじ
)
にわたり
切
(
き
)
つて、
陸
(
をか
)
からふりかへつてその
海
(
うみ
)
を
沁々
(
しみ/″\
)
眺
(
なが
)
める、あの
氣持
(
きもち
)
つたら……あの
時
(
とき
)
ばかりは
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にかゐなくなつてゐる
友達
(
ともだち
)
や
親族
(
みうち
)
もわすれて
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
然
(
しか
)
し
折角
(
せつかく
)
此所
(
こゝ
)
迄
(
まで
)
來
(
き
)
ながら、
此所
(
こゝ
)
で
君
(
きみ
)
の
顏
(
かほ
)
を
見
(
み
)
ないのは
遺憾
(
ゐかん
)
だから、
此
(
この
)
手紙
(
てがみ
)
が
着
(
つ
)
き
次第
(
しだい
)
、
一寸
(
ちよつと
)
で
可
(
い
)
いから
來
(
こ
)
いといふ
端書
(
はがき
)
が
來
(
き
)
た。
無事
(
ぶじ
)
と
退屈
(
たいくつ
)
を
忌
(
い
)
む
宗助
(
そうすけ
)
を
動
(
うご
)
かすには、この十
數言
(
すうげん
)
で
充分
(
じゆうぶん
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああよく
無事
(
ぶじ
)
でいてくれた」とかれはたびたび言った。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
「おじいさん、あんまり
急
(
きゅう
)
じゃないか。
名残惜
(
なごりお
)
しいな。しかし、めでたいことで、なによりけっこうだ。
無事
(
ぶじ
)
に
暮
(
く
)
らさっしゃい。」
なつかしまれた人
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
日
(
ひ
)
一杯
(
いつぱい
)
……
無事
(
ぶじ
)
に
直江津
(
なほえつ
)
へ
上陸
(
じやうりく
)
したが、
時間
(
じかん
)
によつて
汽車
(
きしや
)
は
長野
(
ながの
)
で
留
(
と
)
まつた。
扇屋
(
あふぎや
)
だつたか、
藤屋
(
ふぢや
)
だつたか、
土地
(
とち
)
も
星
(
ほし
)
も
暗
(
くら
)
かつた。
麻を刈る
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
妹
(
いもと
)
無事
(
ぶじ
)
、
明日
(
あす
)
朝
(
あさ
)
帰
(
かへ
)
るとあつた。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そして、どうか
無事
(
ぶじ
)
に
帰
(
かえ
)
ってくれるようにと
待
(
ま
)
っていましたけれど、ついに、
海
(
うみ
)
へ
出
(
で
)
ていったせがれは、それぎり
帰
(
かえ
)
ってきませんでした。
一本の銀の針
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
事
常用漢字
小3
部首:⼅
8画
“無事”で始まる語句
無事息災
無事是貴人
無事安全
無事な着陸