手紙てがみ)” の例文
しか今更いまさらなんとかとか長文句ながもんく手紙てがみけないものだから、『承諾しようだくい』といた電報でんぱうやう葉書はがきしたんだ、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
先生せんせいふた、翌日よくじつでした、使者しゝや手紙てがみもついまから生徒せいと數名すうめいれて遠足ゑんそくにゆくがきみ仲間なかまくははらんかといふ誘引さそひです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
したがつて其方そのはう談判だんぱんは、はじめからいまかつふでにしたことがなかつた。小六ころくからは時々とき/″\手紙てがみたが、きはめてみじかい形式的けいしきてきのものがおほかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おかあさん、手紙てがみでなくても、新聞しんぶんがいったら、わたし無事ぶじでいるとおもってください。」といって、やりました。すると、その母親ははおやから
母の心 (新字新仮名) / 小川未明(著)
今度こんどはこんなときうたふこんなうたつくつてほしいとか、そうつたことをドシ/\手紙てがみかハガキかで、つてよこしてもらひたい。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
「妃がおさんとこにつきましたら、どうかくれぐれもいたわってやってください。そして、すぐにわたしに手紙てがみをくださいませ。」
貴女あなたをおうたがまをすんぢやない。もと/\ふうれて手紙てがみですから、たとひ御覽ごらんつたにしろ、それふのぢやありません。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
書いてはすて、書いてはすて、博士はなんども書きなおして、やっと一つう手紙てがみをかきあげると、ふうをして、宛名あてなをしたためた。
諭吉ゆきち長崎ながさきへきてから、一ねんあまりたったときでした。中津なかつ藤本元岱ふじもとげんたいという、医者いしゃをしているいとこから、とつぜん手紙てがみがとどきました。
わたしだそれをひらきません』とつて白兎しろうさぎは、『だが、それは手紙てがみのやうです、囚人しうじんになつた、——何者なにものかにてた』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
が、手紙てがみ後生大事ごしやうだいじしまつておくところからると、其後そのごなにかの事情じゞやうで、たがひへだたつてはゐても、こゝろいまへだてぬなかだとふことはあきらかである。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
ところがしばらくすると、またおとなりくに殿様とのさまから、信濃国しなののくにへお使つかいが手紙てがみってました。手紙てがみといっしょに二ひき牝馬めうまれてました。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
たとひわたし明日あしたぬとしても!一しやうをかけて目指めざしてわたし仕事しごとすこしもまだがつけられなかつたとて、たとひ手紙てがみきかけてあつたとて
日の光を浴びて (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
何處どこ姉樣あねさまからお手紙てがみやうぞ、眞赤まつかうそをと我家わがや見返みかへられて、何事なにごと御存ごぞんじなしによいおかほをしてひまくださる勿躰もつたいなさ、あのやうなどく
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
椅子いすつてい。貴樣きさまつてれ。』と、かれ格子越かうしごし書留かきとめ手紙てがみかれ差出さしだしてゐる農婦のうふ怒鳴どなつける。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
「さいなあ、おつる母御はヽごは、その手紙てがみをおつるふところからとりだしてみながらよみながらおなきやつたといのう」
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
やがて、その商人あきうどは、やう/\のことでもと天竺てんじくにあつたのをもとめたといふ手紙てがみへて、皮衣かはごろもらしいものをおくり、まへあづかつた代金だいきん不足ふそく請求せいきゆうしてました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
見ると日頃あんくらせし兄清兵衞よりの手紙てがみつきなつかしくはあれども蕩樂者だうらくものゆゑどう善事ろくわけでは有まじとふう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
これはひどいとって夏目先生なつめせんせい詰問きつもんしたので、先生せんせい滝田たきたさんにびの手紙てがみされたはなしがあります。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やぶれたストーヴについて、不自由ふじいう外出がいしゅつについて、ふうられた手紙てがみについて、不親切ふしんせつ軍医ぐんいについて、よこつら竹刀しないばす班長はんちょうについて、夜中よなかにみんなたたおこ警報けいほうについて
『あゝ、大佐たいさ叔父おぢさんは、私共わたくしども今日歸けふかへるか、明日あすかへるかとつていらつしやるところへ、此樣こん手紙てがみつたら、どんなにか喫驚びつくりなさることでせう。』と、いふと武村兵曹たけむらへいそう小首こくびひねつて
東皐子とうくわうしはそれをいて、手紙てがみで『おもなほしていかとり枯木かれきに二とまる』とつて寄越よこす。幻翁げんおうもすゝめる。のゝしりながらもじつきたいので、また出掛でかける。相變あひかはらずなにい。
そして、まいねん、夏休なつやすみに、みよこの家へきものをしにくる東京とうきょう大学だいがくの先生で、いのきちもよくしっているやまもと先生に、手紙てがみをだしてくれたのだった。すると、先生からすぐに
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
三郎さぶらうはもうながいこと信州しんしう木曾きそ小父をぢさんのうちやしなはれてまして、あに太郎たらう次郎じらうのところへ時々とき/″\手紙てがみなぞをよこすやうになりました。三郎さぶらうはことし十三さい末子すゑこがもう十一さいにもなりますよ。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
くど/\とながたらしいこといた手紙てがみよりか『御返事ごへんじつてります』の葉書はがきの方が、はるかにきみむねをゑぐるちからつてゐたんだね。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
いまうらまはつてたら、この文庫ぶんこちてゐて、なか這入はいつてゐた手紙てがみなんぞが、無茶苦茶むちやくちやはふしてあつた。御負おまけ御馳走ごちそうまでいてつた
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「おれは、あのちょうづめのやつが、にせ手紙てがみをいくつももっているのを見つけたんだ。だから、おれがあいつのいきをとめてやったのさ。」
「ねえ、ぼくかえったら、手紙てがみをおくれよ。ぼくもあげるから。」と、少年しょうねんは、彼女かのじょが、やっとかおをあげたときに、いったのでした。
北の少女 (新字新仮名) / 小川未明(著)
北八きたはち大丈夫だいぢやうぶだ、と立直たちなほつて悠然いうぜんとなる。此邊このあたりぢんまりとしたる商賣あきなひやのきならび、しもたやとるは、産婆さんば人相見にんさうみ、お手紙てがみしたゝめどころなり。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
これで諭吉ゆきちは、ぶじにふねにのり、いのちびろいをしたわけですが、神戸こうべ宿屋やどやについてみると、東京とうきょう塾頭じゅくとう小幡おばたから、手紙てがみがきていました。
手紙てがみをおいまに三かわやの御用聞ごようききがるだろうから子僧こぞう使つかひやさんをせるがい、なんひと孃樣ぢようさまではあるまいし御遠慮計ごゑんりよばかりまをしてなるものかな
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
どうぞ、あなたにおく手紙てがみにことよせて、私がくづれやすい自分の努力どりよくいましめているものと、失禮しつれいをおゆるし下さい。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
椅子いすってい。貴様きさまっておれ。』と、かれ格子越こうしごし書留かきとめ手紙てがみかれ差出さしだしている農婦のうふ怒鳴どなつける。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
しばらくすると、またおとなりくに殿様とのさまから、信濃国しなののくにへお使つかいが一つのたまってました。いっしょにそえた手紙てがみむと、このたま絹糸きぬいととおしてもらいたい。
姨捨山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
竹村たけむらはそのことについて、その当時たうじべつ批評ひひやうがましい意見いけんをもたうとはおもはなかつたけれど、ずつとのちになつて振返ふりかへつてみると、彼女かのぢよかれ作品さくひん実際じつさい手紙てがみによつて
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
あざむいて道十郎へたゝつけ又小夜衣を賣代うりしろ爲し身の代金は博奕ばくちと酒と女郎買ひにつかなくし其上に又小夜衣の手紙てがみたねに伊勢屋の養子やうし千太郎をうまくもあざむき五十兩と云大金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
夏目先生なつめせんせい手紙てがみで「毎木曜日まいもくようびにワルモノグイがて、んでもかせてってく」という意味いみのことをって寄越よこされたので、その手紙てがみのち滝田たきたさんにせると
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
一方いつぽう勅使ちよくし宮中きゆうちゆう參上さんじようして、その一部始終いちぶしじゆうまをげて、かの手紙てがみくすりをさしげました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
まつた指定していしてありません』とつて白兎しろうさぎは、『實際じつさい表面ひやうめんにはなんにもいてありません』それから文書もんじよひらいて、『まつた手紙てがみではありません、それはうたの一せつです』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
兒玉こだま二人ふたりまへ大島校長宛おほしまかうちやうあてにすら/\とつぎ手紙てがみいた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「でも、おつるはお祖母様ばあさん手紙てがみ母様かあさまにみせたの」
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
くにへ手紙てがみきたいなあ
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それには、なつかしいあねのまごころがこもっているとおもわれたから……。田舎いなかから、手紙てがみのくるたびに、彼女かのじょは、をうるませていました。
赤いえり巻き (新字新仮名) / 小川未明(著)
手紙てがみなかき込めて、二百円の小切手が這入はいつてゐた。代助は、しばらく、それをながめてゐるうちに、梅子うめこまない様な気がしてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「これ、おまえたち、この子どもにきさきのところへ手紙てがみをとどけさせてはくれまいか。ほうびには金貨きんかを二まいつかわすが。」
いや、もない、彼處あすこつてる、貴女あなたとおはなしをするうちは、實際じつさい胴忘どうわすれに手紙てがみのことをわすれてました。……
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
B うゝ、それはマア双方さうはうあひだにキナくさにほひぐらゐしてゐたのだらう。其中そのうちをんなくにかへつて、しばらくしてから手紙てがみをよこしたんだ、さうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
諭吉ゆきち中心ちゅうしんとなって、くすりにかけあう手紙てがみをかき、使者ししゃにいくのはだれ、おどかすのはだれ、と、それぞれのやくをきめて、かけあいにいきました。
いとまともならば彌々いよ/\病人びやうにん伯父おぢ心配しんぱいをかけ、痩世帶やせせたいに一日の厄介やくかいどくなり、其内そのうちにはと手紙てがみばかりをりて、此處こゝこゝろならずもおくりける。
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
彼女かのぢよ若々わか/\しくむねをどきつかせながら、いそいでつくゑうへ手紙てがみつてふうつた。彼女かのぢよかほはみる/\よろこびにかゞやいた。ゆがみかげんにむすんだ口許くちもと微笑ほゝゑみうかんでゐる。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)