そん)” の例文
しかれどもべつ社界しやかい大弊根たいへいこんながそんするありて、壯年有爲そうねんゆういをして徃々おう/\にして熱火ねつくわ焔柱ゑんちういだくの苦慘くさんこゝろよしとせしむることあり。
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
取柄とりえは利慾がまじらぬと云う点にそんするかも知れぬが、交らぬだけにその他の情緒じょうしょは常よりは余計に活動するだろう。それがいやだ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ぼくが、へびをなぐったのは、まちがっていたろうか?」と、いまさら自然しぜんそんするおきてというものがさとられたようながしたのでした。
少年の日二景 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ふところには小錢こぜにたくはへてくことも出來できるのであつたがかれくコツプざけかたむけたのでかれふところけつして餘裕よゆうそんしてはなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
徳川のそんする限りは一日にてもそのつかうるところに忠ならんことをつとめ、鞠躬きっきゅう尽瘁じんすいついに身を以てこれにじゅんじたるものなり。
なお賢人のうに、「げん近くしてむね遠きものは善言ぜんげんなり。守ること約にしてほどこすことひろきものは善道なり。君子くんしげんおびよりくだらずしてみちそんす」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
初君が古跡こせき寺泊てらどまりり、里俗りぞく初君屋敷やしきといふ。貞享ぢやうきやう元年釈門万元しやくもんまんげんしるすといふ初君が哥のいしぶみありしが、断破かけやぶれしを享和年間きやうわねんかん里入りじん重修ちようしうして今にそんせり。
すでに漁業にたくみなりと云へば舟の類のそんせし事推知すいちすべき事なるが、アイヌは又此事に付きても言ひ傳へを有せり(後回に細説さいせつすべし)(未完)
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
事の実際をいえば弱宋じゃくそうの大事すでに去り、百戦必敗ひっぱいもとより疑うべきにあらず、むしろはじしのんで一日もちょう氏のまつりそんしたるこそ利益なるに似たれども
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
気はないが、なおそこに一分の余裕をそんしておくために、わざと太夫に逢わずに帰ってきたのではあるまいか。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
地上ちじゃうそんするものたるかぎり、如何いかしいしな何等なにらかのえききょうせざるはく、また如何いかいものも用法ようはふたゞしからざればそのせいもとり、はからざるへいしゃうずるならひ。
そしてその時間を縮めようとしている或る物がそんじている。それは小さい記念の数々で、ふと心に留まった坂井夫人の挙動や、ことばと云う程でもない詞である。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
たいこの規則きそくでさせること規則きそく其物そのものそんしてゐるあひだすなは規則きそくにはまつてあひだはよろしいが、他日たじつ境遇きやうぐうはると、一方ひとかたならぬ差支さしつかへしやうずることがありませう。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
きたヨーロッパ諸國しよこくにはいし時代じだい青銅せいどう時代じだいが、地方ちほうよりながくつゞいてゐたゝめに、そのころ遺物いぶつおほそんしてゐたといふのが、その理由りゆうひとつであります。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あゝーず無事で安心を致した、是れは八年ぜんに是れだけ毀したのを金粉繕ふんづくろいにして斯うやってある、しか残余あと瑕物きずものにしてはならんから、どうかちゃんとそんして置きたい
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
頃日けいじつ脱稿だっこうの三十年史は、近時きんじおよそ三十年間、我外交がいこう始末しまつにつき世間につたうるところ徃々おうおう誤謬ごびゅう多きをうれい、先生が旧幕府の時代よりみずから耳聞じぶん目撃もくげきして筆記にそんするものを
〔評〕南洲かつて東湖に從うて學ぶ。當時たうじ書する所、今猶民間にそんす。曰ふ、「一寸いつすん英心えいしん萬夫ばんぷてきす」と。けだ復古ふくこげふを以て擔當たんたうすることを爲す。維新いしん征東のこう實に此にしんす。
他方たはうすくなくとも我國わがくに威信ゐしんそんせんがめには非常ひじやう决心けつしん實力じつりよくとをえうするのである。
だから、ながたゝかひにず、結局けつきよく心身共しんしんともにくたくたにつかつてしまふのだらうが、おもふに、支那人しなじん麻雀戲マージヤンぎには彼等かれら風格ふうかくそんするやうな悠悠味いういうみがどこかにあるのではなからうか?
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
こんな非常手段を遣るくらゐだから、必ず非常の目的が有つてそんするのだらう
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
即ち君子の道は端を夫婦に発すというが如く、人倫の端緒は夫婦から開けるんである。更に言えば、男女はこの世の経緯である。経緯相交じって衣を為す。経緯離るれば、衣、何処いずこにかそんせん。
現代の婦人に告ぐ (新字新仮名) / 大隈重信(著)
つまり警察では、そこに後日の研究の余地をそんせしめて置いたのだ。
闘争 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
予審判事の書記が寄れる卓子ていぶるの足の下に転がりて酒瓶さけびんの栓のりし事をも記臆し、そのせんはコロップにて其一端に青き封蝋ふうろうそんしたる事すらも忘れず、此後こののち千年生延いきのびるとも是等の事を忘る可くもあら
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
意味いみそんするところ何方いづこぞやぼうとしてくらきわかのかげいとゞまよひはしげふばかりるゝよしそらつき心〻こゝろ/\はんじてれどいづ眞意しんいぞわきがたよろこぶべきかなげくべきかお八重やへはお八重やへ優子いうこ優子いうこはれなばくせんの决心けつしんたがひかたけれどおもひのほかなるかへしにはなにさだめてなにとせん未練みれん
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
初君が古跡こせき寺泊てらどまりり、里俗りぞく初君屋敷やしきといふ。貞享ぢやうきやう元年釈門万元しやくもんまんげんしるすといふ初君が哥のいしぶみありしが、断破かけやぶれしを享和年間きやうわねんかん里入りじん重修ちようしうして今にそんせり。
ほどこして必ずほうある者は、天地の定理ていりなり。仁人じんじんこれを述べてもっひとすすむ。ほどこしてほうのぞまざる者は、聖賢せいけん盛心せいしんなり。君子くんしこれそんして以てすくう」
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
すでにすべからざるを知るといえども、つかうるところのそんせんかぎりは一日も政府の任をくさざるべからずとて極力きょくりょく計画けいかくしたるところ少なからず
しかしてべつある誤謬ごびゆうそんするあるにもあらずしてこの殺人さつじんつみおかす、世に普通なるにあらずして、しかも普通なる理由によつてなり、これをうつきはめてかた
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
朽ちざるはかねむり、つたはることき、知らるる名に残り、しからずは滄桑そうそうの変に任せて、のちそんせんと思ふ事、むかしより人のねがひなり、此ねがひのかなへるとき、人は天国にあり。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
大佐たいさかたところによると、海賊島かいぞくたう云々うんぬん風聞ふうぶん實際じつさいことで、その海賊かいぞく仲間なかまある強國きようこくとのあひだに、一種いつしゆ密約みつやくそんしてことも、海事かいじくわしき船員せんゐん社會しやくわいには、ほとん公然こうぜん秘密ひみつとなつてよし
実際花房の気の付いた通りに、翁の及び難いところはここにそんじていたのである。
カズイスチカ (新字新仮名) / 森鴎外(著)
アイヌ間にそんする口碑こうひに由ればコロボックルは又木製もくせいの皿をもいうせしが如し。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
白痴ばかはおなじところなほかたちそんしてる、海月くらげにあたらねばけぬとえる。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ことに旧政府時代の外交がいこうは内治に関係かんけいすることもっとも重大じゅうだいにして、我国人の記念きねんそんすべきものもっとも多きにもかかわらず、今日すでにその事実じじつを失うは識者の常に遺憾いかんとするところなりしに
修復しゆふく度毎たびごと棟札むねふだあり、今猶歴然れきぜんそんす。毘沙門の御丈みたけ三尺五六寸、往古わうご椿沢つばきざはといふ村に椿の大樹たいじゆありしを伐て尊像そんざうを作りしとぞ。作名さくめいつたはらずときゝぬ。
かくのごときめぐみが人生の中にかず限りなくあることを常に記憶にそんしておきたい。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
櫻木海軍大佐さくらぎかいぐんたいさ! 々々々。此人このひと讀者どくしや諸君しよくん御記臆ごきおくそんしてるかいなか。
作者さくしやなんゆえにラスコーリニコフが氣鬱病きうつびやうかゝりたるやをかたらず開卷かいかん第一にその下宿住居げしゆくじゆうきよ點出てんしつせり、これらをも原因げんいんある病氣びやうきいひしりぞけたらんには、このしよ妙所みやうしよついにいづれにかそんせんや。
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
わたくしは現に蒐集中であるから、わたくしの「武鑑」に対する知識は日々にちにち変って行く。しかし今知っているかぎりを言えば、馬印揃や紋尽は寛永かんえい中からあったが、当時のものは今そんじていない。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
住居ぢうきよ位置いちは、第一に飮用水いんようすいむべき泉、川、或は湖より程遠ほどとほからぬ所にして、次に食物しよくもつ獲易えやすき塲所、次に日當りき地をゑらびしなるべし。三つの條件じやうけんを充たす地には大部落だいぶらくそんせしならん。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
修復しゆふく度毎たびごと棟札むねふだあり、今猶歴然れきぜんそんす。毘沙門の御丈みたけ三尺五六寸、往古わうご椿沢つばきざはといふ村に椿の大樹たいじゆありしを伐て尊像そんざうを作りしとぞ。作名さくめいつたはらずときゝぬ。
純一は聞きながら、二人は一しょにそう云う事に出逢ったと云うのだろうか、それとも岡村も奥さんも偶然同じ箱根の夏を知っているに過ぎないのだろうかと、まだ幾分の疑いをそんじている。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
ちゝこんぜざる濃茶のうちやよろこび、みづらざる精酒せいしゆみ、沈鬱ちんうつにして敢爲かんいかた國立こくりつ宗教しゆうきようし、ふか祖先そせんげふおもんず、工業こうげうはなはさかんならざるがゆゑ中等社界ちうとうしやくわいそんするところおほくは粗朴そぼくなる農民のうみんにして
罪と罰(内田不知庵訳) (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
神主かんぬし宮氏の家に貞和ぢやうわ文明ぶんめいの頃の記録きろく今にそんせり。当主たうしゆ文雅ぶんがこのみ吟詠ぎんえいにもとめり、雅名がめい正樹まさきといふ。同好どうこうを以てまじはりおさむ。幣下へいしたとなふ社家しやけ諸方しよはうにあまたある大社也。
これらも又輴哥をうたうてかへるなど、質朴しつぼく古風こふう目前もくぜんそんせり。