さか)” の例文
ちょうどこのとき、うまくるまかせ、いしんでさかのぼりかけているおとこました。どこからきたものか、ひとうまつかれていました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さかうへ煙草屋たばこやにて北八きたはちたしところのパイレートをあがなふ。勿論もちろん身錢みぜになり。舶來はくらい煙草たばこ此邊このへんにはいまれあり。たゞしめつてあじはひならず。
弥次行 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
といって、かまわずうすさかの上からころがしました。うすはころころころがって行きました。さるもいっしょにっかけて行きます。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
さかの上の朝臣あそんのはからいで、鞍馬くらまの夜叉王のことは、すっかり顔長の長彦にまかせられ、京の大臣の馬は、顔丸の丸彦がもらいうけました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
座敷ざしきればすぐがけうへだが、おもてからまはると、とほりを半町はんちやうばかりて、さかのぼつて、また半町はんちやうほどぎやくもどらなければ、坂井さかゐ門前もんぜんへはられなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とうさんがおうちおもてあそんでりますと、何時いつでもさかうへはうからりてて一しよるのは、この三らうさんでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ジョバンニは、口笛くちぶえいているようなさびしい口つきで、ひのきのまっ黒にならんだ町のさかをおりて来たのでした。
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
と、海蔵かいぞうさんはだれでも、とっつかまえていいたい気持きもちでした。しかし、そんなことはいわないで、ただにこにこしながら、まちほうさかをのぼってきました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
それから横手よこてさかはうかゝつてると、るわ/\、打石斧だせきふが、宛然ちやうど砂利じやりいたやう散布さんぷしてる。
が、高氏は「大事ない、大事ない」としているように、振向きもせず、駒は、おいさかへかかっていた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
みんなおつかげばかしいてたのぱなしてんだからあし不揃ふぞろひだなどうしても、それにさかきふだつちと倒旋毛さかさつむじおつてるやうだから畜生ちきしやうなんぼにもあしねえな
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
また宇陀うだ墨坂すみさかの神に、赤色の楯矛たてほこを祭り、また大坂おほさかの神一〇に、墨色の楯矛を祭り、またさか御尾みをの神、かはの神までに、悉に遺忘おつることなく幣帛ぬさまつりたまひき。
五月山さつきやまが一ぽん々々/\かぞへられるやうになると、池田いけだまちながさかしたおろされた。此處ここからはもう多田院ただのゐんへ一開帳かいちやうにぎはひは、この小都會せうとくわいをもざわつかしてゐた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
ひなぐもり碓日うすひさかえしだにいもこひしくわすらえぬかも 〔巻二十・四四〇七〕 防人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
もなく一つのけわしいさかのぼりつめると、其処そこはやや平坦へいたん崖地がけちになっていました。
あそこに千代ちよさかというのがありましてな、八石平はっこくだいらからあちらは、女はんで、通ってはならぬことになっているのを、千代という若い女の方がいて通りましたところ、翌日になると
大菩薩峠:30 畜生谷の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ぼくは今もそう者にしていさぎよくたゝか關根せきね名人の磊落性らいらくせいむし愛敬あいけいし、一方自しつつ出でざるさか田三吉八だんに或る憐憫れんみんさへかんじてゐる者だが、將棋せうきだけはわかい者にはてないものらしい。
其方そなたらば重疊ちようでうよろこびなれど萬一もしいよ/\出來できものならば、いまよりもらうてこゝろまかせし教育きやういくをしたらばとれをあけくれこゝろがくれども、いまだにきも見當みあたらず、としたてばれも初老はつおひの四十のさか
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みちはたゞやまばかり、さかあり、たにあり、溪流けいりうあり、ふちあり、たきあり、村落そんらくあり、兒童じどうあり、はやしあり、もりあり、寄宿舍きしゆくしやもん朝早あさはやくれうちくまでのあひだ自分じぶん此等これらかたちいろひかり
画の悲み (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
洗ひうがひなどしてあつさしのやすらひ居たり此處は景色もよく後ろは須走すはしり前は山中やまなかの湖水と打眺うちながめ居る彼方のさかより行衣ぎやういたすきかけ金剛杖こんがうづゑを突ながらすゞともに來る富士同者ありかれも此處に休み水を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
なつかしいだらだらさかした
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
少年しょうねんどくおもって、さかのぼるときに、そのくるまあとしてやりました。するとくるまうえから、ちいさないしころが一つころちました。
石をのせた車 (新字新仮名) / 小川未明(著)
跫音あしおときこえぬばかり——四谷よツやとほりからあな横町よこちやうつゞく、さかうへから、しよな/\りてて、擦違すれちがつたとおもふ、とこゑ
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
さかした石橋いしばしがある。渡らなければ真直に理科大学の方へ出る。渡れば水際みづぎはつたつて此方こつちへ来る。二人ふたりは石橋を渡つた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
とうさんがおとなり酒屋さかやはうのぼつてくにもさか、おちうばあさんといふひとうちはうりてくにもさかでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
かにさかの上まで行って、さるるのをっていますと、さるは大きなうすをころがしながらやってました。
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
十九にち雨中うちうを、つてて、おどろいた。いままでの貝塚發掘かひづかはつくつ臺地だいち東部とうぶさか上部じやうぶ左側さそくであつたが、臺地だいち南側なんそく下部かぶ菱沼鐵五郎ひしぬまてつごらう宅地たくちまえはたけを、大發掘だいはつくつしてある。
京の都の大臣の所から盗んできた馬を、顔丸の丸彦にうばいとられてしまいましたし、その馬のことをよく知っているさかうえ朝臣あそんが、堅田かただにやって来られるそうでした。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「ぱか/\ぱか/\となあう、廿三さかえてとこだぜ、畜生ちきしやうあばさけんなえ」とかれさら
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さあ、ではみんなでこいつを下台しただいの麦ばたけまでって行こう、こっちのがけはあんまりきゅうですからやっぱり女学校のうらをまわってやなぎの木のあるとこのさかをおりて行きましょう。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
試合場しあいじょう城戸きどから、八ちょう参道さんどうとよぶひろ平坦へいたんさかをかけおりてゆくうちに、燕作の小粒こつぶなからだはみるみるうちにされて、とてもこれは、比較ひかくにはならないと思われるほど
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
じいさんのほうでは、何処どこかぜくとった面持おももちで、きもせず、ずんずんきへってるきされましたので、わたくしだまってそのあといてまいりますと、いつしかみちくださかになり
このあたり、だらだらのさか
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
まちうらは、さかになって、ほそみちがつづいていました。みち両側りょうがわはやぶになっていましたので、そこに、かえるはすんでいたのであります。
お母さんのひきがえる (新字新仮名) / 小川未明(著)
てつづくりのもんはしらの、やがて平地へいちおなじにうづまつた眞中まんなかを、いぬやまるやうにはひります。わたしさかすやうにつゞきました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
つきのないさかのぼつて、瓦斯燈ガスとうらされた砂利じやりらしながら潛戸くゞりどけたときかれ今夜こんや此所こゝ安井やすゐやう萬一まんいちはまづおこらないだらうと度胸どきようゑた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
八幡屋やはたや和泉屋いづみや丸龜屋まるかめや、まだそのほかにも伯父をぢさんの挨拶あいさつつたうち澤山たくさんありましたが、そのたびとうさんたちさかになつたむらみちたうげうへはうのぼつてきました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「つきたてのもちさかをころがるものか。いまかたくなってお鏡餅かがみもちになったら、ころがしてやろう。」
物のいわれ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
けれどもこれは必要ひつようがない。かえって混雑こんざつするだけだ。とにかくひどくさかになった。こんな工合ぐあい丁度ちょうどよく釜淵かまぶちに下りるんだ。遠くで鳥も鳴いているし。下の方でたにがひどく鳴っている。
台川 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
それについて、顔長の長彦の話を聞かれて、さかうえ朝臣あそんが満足されたことは、申すまでもありません。そしてこれから先のことについても、ことごとく、長彦の考えに賛成されました。
長彦と丸彦 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
見物のなかから一本のあかつえがスッとびて、落ちてくる独楽をその尖端せんたんで受けとめたかと思うと、紅いぼうさかにしてたくみに独楽を手もとへすべらせ、ひょいとふところへしまいこんで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おく博勞ばくらうさん何處どこけた、廿三さか七つで」と愉快ゆくわいこゑうたつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
深大寺じんだいじ青渭神社あをなみじんじやまへさかまでると、半磨製はんませい小石斧せうせきふた。
やがて、リヤカーは、さかくだると、みちをまがって、二人ふたり少年しょうねんいぬせながら、自分じぶんたちのいえのあるまちなかはいったのでした。
さか立ち小僧さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
けむりつて、づん/\とあがるさか一筋ひとすぢ、やがて、けむりすそ下伏したぶせに、ぱつとひろがつたやうな野末のずゑところかゝつてました。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其内そのうち二人ふたりさかうへた。坂井さかゐ其所そこみぎまがる、宗助そうすけ其所そこしたりなければならなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
それは丁度ちょうど奇麗きれいに光る青いさかの上のように見えました。一人は闇の中に、ありありうかぶひょう毛皮けがわのだぶだぶの着物をつけ、一人はからすの王のように、まっ黒くなめらかによそおっていました。
ガドルフの百合 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
しかし——一せいにとはゆかないが、どうやらこうやら、ほどて、上に登ることは登りついた。そしてはじめて、ようすいかに——とさかになった屋根のはしから首をだして打ちあおいで見ると
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
以上いじやうてんさかうへ貝塚かひづかからたといふのである。
兄弟きょうだいは、きたときとちがったみちあるいていくと、さかのところでおじいさんが、おも荷物にもつをつけたくるまきあぐんでいました。
昼のお月さま (新字新仮名) / 小川未明(著)