わか)” の例文
馬鹿野郎ばかやらうなにをしてる。まるで文句もんくわからないから、巖谷いはやくるまけつけて、もううちてゐるんだ。うつそりめ、なにをしてる。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
能く一行を輔助ほじよせしことをしやし、年々新発見にかかる文珠菩薩もんじゆぼさつの祭日には相会してきうかたらんことをやくし、たもとわかつこととはなりぬ。
利根水源探検紀行 (新字旧仮名) / 渡辺千吉郎(著)
地震計ぢしんけいもつ觀察かんさつすると、かういふ地下ちかはたらきの所在地しよざいちわかるから、それからして岩漿がんしよう貯藏ちよぞうされてゐる場所ばしよふかさが想像そう/″\せられる。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
第二の世界のうちには、こけえた錬瓦造りがある。片隅かたすみから片隅を見渡すと、向ふの人の顔がよくわからない程に広い閲覧室がある。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
まなこはなたず睥睨へいげいしてる、猛狒ゴリラ益々ます/\たけ此方こなたうかゞつてる、この九死一生きうしいつしやうわか不意ふいに、じつ不意ふいに、何處どこともなく一發いつぱつ銃聲じうせい
「おやもうそつちのはうつたのかい、それぢや彼處あすこたゝくんだよ」内儀かみさんはいつてわかれた。おつぎはすぐ自分じぶん裏戸口うらどぐちつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
でも使い過ぎたり思い違いで云い過ぎたりしたとわかれば「気の毒しました。」「すまなかった。」はぐわたくしの口から出ます。
此女このをんなくにかられてたのではない、江戸えどつたをんなか知れない、それは判然はつきりわからないが、なにしろ薄情はくじやうをんなだから亭主ていしゆおもてき出す。
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
古ぼけた葭戸よしどを立てた縁側えんがはそとには小庭こにはがあるのやら無いのやらわからぬほどなやみの中にのき風鈴ふうりんさびしく鳴り虫がしづかに鳴いてゐる。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
「何、待ち伏せ? 先廻りとな? さような事までわかりますかな?」「何んでもない事、すぐに分ります」平八は提灯を差し出したが
名人地獄 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
花嫁の心もまず少しは落ちつきて、初々ういういしさ恥ずかしさの狭霧さぎり朦朧ぼいやりとせしあたりのようすもようよう目にわかたるるようになりぬ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
わたくしのおァさまは、それはそれはやさしい、いおァさまでございます……。兄妹きょうだいは、あんまり沢山たくさんかずわかりませぬ……。』
掛内に這入はひりふしみ居し折柄をりから燒場の外面おもての方に大喧嘩おほげんくわが始りし樣子故何事かと存じそつと出てうかゞひしにくらき夜なれば一かうわからず暫時しばらく樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
最後さいごったのはたしか四五月頃しごがつごろでしたか、新橋演舞場しんばしえんぶじょう廊下ろうかたれうしろからぼくぶのでふりかえっててもしばらたれだかわからなかった。
夏目先生と滝田さん (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
卓子テーブルそばわづかすこしばかりあかるいだけで、ほか電灯でんとうひとけず、真黒闇まつくらやみのまゝで何処どこ何方どちらに行つていかさツぱりわからぬ。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
森をもってわかつ村々、色をもって分つ田園、何もかもほんのり立ち渡るかすみにつつまれて、ことごとく春という一つの感じに統一されてる。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
一「セカンド」は大抵たいていみやく一動いちどうおなじ。さて時計とけい盤面ばんめんを十二にわかち、短針たんしん一晝夜いつちうやに二づゝまはり、長針ちやうしんは二十四づゝまは仕掛しかけにせり。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
などと年甲斐としがひもなくをとこぴきがそんなくだらないことをかんがへたりするのも、麻雀マアジヤン苦勞くらうした人間にんげんでなければわからないあぢかもれない。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
いまだに宿やどとてもさだまるまじく、はゝ此樣こんになつてはづかしい紅白粉べにおしろい、よし居處ゐどころわかつたとてひにてもれまじ
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
支那しな全國ぜんこくだうわかれ、だうしうまたぐんわかれ、それがけんわかれ、けんしたがうがありがうしたがある。しうには刺史ししひ、ぐんには太守たいしゆふ。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
しばらくみょうな顔をして、それに聞入っていた後、彼は、何だか彼の言葉の意味がわかるような気がする、と、傍の者に言った。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
そこで『立派りつぱなユーモリスト』なるしぶ先生せんせいこれして、『世界中せかいぢうのひつくりかへるあしたかな』とやつたんだ。どうだわかつたか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
江戸開城かいじょうの後、予は骸骨がいこつい、しばらく先生とたもとわかち、あと武州ぶしゅう府中ふちゅうの辺にけ居るに、先生は間断かんだんなく慰問いもんせられたり。
以上いじやうべたところ總括そうくわつして、化物思想ばけものしさうはどういふところもつとおほ發達はつたつしたかとかんがへてるに、化物ばけもの本場ほんば是非ぜひ熱帶ねつたいでなければならぬことわかる。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
またこの歌が強き歌なることもわかり居り候えども、この種の句法がほとんどこの歌に限るほどの特色をなし居るとは知らぬ人ぞ多く候べき。
歌よみに与ふる書 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
あいちやんは彼等かれら石盤せきばん見越みこせるほどちかくにたので、全然すつかりそれがわかりました、『しかしそれはうでもかまはないわ』とひそかにおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
荻沢は少し道理もっともなる議論と思い「成る程わかった天然うまれつき縮毛ちゞれげで無いからお紺の毛では無いと云うのだナ(大)サア夫が分れば追々云いましょう、 ...
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
今朝絹川雪子の部屋で逢った時は、君のたくみな変装にだまされて、つい気がつかなんだけれど、君とわかれてから、僕はハッと思い出したのです。
(新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
このはもと根株ねかぶからなゝつのみきわかれてゐましたが、うち五本ごほん先年せんねん暴風ぼうふうれていま二本にほんみきだけとなつてしまひました。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
だから小学校で試みに尋ねてみてもわかるが、薄暮に外におりまたは隠れんぼをすることが何故にくないか、小児はまだその理由を知っている。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
かれには一体いったいどうしていいのかわからなかったのです。ただ、こう幸福こうふく気持きもちでいっぱいで、けれども、高慢こうまんこころなどはちりほどもおこしませんでした。
ナント安いものでありませんか。なおその下に脂肪量の少い牛乳で一升九銭の分と一升七銭と五等までにわかってあります。
食道楽:冬の巻 (新字新仮名) / 村井弦斎(著)
Y君も大鰐おおわにまで送って来て、こゝにたもとわかった。余等はこれから秋田、米沢、福島をて帰村す可く汽車の旅をつゞけた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
銀之助はしづわかれて最早もう歩くのがいやになり、車を飛ばして自宅うちに帰つた。遅くなるとか、めてもいとかふさに言つたのを忘れてしまつたのである。
節操 (新字旧仮名) / 国木田独歩(著)
うして龕燈がんどう横穴よこあな突出つきだして、内部ないぶらしてやうとしたが、そのひかりあた部分ぶぶんは、白氣はくき濛々もう/\として物凄ものすごく、なになにやらすこしもわからぬ。
そのうへしろゆきでもふりかゝると氷滑こほりすべりの塲所ばしよともわからないことがあります。むら人達ひとたちとほりかゝつて、らずにすべつてころぶことなぞもありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
「何わかつてゐてもいゝのですよ。薄々分つてゐる位が、丁度いゝのですよ。貴君となら、分つてゐてもいゝのですよ。」
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
それらはわかたれて一方所有権の理論は生産理論に、他方租税の理論は消費理論に投げ込まれ、共に全く経済的な観点からその理論が立てられている。
前にも述べたやうに毒にまつはる迷信には二種あつて、毒そのものに関する迷信と、他のものを毒(又は薬)と見做みなす迷信とにわかつことが出来るから
毒と迷信 (新字旧仮名) / 小酒井不木(著)
ロミオ わし無禮ぶれいをしたおぼえはない、いや、その仔細しさいわかるまではとて會得ゑとくのゆかぬほどわし足下きみあいしてゐるのぢゃ。
第一、もし上人さまがよそへ行つてしまはれたら、悪魔がまた洞穴からとびだして、どんな害をするかわからない。上人さまをにがしてはいけない……。
エミリアンの旅 (新字旧仮名) / 豊島与志雄(著)
してみると、その間にも畑の植えつけ苗の根を二本でも三本でもあの根切り虫に切られているかもわからないのだ。
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
このとりは、その青年せいねんわかれるときにくれて、いままでなが月日つきひあいだを、このとり自分じぶんは、いっしょに生活せいかつをしてきたことなどを、物語ものがたったのであります。
あほう鳥の鳴く日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
主人あるじ里地さとちの事をもよく知りてはなしわかおきなゆゑ所の風俗ふうぞくをたづねしに、そのものがたりたるあらましをこゝにしるす。
必ず初志をつらぬきて早晩自由の新天地に握手せんと言いわし、またの会合を約してさらばとばかりたもとわかちぬ。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
なに那樣そんなよろこぶのかわたくしにはわけわかりません。』と、院長ゐんちやうはイワン、デミトリチの樣子やうす宛然まるで芝居しばゐのやうだとおもひながら、また其風そのふうひどつてふた。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ありつたけの決斷力と克己心こくきしんとで、この人はあまり自分を苦しめ過ぎる。あらゆる感情や哀しみを閉ぢ籠めて——何も表はさず、何も云はず、何もわかたず。
其都度そのつどに重蔵は自分の握飯をわかって、𤢖に仕事を手伝わせていた。が、或時これを見付けた者が有って、重蔵は山𤢖を友としているという噂がたちまち拡がった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
◯前講において述べし如く、ヨブの語は友に対する語と、己に対する語と、神に対する語の三種にわかたれる。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
わかった。老人の胸はまっ赤であった。地面じめんにおびただしく血が流れていた。傷は、弾丸だんがんによるものだった。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)