“狭霧”の読み方と例文
旧字:狹霧
読み方割合
さぎり100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
志保は庭へおりて菊をっていた。いつまでも狭霧さぎりれぬ朝で、道をゆく馬のひづめの音は聞えながら、人も馬もおぼろにしか見えない。
菊屋敷 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
荷馬橇の馬は、狭霧さぎりの様な呼気いきを被つて氷の玉を聯ねたたてがみを、寒い光に波打たせながら、風に鳴る鞭をくらつて勢ひよく駈けて居た。
菊池君 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
山の朝まだきは、狭霧さぎりが多いので、敵はワラ人形と知らず、射浴びせてくる。——これでどれほど矢ダネを稼いだかしれないのである。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)