-
トップ
>
-
玄關
>
-
げんくわん
此度錢屋四郎右衞門方へ
聖護院宮樣の
御配下天一坊樣御旅舍の儀明家の儀なれば貸申候に
昨夜御到着の
後玄關へは御紋付きの御幕を
此の
急信は××
年××
月××
日、
午後三
時に
屆いたので、
民子は
蒼くなつて
衝と
立つと、
不斷着に
繻子の
帶引緊めて、つか/\と
玄關へ。
父さんが
玄關の
廣い
板の
間に
居て、その
筬の
音を
聞きながら
遊んで
居りますと、そこへもよくめづらしいもの
好きの
雀が
覗きに
來ました。
宗助は
浴衣の
後影が、
裏口へ
出る
所で
消へてなくなる
迄其處に
立つてゐた。それから
格子を
開けた。
玄關へは
安井自身が
現れた。
夫れと
知らねば
車は
其まヽ
玄關にいそぐを、
敏何ものとも
知らず
遽しく
拾ひて、
懷中におし
入れしまヽ
跡も
見ずに
歸りぬ。
すると
其處で
院長は六
號室で
有ると
聞き、
庭から
直に
別室に
入り、
玄關の
間に
立留ると、
丁度恁云ふ
話聲が
聞えたので。
昔風の
門を
入ると
桑園の
間を
野路のやうにして
玄關に
達する。
家は
僅に
四間。
以前の
家を
壞して
其古材で
建たものらしく
家の
形を
作て
居るだけで、
風趣も
何も
無いのです。
屹度行つては
呉れるにしても
其の
後に
跟いて
行くのでなくては
勘次には
不安で
堪らないのである、さうして
彼はぽつさりと
玄關に
踞つて
待つて
居ることがせめてもの
氣安めであつた。
と
祖母さんは
例の
玄關の
側にある
機に
腰掛けまして、
羽織にする
黄八
丈の
反物と、
子供らしい
帶地とを
根氣に
織つて
呉れました。
錢屋方へつかはさる兩人の與力は旅館に到り見るに
嚴重なる有樣なれば
粗忽の事もならずと
先玄關に案内を
乞重役に對面の儀を
宗助は
清に
命じた
通りを、
小六に
繰り
返して、
早くして
呉れと
急き
立てた。
小六は
外套も
脱がずに、すぐ
玄關へ
取つて
返した。
「あ、あれはね(
吼え
按摩)と
云つてね、
矢來ぢや(
鰯こ)とおんなじに
不思議の
中へ
入るんだよ」「ふう」などと
玄關で
燒芋だつたものである。
九
時少し
過ぎ、ミハイル、アウエリヤヌヰチは
歸らんとて
立上り、
玄關で
毛皮の
外套を
引掛けながら
溜息して
云ふた。
家の
間數は
三疊敷の
玄關までを
入れて
五間、
手狹なれども
北南吹とほしの
風入りよく、
庭は
廣々として
植込の
木立も
茂ければ、
夏の
住居にうつてつけと
見えて
ぽつさりとして
玄關に
待つて
居るのは
悉皆怪我人ばかりである。
首から
白い
布片を
吊つて
此れも
白く
繃帶した
手を
持たせたものもあつた。
其處に
蒼い
顏をしてぐつたりと
横はつて
居るものもあつた。
觸ぬ此度は相摸守殿には
玄關式臺迄御見送り町奉行は下座敷へ
罷出で
表門を一文字に
推開けば天一坊は
悠然と乘物の
儘門を
宅の
門口迄來ると、
家の
中はひつそりして、
誰もゐない
樣であつた。
格子を
開けて、
靴を
脱いで、
玄關に
上がつても、
出て
來るものはなかつた。
祖母さんの
着物を
織る
塲所はお
家の
玄關の
側の
板の
間と
定つて
居ました。そのお
庭の
見える
明るい
障子の
側に
祖母さんの
腰掛て
織る
機が
置いてありました。
よく
覺えては
居ないが、
玄關へ
掛ると、
出迎へた……お
太鼓に
結んだ
女中が
跪いて——ヌイと
突出した
大學生の
靴を
脱がしたが、べこぼこんと
弛んで、
其癖
玄關から
病室へ
通ふ
戸は
開かれてゐた。イワン、デミトリチは
寐臺の
上に
横になつて、
肘を
突いて、さも
心配さうに、
人聲がするので
此方を
見て
耳を
欹てゝゐる。
お
母樣御機嫌よう
好い
新年をお
迎ひなされませ、
左樣ならば
參りますと、
暇乞わざとうやうやしく、お
峯下駄を
直せ、お
玄關からお
歸りでは
無いお
出かけだぞと
圖分/\しく
大手を
振りて
一度内へ
入つて、
神棚と、せめて、
一間だけもと、
玄關の
三疊の
土を
拂つた
家内が、
又此の
野天へ
逃戻つた。
私たちばかりでない。——
皆もう
半ば
自棄に
成つた。
始終ごたごたして
埓は
御座りませぬといふ、
妙な
事のと
思ひしが
掃除のすみて
日暮れがたに
引移り
來りしは、
合乘りの
幌かけ
車に
姿をつゝみて、
開きたる
門を
眞直に
入りて
玄關におろしければ
……
間違つたら、
許しツこ、たしか、
當、
時事新報の
催しであつたと
思ふ。……
二人ともまだ
玄關に
居たが、こんな
事は
大好だから
柳川が
見物、
參觀か、
參觀した。
松野は
答へぬ、
秋雨はれて
後一日
今日はと
俄に
思ひ
立て、
糸子例の
飾りなき
粧ほひに
身支度はやく
終りて、
松野が
來る
間まち
遠しく
雪三がもと
我れより
誘いぬ、と
見れば
玄關に
見馴れぬ
沓一
足あり
塾生と
家族とが
住んで
使つてゐるのは
三室か
四室に
過ぎない。
玄關を
入ると
十五六疊の
板敷、
其へ
卓子椅子を
備へて
道場といつた
格の、
英漢數學の
教場になつて
居る。
お
前さまお
一人のお
煩ひはお
兩人のお
惱みと
婢女共に
笑はれて
嬉しと
聞きしが
今更おもへば
故らに
言はせしか
知れたものならず
此頃見しは
錦野の
玄關先うつくしく
粧ふた
身に
比べて
見て
我れより
詞は
掛けられねど
無言に
行過ぎるとは
部屋は
四疊敷けた。
薄暗い
縱に
長い
一室、
兩方が
襖で
何室も
他の
座敷へ
出入が
出來る。
詰り
奧の
方から
一方の
襖を
開けて、
一方の
襖から
玄關へ
通拔けられるのであつた。
時に、
長野泊りの
其の
翌日、
上野へついて、
連とは
本郷で
分れて、
私は
牛込の
先生の
玄關に
歸つた。
其年父をなくした
爲めに、
多日、
横寺町の
玄關を
離れて
居たのであつた。
其のために
東京から
故郷に
歸る
途中だつたのでありますが、
汚れくさつた
白絣を一
枚きて、
頭陀袋のやうな
革鞄一つ
掛けたのを、
玄關さきで
斷られる
處を、
泊めてくれたのも
私の
小家は
餘寒未だ
相去り
申さずだつたが——お
宅は
來客がくびすを
接しておびたゞしい。
玄關で、
私たち
友達が
留守を
使ふばかりにも
氣が
散るからと、お
氣にいりの
煎茶茶碗一つ。
さて
其夜こゝへ
來るのにも
通つたが、
矢來の
郵便局の
前で、ひとりで
吹き
出した
覺えがある。
最も
當時は
青くなつて
怯えたので、おびえたのが、
尚ほ
可笑い。まだ
横寺町の
玄關に
居た
時である。