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念
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ねん
ふりがな文庫
“
念
(
ねん
)” の例文
戦争
(
せんそう
)
が、はじまって、
純吉
(
じゅんきち
)
が
出征
(
しゅっせい
)
に
召集
(
しょうしゅう
)
されたとき、
父親
(
ちちおや
)
は、ただ
息子
(
むすこ
)
が、
村
(
むら
)
から
出
(
で
)
た
友
(
とも
)
だちに
引
(
ひ
)
けを
取
(
と
)
らぬことを
念
(
ねん
)
じたのでした。
からす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
私
(
わし
)
はその
前刻
(
さつき
)
から
何
(
なん
)
となく
此
(
この
)
婦人
(
をんな
)
に
畏敬
(
ゐけい
)
の
念
(
ねん
)
が
生
(
しやう
)
じて
善
(
ぜん
)
か
悪
(
あく
)
か、
何
(
ど
)
の
道
(
みち
)
命令
(
めいれい
)
されるやうに
心得
(
こゝろえ
)
たから、いはるゝままに
草履
(
ざうり
)
を
穿
(
は
)
いた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「
文庫
(
ぶんこ
)
は
御宅
(
おたく
)
のでせうね。
可
(
い
)
いんでせうね」と
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
して、
何
(
な
)
にも
知
(
し
)
らない
下女
(
げぢよ
)
を
氣
(
き
)
の
毒
(
どく
)
がらしてゐる
所
(
ところ
)
へ、
最前
(
さいぜん
)
の
仲働
(
なかばたらき
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
て
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
後
(
あと
)
では
寧
(
むし
)
ろ
悔
(
く
)
いるまでも
羞恥
(
はぢ
)
と
恐怖
(
おそれ
)
とそれから
勘次
(
かんじ
)
を
憚
(
はゞか
)
ることから
由
(
よ
)
つて
來
(
きた
)
る
抑制
(
よくせい
)
の
念
(
ねん
)
とが
慌
(
あわ
)
てゝ
其
(
そ
)
の
手
(
て
)
を
振
(
ふ
)
り
挘
(
もき
)
らせるのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
言はれて
内室
(
ないしつ
)
に
入
(
はひ
)
つて見ると
成程
(
なるほど
)
石は
何時
(
いつ
)
の
間
(
ま
)
にか
紫檀
(
したん
)
の
臺
(
だい
)
に
還
(
かへ
)
つて居たので
益々
(
ます/\
)
畏敬
(
ゐけい
)
の
念
(
ねん
)
を
高
(
たか
)
め、
恭
(
うや/\
)
しく老叟を
仰
(
あふ
)
ぎ見ると、老叟
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
呼
(
よび
)
右の話をなしたるに上方の衆は關東者と
違
(
ちが
)
ひ
念
(
ねん
)
を
入
(
いれ
)
候へば物を
堅
(
かた
)
くする心ならんとて松葉屋桐屋共に
立出
(
たちいで
)
對面
(
たいめん
)
に及びしかば大金を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
故に慾心と云ふもの
仰山
(
ぎようさん
)
起り來て、天理と云ふことを
覺
(
さと
)
ることなし。天理と云ふことが
慥
(
たしか
)
に
譯
(
わか
)
つたらば、壽殀何ぞ
念
(
ねん
)
とすることあらんや。
遺教
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
当時、諭吉は
旧
(
きゅう
)
中津藩
(
なかつはん
)
の士族にして、
夙
(
つと
)
に
洋学
(
ようがく
)
に志し江戸に来て
藩邸内
(
はんていない
)
に在りしが、軍艦の
遠洋航海
(
えんようこうかい
)
を聞き、
外行
(
がいこう
)
の
念
(
ねん
)
自
(
みず
)
から禁ずる
能
(
あた
)
わず。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
おや/\と
思
(
おも
)
ひながら、
猶
(
なほ
)
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
土
(
つち
)
を
取
(
と
)
つて
見
(
み
)
ると、
把手
(
とつて
)
の一
部
(
ぶ
)
のみ
缺
(
か
)
けて
他
(
た
)
は
完全
(
くわんぜん
)
なる
土瓶
(
どびん
)
であつた。(第三圖イ參照)
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
「だがおまえさんは、そのチビさんがあした家に帰ると、受けあってくれるでしょうね。」と、隊長は
念
(
ねん
)
をおして言いました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
愛
(
あい
)
ちやんは
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
すやうに
云
(
い
)
はれたのを
面白
(
おもしろ
)
からず
思
(
おも
)
つて、
何
(
なに
)
か
他
(
ほか
)
の
話題
(
はなし
)
を
始
(
はじ
)
めやうとして、
彼
(
あ
)
れか
此
(
こ
)
れかと
考
(
かんが
)
へて
居
(
ゐ
)
ました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
君等
(
きみら
)
の
其時
(
そのとき
)
の
擧動
(
ふるまひ
)
を
賞讃
(
しようさん
)
するのを
見
(
み
)
るにつけても、
實
(
じつ
)
に
斷膓
(
だんちやう
)
の
念
(
ねん
)
に
堪
(
た
)
えなかつたです——
何
(
なに
)
、あの
卑劣
(
ひれつ
)
なる
船長等
(
せんちやうら
)
は
如何
(
どう
)
したと
問
(
と
)
はるゝか。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
念
(
ねん
)
のために表二階に寢て居る兄さん(捨吉)の樣子を見に行きましたが、御手洗場へ行つた樣子で、
床
(
とこ
)
の中には見えません。
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
忍剣
(
にんけん
)
は、この方角とにらんだ道を、一
念
(
ねん
)
こめて、さがしていくと、やがて、ゆくてにあたって、一
宇
(
う
)
の六角堂が目についた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すゝめもなさず
去
(
さ
)
るものは
日々
(
ひゞ
)
に
疎
(
うと
)
しの
俚諺
(
ことわざ
)
もあり
日
(
ひ
)
をだに
經
(
ふ
)
れば
芳之助
(
よしのすけ
)
を
追慕
(
つゐぼ
)
の
念
(
ねん
)
も
薄
(
うす
)
らぐは
必定
(
ひつぢやう
)
なるべし
心
(
こゝろ
)
ながく
時
(
とき
)
を
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「
太郎冠者
(
たろうかじゃ
)
あるか。おん前に。
念
(
ねん
)
のう早かった。頼うだ人はきょうもまた、恋の
奴
(
やっこ
)
のお使いか、返事待つ恋、忍ぶ恋……」
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
私はそれをまた洋封筒の中にしまって、それから、
念
(
ねん
)
のために——全く念のために、伯父の手紙をもう一度読んでみた。幾度読んでも同じだった。
未来の天才
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
俺は若い時分に
小松宮
(
こまつのみや
)
さまの
御風采
(
ごふうさい
)
が大層およろしいと思って、殿下のように髪を分けたいものだと
念
(
ねん
)
がけていました。
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ここで
念
(
ねん
)
の
為
(
た
)
めに
申上
(
もうしあ
)
げて
置
(
お
)
きますが、
私
(
わたくし
)
を
指導
(
しどう
)
してくだすった
神様
(
かみさま
)
は、お
姿
(
すがた
)
は
普通
(
ただ
)
の
老人
(
としより
)
の
姿
(
すがた
)
を
執
(
と
)
って
居
(
お
)
られますが、
実
(
じつ
)
は
人間
(
にんげん
)
ではございませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
が、おせんの
胸
(
むね
)
の
底
(
そこ
)
にひそんでいる、
思慕
(
しぼ
)
の
念
(
ねん
)
は、それらの
噂
(
うわさ
)
には一
切
(
さい
)
おかまいなしに
日毎
(
ひごと
)
につのってゆくばかりだった。それもそのはずであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
乍去
(
さりながら
)
日本人
(
にほんじん
)
從來
(
じゆうらい
)
の
習慣
(
しふくわん
)
でありませうが、
斯樣
(
かやう
)
な
事
(
こと
)
に
極
(
き
)
めて
無頓着
(
むとんちやく
)
が
多
(
おほ
)
い。
責任
(
せきにん
)
を
重
(
おも
)
んずるの
念
(
ねん
)
に
乏
(
とぼ
)
しい。
獨立
(
どくりつ
)
して
物
(
もの
)
を
治
(
をさ
)
めて
行
(
ゆ
)
くといふ
事
(
こと
)
が
少
(
すこ
)
しも
無
(
な
)
い。
女教邇言
(旧字旧仮名)
/
津田梅子
(著)
そのとき彼は、
不審
(
ふしん
)
の
念
(
ねん
)
にうたれた。「ラツールさんの姿が見えないが、どこへ行ったんだろうか。斜面をすっかりのぼって、崖の上へ出たのかしらん」
恐竜島
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
わが
國
(
くに
)
に
於
(
おい
)
ては
餘震
(
よしん
)
を
恐怖
(
きようふ
)
する
念
(
ねん
)
が
特
(
とく
)
に
強
(
つよ
)
いが、それは
右
(
みぎ
)
の
言葉上
(
ことばじよう
)
の
誤
(
あやま
)
りによりても
培養
(
ばいよう
)
せられてゐるのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
その
楽譜
(
がくふ
)
は、
老人
(
ろうじん
)
の太い
書体
(
しょたい
)
で特別に
念
(
ねん
)
をいれて書いてあった。
最初
(
さいしょ
)
のところには輪や
花形
(
はながた
)
の
飾
(
かざり
)
がついていた。
ジャン・クリストフ
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
それに
引
(
ひ
)
きかへて
日光
(
につこう
)
にある
徳川氏
(
とくがはし
)
の
廟
(
びよう
)
があのとほり
立派
(
りつぱ
)
なのを
見
(
み
)
て、
蒲生君平
(
がまうくんぺい
)
などが
憤慨
(
ふんがい
)
して
尊王
(
そんのう
)
の
念
(
ねん
)
を
起
(
おこ
)
したので、まことにむりのないことであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
日頃
(
ひごろ
)
は
閑卻
(
かんきゃく
)
している
慚愧
(
ざんき
)
と絶望の
念
(
ねん
)
が動き初めるにつれて、自分は一体どうしてここまで堕落する事ができたものかと、我ながら不思議な心持にもなって来る。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
老婆の話が完ると、下人は
嘲
(
あざけ
)
るやうな聲で
念
(
ねん
)
を押した。さうして、一
足
(
あし
)
前
(
まへ
)
へ出ると、
不意
(
ふい
)
に、右の手を面皰から離して、老婆の
襟上
(
えりがみ
)
をつかみながら、かう云つた。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
つまりこの銀行員たるべき人には、自分が大変想いを寄せている女が一人あって、それを嫁に貰いたい
念
(
ねん
)
は山々であるのだが、その山々な
念
(
ねん
)
に
背
(
そむ
)
かなければならない。
白い光と上野の鐘
(新字新仮名)
/
沼田一雅
(著)
そして、なほも
警戒
(
けいかい
)
するやうに
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れるやうに
穴
(
あな
)
のまはりを
歩
(
ある
)
きまはつてゐたが、やがてひよいと
飛
(
と
)
び
上
(
あが
)
ると、
蜘蛛
(
くも
)
の
死骸
(
しがい
)
をくはへて
再
(
ふたた
)
び
穴
(
あな
)
の
所
(
ところ
)
へ
舞
(
ま
)
ひもどつて
來
(
き
)
た。
画家とセリセリス
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
〔譯〕凡そ事を
作
(
な
)
すには、
須
(
すべか
)
らく天に
事
(
つか
)
ふるの心あるを
要
(
えう
)
すべし。人に示すの
念
(
ねん
)
あるを要せず。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
こう
心
(
こころ
)
の中に
念
(
ねん
)
じながら、
今
(
いま
)
にも
山姥
(
やまうば
)
が
上
(
あ
)
がってくるか、
上
(
あ
)
がってくるかと
待
(
ま
)
っていました。
山姥の話
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
兼
(
かね
)
て御相談申し置き候尊攘堂の事、僕はいよいよ
念
(
ねん
)
を絶ち候〔既に死を決するが故に〕。この上は
足下
(
そっか
)
兄弟の内一人は是非僕が志を
成就
(
じょうじゅ
)
致しくれられ候事と
頼母
(
たのも
)
しく存じ候。
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
兄が
此様
(
このやう
)
に
念
(
ねん
)
を
押
(
お
)
し
辞
(
ことば
)
を鄭寧にして
物
(
もの
)
を頼んだ事は無いので、貢さんは気の毒に思つた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
チッバルトは
其儘
(
そのまゝ
)
一
旦
(
たん
)
逃去
(
にげさ
)
りましたが、やがて
又
(
また
)
取
(
と
)
って
返
(
かへ
)
すを、
今
(
いま
)
や
復讐
(
ふくしう
)
の
念
(
ねん
)
に
滿
(
み
)
ちたるロミオが
見
(
み
)
るよりも、
電光
(
でんくわう
)
の
如
(
ごと
)
く
切
(
き
)
ってかゝり、
引分
(
ひきわ
)
けまする
間
(
ひま
)
さへもござらぬうちに
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
と云うのは私が西洋を信ずるの
念
(
ねん
)
が骨に徹して居たものと見えて、
一寸
(
ちょい
)
とも怖いと
思
(
おもっ
)
たことがない。
夫
(
そ
)
れから途中で水が乏しくなったので
布哇
(
ハワイ
)
に寄るか寄らぬかと
云
(
い
)
う説が
起
(
おこっ
)
た。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
然
(
しかれ
)
どもこの
癖漢
(
へきかん
)
の
冷々
(
れい/\
)
たる
苦笑
(
くせう
)
を
起
(
おこ
)
すのみなる
事
(
こと
)
を
示
(
しめ
)
し、
實際家
(
じつさいか
)
を
卑
(
いや
)
しむの
念
(
ねん
)
をあらはし、「でなくば
生命
(
いのち
)
を
捨
(
す
)
てんのみ。
運命
(
うんめい
)
に
服從
(
ふくじゆう
)
し、
百事
(
ひやくじ
)
を
放擲
(
はうてき
)
し」、
云々
(
しか/″\
)
の
語
(
ご
)
を
發
(
はつ
)
せしむるに
至
(
いた
)
る。
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
いまの
現在
(
げんざい
)
の
位置
(
いち
)
すらも、そろそろゆれだしたような気がする。ものに
屈託
(
くったく
)
するなどいうことはとんと知らなかった糟谷も、にわかに
悔恨
(
かいこん
)
の
念
(
ねん
)
禁
(
きん
)
じがたく、しばしば
寝
(
ね
)
られない夜もあった。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
念
(
ねん
)
のためもうしそえますが、ご
主君
(
しゅくん
)
は、ただいま、おしのびの旅をなされていられるのですから、このことは、どのようなことがあっても、いっさいひみつに、だれひとりにも話さぬよう
壇ノ浦の鬼火
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
私が夫を迎えたのを
見澄
(
みすま
)
してその方の稽古を
念
(
ねん
)
がけて行ったものと存じます。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし
僧侶
(
そうりよ
)
や
道士
(
だうし
)
と
云
(
い
)
ふものに
對
(
たい
)
しては、
何故
(
なぜ
)
と
云
(
い
)
ふこともなく
尊敬
(
そんけい
)
の
念
(
ねん
)
を
持
(
も
)
つてゐる。
自分
(
じぶん
)
の
會得
(
ゑとく
)
せぬものに
對
(
たい
)
する、
盲目
(
まうもく
)
の
尊敬
(
そんけい
)
とでも
云
(
い
)
はうか。そこで
坊主
(
ばうず
)
と
聞
(
き
)
いて
逢
(
あ
)
はうと
云
(
い
)
つたのである。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
博士
(
はくし
)
は
血
(
ち
)
ですっかりよごれたベッドのまわりを、
念
(
ねん
)
いりにしらべた。
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
唯
(
ただ
)
念
(
ねん
)
ず、しづかにはた
圓
(
まど
)
やかに
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
瞟眼
(
ひがめ
)
にして疑の
念
(
ねん
)
深き事務室
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
と、
念
(
ねん
)
をおしました。
マリアの子ども
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
どんな
強
(
つよ
)
い
風
(
かぜ
)
に
当
(
あ
)
たっても
裂
(
さ
)
けぬように、またどんなに
雨
(
あめ
)
や
波
(
なみ
)
にぬらされても、
破
(
やぶ
)
れぬようにと、
念
(
ねん
)
に
念
(
ねん
)
をいれて
造
(
つく
)
っていました。
一本の銀の針
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
怒
(
おこ
)
らねえだ。が、
何
(
なに
)
もはあ、
自分
(
じぶん
)
では
知
(
し
)
らねえちゆうだ。
私
(
わし
)
も、あれよ、
念
(
ねん
)
のために、
燈
(
あかり
)
をくわんと
明
(
あか
)
るくして、
恁
(
か
)
う
照
(
て
)
らかいて
見
(
み
)
た。」
鑑定
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
專門上
(
せんもんじやう
)
の
知識
(
ちしき
)
のない
小六
(
ころく
)
が、
精密
(
せいみつ
)
な
返答
(
へんたふ
)
をし
得
(
う
)
る
筈
(
はず
)
は
無論
(
むろん
)
なかつた。
彼
(
かれ
)
はたゞ
安之助
(
やすのすけ
)
から
聞
(
き
)
いた
儘
(
まゝ
)
を、
覺
(
おぼ
)
えてゐる
限
(
かぎ
)
り
念
(
ねん
)
を
入
(
い
)
れて
説明
(
せつめい
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
然
(
しか
)
し
彼等
(
かれら
)
は一
方
(
ぱう
)
に
有
(
いう
)
して
居
(
ゐ
)
る
矛盾
(
むじゆん
)
した
羞耻
(
しうち
)
の
念
(
ねん
)
に
制
(
せい
)
せられて
燃
(
も
)
えるやうな
心情
(
しんじやう
)
から
竊
(
ひそか
)
に
果敢
(
はか
)
ない
目
(
め
)
の
光
(
ひかり
)
を
主
(
しゆ
)
として
夜
(
よ
)
に
向
(
むか
)
つて
注
(
そゝ
)
ぐのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
騷
(
さわが
)
したるに依て此方へ
召捕
(
めしとり
)
置たり但し吟味致すべきなれども亂心に
紛
(
まぎ
)
れなき故今日引渡し遣す尤も
由緒
(
ゆゐしよ
)
も是有家來ならば
隨分
(
ずゐぶん
)
念
(
ねん
)
を入て
療治
(
れうぢ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「ゆうべは
真
(
ま
)
っくらでわからない。いずれ
毒水
(
どくみず
)
を
呑
(
の
)
んだろう、朝になったら
念
(
ねん
)
のために、生死をたしかめにいこうと思っていたところなので」
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“念”の意味
《名詞》
思い。気持ち。
よく気を付けること。
(出典:Wiktionary)
念
常用漢字
小4
部首:⼼
8画
“念”を含む語句
執念
念珠
観念
記念
断念
想念
執念深
斷念
觀念
思念
妄念
念入
念仏
無念
念慮
記念品
念懸
怨念
紀念
諦念
...