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うづ
ふりがな文庫
“
埋
(
うづ
)” の例文
車夫のかく答へし後は
語
(
ことば
)
絶えて、車は
驀直
(
ましぐら
)
に走れり、紳士は
二重外套
(
にじゆうがいとう
)
の
袖
(
そで
)
を
犇
(
ひし
)
と
掻合
(
かきあは
)
せて、
獺
(
かはうそ
)
の
衿皮
(
えりかは
)
の内に耳より深く
面
(
おもて
)
を
埋
(
うづ
)
めたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
纔
(
わづか
)
に六畳と二畳とに過ぎない部屋は三面の鏡、二脚の椅子、芝居の衣裳、
鬘
(
かつら
)
、小道具、
其
(
それ
)
から青
枯
(
が
)
れた
沢山
(
たくさん
)
の
花環
(
はなわ
)
とで
埋
(
うづ
)
まつて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
うむを見て
男魚
(
をな
)
己
(
おのれ
)
が
白䱊
(
しらこ
)
を
弾着
(
ひりつけ
)
、
直
(
すぐ
)
に
女魚
(
めな
)
男魚
(
をな
)
掘
(
ほり
)
のけたる
沙石
(
しやせき
)
を左右より
尾鰭
(
をひれ
)
にてすくひかけて
鮞
(
こ
)
を
埋
(
うづ
)
む。一
粒
(
つぶ
)
も
流
(
なが
)
さるゝ事をせず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
たゞ沙漠の
砂
(
すな
)
の
燩
(
や
)
けてゐるやうに、頭が
熱
(
ほて
)
ツてゐるばかりだ。そして何時
颶風
(
はやて
)
が起ツて、此の體も魂も
埋
(
うづ
)
められて
了
(
しま
)
うか知れないんだ。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
それは
棺
(
かん
)
の
中
(
なか
)
は
空氣
(
くうき
)
が
侵入
(
しんにゆう
)
して
腐
(
くさ
)
り
易
(
やす
)
いが、
直接
(
ちよくせつ
)
に
土中
(
どちゆう
)
に
埋
(
うづ
)
める
時
(
とき
)
は
空氣
(
くうき
)
が
入
(
い
)
り
難
(
にく
)
いので、かへってよく
保存
(
ほぞん
)
されるのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
竪穴は風雨の作用
塵埃
(
ぢんあい
)
の
堆積
(
たいせき
)
の爲、自然に埋まる事も有るべく、
開墾
(
かいこん
)
及び諸種の土木工事の爲、人爲を以て
埋
(
うづ
)
むる事も有るべきものなり。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
職員四人分の
卓
(
つくゑ
)
や椅子、書類入の戸棚などを並べて、さらでだに狭くなつてゐる室は、其等の
人数
(
にんず
)
に
埋
(
うづ
)
められて、
身動
(
みじろ
)
ぎも出来ぬ程である。
足跡
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
わがやどりて影を
映
(
うつ
)
せる身の
埋
(
うづ
)
もるゝ處にてははや
夕
(
ゆふ
)
なり、この身ナポリにあり、ブランディツィオより移されき 二五—二七
神曲:02 浄火
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
輝かしき凡人にてはあらざりけり
元暦
(
げんりやく
)
元年の春の雪
粟津
(
あはづ
)
の原に消えたれど首は六條の河原にさらされ
尸
(
かばね
)
は原に
埋
(
うづ
)
めたれど名は末代に殘りけり
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
その灰でそこらはすつかり
埋
(
うづ
)
まりました。このまつ黒な巨きな巌も、やつぱり山からはね飛ばされて、今のところに落ちて来たのださうです。
狼森と笊森、盗森
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
鐵
(
てつ
)
づくりの
門
(
もん
)
の
柱
(
はしら
)
の、やがて
平地
(
へいち
)
と
同
(
おな
)
じに
埋
(
うづ
)
まつた
眞中
(
まんなか
)
を、
犬
(
いぬ
)
は
山
(
やま
)
を
乘
(
の
)
るやうに
入
(
はひ
)
ります。
私
(
わたし
)
は
坂
(
さか
)
を
越
(
こ
)
すやうに
續
(
つゞ
)
きました。
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
積み上げた
記録
(
レコード
)
も、研究も、智識も多くは利用されずに、新しい人、乃至新しい現代に
埋
(
うづ
)
められたまゝに引継がれて行く。
現代と旋廻軸
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
水車
(
すゐしや
)
は
毎日
(
まいにち
)
動
(
うご
)
いて
居
(
ゐ
)
るどころか、
吹
(
ふ
)
きつける
雪
(
ゆき
)
に
埋
(
うづ
)
められまして、まるで
車
(
くるま
)
の
廻
(
まは
)
らなくなつてしまつたことも
有
(
あ
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
麦秋
(
むぎあき
)
である。「富士一つ
埋
(
うづ
)
み残して
青葉
(
あをば
)
かな」其青葉の
青闇
(
あおぐら
)
い間々を、
熟
(
う
)
れた麦が一面日の
出
(
で
)
の様に明るくする。陽暦六月は「
農攻
(
のうこう
)
五月
(
ごげつ
)
急於弦
(
げんよりもきゅうなり
)
」
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
切
(
きり
)
小半道程傍なる
丘
(
をか
)
の小松の根へ
隱
(
かく
)
し
埋
(
うづ
)
め
置
(
おき
)
扨惣内夫婦切害に逢たる旨領主の郡奉行へ訴へ出二十兩餘の
賄賂
(
まいない
)
を
遣
(
つか
)
ひ九助を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
彼等
(
かれら
)
は
味
(
あじは
)
ふのではなくて
要
(
えう
)
するに
咽喉
(
のど
)
の
孔
(
あな
)
を
埋
(
うづ
)
めるのである。
冷水
(
れいすゐ
)
を
注
(
そゝ
)
いで
其
(
そ
)
のぼろ/\な
麥飯
(
むぎめし
)
を
掻
(
か
)
き
込
(
こ
)
む
時
(
とき
)
彼等
(
かれら
)
の
一人
(
ひとり
)
でも
咀嚼
(
そしやく
)
するものはない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
日
(
ひ
)
は
已
(
すで
)
に
沒
(
ぼつ
)
した。イワン、デミトリチは
顏
(
かほ
)
を
枕
(
まくら
)
に
埋
(
うづ
)
めて
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
横
(
よこ
)
になつてゐる。
中風患者
(
ちゆうぶくわんじや
)
は
何
(
なに
)
か
悲
(
かな
)
しさうに
靜
(
しづか
)
に
泣
(
な
)
きながら、
唇
(
くちびる
)
を
動
(
うご
)
かしてゐる。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
其
(
そ
)
の
中
(
うち
)
新聞記者
(
しんぶんきしや
)
が
来
(
く
)
る、
出迎人
(
でむかへにん
)
が
来
(
く
)
る。
汽船会社
(
きせんぐわいしや
)
の
雇人
(
やとひにん
)
が
来
(
く
)
る。
甲板
(
かんぱん
)
は
上中下
(
じやうちうげ
)
ともぎツしり
人
(
ひと
)
で
埋
(
うづ
)
まつて
了
(
しま
)
つた。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
その時私の作品集は、
堆
(
うづだか
)
い
埃
(
ほこり
)
に
埋
(
うづ
)
もれて、
神田
(
かんだ
)
あたりの古本屋の
棚
(
たな
)
の隅に、
空
(
むな
)
しく読者を待つてゐる事であらう。
澄江堂雑記
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
乗
(
の
)
り込んで見ると、
誰
(
だれ
)
も居なかつた。
黒
(
くろ
)
い
着物
(
きもの
)
を
着
(
き
)
た車掌と運転手の
間
(
あひだ
)
に
挟
(
はさ
)
まれて、一種の
音
(
おと
)
に
埋
(
うづ
)
まつて
動
(
うご
)
いて行くと、
動
(
うご
)
いてゐる
車
(
くるま
)
の
外
(
そと
)
は
真暗
(
まつくら
)
である。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
今
(
いま
)
の
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
には
憎
(
にく
)
くし
剛慾
(
がうよく
)
もの
事情
(
じじやう
)
あくまで
知
(
し
)
りぬきながら
知
(
し
)
らず
顏
(
がほ
)
の
烟草
(
たばこ
)
ふか/\
身
(
み
)
に
過
(
あやま
)
りあればこそ
疊
(
たゝみ
)
に
額
(
ひたひ
)
ほり
埋
(
うづ
)
めて
歎願
(
たんぐわん
)
も
吹出
(
ふきい
)
だす
烟
(
けむり
)
の
輪
(
わ
)
と
消
(
け
)
して
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
若
(
も
)
し又
惣
(
すべ
)
ての
文学者
(
ぶんがくしや
)
を
一時
(
いちじ
)
に
殺戮
(
さつりく
)
すれば其
死屍
(
しゝ
)
は以て
日本海
(
につぽんかい
)
を
埋
(
うづ
)
むべく其
血
(
ち
)
は以て
太平洋
(
たいへいよう
)
を
変色
(
へんしよく
)
せしむべし。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
平次が帳場格子の前にしやがむと、品吉は
埋
(
うづ
)
み火の煙草盆を押しやつて、自分も
眞鍮
(
しんちう
)
の煙管を取上げました。
銭形平次捕物控:233 鬼の面
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
是に
於
(
お
)
いて、使者還り来て曰く、墓所に到りて視れば、
封
(
かため
)
埋
(
うづ
)
めるところ動かず。
乃
(
すなは
)
ち開きて
屍骨
(
かばね
)
を見れば、既に
空
(
むな
)
しくなりたり。
唯
(
た
)
だ
衣物
(
きもの
)
畳みて
棺
(
ひつぎ
)
の上に置けり。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
灰屋紹益
(
はひやぜうえき
)
が愛人吉野太夫の亡くなつた時、火葬にした灰を、その儘土に
埋
(
うづ
)
めるに忍びないからといつて、酒に
浸
(
ひた
)
してそつくり
嚥
(
の
)
み下してしまつたのは名高い話だ。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
それから幾日かたつて、魚は岸にうちあげられました、そして白い砂がからだの上に、重たく沢山しだいにかさなり、やがて魚の骨は砂の中に
埋
(
うづ
)
もれてしまひました。
小熊秀雄全集-14:童話集
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
浅草寺境内
(
せんさうじけいだい
)
の
弁天山
(
べんてんやま
)
の池も既に
町家
(
まちや
)
となり、また赤坂の溜池も
跡方
(
あとかた
)
なく
埋
(
うづ
)
めつくされた。それによつて私は将来
不忍池
(
しのばずのいけ
)
も
亦
(
また
)
同様の運命に陥りはせぬかと
危
(
あやぶ
)
むのである。
水 附渡船
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
死骸葬り得さすべしと
仰有之候
(
おほせこれありそろ
)
に付、
則
(
すなはち
)
菩提所傳通院寺中昌林院へ
埋
(
うづ
)
め、今猶墳墓あれども、一華を
手向
(
たむく
)
る者もなし、僅に番町邊の人一人正忌日にのみ參詣すと云ふ
寿阿弥の手紙
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
かくて
櫻島
(
さくらじま
)
は
毎回
(
まいかい
)
多量
(
たりよう
)
の
鎔岩
(
ようがん
)
を
出
(
だ
)
すので
島
(
しま
)
の
大
(
おほ
)
きさも
次第
(
しだい
)
に
増
(
ま
)
して
行
(
ゆ
)
くが、
今回
(
こんかい
)
は
東側
(
ひがしがは
)
に
出
(
で
)
た
鎔岩
(
ようがん
)
が
遂
(
つひ
)
に
瀬戸海峽
(
せとかいきよう
)
を
埋
(
うづ
)
め、
櫻島
(
さくらじま
)
をして
大隅
(
おほすみ
)
の
一半島
(
いちはんとう
)
たらしめるに
至
(
いた
)
つた。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
パリス おゝ、しまうた!……
仁情
(
なさけ
)
があるなら
廟
(
べう
)
を
開
(
ひら
)
いてヂュリエットと一しょに
埋
(
うづ
)
めてくれい。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
南木曾
(
なぎそ
)
の山の
猿
(
ましら
)
の聲が詩人の魂を動かしそめたとすれば、淺間大麓の
灰砂
(
くわいしや
)
の谿は詩人の聲を
埋
(
うづ
)
めたとも言へやう。——島崎氏はこれより散文(小説)に向はれたのである。
新しき声
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
人々
(
ひと/″\
)
も
同意
(
どうい
)
と
見
(
み
)
えて
一時
(
いちじ
)
に
口
(
くち
)
を
閉
(
とぢ
)
たけれど、
其中
(
そのうち
)
の
二三人
(
にさんにん
)
は
別
(
べつ
)
に
此問
(
このとひ
)
に
氣
(
き
)
を
止
(
と
)
めず、ソフアに
身
(
み
)
を
埋
(
うづ
)
めてダラリと
手
(
て
)
を
兩脇
(
りやうわき
)
に
垂
(
た
)
れ、
天井
(
てんじやう
)
を
眺
(
なが
)
めて
眼
(
め
)
を
細
(
ほそ
)
くして
居
(
ゐ
)
る
者
(
もの
)
もあれば
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
また
海
(
うみ
)
のつよい
風
(
かぜ
)
は
濱邊
(
はまべ
)
の
砂
(
すな
)
を
吹
(
ふ
)
き
飛
(
と
)
ばして、
砂丘
(
さきゆう
)
を
造
(
つく
)
つたり、その
砂丘
(
さきゆう
)
の
砂
(
すな
)
をまた
方々
(
ほう/″\
)
へ
吹
(
ふ
)
き
運
(
はこ
)
んで、
大事
(
だいじ
)
な
田
(
た
)
や
畑
(
はた
)
や、
時
(
とき
)
によると
人家
(
じんか
)
までも
埋
(
うづ
)
めてしまふことがあります。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
シラチブチは
其頃
(
そのころ
)
から埋まりかけてゐた。東へ掘割を掘つて水を眞下に
流
(
なが
)
すやうになつてから、夏になる
度
(
たび
)
沿岸
(
えんがん
)
の土が流れ込んで、五寸づつ一尺づつ、だん/\と
埋
(
うづ
)
まつて行つた。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
勇
(
ゆう
)
を
皷
(
こ
)
して皆曰く、たとひ
日
(
ひ
)
暮
(
く
)
るるとも其小屋に
到達
(
とうたつ
)
し、酒樽
若
(
も
)
しあらば之を傾け尽し、戸倉村に
帰
(
かへ
)
りて其代価を
払
(
はら
)
はんのみと、議
忽
(
たちま
)
ち一决して沼岸を
渉
(
わた
)
る
深
(
ふか
)
さ
腿
(
もも
)
を
没
(
ぼつ
)
し
泥濘
(
でいねい
)
脛
(
すね
)
を
埋
(
うづ
)
む
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
そこで大急ぎに石を拾つて打ち殺し、深い穴を掘つて蛇を
埋
(
うづ
)
めてしまひました。
原つぱの子供会
(新字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
扨
(
さ
)
て
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
は、
石田學士
(
いしだがくし
)
大野助手等
(
おほのぢよしゆら
)
と
共
(
とも
)
に、
豫
(
かね
)
て
集合
(
しうがふ
)
さしてある
赤鉢卷
(
あかはちまき
)
の
人夫
(
にんぷ
)
三十
餘名
(
よめい
)
を
督
(
とく
)
して、いよ/\
山頂
(
さんちやう
)
の
大發掘
(
だいはつくつ
)
に
取掛
(
とりかゝ
)
り、
又
(
また
)
一
分隊
(
ぶんたい
)
を
派
(
は
)
して、
瓢箪山西面
(
ひようたんやませいめん
)
に、
半
(
なかば
)
埋
(
うづ
)
もれたる
横穴
(
よこあな
)
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
しかし私の云ひ度いことを口に云ひ現はすのは
難
(
むつ
)
かしい。フアンディンは、あなたも知つてるやうに、物の音などは
微
(
かす
)
かになつてこだまして消えてしまふやうな深い森に
埋
(
うづ
)
もれてゐるのだ。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
一一四
簀垣
(
すがき
)
朽頽
(
くちくづ
)
れたる
間
(
ひま
)
より、
荻
(
をぎ
)
薄
(
すすき
)
高く
生
(
おひ
)
出でて、朝露うちこぼるるに、袖
一一五
湿
(
ひ
)
ぢてしぼるばかりなり。壁には
蔦
(
つた
)
葛
(
くず
)
延
(
は
)
ひかかり、庭は
葎
(
むぐら
)
に
埋
(
うづ
)
もれて
一一六
秋ならねども野らなる宿なりけり。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
夜露
(
よつゆ
)
に
濡
(
ぬ
)
れた
草
(
くさ
)
が、
地上
(
ちじやう
)
に
盛
(
も
)
り
溢
(
あふ
)
れさうな
勢
(
いきほ
)
ひで、
野
(
の
)
を
埋
(
うづ
)
めてゐた。
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
その空間を全部
埋
(
うづ
)
めつくすやうに文字をかいてゐるうちに、縦横の直線と弧の曲線との配分をひとしくするのが、もつとも文字を明確にする所以であることを知らされ、同時に習字とは、要するに
秋艸道人の書について
(新字旧仮名)
/
吉野秀雄
(著)
瑠璃子夫人はと見ると、これらの惑星に囲まれた太陽のやうに、客間の中央に、女王のやうな美しさと威厳とを以て、大きい、彼女の身体を
埋
(
うづ
)
めてしまひさうな腕椅子に、ゆつたりと腰を下してゐた。
真珠夫人
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
盖
(
けだ
)
し、
日本
(
につぽん
)
の
臣民
(
しんみん
)
は
如何
(
いか
)
なる
塲合
(
ばあひ
)
に
於
(
おい
)
ても、
其
(
その
)
身
(
み
)
を
思
(
おも
)
ふよりも、
國
(
くに
)
を
思
(
おも
)
ふ
事
(
こと
)
大
(
だい
)
なれば、
若
(
も
)
し
救
(
すく
)
ふに
良策
(
りようさく
)
なくば、
乞
(
こ
)
ふ、
大義
(
たいぎ
)
の
爲
(
ため
)
に
吾等
(
われら
)
を
見捨
(
みす
)
て
玉
(
たま
)
へ、
吾等
(
われら
)
も
亦
(
ま
)
た
運命
(
うんめい
)
に
安
(
やす
)
んじて、
骨
(
ほね
)
を
此
(
この
)
山中
(
さんちう
)
に
埋
(
うづ
)
めん。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
隠
(
こも
)
らひぬ、
鉱
(
あらがね
)
と
石
(
いはほ
)
との
隙
(
ひま
)
埋
(
うづ
)
もれ。
新頌
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
こゝに寝む花の吹雪に
埋
(
うづ
)
むまで
三日幻境
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
あぢきなや椿落ち
埋
(
うづ
)
む庭たつみ
俳人蕪村
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
背広の
文
(
あや
)
の音楽に首を
埋
(
うづ
)
めて
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
薄赤き
蔓
(
つる
)
とに
埋
(
うづ
)
まれり。
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
それらの
器物
(
きぶつ
)
は
今日
(
こんにち
)
ではたいてい
土
(
つち
)
に
埋
(
うづ
)
もれて
見
(
み
)
えなくなつたり、
壞
(
こは
)
れてなくなつてしまつて、
遺
(
のこ
)
つてゐるものは
甚
(
はなは
)
だ
少
(
すくな
)
いのであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
埋
(
うづ
)
む今ま三四年せば卷烟草一本吸ひ盡さぬ間に
蝦夷
(
ゑぞ
)
長崎へも到りヱヘンといふ響きのうちに奈良大和へも遊ぶべし
况
(
いは
)
んや手近の温泉塲など
樋
(
とひ
)
を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
埋
常用漢字
中学
部首:⼟
10画
“埋”を含む語句
埋葬
生埋
埋合
溝埋
埋火
降埋
埋木
埋没
埋立
穴埋
埋蔵
埋葬地
埋尽
埋伏
埋立地
埋兵
埋草
埋地
仮埋葬
埋堀
...