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ふりがな文庫
“
程
(
ほど
)” の例文
其
(
そ
)
の
日
(
ひ
)
は
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
に
懸
(
か
)
けた
大根
(
だいこ
)
の
動
(
うご
)
かぬ
程
(
ほど
)
穩
(
おだや
)
かな
日
(
ひ
)
であつた。お
品
(
しな
)
は
此
(
こ
)
の
分
(
ぶん
)
で
行
(
ゆ
)
けば
一枚紙
(
いちまいがみ
)
を
剥
(
は
)
がすやうに
快
(
こゝろ
)
よくなることゝ
確信
(
かくしん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
数本のアカシアの枝を透しながらくっきりと見えている、
程
(
ほど
)
遠くの、真っ白な、小さな橋をはじめて見でもするように見入っていた。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
宗助
(
そうすけ
)
にも
御米
(
およね
)
にも
思
(
おも
)
ひ
掛
(
が
)
けない
程
(
ほど
)
稀
(
たま
)
な
客
(
きやく
)
なので、
二人
(
ふたり
)
とも
何
(
なに
)
か
用
(
よう
)
があつての
訪問
(
はうもん
)
だらうと
推
(
すゐ
)
したが、
果
(
はた
)
して
小六
(
ころく
)
に
關
(
くわん
)
する
件
(
けん
)
であつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
剣菱
茲
(
ここ
)
に論語、聖書の中より二三節を抜摘して、公平なる批評を加えて、孔子や耶蘇が
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
利口な事をいったか研究して見よう。
論語とバイブル
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
みんなが想像した
程
(
ほど
)
水は来ず、別荘のある近所は、
僅
(
わず
)
かに浪頭がかぶった位と見えて、砂地が汚ならしく濡れているばかりだった。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
▼ もっと見る
お浪との
会話
(
はなし
)
をいい
程
(
ほど
)
のところに
遮
(
さえぎ
)
り、余り
帰宅
(
かえり
)
が遅くなってはまた叱られるからという口実のもとに、
酒店
(
さかや
)
へと急いで酒を買い
雁坂越
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
諸君
(
しよくん
)
も
御經驗
(
ごけいけん
)
であらうが
此樣
(
こん
)
な
時
(
とき
)
にはとても
眠
(
ねむ
)
られるものではない、
氣
(
き
)
を
焦
(
いらだ
)
てば
焦
(
いらだ
)
つ
程
(
ほど
)
眼
(
まなこ
)
は
冴
(
さ
)
えて
胸
(
むね
)
にはさま/″\の
妄想
(
もうざう
)
が
往來
(
わうらい
)
する。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「……貴公の
如
(
ごと
)
き前世紀の
怪物
(
かいぶつ
)
が花岡伯爵家の子弟教育に従事するは身の
程
(
ほど
)
知らず、ふとどき
千万
(
せんばん
)
なり。時勢を見よ。時勢を見よ……」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
統計
(
とうけい
)
によれば、
餘震
(
よしん
)
のときの
震動
(
しんどう
)
の
大
(
おほ
)
いさは、
最初
(
さいしよ
)
の
大地震
(
だいぢしん
)
のものに
比較
(
ひかく
)
して、
其
(
その
)
三分
(
さんぶん
)
の
一
(
いち
)
といふ
程
(
ほど
)
のものが、
最大
(
さいだい
)
の
記録
(
きろく
)
である。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
下
(
した
)
を
見
(
み
)
ると
驚
(
おどろ
)
く
程
(
ほど
)
首
(
くび
)
が
長
(
なが
)
くなつて
居
(
ゐ
)
て、
宛
(
まる
)
でそれは、
遙
(
はる
)
か
眼下
(
がんか
)
に
横
(
よこ
)
たはれる
深緑
(
しんりよく
)
の
木
(
こ
)
の
葉
(
は
)
の
海
(
うみ
)
から
抽
(
ぬ
)
き
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る
莖
(
くき
)
のやうに
見
(
み
)
えました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
面附
(
つらつき
)
こそは
誰
(
た
)
れよりも
見
(
み
)
よけれ、
脛附
(
すねつき
)
が十
人並
(
にんなみ
)
以上
(
いじゃう
)
ぢゃ、それから
手
(
て
)
や
足
(
あし
)
や
胴
(
どう
)
やは
彼
(
か
)
れ
此
(
こ
)
れ
言
(
い
)
ふが
程
(
ほど
)
も
無
(
な
)
いが、
外
(
ほか
)
には、ま、
類
(
るゐ
)
が
無
(
な
)
い。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「子犬」といわれて取ってあげるのは、
草鞋
(
わらじ
)
に子犬が二つむつれている形でした。大きさも
程
(
ほど
)
よく、ほんとに可愛らしいのでした。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
讓
(
ゆづ
)
りしとぞ
爰
(
こゝ
)
に又丁山と小夜衣の兩人は
程
(
ほど
)
なく
曲輪
(
くるわ
)
を出てたり姉の丁山二世と
言替
(
いひかは
)
せし
遠山
(
とほやま
)
勘
(
かん
)
十郎と云し人も病死なせしかば其跡を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
けれど泥が
深
(
ふか
)
いから、足がはまつたら最後二度と拔けなかつた。水の外に
掴
(
つか
)
まる
物
(
もの
)
が無いのだから、もがけばもがく
程
(
ほど
)
泥
(
どろ
)
に吸はれて行く。
筑波ねのほとり
(旧字旧仮名)
/
横瀬夜雨
(著)
まったく、ばかな
狸
(
たぬき
)
です。汽車にばけるなんて、よくそんな
危
(
あぶな
)
っかしいことができたものです。むてっぽうにも
程
(
ほど
)
がありますよ。
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
頭部の肉は
顱頂骨
(
ろちょうこつ
)
が透いて見える
程
(
ほど
)
ひからびていて、ビカビカ光る
引釣
(
ひっつり
)
があって、その上全面に一本の毛髪も残っていなかった。
悪霊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
汝
(
ンガ
)
の
夫
(
オド
)
ア
何歳
(
ナンボ
)
だバ。
吾
(
ワイ
)
のナ
今歳
(
コドシ
)
二十六だネ。
何
(
なに
)
、
笑
(
わら
)
ふんダバ。
汝
(
ンガ
)
の
阿母
(
オガ
)
の
姉
(
あね
)
ダテ
二十歳
(
ハダヂ
)
も
下
(
した
)
の
男
(
ヲドゴ
)
有
(
も
)
たけアせ。
吾
(
ワ
)
だけアそれ
程
(
ほど
)
違
(
チガ
)
はねエネ。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
しかるに
初雪
(
しよせつ
)
の
後
(
のち
)
十月のころまでにこの
二条
(
ふたすぢ
)
の
小流
(
こながれ
)
雪の
為
(
ため
)
に
降埋
(
ふりうめ
)
られ、流水は雪の下にあり、
故
(
ゆゑ
)
に
家毎
(
いへごと
)
に
汲
(
くむ
)
べき
程
(
ほど
)
に雪を
穿
(
うがち
)
て
水用
(
すゐよう
)
を弁ず。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
齋藤巡査
(
さいとうじゆんさ
)
が
眞鶴
(
まなづる
)
で
下車
(
げしや
)
したので
自分
(
じぶん
)
は
談敵
(
だんてき
)
を
失
(
うしな
)
つたけれど、
湯
(
ゆ
)
ヶ
原
(
はら
)
の
入口
(
いりくち
)
なる
門川
(
もんかは
)
までは、
退屈
(
たいくつ
)
する
程
(
ほど
)
の
隔離
(
かくり
)
でもないので
困
(
こま
)
らなかつた。
湯ヶ原ゆき
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
さういふ
人
(
ひと
)
たちは、
數
(
かぞ
)
へ
上
(
あ
)
げることの
出來
(
でき
)
ない
程
(
ほど
)
たくさんありますから、こゝにはごくわづかの
代表者
(
だいひようしや
)
だけを
出
(
だ
)
しておきませう。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
夏の食物と冬の食物とは
自
(
おのずか
)
らその種類と配合とを違えなければなりませんけれども物には
程
(
ほど
)
と
加減
(
かげん
)
があって一方に偏すると害が起ります。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
おこのが
払
(
はら
)
った
手
(
て
)
のはずみが、ふと
肩
(
かた
)
から
滑
(
すべ
)
ったのであろう。
袂
(
たもと
)
を
放
(
はな
)
したその
途端
(
とたん
)
に、
新
(
しん
)
七はいやという
程
(
ほど
)
、おこのに
頬
(
ほほ
)
を
打
(
う
)
たれていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
一面から
云
(
い
)
えば氏はあまり女性に
哀惜
(
あいせき
)
を感ぜず、男女間の
痴情
(
ちじょう
)
をひどく
面倒
(
めんどう
)
がることに
於
(
おい
)
て、まったく
珍
(
めず
)
らしい
程
(
ほど
)
の性格だと云えましょう。
岡本一平論:――親の前で祈祷
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
病
(
や
)
んでゐる
胸
(
むね
)
には、どんな
些細
(
ささい
)
な
慄
(
ふる
)
えも
傳
(
つた
)
はり
響
(
ひゞ
)
く。そして
死
(
し
)
を
凝視
(
みつめ
)
れば
凝視
(
みつめ
)
る
程
(
ほど
)
、
何
(
なん
)
といふすべてが
私
(
わたし
)
に
慕
(
した
)
はしく
懷
(
なつか
)
しまれる
事
(
こと
)
であらう。
日の光を浴びて
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
其
(
その
)
お
答
(
こた
)
へ
承
(
うけたま
)
はらずば
歸邸
(
きてい
)
いたし
難
(
がた
)
し
平
(
ひら
)
にお
伺
(
うかゞ
)
ひありたしと
押返
(
おしかへ
)
せば、それ
程
(
ほど
)
に
仰
(
おほ
)
せらるゝを
包
(
つゝ
)
むも
甲斐
(
かひ
)
なし、
誠
(
まこと
)
のこと申
上
(
あげ
)
ん
たま襻
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
いか
程
(
ほど
)
機会を待つても
昼中
(
ひるなか
)
はどうしても不便である事を
僅
(
わづ
)
かに
悟
(
さと
)
り得たのであるが、すると、今度はもう学校へは
遅
(
おそ
)
くなつた。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
その山の頂上まで十
丁
(
ちょう
)
程
(
ほど
)
ある所を
下僕
(
しもべ
)
二人に
負
(
お
)
ぶさって昇りましたけれども、何分にも痛くて動けませんので二日ばかり山中に
逗留
(
とうりゅう
)
いたし
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
「だまれ。僕なんか殺されて一向さしつかえないとは、何という
言
(
い
)
い
草
(
ぐさ
)
だ。おせっかいにも
程
(
ほど
)
がある、何というあきれた——」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
こんな
看板
(
かんばん
)
を
掛
(
か
)
けた
家
(
うち
)
が一
軒
(
けん
)
しかない
程
(
ほど
)
、
峠
(
たうげ
)
は
小
(
ちい
)
さな
村
(
むら
)
でした。そこに
住
(
す
)
む
人達
(
ひとたち
)
はいづれも
山
(
やま
)
の
上
(
うへ
)
を
耕
(
たがや
)
すお
百姓
(
ひやくしやう
)
ばかりでした。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ソコで無事に港に
着
(
つい
)
たらば、サアどうも
彼方
(
あっち
)
の人の歓迎と
云
(
い
)
うものは、それは/\実に至れり尽せり、この上の
仕様
(
しよう
)
がないと云う
程
(
ほど
)
の歓迎。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
あつた
所
(
ところ
)
でございますか? それは
山科
(
やましな
)
の
驛路
(
えきろ
)
からは、四五
町
(
ちやう
)
程
(
ほど
)
隔
(
へだ
)
たつて
居
(
を
)
りませう。
竹
(
たけ
)
の
中
(
なか
)
に
痩
(
や
)
せ
杉
(
すぎ
)
の
交
(
まじ
)
つた、
人氣
(
ひとけ
)
のない
所
(
ところ
)
でございます。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
鋭利な解剖刀のような普遍的法則が、それさえあればこの拷問的の荒縄を涙が出る
程
(
ほど
)
切りとばしてばらばらにしてやるのに。
小さき良心:断片
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
「おい、
母
(
かあ
)
さん、これはとても
旨
(
うま
)
いぞ!、もっともらおう!」といったが、
食
(
た
)
べれば
食
(
た
)
べる
程
(
ほど
)
、いくらでも
食
(
た
)
べられるので
杜松の樹
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
たとへば
昆蟲
(
こんちゆう
)
の
標本室
(
ひようほんしつ
)
にはひつて
見
(
み
)
ますと、
珍
(
めづら
)
しい
蝶々
(
ちよう/\
)
や
甲蟲
(
かぶとむし
)
などの
變
(
かは
)
つた
種類
(
しゆるい
)
のものが
驚
(
おどろ
)
く
程
(
ほど
)
たくさんに
集
(
あつ
)
めてあります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
そのうち大筒方が少しづつ西へ歩くので、坂本は西側の人家に沿うて、十
間
(
けん
)
程
(
ほど
)
前へ出た。三人の筒は
殆
(
ほとんど
)
同時に発射せられた。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
程
(
ほど
)
なく
一人
(
ひとり
)
のお
爺
(
じい
)
さんの
指導霊
(
しどうれい
)
に
連
(
つ
)
れられて、よく
見覚
(
みおぼ
)
えのある、あの
美
(
うつく
)
しい
敦子
(
あつこ
)
さまがそこへひょっくりと
現
(
あら
)
われました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
僕は白状するけれども、前の羽左衛門が大好きでね、あのひとが死んで、もう、
歌舞伎
(
かぶき
)
を見る気もしなくなった
程
(
ほど
)
なのだ。
フォスフォレッスセンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「なに
貴女
(
あなた
)
それ
程
(
ほど
)
でも有りますまいで……
何
(
なん
)
でも
聞
(
き
)
いた
程
(
ほど
)
ではないものどす……そー御心配しやはると
御子
(
をこ
)
はんより
貴女
(
あなた
)
の
方
(
ほう
)
が御よはりどすえ」
夜汽車
(新字旧仮名)
/
尾崎放哉
(著)
かつて何人も知らなかつた、これ
程
(
ほど
)
の大発明を、自分が独創で考へたといふことほど、得意を感じさせることはなかつた。
田舎の時計他十二篇
(新字旧仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
酒も体にまわり、だいぶ
主
(
あるじ
)
の舌もくたびれて来たらしい。武蔵は、この辺でと思い立ち、
程
(
ほど
)
よく辞去して
戸外
(
おもて
)
へ出てきた。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
日本
(
にほん
)
の
化物
(
ばけもの
)
は
後世
(
こうせい
)
になる
程
(
ほど
)
面白
(
おもしろ
)
くなつて
居
(
ゐ
)
るが、
是
(
これ
)
は
初
(
はじ
)
め
日本
(
にほん
)
の
地理的關係
(
ちりてきくわんけい
)
で
化物
(
ばけもの
)
を
想像
(
さうざう
)
する
餘地
(
よち
)
がなかつた
爲
(
ため
)
である。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
私はその頃心の中に色々な問題をあり余る
程
(
ほど
)
持っていた。そして始終
齷齪
(
あくせく
)
しながら何一つ自分を「満足」に近づけるような仕事をしていなかった。
小さき者へ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
「然うかい、君も然うなのかい、」と私は引取ツて、「工場の前も
幾度
(
いくたび
)
通
(
とほ
)
ツたか知れないが、今日
程
(
ほど
)
悲しいと
感
(
かん
)
じたことは
是
(
これ
)
まで
一度
(
いちど
)
もなかツた。 ...
虚弱
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
程
(
ほど
)
経
(
へ
)
て、兵士共が女王の室の戸を開くと、女王は黄金の床の上に眠るが如く死んで居て、二人の侍女も虫の息であつた。
毒と迷信
(新字旧仮名)
/
小酒井不木
(著)
その間に鉄の腕は狼の腹まで
入
(
はい
)
り、狼は苦しまぎれに鉄の腕骨を
噛
(
か
)
み
砕
(
くだ
)
きたり。狼はその場にて死したれども、鉄も
担
(
かつ
)
がれて帰り
程
(
ほど
)
なく死したり。
遠野物語
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
貴方
(
あなた
)
がもし
私
(
わたくし
)
が一
般
(
ぱん
)
の
無智
(
むち
)
や、
無能
(
むのう
)
や、
愚鈍
(
ぐどん
)
を
何
(
ど
)
れ
程
(
ほど
)
に
厭
(
いと
)
うておるかと
知
(
し
)
って
下
(
くだ
)
すったならば、また
如何
(
いか
)
なる
喜
(
よろこび
)
を
以
(
もっ
)
て
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二八六
大倭
(
やまと
)
の神社に仕へまつる
当麻
(
たぎま
)
の
酒人
(
きびと
)
といふ翁なり。
二八七
道の
程
(
ほど
)
見たててまゐらせん。いざ給へとて出でたてば、人々
後
(
あと
)
につきて帰り来る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
私
(
わたし
)
は
去年
(
きよねん
)
の
冬
(
ふゆ
)
妻
(
つま
)
を
迎
(
むか
)
へたばかりで、一
体
(
たい
)
双方
(
さうはう
)
とも
内気
(
うちき
)
な
方
(
はう
)
だから、
未
(
ま
)
だ
心
(
こゝろ
)
の
底
(
そこ
)
から
打釈
(
うちと
)
けると
云
(
い
)
ふ
程
(
ほど
)
狎
(
な
)
れてはゐない。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
わたしは
俄
(
にわ
)
かに空腹をおぼえ、月の出を待つあいだに
何処
(
どこ
)
かで
夕餉
(
ゆうげ
)
をしたためておく必要があることを思って
程
(
ほど
)
なく堤の上を街道の方へ引き返した。
蘆刈
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
嫁は真白に塗って、
掻巻
(
かいまき
)
程
(
ほど
)
の紋付の
裾
(
すそ
)
を赤い太い手で持って、
後見
(
こうけん
)
の
婆
(
ばあ
)
さんかかみさんに連れられてお
辞儀
(
じぎ
)
をして廻れば、所謂顔見せの義理は済む。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
“程”の意味
《名詞・suffix》
(ほど)物事がどこまで進んでいるかの目安。おおよその数。
(出典:Wiktionary)
“程”の解説
程(てい)は、漢姓の一つ。
(出典:Wikipedia)
程
常用漢字
小5
部首:⽲
12画
“程”を含む語句
何程
余程
道程
程度
行程
成程
餘程
過程
発程
先程
路程
左程
程経
然程
里程
此程
是程
幾程
如何程
程朱
...