“ほど”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ホド
語句割合
61.4%
27.2%
4.7%
火土1.3%
0.9%
保土0.9%
歩度0.9%
程度0.9%
0.3%
0.3%
有無0.3%
火戸0.3%
秀処0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
数本のアカシアの枝を透しながらくっきりと見えている、ほど遠くの、真っ白な、小さな橋をはじめて見でもするように見入っていた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
彼は遠くで赤子の泣き声のしている夢を見て眼がめた。すると、傍で姪がもつれた糸をほどくように両手を動かしながら泣いていた。
御身 (新字新仮名) / 横光利一(著)
命の恩人になりすまして、この兵馬の許婚を奪ひ取つた——義理にからんでの惡企み、私如き智慧のない者では、ほどこしやうもなかつた——
太子町の上流に掛かったやな小屋に幾日か過ごして我が釣った鮎をくずの葉の火土ほど焼きにして食べた味は、永久に忘れまい。
水の遍路 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
「え、それもほどいて洗張りしたまゝ仕舞つてありますの。去年の夏する積りで、あのお婆さん、してくれなかつたものですから。」
青い風 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
やがて保土ほど。だが停車しても博士は別に立上ろうとするでもない。
悪魔の紋章 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
一鼓三足いっこさんそくといって、歩度ほど間尺ましゃくがきまっているもんだそうですが、お氷献上の駕籠ゆきは、添役そえやくが袂時計を見ながら、ホイと掛声をかけると、サッサ、サッサと四歩でる。
顎十郎捕物帳:08 氷献上 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
私の実の父も母も飯田の城下にすこやかに現在ただいま生活くらしておりますものを、臨終いまわの妄執だの亡魂だのと、らちもないことをおおせられる。おたわむれも事によれ、程度ほどを過ごせば無礼ともなる。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
は、降りなむ裝束よそひせしほどに、子れましつ。名は天邇岐志國邇岐志あめにぎしくににぎしあま日高日子番ひこひこほ邇邇藝ににぎの命、この子を降すべし」
ふぢかづらを取りて、一夜のほどに、きぬはかま、またしたぐつくつを織り縫ひ、また弓矢を作りて、その衣褌等を服しめ、その弓矢を取らしめて、その孃子の家に遣りしかば
いま芥川龍之介集を読んでいる、矢張り胸に来るものは考証物よりも現代物である。「鼻」「羅生門」「芋粥」などよりも、一短篇「蜜柑」の方がどれほど貴いかしれない。
色気の有無ほどが不可解である。ある種のうつくしいものは、神がおしんで人に与えない説がある。なるほどそういえば、一方円満柔和な婦人に、菩薩相ぼさつそうというのがある。続いて尼僧顔がないでもあるまい。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
子ガニは水コガのなかにはいり、臼は上戸あがとの上梁に上り、ベゴの糞は上戸に、クリの毬は横座に、トチの実は炉の火戸ほどに潜んでいた。
東奥異聞 (新字新仮名) / 佐々木喜善(著)
よくも無遠慮にかくのごとくたくさんの地名を附けたものと怪しむ人もあろうが、そこが上代人の悠長なところである。本来ホドは秀処ほどの義であって、身体中最も注意すべき部分と言うのである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)