“ぢやう”のいろいろな漢字の書き方と例文

カタカナ：ヂヤウ

語句	割合
錠	26.4%
丈	19.8%
定	15.4%
孃	13.2%
場	8.8%
嬢	5.5%
鑰	3.3%
鎖	2.2%
杖	1.1%
塲	1.1%
手錠	1.1%
畳	1.1%
諚	1.1%

錠

その證據は、開けるには何うやら開けましたが、あとを閉める工夫が付かないので、金箱はそのまゝ錠（ぢやう）をおろさずにあります

銭形平次捕物控：048 お藤は解く (旧字旧仮名) ／ 野村胡堂(著)

丈

前日（ぜんじつ）、子（ね）の口（くち）の朝（あさ）の汀（みぎは）に打（う）ち群（む）るゝ飴色（あめいろ）の小蝦（こえび）の下（した）を、ちよろ／＼と走（はし）つた——真黒（まつくろ）な蠑螈（ゐもり）に似（に）て双（ふたつ）ながら、こゝに其（そ）の丈（たけ）十丈（ぢやう）に余（あま）んぬる。

十和田湖 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花、泉鏡太郎(著)

定

まして「えけれしや」への出入りには、必（かならず）髪かたちを美しうして、「ろおれんぞ」のゐる方へ眼づかひをするが定（ぢやう）であつた。

奉教人の死 (新字旧仮名) ／ 芥川竜之介(著)

孃

もぬけの殼（から）なりアナヤとばかり蹴（け）かへして起（た）つ枕元（まくらもと）の行燈（あんどん）有明（ありあけ）のかげふつと消（き）えて乳母（うば）が涙（なみだ）の聲（こゑ）あわたゞしく孃（ぢやう）さまが孃（ぢやう）さまが。

別れ霜 (旧字旧仮名) ／ 樋口一葉(著)

場

主人公は一場（ぢやう）の夢に至る迄、何か天下を驚かす様な内容でなければ気が済まないのだとしか解釈出来ない。

『煤煙』の序 (新字旧仮名) ／ 夏目漱石(著)

嬢

あれは。近「絵草紙（ゑざうし）だよ。梅「へえゝ綺麗（きれい）なもんですな、撫（なで）て見ちやア解（わか）りませんが、此間（このあひだ）池田（いけだ）さんのお嬢（ぢやう）さまが、是（これ）は絵（ゑ）だと仰（おつ）しやいましたが解（わか）りませんでした。 ...

心眼 (新字旧仮名) ／ 三遊亭円朝(著)

鑰

（寝台（ねだい）の下にはあらず。）金庫は開きありて、鍵は鑰（ぢやう）の孔に差したる儘なり。金庫内には古き手紙若干と余り重要とも見えざる書類とあるのみ。

病院横町の殺人犯 (新字旧仮名) ／ エドガー・アラン・ポー(著)

鎖

其（その）室（しつ）は当時家中（かちう）に聞（きこ）えし美人なりしが、女心（をんなごころ）の思詰（おもひつ）めて一途に家を明渡すが口惜（くちをし）く、我（われ）は永世（えいせい）此処（このところ）に留（とゞ）まりて、外へは出（い）でじと、其（その）居間に閉籠（とぢこも）り、内より鎖（ぢやう）を下（おろ）せし後（のち）は、如何（いかに）かしけむ

妖怪年代記 (新字旧仮名) ／ 泉鏡花(著)

杖

杖（ぢやう）の手は眼にもとまらず引くと見せ打つと返すと十方（じつぱう）無礙（むげ）なり

黒檜 (新字旧仮名) ／ 北原白秋(著)

天地（あめつち）に構ふる杖（ぢやう）の音無きはただ水のごとし無念無想の型

黒檜 (新字旧仮名) ／ 北原白秋(著)

塲

友はわが爲めに説きていふ、この福島町に於ける盆踊の盛（さかん）なるは到底此（この）一塲（ぢやう）のさまなどにては想像にだも及ばぬことなり。

秋の岐蘇路 (旧字旧仮名) ／ 田山花袋(著)

手錠

以て申立る條勘太郎同意（どうい）と思はれる因て手錠（ぢやう）申付ると勘兵衞に手錠を掛られ追（おつ）て呼出すとて皆々白洲を下られけり然（され）ば勘兵衞は兩人を恨（うらみ）けるを權三助十は冷笑（あざわら）ひ其許は商賣出精爲者には店立を

大岡政談 (旧字旧仮名) ／ 作者不詳(著)

畳

山田（やまだ）の書斎（しよさい）は八畳（ぢやう）の間（ま）でしたが、其（それ）に机（つくゑ）を相対（さしむかひ）に据（す）ゑて、北向（きたむき）の寒（さむ）い武者窓（むしやまど）の薄暗（うすぐら）い間（ま）に立籠（たてこも）つて、毎日（まいにち）文学の話です、此（こゝ）に二人（ふたり）が鼻（はな）を並（なら）べて居（ゐ）るから石橋（いしばし）も繁（しげ）く訪ねて来る

硯友社の沿革 (新字旧仮名) ／ 尾崎紅葉(著)

諚

案の諚（ぢやう）大工町ぢやつた。貴様は本町へ行く位の金銭（ぜに）は持つまいもんナ。……ハハア、軍隊なら営倉ぢや。

葬列 (新字旧仮名) ／ 石川啄木(著)