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孃
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ぢやう
しかし、
御安心下さい。——
雪の
中を
跣足で
歩行く
事は、
都會の
坊ちやんや
孃さんが
吃驚なさるやうな、
冷いものでないだけは
取柄です。
もぬけの
殼なりアナヤとばかり
蹴かへして
起つ
枕元の
行燈有明のかげふつと
消えて
乳母が
涙の
聲あわたゞしく
孃さまが
孃さまが。
昂奮しないでお
聽きなさいツ。ではこれから
自分達の
行く
道が、どんなに
嶮しい、
文字通りの
荊棘の
道だつてことが、
生々しい
現實として、お
孃さん、ほんとにあなたにわかつてゐるんですか……
『
村井さん、
今し
方お
孃さんが
傘を
持つておいんしたよ。』
見ながら
孃さまは
何處へぞお
姿が
見えぬやうなりと
人騷がせするもあり
乳母は
夜の
目ろく/\
合さずお
高が
傍に
寢床を
並べ
浮世雜談に
諷諫の
意を
雪の
香が
沈む……
銀の
櫛照々と、
兩方の
鬢に十二
枚の
黄金の
簪、
玉の
瓔珞はら/\と、お
孃さん。
知らず
曵しかばなど
堪るべき
微塵になりて
恨みを
地に
殘しぬ
孃さま
御覽じつけて
氣の
毒がり
給ひ
此そこねたるは
我身に
取らせよ
代りには
新らしきのを
釵の
搖ぐ
氣勢は、
彼方に、お
孃さんの
方にして……
卓子の
其の
周圍は、
却つて
寂然となりました。
否や
拙郎は
皆目知るはずなけれど、
一昨年病亡りし
孃さまの
乳母が、
常日頃遊びに
來ての
話なりといふ、お
歳は十九なれどまだまだ十六七としか
見えず
おいたはしき
事とは
太吉も
言ひぬ、お
倉も
言へり、
心なきお
三どんの
末まで
孃さまに
罪ありとはいさゝかも
言はざりき、
黄八丈の
袖の
長き
書生羽織めして
が、
傍へも
寄せぬ
下働の
漢なれば、
劍は
此處にありながら、
其の
事とも
存ぜなんだ。……
成程、
呼べ、と
給仕を
遣つて、
鸚鵡を
此へ、と
急いで
孃に、で、
妼を
立たせたのよ。
彼方とは
質が
違ふて
言ふに
言はれぬ
好い
方であつた、
私でさへ
植村樣が
何だと
聞いた
時にはお
可愛想な
事をと
涙がこぼれたもの、お
孃さまの
身になつては
辛からうではないか
百人一首のお
孃さんの、「いくのの
道」もそれか、と
辿つて、はる/″\と
來た
城崎で、
佐渡の
沖へ
船が
飛んで、キラリと
飛魚が
刎出したから、きたなくも
怯かされたのである。
あの
親切な
優しい
方を
斯う
言ふては
惡いけれど
若旦那さへ
無かつたらお
孃さまも
御病氣になるほどの
心配は
遊ばすまいに、
左樣いへば
植村樣が
無かつたら
天下泰平に
治まつたものを
時に、
川鐵の
向うあたりに、(
水何)とか
言つた
天麩羅屋があつた。くどいやうだが、
一人前、なみで
五錢。……
横寺町で、お
孃さんの
初のお
節句の
時、
私たちは
此を
御馳走に
成つた。
彼れほどの
地邸に
公債も
何ほどかは
持たまふならんが、
夫も
孃さまが
身じんまく
丈漸々なるべしと、
我れ
入り
立ツて
見し
樣な
話しなり、
老爺は
何として
其やうに
委しく
知るぞと
問へば
「
蔦屋さんのお
孃さんに、お
目にかゝりたくて
參りました。」
孃さまは
夫ほどまでに
雪三を
力と
覺しめしてか、それとも一
時のお
戯れか、
御本心仰せ
聞けられたしと
問ひ
誥むるを、
糸子ホヽと
笑ひて
松野が
膝に
輕く
手を
置きつ、
戯むれかとは
問ふ
丈も
淺し
さることなれど
御病氣にでも
萬一ならば
取かへしのなるべきならず
主は
誰人えぞ
知らねど
此戀なんとしても
叶へ
參らせたし
孃さまほどの
御身ならば
世界に
苦もなく
憂ひもなく
御心安くあるべき
筈を
孃さまがたは
庭に
出て
追羽子に
餘念なく、
小僧どのはまだお
使ひより
歸らず、お
針は二
階にてしかも
聾なれば
子細なし、
若旦那はと
見ればお
居間の
炬燵に
今ぞ
夢の
眞最中、
拜みまする
神さま
佛さま
此儘すぐにとそこ/\
身仕度して
庭口出でんとする
途端孃さま
今日もお
出かけか
何處へぞと
勘藏がぎろ/\
目恐ろしけれど
臆してなるまじと
態とつくる
笑顏愛らしく
今日もとは
勘藏酷いぞや
今日はと
言はねばてにを
いとゞしく
御不愍がり
扨は
親も
無き
人か
憐れのことや
先庭口より
我が
部屋まで
來よ
身の
上も
聞きたしとて
連れ
給ひぬ
今こそ
目馴れたれ
御座敷の
結搆お
庭のたゝずまひ
華族さまにやと
疑がひしは
一に
孃さまの
御言語容姿にも
依りし
物か
其お
美くしき
孃さま
御親切にも
女子同志は