ぢやう)” の例文
祖母おばあさんはれい玄關げんくわんわきにあるはた腰掛こしかけまして、羽織はおりにするぢやう反物たんものと、子供こどもらしい帶地おびぢとを根氣こんきつてれました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
前日ぜんじつくちあさみぎはるゝ飴色あめいろ小蝦こえびしたを、ちよろ/\とはしつた——真黒まつくろ蠑螈ゐもりふたつながら、こゝにたけぢやうあまんぬる。
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大得意だいとくい船町倉次郎ふなまちくらじらうは、さらいうして圓石まるいし取除とりのぞくと、最初さいしよ地面ぢづらより一ぢやう尺餘じやくよ前面ぜんめんおいて、ぽかりと大穴おほあな突拔つきぬけた。
私等が実を拾つて遊ぶ廻り二三ぢやうもある開口神社の大木のくすが塔よりも高く見えます。塔は北にあるのも南のも三重屋根です。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
唱へながら引かれしとぞ此時お熊のたるより世の婦女子ふぢよしぢやうは不義のしまなりとてきらひしはたはれ事の樣なれども貞操ていさうこゝろともいふべし然るを近來ちかごろ其事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
文展の彫刻部に『瓢箪鯰へうたんなまづ』を出品した米原よねはら雲海氏は、この頃の眼も眠らないで、せつせと仁王さんを刻んでゐる。仁王さんはぢやう六のかなり大きい木像だ。
引幕ひきまくには市川いちかは○○ぢやうへ、浅草公園芸妓連中げいぎれんぢゆうとして幾人いくたりとなく書連かきつらねた芸者の名が読まれた。しばらくして
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
翌朝よくてう知縣ちけんおくられてた。けふもきのふにかはらぬ天氣てんきである。一たい天台てんだいまん八千ぢやうとは、いつたれ測量そくりやうしたにしても、所詮しよせん高過たかすぎるやうだが、かくとらのゐるやまである。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
髮形をすつかり堅氣の娘風にしたお靜の後姿——ぢやうあはせ緋鹿ひかの子おびが、唐花屋の暖簾のれんをくゞつて見えなくなつた時は、大日坂だいにちざかの下から遠く樣子を見て居た錢形の平次も
さてまへにいへる渋海しぶみ川にてはる彼岸ひがんころ、幾百万の白蝶はくてふ水面すゐめんより二三尺をはなれてもすれあふばかりむらがりたるが、たかさは一ぢやうあまり、両岸りやうがんかぎりとして川下より川上の方へ飛行とびゆく
「さうだね、おびはまあ一ぢやうつていふんだが、其處そこらのめるのは什麽どんなものだかさね」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さかおとし千ぢやうがけ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
巨大きよだいなるくすのきらさないために、板屋根いたやねいた、小屋こやたかさは十ぢやうもあらう、あしいただいせかけたのが突立つツたつて、ほとん屋根裏やねうらとゞくばかり。
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
初めて上へ上つて見ますと、地上からは一ぢやうも離れて居て、向うの青物市場あをものいちばなどがよく見えて面白いのです。
私の生ひ立ち (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
御咎おとがめもなく却て御目見めみえ仰付おほせつけられし事冥加みやうが至極しごく有難き仕合しあはせなり方ぢやう樣へ御願ひと申すは別儀べつぎにあらず私し主人儀無實の罪におちいり近々御所置に相成あひなるに付何卒御ころもの袖を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
其所そこで、入口いりくちると、其所そこ横幅よこはゞが九しやくすんある。それから突當つきあたりの奧壁おくかべまで一ぢやうしやくながさがある。奧壁おくかべところ横幅よこはゞは、入口いりくちよりすこしくびて一ぢやうしやくすんある。
「襟の掛つたぢやうの袷に、あさしぼつた赤い帶でございます」
市川左団次ぢやう煙草入たばこいれの筒に
自選 荷風百句 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
ぢやう鐵門てつもん
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
心持こゝろもち余程よほど大蛇だいじやおもつた、三じやく、四しやく、五しやく、四はう、一ぢやう段々だん/″\くさうごくのがひろがつて、かたへたにへ一文字もんじさツなびいた、はてみねやまも一せいゆるいだ
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よきぞと竊に目配めくばせすれば赤川大膳藤井左京つゝと寄て次助佐助が後に立寄たちより突落つきおとせばあはれや兩人はすうぢやう谷底たにそこ眞逆樣まつさかさまに落入て微塵みぢんに碎けて死失たりまた常樂院は五人の者を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
地中ちちう犬小屋式いぬごやしき横穴よこあな穿うがつてあつて、その犬小屋いぬごやごど岩窟がんくつ入口いりくちまでは、一ぢやう尺餘しやくよ小墜道せうとんねるとほるのだ。て、犬小屋いぬごやごと横穴よこあな入口いりくちは、はゞじやくすんたかさが三じやくすんある。
ぢやうえだ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
真中まんなか鰐鮫わにざめくちをあいたやうなさきのとがつたくろ大巌おほいは突出つきでると、うへからながれてさツはや谷川たにがはが、これあたつてふたつわかれて、およそ四ぢやうばかりのたきになつてどツちて
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たはむれに箱根々々はこね/\びしが、ひとあり、櫻山さくらやまむかへる池子山いけごやまおく神武寺じんむじあたりより、萬兩まんりやうふさやかにいたるを一本ひともとかへりて、此草このくさみきたかきこと一ぢやうけだ百年ハコネ以來いらいのものなりほこ
逗子だより (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふたゝふ、東向ひがしむかうに、そのくも日暮崎くれのさき御室みむろしようならんで半島はんたう真中まんなかところくもよりすべつてみづうみひた巌壁がんぺき一千ぢやういたゞきまつ紅日こうじつめ、夏霧なつぎりめてむらさきに、なか山肌やまはだつちあかく、みぎは密樹緑林みつじゆりよくりんかげこまやかに
十和田湖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うしてつちてからも、しま周圍まはりに、そこからえて、みきばかりも五ぢやう、八ぢやう、すく/\とみづからた、れない邪魔じやまつて、ふねけること出來できないで、うみなかもりあひだを、しほあかりに
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)