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なげ
ふりがな文庫
“
投
(
なげ
)” の例文
贅肉
(
いぼ
)
あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを
撫
(
なで
)
、社の
椽
(
えん
)
の下の
𥴩子
(
かうし
)
の内へ
投
(
なげ
)
いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ドクトルは
其後
(
そのあと
)
を
睨
(
にら
)
めてゐたが、
匆卒
(
ゆきなり
)
ブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
發矢
(
はつし
)
と
計
(
ばか
)
り
其處
(
そこ
)
に
投
(
なげ
)
付
(
つけ
)
る、
壜
(
びん
)
は
微塵
(
みぢん
)
に
粉碎
(
ふんさい
)
して
了
(
しま
)
ふ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
人畜
(
にんちく
)
の道
異
(
こと
)
にして。その欲を得遂げざれども。耳に妙法の
尊
(
たと
)
きを
聴
(
きゝ
)
て。…………おなじ流に身を
投
(
なげ
)
て。共に
彼岸
(
かのきし
)
に到れかし。
処女の純潔を論ず:(富山洞伏姫の一例の観察)
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
遣
(
つか
)
ひ
込
(
こみ
)
父の勘當を
請
(
う
)
け身を
投
(
なげ
)
んとせし時に是なる五八に
助
(
たす
)
けられ今は五八方に居て初瀬留に
見繼
(
みつぎ
)
を受け不自由なくは
消光
(
くらし
)
居れど
何卒
(
なにとぞ
)
勘當
(
かんだう
)
の
詫
(
わび
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「
成
(
な
)
りたけ
向
(
むか
)
うからはずみをつけて
驅
(
か
)
けて
來
(
き
)
てポンと
打
(
ぶ
)
つかりたまへ、
可
(
い
)
いか。」すとんと、
呼吸
(
こきふ
)
で、
手
(
て
)
もなく
投
(
なげ
)
られる。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
「なあ、二度と浮氣したらあかんぜ。惡い奴にだまされたら、又身を
投
(
なげ
)
るやうな事になる。うゝい、死んではなみが咲くものかいふ事知つたるか。」
大阪の宿
(旧字旧仮名)
/
水上滝太郎
(著)
しかれども爾はナザレの一平民にして
誰
(
たれ
)
も爾の才力と
真価直
(
しんかちょく
)
とを知るものなし、ゆえに爾
先
(
ま
)
ず己が身を下に
投
(
なげ
)
よさらば衆人爾の技倆に驚き爾に注目するに至らん
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
えいえいともみあっているうちに、兵曹長は得意の
投
(
なげ
)
の手をかける隙をみつけました。ここぞとばかり
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「よき、
待
(
ま
)
つてろ、そら」と
財布
(
さいふ
)
から
面倒
(
めんだう
)
に五
厘
(
りん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
を
拾
(
ひろ
)
ひ
出
(
だ
)
して
投
(
なげ
)
てやる。
與吉
(
よきち
)
は
戸
(
と
)
の
陰
(
かげ
)
に
居
(
ゐ
)
ては
忸怩
(
もぢ/\
)
して
容易
(
ようい
)
に
取
(
と
)
らないで
然
(
しか
)
も
欲
(
ほ
)
し
相
(
さう
)
に
筵
(
むしろ
)
の
上
(
うへ
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
を
見
(
み
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
泣くにも人目を恥れば二階座敷の床の間に身を
投
(
なげ
)
ふして忍び
音
(
ね
)
の憂き涕、これをば友朋輩にも
洩
(
も
)
らさじと包むに
根生
(
こんぜう
)
のしつかりした、気のつよい子といふ者はあれど
にごりえ
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
最前から持っていたような一種の
投
(
なげ
)
やりな気持ちや、彼女の運命に対する好奇心なぞいうものは
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
小鳥たちは右の翼を大きな壺に、左の翼を小さな壺へ、めいめい躯から引き抜て
投
(
なげ
)
いれました。
トシオの見たもの
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
お島はのろくさいその居眠姿が
癪
(
しゃく
)
にさわって来ると、そこにあった大きな型定規のような
木片
(
きぎれ
)
を取って、
縮毛
(
ちぢれげ
)
のいじいじした小野田の
頭顱
(
あたま
)
へ
投
(
なげ
)
つけないではいられなかった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
鏡の前へ
一寸
(
ちよつと
)
嘘坐
(
うそずわ
)
りして中を
覗
(
のぞ
)
くと、今の紫の襟が黒くなつた顔の傍に、
見得
(
みえ
)
を切つた役者のやうに光つて居た。
良人
(
をつと
)
が居ないのだからと鏡子は不快な
投
(
なげ
)
やり
心
(
ごゝろ
)
を
起
(
おこ
)
して立つた。
帰つてから
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
外
(
ほか
)
の商家ではすっかり戸を締切って、
軒燈
(
けんとう
)
の外には何の光も漏れていないのに、このみすぼらしいショーウインドウだけが、戸もないのか、路上に夢の様な光の縞を
投
(
なげ
)
ているのが
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
此
(
この
)
男木作りかと
譏
(
そし
)
る者は
肉団
(
にくだん
)
奴才
(
どさい
)
、
御釈迦様
(
おしゃかさま
)
が女房
捨
(
すて
)
て
山籠
(
やまごもり
)
せられしは、
耆婆
(
きば
)
も
匕
(
さじ
)
を
投
(
なげ
)
た
癩病
(
らいびょう
)
、
接吻
(
くちづけ
)
の
唇
(
くちびる
)
ポロリと
落
(
おち
)
しに
愛想
(
あいそ
)
尽
(
つか
)
してならんなど疑う
儕輩
(
やから
)
なるべし、あゝら尊し、尊し
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
女の鏡台多く
据
(
す
)
ゑ並べありて、数人の
歌妓
(
かぎ
)
思ひ思ひに
艶
(
なまめか
)
しき身の
投
(
なげ
)
ざまを示したり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
飛び付くのを、一人二人を犬ころ
投
(
なげ
)
に投げ出しましたが、相手は得物得物を持って競いかかるのに悲しいことに清作は、世を忍ぶ役目柄、身に寸鉄も帯びることを許されなかったのです。
天保の飛行術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
森はひょろひょろと
蹌踉
(
よろめ
)
きながら後ずさりし、
膿盆
(
のうぼん
)
のような海は時々
妬
(
ねた
)
まし気な視線をギラリと
投
(
なげ
)
かける。やがて、けちくさい
斑
(
まだ
)
らな
芥
(
あくた
)
と化した地球は、だんだんに遠ざかって行く——。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
悄々
(
しおしお
)
と敵将の前へ身を
投
(
なげ
)
出すヴァンナの、あの幽雅なものごしと可憐さを、自分の生れた国の女性に現せないのだろう、異国の女性に扮するときはあれほど自信のある演出するのにと思った。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
いきなり
飛
(
とび
)
かゝって、娘の上に乗し掛っている奴の
褌
(
ふんどし
)
の結び目と
領首
(
えりくび
)
を
取捕
(
とッつか
)
まえて
後
(
うしろ
)
の方へ
投
(
なげ
)
ると、松の
樹
(
き
)
へ
打附
(
ぶッつ
)
けられ、
脊筋
(
せすじ
)
が痛いからくの字なりになって尻餅を
搗
(
つ
)
き、腰を
撫
(
さす
)
って居りまする。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
白
(
はく
)
銅の
持合
(
もちあはせ
)
が無いので一人が十銭銀貨を
投
(
なげ
)
入れると、彼は黒い大きな
体
(
たい
)
を
斜
(
なゝめ
)
に海中に跳らせて銀貨が
未
(
ま
)
だ波の間を舞つて居る瞬間に其れを捉へて
上
(
あが
)
つて来る。ベツクリンの絵の中の怪物の心地がした。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
未婚婦人が来るべき世界に
投
(
なげ
)
かけて
未婚婦人
(新字新仮名)
/
今野大力
(著)
贅肉
(
いぼ
)
あるもの此神をいのり、小石をもつていぼを
撫
(
なで
)
、社の
椽
(
えん
)
の下の
𥴩子
(
かうし
)
の内へ
投
(
なげ
)
いれおくに、日あらずしていぼのおつる事奇妙なり。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ドクトルはその
後
(
あと
)
を
睨
(
にら
)
めていたが、ゆきなりブローミウム
加里
(
カリ
)
の
壜
(
びん
)
を
取
(
と
)
るより
早
(
はや
)
く、
発矢
(
はっし
)
とばかりそこに
投
(
なげ
)
付
(
つけ
)
る、
壜
(
びん
)
は
微塵
(
みじん
)
に
粉砕
(
ふんさい
)
してしまう。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
投
(
なげ
)
空敷
(
むなしく
)
なりたりけり
案
(
あん
)
ずるに鬼女の如き
面體
(
めんてい
)
になりしを
恥
(
はぢ
)
て死にけるか
但
(
たゞし
)
亂心にや一人は
末
(
すゑ
)
に名を上一人は
末
(
すゑ
)
に名を
穢
(
けが
)
せりと世に
風聞
(
さた
)
せしとなん
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
墮馬髻
(
だばきつ
)
のものたるや、がつくり
島田
(
しまだ
)
と
云
(
い
)
ふに
同
(
おな
)
じ。
案
(
あん
)
ずるに、
潰
(
つぶし
)
と
云
(
い
)
ひ、
藝子
(
げいこ
)
と
云
(
い
)
ひ
投
(
なげ
)
と
云
(
い
)
ひ、
奴
(
やつこ
)
はた
文金
(
ぶんきん
)
、
我
(
わ
)
が
島田髷
(
しまだまげ
)
のがつくりと
成
(
な
)
るは、
非常
(
ひじやう
)
の
時
(
とき
)
のみ。
唐模様
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
泣
(
な
)
くにも
人目
(
ひとめ
)
を
恥
(
はぢ
)
れば二
階
(
かい
)
座敷
(
ざしき
)
の
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
に
身
(
み
)
を
投
(
なげ
)
ふして
忍
(
しの
)
び
音
(
ね
)
の
憂
(
う
)
き
涕
(
なみだ
)
、これをば
友
(
とも
)
朋輩
(
ほうばい
)
にも
洩
(
も
)
らさじと
包
(
つゝ
)
むに
根生
(
こんぜう
)
のしつかりした、
氣
(
き
)
のつよい
子
(
こ
)
といふ
者
(
もの
)
はあれど
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
酒
(
さけ
)
が
其處
(
そこ
)
に
火
(
ひ
)
を
點
(
てん
)
じた。
庭
(
には
)
の四
本
(
ほん
)
の
青竹
(
あをだけ
)
に
長
(
は
)
つた
繩
(
なは
)
の
赤
(
あか
)
や
青
(
あを
)
や
黄
(
き
)
の
刻
(
きざ
)
んだ
注連
(
しめ
)
がひら/\と
動
(
うご
)
きながら
老人等
(
としよりら
)
と
一
(
ひと
)
つに
私語
(
さゝや
)
くやうに
見
(
み
)
えた。
日
(
ひ
)
は
陽氣
(
やうき
)
な
庭
(
には
)
へ一
杯
(
ぱい
)
に
暖
(
あたゝ
)
かな
光
(
ひかり
)
を
投
(
なげ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
聖
(
きよ
)
き
京
(
みやこ
)
に携えゆき
殿
(
みや
)
の
頂上
(
いただき
)
に立たせていいけるは爾もし神の子ならば
己
(
おの
)
が身を下へ
投
(
なげ
)
よ
蓋
(
そは
)
なんじがために神その
使
(
つかい
)
たちに命ぜん彼ら手にて支え爾が足の石に触れざるようすべしと録されたり
基督信徒のなぐさめ
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
おかしき
計
(
ばか
)
りかあわれに覚えて初対面から
膝
(
ひざ
)
をくずして語る
炬燵
(
こたつ
)
に
相
(
あい
)
宿
(
やど
)
の友もなき
珠運
(
しゅうん
)
、
微
(
かすか
)
なる
埋火
(
うずみび
)
に脚を
烘
(
あぶ
)
り、つくねんとして
櫓
(
やぐら
)
の上に首
投
(
なげ
)
かけ、うつら/\となる所へ
此方
(
こなた
)
をさして来る足音
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
彼女は全身を
投
(
なげ
)
出して来た人である。
マダム貞奴
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此滝
坪
(
つぼ
)
へ万物を
投
(
なげ
)
こめおくに百日を
過
(
すぐさ
)
ずして石に化すとぞ、滝坪の近所にて諸木の枝葉又は木の
実
(
み
)
その外
生類
(
しやうるゐ
)
までも石に化たるを得るとぞ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
其
(
そ
)
はお
若
(
わか
)
い
衆
(
しう
)
不了簡
(
ふれうけん
)
死ぬは
何時
(
いつ
)
でも易い事
先々
(
まづ/\
)
此方
(
こなた
)
へ
來
(
こ
)
られよと云ふ
面
(
かほ
)
見
(
み
)
れば吉原の
幇間
(
たいこ
)
五八なれば吉之助は
尚々
(
なほ/\
)
面目なく又もや身を
投
(
なげ
)
んとせしを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
投
(
なげ
)
る
方
(
はう
)
も、
投
(
なげ
)
られる
方
(
はう
)
も、へと/\になつてすわつたが、
醉
(
よ
)
つた
上
(
うへ
)
の
騷劇
(
さうげき
)
で、
目
(
め
)
がくらんで、もう
別嬪
(
べつぴん
)
の
顏
(
かほ
)
も
見
(
み
)
えない。
財産家
(
ざいさんか
)
の
角力
(
すまふ
)
は
引
(
ひき
)
つけで
取
(
と
)
るものだ。
火の用心の事
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
主人が輕侮の一言に持病むらむらとして
發
(
おこ
)
れば、何か
堪
(
こら
)
へん筆へし折りて硯を
投
(
なげ
)
つけつ、さして行手は東西南北、臥すや野山の當もなき身に高言吐ちらして飛び出せば
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
兼
(
かね
)
博勞
(
ばくらう
)
は
帶
(
おび
)
を
解
(
と
)
いて
裸
(
はだか
)
に
成
(
な
)
つて
衣物
(
きもの
)
を
後
(
うしろ
)
へ
投
(
なげ
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
此滝
坪
(
つぼ
)
へ万物を
投
(
なげ
)
こめおくに百日を
過
(
すぐさ
)
ずして石に化すとぞ、滝坪の近所にて諸木の枝葉又は木の
実
(
み
)
その外
生類
(
しやうるゐ
)
までも石に化たるを得るとぞ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
別にまた武者修行でも来れば
可
(
よ
)
し、さもなけりゃ私だって、お前たちにゃ一人にも
敵
(
かな
)
やしない。
一堪
(
ひとたま
)
りもなく谷底へ
投
(
なげ
)
られるんだ、なあ、おい、そんなもんじゃないか。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
さりとて
無情
(
つれなく
)
は
投
(
なげ
)
かへしもせねど、
披
(
ひ
)
らきて
讀
(
よ
)
みしや
否
(
いな
)
や
甚
(
じん
)
之
助
(
すけ
)
が
答
(
こた
)
へぶりの
果敢
(
はか
)
なさに、
此度
(
このたび
)
こそと
書
(
かき
)
たるは、
長
(
なが
)
さ
尋
(
ひろ
)
にあまり
思
(
おも
)
ひ
筆
(
ふで
)
にあふれて、
我
(
わ
)
れながら
斯
(
か
)
くまでも
迷
(
まよ
)
ふ
物
(
もの
)
かと
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
火燧
(
ひうち
)
をもて
発燭
(
つけぎ
)
に火を
点
(
てん
)
じ
試
(
こゝろみ
)
に池中に
投
(
なげ
)
いれしに、
池中
(
ちちゆう
)
火を
出
(
いだ
)
せし事
庭燎
(
にはび
)
のごとし。水上に火
燃
(
もゆ
)
るは妙法寺村の火よりも
奇
(
き
)
也として
駅中
(
えきちゆう
)
の人々
来
(
きた
)
りてこれを
視
(
み
)
る。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
と小松原は
投
(
なげ
)
に出て、身動きもしないでいれば、次第に寝台の
周囲
(
まわり
)
を廻って、ぐるりと一周りして
枕許
(
まくらもと
)
を通る、と思うと、ぐらぐらと頭を取って
仰向
(
あおむ
)
けに引落される——はっとすると
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
流石
(
さすが
)
に
信如
(
しんによ
)
袖
(
そで
)
ふり
切
(
き
)
りて
行
(
ゆき
)
すぎる
事
(
こと
)
もならず、さりとて
人
(
ひと
)
の
思
(
おも
)
はくいよ/\
愁
(
つ
)
らければ、
手近
(
てぢか
)
の
枝
(
えだ
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて
好惡
(
よしあし
)
かまはず
申譯
(
まうしわけ
)
ばかりに
折
(
を
)
りて、
投
(
なげ
)
つけるやうにすたすたと
行過
(
ゆきす
)
ぎるを
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
或年
(
あるとし
)
の住僧此塔の出たる時天を拝していのる、我
法華
(
ほつけ
)
千部
読経
(
どくきやう
)
の
願
(
ぐわん
)
あり、今一年にして
満
(
みて
)
り、何とぞ命を今一年
延
(
のば
)
し玉へと念じて、かの塔を川中の
淵
(
ふち
)
に
投
(
なげ
)
こみたり。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
泥草鞋
(
どろざうり
)
つかんで
投
(
なげ
)
つければ、ねらひ
違
(
たが
)
はず
美登利
(
みどり
)
が
額際
(
ひたいぎは
)
にむさき
物
(
もの
)
したゝか、
血相
(
けつさう
)
かへて
立
(
たち
)
あがるを、
怪我
(
けが
)
でもしてはと
抱
(
だ
)
きとむる
女房
(
にようぼう
)
、ざまを
見
(
み
)
ろ、
此方
(
こつち
)
には
龍華寺
(
りうげじ
)
の
藤本
(
ふぢもと
)
がついて
居
(
ゐ
)
るぞ
たけくらべ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
と火箸をポンと灰に
投
(
なげ
)
て、仰向いて、
頬杖
(
ほおづえ
)
ついて、片足を
鳶
(
とんび
)
になる。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
猶
(
なほ
)
其人
(
そのひと
)
の
戀
(
こひ
)
しきも
愁
(
つ
)
らく、
涙
(
なみだ
)
に
沈
(
しづ
)
んで
送
(
おく
)
る
月日
(
つきひ
)
に、
知
(
し
)
らざりしこそ
幼
(
をさ
)
なけれ、
憂
(
う
)
き
身
(
み
)
の
上
(
うへ
)
に
憂
(
う
)
きを
重
(
かさ
)
ねて、
宿
(
やど
)
りし
胤
(
たね
)
の
五月
(
さつき
)
とは、
扨
(
さて
)
もと
計
(
ばか
)
り
身
(
み
)
を
投
(
なげ
)
ふして
泣
(
なき
)
けるが、
今
(
いま
)
は
人
(
ひと
)
にも
逢
(
あ
)
はじ
物
(
もの
)
も
思
(
おも
)
はじ
暁月夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
また
投
(
なげ
)
るのを視た。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
書生
(
しよせい
)
の
千葉
(
ちば
)
が
寒
(
さむ
)
かるべきを
思
(
おぼ
)
しやり、
物縫
(
ものぬ
)
ひの
仲
(
なか
)
といふに
命令
(
いひつけ
)
て、
仰
(
おほ
)
せければ
背
(
そむ
)
くによし
無
(
な
)
く、
少
(
すこ
)
しは
投
(
なげ
)
やりの
氣味
(
きみ
)
にて
有
(
あ
)
りし、
飛白
(
かすり
)
の
綿入
(
わたい
)
れ
羽織
(
はをり
)
ときの
間
(
ま
)
に
仕立
(
したて
)
させ、
彼
(
か
)
の
明
(
あく
)
る
夜
(
よ
)
は
着
(
き
)
せ
給
(
たま
)
ふに
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
“投”の意味
《名詞》
(トウ) 野球で、投手力。
《動詞》
なげる。
(課題などを)提起する。
投入する。
投獄する。
光などを投げかける。
放棄する。
資力・労力などをつぎ込む。
薬などを投与する。
身を入れる。身を置く。
乗る。
投宿する。
投降する。
一致する。合う。
(出典:Wiktionary)
投
常用漢字
小3
部首:⼿
7画
“投”を含む語句
投込
投出
打投
巴投
背負投
投網
投遣
投函
身投
投錨
投機
投身
投懸
間投詞
投棄
投付
投入
投擲
投捨
投下
...