たづ)” の例文
以上河流かりうと運河の外なほ東京の水の美に関しては処々しよ/\の下水が落合つて次第に川の如きながれをなす溝川みぞかはの光景をたづねて見なければならない。
水 附渡船 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
かへりのおそきをはゝおやあんしてたづねにてくれたをば時機しほうちへはもどつたれど、はゝものいはず父親てゝおや無言むごんに、一人ひとりわたしをばしかものもなく
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ミハイル、アウエリヤヌヰチは一人ひとりして元氣可げんきよく、あさから晩迄ばんまでまちあそあるき、舊友きういうたづまはり、宿やどには數度すうどかへらぬつたくらゐ
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
細君さいくん宗助そうすけるやいなや、れいやはらかいした慇懃いんぎん挨拶あいさつべたのち此方こつちからかうとおもつて安井やすゐ消息せうそくを、かへつてむかふからたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そこで土間どまつかへて、「ういふ御修行ごしゆぎやうんで、あのやうに生死しやうじ場合ばあひ平氣へいきでおいでなされた」と、恐入おそれいつてたづねました。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ふ寶澤こたへて我は徳川無名丸むめいまると申す者なり繼母けいぼ讒言ざんげんにより斯は獨旅ひとりたびを致す者なり又其もとは何人にやとたづかへせば彼者かのもの芝原しばはらへ手を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
余此蝶を見ざりしゆゑ、近隣きんりん老婦らうふわかきころ渋海川のほとりよりせし人ありしゆゑたづひしに、その老婦らうふかたりしまゝをこゝにしるせり。
すると翌日よくじつかへつて大層たいそう謝罪しやざいをされるから何故なにゆゑ返事へんじをしなかつたとたづねると返事へんじ端書はがきしてきましたといふのです。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
アデェルは彼の云ふのをきいて、“Sans Mademoiselle”(エア先生なしに、)學校に行かなくてはならないのかとたづねた。
その重さこそ常々私がたづねあぐんでゐたもので、疑ひもなくこの重さはすべての善いもの總ての美しいものを重量に換算して來た重さであるとか
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
「それぢや少し聞いたことがるから、わたしは一つ沼田ぬまたつて見ようと思ふ」「沼田ぬまた親類しんるゐもあの五代目が達者たつしや時分じぶん折々をり/\たづねてましたが、 ...
塩原多助旅日記 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
が、素人しろうとはかう云ふ画を見ると、何故なぜこれらの画の作家は、絵具皿の代りにパレツトを、紙や絹の代りにカンヴアスを用ひないかとたづねたくなる。
西洋画のやうな日本画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
さてまた粗なること、汝のたづぬるかの斑點はんてん原因もとならば、この遊星には、その材の全く乏しき處あるか 七三—七五
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
かくの如く将門思惟す、およそ当夜の敵にあらずといへども(良兼は)脈をたづぬるにうとからず、氏を建つる骨肉なり
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
それをくに言葉ことばへば、『みなさん、おかはりもありませんか、あなたのおうち祖父おぢいさんもお健者たつしやですか。』とたづねるらしいのでしたがつばめふことは早口はやぐち
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
あいちやんは立所たちどころ屹度きつとうさぎ扇子せんすしろ山羊仔皮キツド手套てぶくろとをさがしてるにちがひないとおもつて、深切しんせつにもれをたづねてやりましたが、何處どこにもえませんでした。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
山田やまだ出嫌でぎらひであつたが、わたし飛行自由ひぎやうじざいはうであるから、四方しはうまじはりむすびました、ところ予備門よびもんないあまねたづねて見ると、なか/\斯道しだう好者すきしや潜伏せんぷくしてるので
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さうしてところむら近所きんじよのものがひよつこりたづねてたのでかれきつねにでもつままれたやうにたゞおどろいた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
で医者が容態をたづねると、自分には今ものの形と音との区別がハツキリとつかないと云ふのである。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
同伴者どうばんしゃ連立つれだたうとて、同門跣足どうもんせんそくある御坊ごばうたづねて、まちある病家びゃうかをお見舞みまやってゐるのにうたところ、まち檢疫けんえき役人衆やくにんしゅう兩人ふたりながら時疫じえきうちにゐたものぢゃとうたがはれて
ぼく學校がくかうをおたづねになるのですか。』と兒玉こだまつがうとして、さらふた。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
たみ作業なりはひをたのしむあまりに、春は花のもとやすらひ、秋は錦の林をたづね、しらぬ火の筑紫路つくしぢもしらではとかぢまくらする人の、富士筑波の嶺々みねみねを心にしむるぞそぞろなるかな。
現身うつせみかずなきなり山河やまかはさやけきつつみちたづねな 〔巻二十・四四六八〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
小僧こぞう! おめえ迷兒まいごか、どこからきたんだ。だれかたづねるものでもあるのか」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
しかしみなさんはこんひまがあれば博物館はくぶつかんて、いままで品物しなものさらくはしくて、わからぬことがあれば先生せんせい博物館はくぶつかんひとにおたづねになることを希望きぼういたします。それではさようなら。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
けれど、わたくし大佐たいさいま境遇きやうぐういては、一言いちげんとひはつしなかつた。差當さしあたつてたづねる必要ひつようく、また容易ようゐならざる大佐たいさ秘密ひみつをば、輕率けいそつひかけるのは、かへつれいしつするとおもつたからで。
六郎は東京にて山岡鉄舟のじゅくに入りて、撃剣げきけんを学び、木村氏は熊谷の裁判所に出勤しゅっきんしたりしに、或る日六郎たづねきて、撃剣の時あやまりて肋骨あばらぼね一本折りたれば、しばしおん身がもとにて保養ほようしたしという。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
と、いきらしてゐた夏繪なつゑひくたづねかけた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
枝より枝を横ざまに、何をたづぬる一大魚いちだいぎよ
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
令史れいしけたことおびたゞし。あきれてあかすに、やまふかうしてひとず。みちたづぬればいへることまさ八百里程はつぴやくりてい三十日さんじふにちからうじてかへる。
唐模様 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
きつて來りつゝ居合はせし善六に向ひたづぬる樣に昨日年頃としのころ十八九の女の黒縮緬くろちりめんに八丈の小袖を襲着かさねぎせしがもし此道筋このみちすぢを通りしを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
うかしたかとたづねると、たゞすこ心持こゝろもちわるいとこたへるだけであつた。醫者いしやもらへとすゝめると、それにはおよばないとつてはなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
だれ自分じぶんところたのではいか、自分じぶんたづねてゐるのではいかとおもつて、かほにはふべからざる不安ふあんいろあらはれる。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
玉敷たましきの都の中に、むねを並べいらかを争へる、たかいやしき人の住居すまひは、代々よよてつきせぬものなれど、これをまことかとたづぬれば、昔ありし家はまれなり。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
どうもくさういふ毛並けなみの牛が出来できたものでございますが、牛飼うしかひさんにたづねるとういふ牛はの時にうまれて出るとひました、と京都きやうとの人がまうしました。
牛車 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
ほかになし女子をんなだてらに心太こゝろふと都會みやこへとこゝろざし其目的そのもくてきにはわけもあれどおもひはいすかのはしもたづぬるひと
五月雨 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
我もし汝に一の眞理を示すをえば、汝は汝のたづぬる事に顏をむくること今背をむくる如くなるべし 九四—九六
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
すずめはおどろいて、かあさまのところへんできました。かあさまにそのはなしをして、どうしてあのちひさなたけがあんなにきふおほきくなつたのでせうとたづねました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
喜びで半分狂氣きちがひのやうになつたカルロを撫でゝ、二人は熱心に、萬事すべて、變りがないかをたづねた。それから、それが確かめられると、家の中に駈け込んで行つた。
その日は秋山にちか見玉みたま村の不動院ふどうゐん一宿やどり、次の日桃源たうげんたづぬる心地して秋山にたずね入りぬ。
ロミオ わしをしへう。したが、その若樣わかさま彌〻いよ/\はッしゃる時分じぶんには、たづねてござるいまよりはけてゐませうぞ。はて、いっ年少としわかのロミオはわしぢゃ。これよりまづいのはいまはない。
くりかげ勘次かんじはだん/\といくらづゝでも洪水こうずゐはなし興味きようみかんじてもたし、それから假令たとひどうでもたづねてあね挨拶あいさつもせぬのは他人たにん手前てまへ許容ゆるさないのでやうやつて
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
何故なぜかめ先生せんせいッてんだの、うでないものを?』とあいちやんがたづねました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
うちたづねてく、さきも来る、そこで学校外がくかうぐわいまじはりむすぶやうにつたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
君が行日ゆきけながくなりぬ山たづね迎へか行かむ待ちにか待たむ (巻二・八五)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
枝より枝を横ざまに、何をたづぬる一大魚いちだいぎよ
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
と、れのひとたづねかけると
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
なんで、約束やくそくしたをんなひにつてはらぬのかと——いまのお前樣まへさまとほりを、またときわたしたづねますと、盲人めくらまをすには
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
恐入おそれいらせしからは近日事の成就せんと皆々悦ぶ其中に貴殿きでん一人うれひ給ふは如何成仔細に候やとたづねければ山内は成程なるほど各々方には今日越前が恐入しを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
同僚どうれう小形こがた黄色きいろ表紙へうし宗助そうすけまへして、こんなめうほんだとこたへた。宗助そうすけかさねてんなこといてあるかとたづねた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)