翌日よくじつ)” の例文
おさよは、よるそとて、だれがくるまいてゆくかたのを、うちひとたちにづかれなかったとおもったのに、翌日よくじつ、みんなのまえ
少女がこなかったら (新字新仮名) / 小川未明(著)
これで病附やみついた東皐子とうくわうしは、翌日よくじつ徒弟とていおよ穴掘あなほり老爺おやぢ同行どうかうして、さかんに發掘はつくつし、朝貌形完全土器あさがほがたくわんぜんどきしたなどは、茶氣ちやき滿々まん/\である。
翌日よくじつ見まわると、ロボの足跡あしあとはわなからわなへと続いていたが、わなはみなほじり出されて、鉄鎖てっさ丸太まるたもむきだしになっている。
先生せんせいふた、翌日よくじつでした、使者しゝや手紙てがみもついまから生徒せいと數名すうめいれて遠足ゑんそくにゆくがきみ仲間なかまくははらんかといふ誘引さそひです。
日の出 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
つうじけるに名主も駈來かけきた四邊あたり近所きんじよの者も追々おひ/\あつまり改め見れば何樣いかさま酒に醉倒ゑひたふ轉込まろびこみ死したるに相違さうゐなきていなりと評議一決し翌日よくじつ此趣このおもむきを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれどその翌日よくじつも、巡査はまたやって来た。そうしてわたしたちの芝居小屋しばいごやかこいのなわをとびこえて、興行こうぎょうなかばにかけこんで来た。
翌日よくじつ別當べつたう好意かういで、玄竹げんちく藥箱くすりばこあふひもんいた兩掛りやうがけにをさめ、『多田院御用ただのゐんごよう』のふだを、兩掛りやうがけけのまへはうふたててもらつた。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
すると翌日よくじつかへつて大層たいそう謝罪しやざいをされるから何故なにゆゑ返事へんじをしなかつたとたづねると返事へんじ端書はがきしてきましたといふのです。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
翌日よくじつ文鳥がまた鳴かなくなった。留り木を下りて籠の底へ腹をしつけていた。胸の所が少しふくらんで、小さい毛がさざなみのように乱れて見えた。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
翌日よくじつ新聞しんぶんには、やみなか摸摸すり何人なんにんとやらんで、何々なに/\しなぬすまれたとのことをげて、さかん会社くわいしや不行届ふゆきとどき攻撃こうげきしたのがあつた。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
翌日よくじつばんともはず、ひるからの御馳走ごちそう杉野氏すぎのしはうも、通勤つうきんがあるから留主るすで、同夫人どうふじんと、夫人同士ふじんどうし御招待ごせうだいで、すなはち(ぜんづ。)である。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れん翌日よくじつひる過ぎまでも、二階の寝室を離れなかった。が、四時頃やっととこを出ると、いつもより念入りに化粧をした。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その翌日よくじつから、わたくしあさ東雲しのゝめ薄暗うすくら時分じぶんから、ゆふべ星影ほしかげうみつるころまで、眞黒まつくろになつて自動鐵檻車じどうてつおりのくるま製造せいぞう從事じゆうじした。
サア翌日よくじつから教頭けうとうたく葉書はがきさかんにひこむ。はじめは二十まいか三十まいだつたが、追々おひ/\五十まいとなり、百まいとなり、二百まいとなり、三百まいとなつた。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
すでにその日は、天龍川てんりゅうがわのほとりにれた三騎のひとびと、はたして、翌日よくじつの午後までに、刑場けいじょう矢来やらいぎわまで、けつけることができるのであろうか?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しかし、死んでも勝たねばならぬこの一戦! 富田六段はその翌日よくじつ、モンクスへ試合の約束やくそくを申し送った。
柔道と拳闘の転がり試合 (新字新仮名) / 富田常雄(著)
翌日よくじつ牛込改代町うしごめかいたいちやうたふさふらふせつは、ぜに貫文くわんもん海苔鮨のりずしぼんそれより午過ひるすぎ下谷上野町したやうへのまちたふさふらふせつたゞきう
行倒の商売 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
翌日よくじつ午前ごぜん醫者いしやまた注射ちうしやをして大抵たいていれでよからうといつてつた。しかしおしな容態ようだい依然いぜんとして恢復くわいふく徴候ちようこうがないのみでなく次第しだい大儀相たいぎさうえはじめた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
翌日よくじつ同志達どうしたちみんなから醵金きよきんした入院料にふゐんれうつて、彼女かのぢよ屍體したいりにた。すると、黒衣こくいばうさんたちが、彼女かのぢよ周圍しうゐいたが、K斷然だんぜんそれを拒絶きよぜつした。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
その翌日よくじつより倫理学、心理学の書をかたづけ、急に経済学の書を読み始めたというはなしを聞いた。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
ところが翌日よくじつうまやつてその赤馬あかうまますと、おどろいたことには、それはつちうまでありました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
そして翌日よくじつからは、おどりやき声を前からきめておいて、それだけをやることにしました。
人形使い (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
一周年前彼等が斗満に着いた其翌日よくじつも雨だった。彼はこんな出たらめを翁に書き送った。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
これを王子おうじは、こころうちで、「あれが梯子はしごになって、ひとのぼってかれるなら、おれも一つ運試うんだめしをやってよう」とおもって、その翌日よくじつれかかったころに、とうしたって
こう快諾かいだくしてくれた人は四、五人もあったが、翌日よくじつになると悄然しょうぜんとしてこういう。
ああ玉杯に花うけて (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
が、新平は翌日よくじつの明け方、おしり背中せなかの肉をさんざんに食いやぶられ、命からがらげ帰って来た。新平はおどろきのあまり、死んだようになって、鬼退治の様子を話すことさえ出来なかった。
鬼退治 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
そうしてかれは一日中にちじゅう、また一晩中ひとばんじゅう穴蔵あなぐらなか立尽たちつくし、その翌日よくじつもやはりぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
翌日よくじつ意外いがい好天気こうてんきで、シギが朝早くかられいのせんだんの木にいている。
告げ人 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
翌日よくじつから袖子そでこはおはつおしえられたとおりにして、れいのように学校がっこう出掛でかけようとした。そのとしの三がつそこなったらまた一ねんたねばならないような、大事だいじ受験じゅけん準備じゅんび彼女かのじょっていた。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
それはたしか去年きよねん春頃はるごろ池谷いけのやしんらううちでのことで、前日ぜんじつ晝頃ひるごろはじめて翌日よくじつ夕方過ゆふがたすぎまで八圈戰けんせんを五くわいぐらゐかへしたやうにおもふが、をはりにはあたま朦朧もうろうとしてからだはぐたぐたになつてしまつた。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
前日予選が行なわれましたが、ふつえい各三人、どく二人ふたり西スペインにち一人ひとりが選にはいっただけでありました。この予選にはいった十三人が、翌日よくじつ晴れの競技を行なうことになったのであります。
国際射的大競技 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
翌日よくじつあさ番頭ばんとうは、そとて、ゆっくり看板かんばんようとしてあおぐと、あっ! とこえをたて、おどろきました。かれは、あわててうちへはいると
生きている看板 (新字新仮名) / 小川未明(著)
翌日よくじつ、代助が朝食あさめしぜんむかつて、例の如く紅茶をんでゐると、門野かどのが、あらてのかほひからして茶のへ這入つてた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かけたりけるかくて七すけとおうめは家主へあづ粂之進くめのしん揚屋あがりやいり喜八伊兵衞いへゑらうもどされけりさて翌日よくじつ大岡殿登城とじやうありて月番の御老中ごらうぢう松平右近將監殿まつだひらうこんしやうげんどの御逢おあひ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「おしいことだった。ブランカを殺さずに、いけどっておいておとりにしたら、翌日よくじつばんには、きっとロボをつかまえることができたであろう。」
さくらかはむかされては大變たいへんと、兒童こども早速さつそく親父おやぢとほりになつてその翌日よくじつから平常いつもごと學校がくかうふううちた。けれどもけつして學校がくかうにはかない。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
はじめは人皆ひとみな懊惱うるさゝへずして、渠等かれらのゝしらせしに、あらそはずして一旦いつたんれども、翌日よくじつおどろ報怨しかへしかうむりてよりのちは、す/\米錢べいせんうばはれけり。
蛇くひ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
櫻木大佐等さくらぎたいさらは二十四夜半やはん電光艇でんくわうていじやうじて、本島ほんたうはなれ、その翌日よくじつ拂曉ふつぎようには、橄欖島かんらんたう島蔭しまかげ到着たうちやくする約束やくそく
翌日よくじつの日曜日の日暮れである。保吉は下宿の古籐椅子ふるとういすの上に悠々と巻煙草へ火を移した。彼の心は近頃にない満足のじょうあふれている。溢れているのは偶然ではない。
十円札 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ところがその翌日よくじつ、秀吉は木ののあたらしい本丸ほんまるの一しつへ、福島市松ふくしまいちまつをひとりだけんで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大學側だいがくがはでも、その翌日よくじつ新發見しんはつけん横穴よこあなつひ調査てうさつゞけられたのみで、それかぎり、發掘はつくつ中止ちうしされ、十一にちには坪井博士つぼゐはかせ講演かうえんがあつたゞけで、瓢箪山大發掘ひやうたんやまだいはつくつの一段落だんらくいた。
けれどもそのサラダのあじが、どうしてもわすれられないほどうまかったので、翌日よくじつになると、まえよりも余計よけいべたくなって、それをべなくては、られないくらいでしたから、おとこは、もう一
翌日よくじつハバトフは代診だいしんれて別室べっしつて、玄関げんかんでまたも立聞たちぎき
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
翌日よくじつもざるをたのしんだ。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あるのこと、庭先にわさきでねこがたいへんにないて、けんかをしました。翌日よくじつけてみると、ぼけのえだが一ぽんれていました。
びっこのお馬 (新字新仮名) / 小川未明(著)
毎度まいど亂心らんしん之者有り家業ならざる中は養生らうとて入牢仰付らるゝ故則ち願書取上となり翌日よくじつ本郷三丁目徳兵衞組合くみあひ名主付添へ白洲へ罷り出控居るを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翌日よくじつ代助は但馬にゐる友人から長い手紙を受取つた。此友人は学校を卒業すると、すぐ国へかへつたぎり、今日迄こんにちまでついぞ東京へた事のない男であつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
其日そのひれ、翌日よくじつきたつたが矢張やはりみづそらなる大洋たいやうおもてには、一點いつてん島影しまかげもなく、滊船きせんけむりえぬのである。
背戸せどつて御覽ごらんなさい、と一向いつかう色氣いろけのなささうな、腕白わんぱくらしいことをつてかへんなすつた。——翌日よくじつだつけ、御免下ごめんくださアい、とけたこゑをして音訪おとづれたひとがある。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
翌日よくじつからわたしは地形を見にまわった。なるほどカランポーの谷は、土地の高低があって、川の流れも多く、とても馬や猟犬りょうけんでおおかみを追いまわせそうもないところだ。