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灰
>
はひ
ふりがな文庫
“
灰
(
はひ
)” の例文
往返
(
わうへん
)
し旅人の
懷中
(
ふところ
)
を
狙
(
ねら
)
ふ
護摩
(
ごま
)
の
灰
(
はひ
)
の頭なり因て半四郎が所持の金に目を
懸
(
かけ
)
樣々
(
さま/″\
)
にして終に道連となりしかば
此夜
(
このよ
)
何卒
(
なにとぞ
)
して半四郎の
胴卷
(
どうまき
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
からは
灰
(
はひ
)
にあとも
止
(
とゞ
)
めず
煙
(
けぶ
)
りは
空
(
そら
)
に
棚引
(
たなび
)
き
消
(
き
)
ゆるを、うれしや
我
(
わが
)
執着
(
しふちやく
)
も
遺
(
のこ
)
らざりけるよと
打眺
(
うちなが
)
むれば、
月
(
つき
)
やもりくる
軒
(
のき
)
ばに
風
(
かぜ
)
のおと
清
(
きよ
)
し。
軒もる月
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蒼白
(
あをじろ
)
う、
灰
(
はひ
)
のやうに
蒼白
(
あをじろ
)
うなって、
血
(
ち
)
みどろになって、どこもどこも
血
(
ち
)
が
凝
(
こご
)
りついて。
見
(
み
)
ると
其儘
(
そのまゝ
)
、わしゃ
氣
(
き
)
を
失
(
うし
)
なうてしまひましたわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「
失禮
(
しつれい
)
、
唯今
(
たゞいま
)
。」と
壁
(
かべ
)
の
中
(
なか
)
に、
爽
(
さわやか
)
な
少
(
わか
)
い
聲
(
こゑ
)
して、
潛
(
くゞ
)
り
門
(
もん
)
がキイと
開
(
あ
)
くと、
蝶
(
てふ
)
のやうに
飜然
(
ひらり
)
と
出
(
で
)
て、ポンと
卷莨
(
まきたばこ
)
の
灰
(
はひ
)
を
落
(
おと
)
す。
画の裡
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
生
(
なま
)
の
立
(
た
)
ち
木
(
き
)
はちよっと
燃
(
も
)
えにくいようにおもへますが、
一度
(
いちど
)
火勢
(
かせい
)
がつけば、こんもりと
茂
(
しげ
)
つた
美
(
うつく
)
しい
森林
(
しんりん
)
もまたゝくまに
灰
(
はひ
)
になつてしまふのです。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
▼ もっと見る
貯
(
たくはへ
)
たる
菓子
(
くわし
)
をかの三人の娘にもとらせければ、三人
炉
(
ろ
)
に
腰
(
こし
)
かけて
箕居
(
ふみはだかり
)
、
足
(
あし
)
を
灰
(
はひ
)
のなかへふみ入れ
珍
(
めづらし
)
がりてくわしを
喰
(
くら
)
ふ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
そのうちに、
※
(
あつ
)
い
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
に
埋
(
う
)
まつて
居
(
ゐ
)
た
柿
(
かき
)
の
穴
(
あな
)
からは、ぷう/\
澁
(
しぶ
)
を
吹出
(
ふきだ
)
しまして、
燒
(
や
)
けた
柿
(
かき
)
がそこへ
出來上
(
できあが
)
りました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
汝
(
われ
)
熱
(
あつ
)
えぞ」とおつぎがいへば
與吉
(
よきち
)
は
手
(
て
)
を
引
(
ひ
)
いてゑぐは
土間
(
どま
)
へ
落
(
お
)
ちる。それを
又
(
また
)
手
(
て
)
に
載
(
の
)
せてやると
與吉
(
よきち
)
はおつぎがするやうにふう/\と
灰
(
はひ
)
を
吹
(
ふ
)
く。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「小判には阿倍川餅ほど
灰
(
はひ
)
が附いてゐる、檜物町の師匠の爐の中に隱してあつた小判が無くなつて居るんだぜ——」
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
空
(
そら
)
は、ドンヨリ
曇
(
くも
)
ツて、
南風
(
みなみかぜ
)
が
灰
(
はひ
)
の
都
(
みやこ
)
を
吹
(
ふ
)
き
廻
(
まは
)
り、そしてポカ/\する、
嫌
(
いや
)
に
其所
(
そこ
)
らのざわつく日であツた、此様な日には、頭に
故障
(
こしやう
)
のない者すら氣が重い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
寶暦九年
(
ほうれきくねん
)
七月二十八日
(
しちがつにじゆうはちにち
)
弘前
(
ひろさき
)
に
於
(
おい
)
て
西北方
(
せいほくほう
)
遽
(
にはか
)
に
曇
(
くも
)
り
灰
(
はひ
)
を
降
(
ふ
)
らしたが、その
中
(
なか
)
には
獸毛
(
じゆうもう
)
の
如
(
ごと
)
きものも
含
(
ふく
)
まれてゐたといふ。これは
渡島
(
おしま
)
大島
(
おほしま
)
の
噴火
(
ふんか
)
に
因
(
よ
)
つたものである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
「
何
(
ど
)
うしませう」と
啜
(
すゝ
)
り
泣
(
な
)
いた。
宗助
(
そうすけ
)
は
再度
(
さいど
)
の
打撃
(
だげき
)
を
男
(
をとこ
)
らしく
受
(
う
)
けた。
冷
(
つめ
)
たい
肉
(
にく
)
が
灰
(
はひ
)
になつて、
其灰
(
そのはひ
)
が
又
(
また
)
黒
(
くろ
)
い
土
(
つち
)
に
和
(
くわ
)
する
迄
(
まで
)
、
一口
(
ひとくち
)
も
愚癡
(
ぐち
)
らしい
言葉
(
ことば
)
は
出
(
だ
)
さなかつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
風
(
かぜ
)
はなかつた。
空氣
(
くうき
)
は
水
(
みづ
)
のやうに
重
(
おも
)
く
沈
(
しづ
)
んでゐた。
人家
(
じんか
)
も、
燈灯
(
ともしび
)
も、
畑
(
はたけ
)
も、
森
(
もり
)
も、
川
(
かは
)
も、
丘
(
をか
)
も、そして
歩
(
ある
)
いてゐる
我我
(
われわれ
)
の
體
(
からだ
)
も、
灰
(
はひ
)
を
溶
(
とか
)
したやうな
夜霧
(
よぎり
)
の
海
(
うみ
)
に
包
(
つつ
)
まれてゐるのであつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
煙突の
黒
(
くろ
)
みより
灰
(
はひ
)
ばめる
煤
(
すす
)
と
湯気
(
ゆげ
)
なびきちらぼふ。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
燃えてひらくことなき
灰
(
はひ
)
の像、胸の
錠
(
ぢやう
)
——
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
眺望
(
ながめ
)
ことごと
灰
(
はひ
)
濁
(
た
)
みて
哀音
(新字旧仮名)
/
末吉安持
(著)
土
(
つち
)
の
灰
(
はひ
)
、
十日
(
とをか
)
ひでりの
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
金棺
灰
(
はひ
)
を葬りて
天地有情
(旧字旧仮名)
/
土井晩翠
(著)
燒趾
(
やけあと
)
の
灰
(
はひ
)
から
出
(
で
)
て
青銅
(
せいどう
)
のやうに
變
(
かは
)
つた
銅貨
(
どうくわ
)
はぽつ/\と
燒
(
や
)
けた
皮
(
かは
)
を
殘
(
のこ
)
して
鮮
(
あざや
)
かな
地質
(
ぢしつ
)
が
剥
(
む
)
けて
居
(
ゐ
)
た。
彼
(
かれ
)
はそれを
目
(
め
)
に
近
(
ちか
)
づけて
暫
(
しばら
)
く
凝然
(
ぢつ
)
と
見入
(
みい
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
松村
(
まつむら
)
に
小松
(
こまつ
)
を
圍
(
かこ
)
つて、
松賀町
(
まつかちやう
)
で
淨瑠璃
(
じやうるり
)
をうならうといふ、
藏
(
くら
)
と
藏
(
くら
)
とは
並
(
なら
)
んだり、
中
(
なか
)
を
白鼠
(
しろねずみ
)
黒鼠
(
くろねずみ
)
の
俵
(
たはら
)
を
背負
(
しよ
)
つてちよろ/\したのが、
皆
(
みな
)
灰
(
はひ
)
になつたか。
深川浅景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
番町
(
ばんちやう
)
の
旦那
(
だんな
)
といふは
口數
(
くちかず
)
少
(
すくな
)
き
人
(
ひと
)
と
見
(
み
)
えて、
時
(
とき
)
たま
思
(
おも
)
ひ
出
(
だ
)
したやうにはた/\と
團扇
(
うちは
)
づかひするか、
卷煙草
(
まきたばこ
)
の
灰
(
はひ
)
を
拂
(
はら
)
つては
又
(
また
)
火
(
ひ
)
をつけて
手
(
て
)
に
持
(
もつ
)
てゐる
位
(
くらゐ
)
なもの
うつせみ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
囲炉裏
(
ゐろり
)
は五尺あまり、
深
(
ふか
)
さは
灰
(
はひ
)
まで二尺もあるべし、
薪
(
たきゞ
)
多
(
おほ
)
き所にて
大火
(
おほび
)
を
焼
(
た
)
くゆゑ也。家にかちたるものは
木鉢
(
きばち
)
の大なるが三ツ四ツあり、所にて作るゆゑ也。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
彼
(
かれ
)
は
冷
(
つめ
)
たい
火鉢
(
ひばち
)
の
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
に
細
(
ほそ
)
い
線香
(
せんかう
)
を
燻
(
くゆ
)
らして、
教
(
をし
)
へられた
通
(
とほ
)
り
坐蒲團
(
ざぶとん
)
の
上
(
うへ
)
に
半跏
(
はんか
)
を
組
(
く
)
んだ。
晝
(
ひる
)
のうちは
左迄
(
さまで
)
とは
思
(
おも
)
はなかつた
室
(
へや
)
が、
日
(
ひ
)
が
落
(
お
)
ちてから
急
(
きふ
)
に
寒
(
さむ
)
くなつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それでも其の影に映つてゐる間だけ、周三の頭から、
黴
(
か
)
びて、
陰濕
(
じめ/″\
)
したガスが拔けて、そして其の底に
灰
(
はひ
)
の氣に
籠
(
こ
)
められながら紅い花の
揺
(
ゆら
)
いでゐるのを見るやうな心地になつてゐた。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
浪人夫婦は聞て大いに驚き然すれば
渠等
(
かれら
)
は
豫
(
かね
)
て聞たる
護摩
(
ごま
)
の
灰
(
はひ
)
とか云へる
惡漢
(
わるもの
)
ならん是は如何せんと
當惑
(
たうわく
)
の折から一人の駕籠舁は
彼浪人
(
かのらうにん
)
に向ひオイ
御侍士
(
おさふらひ
)
先刻
(
さつき
)
熊谷の茶屋から四里八丁の
丁場
(
ちやうば
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
頬
(
ほゝ
)
、
唇
(
くちびる
)
の
薔薇
(
ばら
)
も
褪
(
あ
)
せて、
蒼白
(
あをじろ
)
い
灰
(
はひ
)
と
變
(
かは
)
る。
目
(
め
)
の
窓
(
まど
)
もはたと
閉
(
と
)
づる、
生活
(
いのち
)
の
日
(
ひ
)
がつい
暮
(
く
)
れて
行
(
ゆ
)
く
時
(
とき
)
のやうに。どこも/\
硬固
(
しゃちこば
)
って、
冷
(
つめた
)
うなって、
自在
(
じざい
)
な
活動
(
はたらき
)
をば
失
(
うしな
)
うて、
死切
(
しにき
)
ったやうにも
見
(
み
)
えう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「成程ね。
灰
(
はひ
)
も何んにも附いて居ないから、安心しろよ、八」
銭形平次捕物控:281 用心棒
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
小蒸汽船
(
こじようきせん
)
の
灰
(
はひ
)
ばめる
鈍
(
にぶ
)
き
唸
(
うなり
)
や
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
破
(
やぶ
)
れた
草葺
(
くさぶき
)
の
家
(
いへ
)
をゆさぶつて
西風
(
にしかぜ
)
がごうつと
打
(
う
)
ちつけて
來
(
き
)
た
時
(
とき
)
には
火鉢
(
ひばち
)
の
煨
(
おき
)
はまだ
白
(
しろ
)
く
灰
(
はひ
)
の
皮
(
かは
)
を
被
(
かぶ
)
つて
暖
(
あたゝ
)
かゝつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
まだ
方角
(
はうがく
)
も
確
(
たしか
)
でない。
旅馴
(
たびな
)
れた
身
(
み
)
は
野宿
(
のじゆく
)
の
覺悟
(
かくご
)
で、
幽
(
かすか
)
に
黒雲
(
くろくも
)
の
如
(
ごと
)
き
低
(
ひく
)
い
山
(
やま
)
が
四方
(
しはう
)
を
包
(
つゝ
)
んだ、
灰
(
はひ
)
のやうな
渺茫
(
べうばう
)
たる
荒野
(
あらの
)
を
足
(
あし
)
にまかせて
辿
(
たど
)
ること
二里
(
にり
)
ばかり。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
弥左ヱ門は村に
火災
(
くわさい
)
ありときゝて
走皈
(
はせかへ
)
りしに、
今朝
(
けさ
)
出
(
いで
)
し家は
灰
(
はひ
)
となりてたゞ
妻子
(
つまこ
)
の
无㕝
(
ぶじ
)
をよろこぶのみ。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「
御寒
(
おさむ
)
う
御座
(
ござ
)
いませう」と
云
(
い
)
つて、
圍爐裏
(
ゐろり
)
の
中
(
なか
)
に
深
(
ふか
)
く
埋
(
い
)
けてあつた
炭
(
すみ
)
を
灰
(
はひ
)
の
下
(
した
)
から
掘
(
ほ
)
り
出
(
だ
)
した。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
奧方
(
おくがた
)
は
火鉢
(
ひばち
)
を
引寄
(
ひきよ
)
せて、
火
(
ひ
)
の
氣
(
け
)
のありやと
試
(
こゝろ
)
みるに、
宵
(
よひ
)
に
小間使
(
こまづか
)
ひが
埋
(
い
)
け
參
(
まい
)
らせたる、
櫻炭
(
さくら
)
の
半
(
なかば
)
は
灰
(
はひ
)
に
成
(
な
)
りて、よくも
起
(
おこ
)
さで
埋
(
い
)
けつるは
黒
(
くろ
)
きまゝにて
冷
(
ひ
)
えしもあり、
烟管
(
きせる
)
を
取上
(
とりあ
)
げて一二
服
(
ふく
)
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
小蒸汽
(
こじやうき
)
の
灰
(
はひ
)
ばみ
過
(
す
)
ぎし
船腹
(
ふなばら
)
に
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
弥左ヱ門は村に
火災
(
くわさい
)
ありときゝて
走皈
(
はせかへ
)
りしに、
今朝
(
けさ
)
出
(
いで
)
し家は
灰
(
はひ
)
となりてたゞ
妻子
(
つまこ
)
の
无㕝
(
ぶじ
)
をよろこぶのみ。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
このはにないのと、
淺間
(
あさま
)
の
灰
(
はひ
)
でも
降
(
ふ
)
つたやうに、その
取引
(
とりひき
)
たるや、なか/\むづかしいさうである。
木菟俗見
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
灰
(
はひ
)
濁
(
だ
)
める
暮雲
(
ぼうん
)
のかなた
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
袖
(
そで
)
でかくすやうにした
時
(
とき
)
、
鍋
(
なべ
)
の
饂飩
(
うどん
)
は、しかし、
線香
(
せんかう
)
の
落
(
お
)
ちてたまつた、
灰
(
はひ
)
のやうであつた。
続銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
むかしは
加州山中
(
かしうさんちう
)
の
温泉宿
(
をんせんやど
)
に、
住居
(
すまひ
)
の
大圍爐裡
(
おほゐろり
)
に、
灰
(
はひ
)
の
中
(
なか
)
から、
笠
(
かさ
)
のかこみ
一尺
(
いつしやく
)
ばかりの
眞黒
(
まつくろ
)
な
茸
(
きのこ
)
が
三本
(
さんぼん
)
づゝ、
續
(
つゞ
)
けて
五日
(
いつか
)
も
生
(
は
)
えた、と
言
(
い
)
ふのが、
手近
(
てぢか
)
な
三州奇談
(
さんしうきだん
)
に
出
(
で
)
て
居
(
ゐ
)
る。
くさびら
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
彫刻
(
ほり
)
した
鮒
(
ふな
)
の
泳
(
およ
)
ぐも
可
(
よ
)
い。
面白
(
おもしろ
)
うないとは
言
(
い
)
はぬが、
煎
(
に
)
る、
焼
(
や
)
く、
或
(
あるひ
)
は
生
(
なま
)
のまゝ
其
(
そ
)
の
肉
(
にく
)
を
噉
(
くら
)
はうと
思
(
おも
)
ふものに、
料理
(
りやうり
)
をすれば、
炭
(
すみ
)
に
成
(
な
)
る、
灰
(
はひ
)
に
成
(
な
)
る、
木
(
き
)
の
切
(
きれ
)
を
何
(
なに
)
にせい、と
言
(
い
)
ふ
了見
(
れうけん
)
だ。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
死力
(
しりよく
)
を
籠
(
こ
)
めて、
起上
(
おきあが
)
らうとすると、
其
(
そ
)
の
渦
(
うづ
)
が、
風
(
かぜ
)
で、ぐわうと
卷
(
ま
)
いて、
捲
(
ま
)
きながら
亂
(
みだ
)
るゝと
見
(
み
)
れば、
計知
(
はかりし
)
られぬ
高
(
たか
)
さから
颯
(
さつ
)
と
大瀧
(
おほだき
)
を
搖落
(
ゆりおと
)
すやうに、
泡沫
(
あわ
)
とも、しぶきとも、
粉
(
こな
)
とも、
灰
(
はひ
)
とも
雪霊続記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
あゝ、
裝束
(
しやうぞく
)
かい、
皆
(
みん
)
な
灰
(
はひ
)
さ——
面
(
めん
)
だけは
近所
(
きんじよ
)
のお
弟子
(
でし
)
が
駈
(
か
)
けつけて、
殘
(
のこ
)
らずたすけた。
百
(
ひやく
)
幾
(
いく
)
つといふんだが、これで
寶生流
(
はうしやうりう
)
の
面目
(
めんぼく
)
は
立
(
た
)
ちます。
裝束
(
しやうぞく
)
は、いづれ
年
(
とし
)
がたてば
新
(
あたら
)
しくなるんだから。
十六夜
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
“灰”の意味
《名詞》
(はい) 物が燃え尽きたあとに残る粉末。
火山が噴火した際に排出する粒子状の岩石。火山灰。
(出典:Wiktionary)
“灰”の解説
灰(はい)は、草や木、動物などを燃やしたあとに残る物質。
(出典:Wikipedia)
灰
常用漢字
小6
部首:⽕
6画
“灰”を含む語句
灰色
熱灰
灰燼
降灰
灰汁
灰吹
石灰
灰白
灰白色
火山灰
凝灰岩
乱離骨灰
濃灰色
死灰
灰皿
灰塵
懐炉灰
銀灰色
屍灰
灰汁抜
...