承知しようち)” の例文
相述べ急ぎ登城あるべしとの事なり越前守委細ゐさい承知しようちし則ち馬を急し家來に申付火急くわきふの御用なり駕籠は跡よりまはせと申付麻上下あさがみしもに服を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ふり𢌞まはくはをよけながら、いや、おばあさんばかりぢやありません、みなつてるよ、とつてもつてるから承知しようちをしない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
あゝ心持こゝろもちださつぱりしたおまへ承知しようちをしてくれゝばう千人力にんりきだ、のぶさんありがたうとつねやさしき言葉ことばいでるものなり。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ひと打石斧だせきふかとつて、奇形きけいいのは踏付ふみつけたまゝくが。其打石斧そのだせきふだらうが、石槌せきつゐだらうが、んでもでも採集袋さいしふぶくろれねば承知しようち出來できぬ。
この現象げんしよう少年讀者しようねんどくしやむかつて説明せつめいすることはすこぶ難事なんじであるが、たゞ噴火ふんかさいはつせられた數回すうかい連續的爆發れんぞくてきばくはつ寫眞しやしんれたものと承知しようちしてもらひたい。
火山の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
おきなすこ安心あんしんして、れい五人ごにんひとたちのあつまつてゐるところにつて、そのことをげますと、みな異存いぞんのあらうはずがありませんから、すぐに承知しようちしました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
かゝる事は円朝わたくし薩張さつぱりぞんぜずにりましたが、談洲楼焉馬だんしゆうろうえんばしたゝめた文によつ承知しようちいたしました。其文そのぶん
落語の濫觴 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
A それだからいけないよ、きみは。なんでも相手あひてにさせるんだよ。相手あひてにしなけりや承知しようちしないとふんだよ。それが政治機關せいぢきくわん改造かいざうする所以ゆゑんなんだらうぢやないか。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
このあいちやんはローリーてうはたしていくとしとつてるか、それをかないうち承知しようちしませんでした、がローリーてううしても其年齡そのとしふのをこばんだものですから
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
むこなんぞ、承知しようちするもんぢやねえ、あゝだ泥棒野郎どろぼうやらうきれえだ、はたけでもでも油斷ゆだんなんねえから」
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
頭腦づなう比較的ひかくてき明暸めいれうで、理路りろ感情かんじやうむのか、また感情かんじやう理窟りくつわくるのか、何方どつちわからないが、かくもの筋道すぢみちけないと承知しようちしないし、また一返いつぺん筋道すぢみちくと
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
これをむものもそのこゝろしてよまざるからず、涙香ルイコウ探偵小説たんていせうせつごとぞくよろこばすものにてなき由を承知しようちして一どくせばみづか妙味みようみ發見はつけんすべきなり、余はこのしよ讀者どくしや推薦すいせんするをはばからず
「罪と罰」の殺人罪 (旧字旧仮名) / 北村透谷(著)
海外かいぐわい充分じうぶん資金しきんつてれば、内地ないちから正貨せいくわ積出つみだ場合ばあひに、これ爲替かはせつて決濟けつさいるとふことは何人なんびと承知しようちことであるから、なに正貨せいくわ流出りうしゆつ心配しんぱいすることもないのみならず
金解禁前後の経済事情 (旧字旧仮名) / 井上準之助(著)
親父おやぢといふは煙管パイプ旋盤細工ろくろざいくげふとして居るもので、とりく時から日のくれるまで旋盤ろくろまへうごいたことのない程の、ブリダアまちではめづらしい稼人かせぎにんであるから、兒童こどもところ承知しようちするはずもない。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
承知しようちいたしました」とつて、道翹だうげう本堂ほんだういて西にしあるいてく。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
われはおのれ生涯しやうがいのあまりきよくないこと心得こゝろえてゐる、みちかたはら菩提樹下ぼだいじゆか誘惑いうわくけたことつてゐる。たま/\われにさけませる会友くわいいうたちの、よく承知しようちしてゐるごとく、さういふもの滅多めつた咽喉のどとほらない。
得ず然らば途中の御用心こそ專要せんえうなれど心付るを平兵衞は承知しようちせりといとまつげて立出れば早日は山のかたぶきやゝくれなんとするに道を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それに、あゝ、なんとかの端本はほんか、と部屋頭へやがしらほんぞんじてりますから、なかうたこれから引出ひきだしましたのでは先刻せんこく承知しようちとやらでござりませう。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
それに蠻勇ばんゆうもつにんじてるので、一採集さいしふしたものは、いくら途中とちう持重もちおもりがしても、それをてるといふことぬ。かたほねれても、つてかへらねば承知しようちせぬ。
ゑゝ大金たいきんでもあることか、かねなら二ゑん、しかもくちづから承知しようちしてきながら十日とたゝぬにもうろくはなさるまじ、あれすゞり引出ひきだしにも、これはつかずのぶんと一トたば
大つごもり (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
みかどはこれをきこされて、それならばおきないへにほどちか山邊やまべ御狩みかりの行幸みゆきをするふうにしてひめくからと、そのことをおきな承知しようちさせて、きめたひめいへにおなりになりました。
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
四五日しごにちつと此事このことたちま親父おやぢみゝはひつた。親父おやぢ眞赤まつかになつておこつた、店にあるだけのさくらの木の皮をむかせ(な脱カ)ければ承知しようちしないと力味りきんたが、さて一向いつかう效果きゝめがない。少年こどもは平氣で
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
とぢて控へたり此時名主なぬし甚左衞門進出て申す樣只今願のおもむ委細ゐさい承知しようち致したり扨々驚き入たる心底しんてい幼年には勝りし發明はつめい天晴あつぱれの心立なり斯迄思込おもひこみし事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
承知しようちだよ、承知しようちだよ。お鳥目てうもくがねえとか、小遣こづかひたねえとかふんだらう。はたらきのねえやつきまつてら、とつてはまないのさ。其處そこはおあきさんだ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
まへさまのことよろしくおたみ承知しようちしてればすこしも心配しんぱいことはあらず、たヾこれまでとちがひて段々だん/\大人おとなになり世間せけん交際つきあいらねばならず、だい一に六づかしきはひと機嫌きげんなり
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
發掘はつくつ承知しようちせぬので、はらつたから惡口あくこういたら、先方せんぱうおこつたといふ説明せつめい
父親ちゝおや合點がてん母親はゝおや承知しようちで、向島むかうじま花見はなみかへりが夜櫻見物よざくらけんぶつつて、おいらんが、初會惚しよくわいぼれ、と寸法すんぱふるのであるが、耕地かうち二十石にじつこく百姓ひやくしやう次男じなんではうはかない。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なんつてもをんなですものくちはやいにつておつときのことなどははなしておかせくださるわけにはきますまい、げんいまでもかくしていらつしやることおびたゞしくあります、それは承知しようち
この子 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いつでも自分じぶんかせてる、が、くものがなければひとりで、むゝ、ふむ、といつたやうな、承知しようちしたやうなことを独言ひとりごとのやうでなく、かせるやうにいつてるひとで、母様おつかさん御存ごぞんじで
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かほねば承知しようちせぬぞと威張いばりたてるを聞流きゝながしに二かい座敷ざしき結城ゆふきれあげて、今夜こんや頭痛づゝうがするので御酒ごしゆ相手あいて出來できませぬ、大勢おほぜいなかれば御酒ごしゆふて夢中むちうになるもれませぬから
にごりえ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
其処そこで、へい、ふもとのものは承知しようちして、わしがことをさぎ船頭せんどうらちもない芸当げいたうだあ。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
何處どこはじまつた廓内なか鳥居前とりゐまへか、おまつりのときとはちがふぜ、不意ふいでさへくはけはしない、れが承知しようち先棒さきぼうらあ、しようさんきもたまをしつかりしてかゝりねへ、ときそひかゝるに、ゑゝはややつ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それに、あゝ、なんとかの端本はほんか、と部屋頭へやがしらほんぞんじてりますから、なかうたも、これから引出ひきだしましたのでは、先刻せんこく承知しようちとやらでござりませう。それではたねあかしの手品てじな同樣どうやうなぐさみになりません。
片しぐれ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ありましたれど赤子あかごせるものがないとかきませば平常つねこゝろ承知しようちがならずとほして針仕事はりしごとるものふたつかはしましたと得意顏とくいがほ物語ものがたとくかげなるこそよけれとかきゝしがあやしのことよとうたがむね相談さうだんせばやのこゝろえぬ花子はなこさま/″\の患者くわんじやはなし昨日きのふ往診みまひ同朋町どうぼうちやうとやらしやとけばつゆたがはぬ樣子やうすなりそれほどまでには
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
承知しようち承知しようち、おゝ、嬢様ぢやうさま何処どこかつしやる。)
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)