一體いつたい)” の例文
新字:一体
一體いつたいこりや、了見れうけんだね」と自分じぶんかざけたものながめながら、御米およねいた。御米およねにも毎年まいとしうする意味いみとんわからなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
今度こんどたびは、一體いつたいはじめは、仲仙道線なかせんだうせん故郷こきやういて、其處そこで、一事あるようすましたあとを、姫路行ひめぢゆき汽車きしや東京とうきやうかへらうとしたのでありました。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一體いつたい家屋かおくあたらしいあひだはしら横木よこぎとのあひだめつけてゐるくさびいてゐるけれども、それが段々だん/″\ふるくなつてると、次第しだいゆるみがる。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
一體いつたいこれらの石斧せきふ使用しようするときはどうしたかといひますのに、いしのまゝにぎつて使つかつたものもありますが、けた場合ばあひもありまして
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
にがしたが又儀左衞門殿も一體いつたい白妙しろたへ馴染なじみの客にて是も其夜白妙を阿部河原あべがはらまで追駈おつかけ來られ重五郎と問答もんだふ中白妙はふね飛乘とびのり柴屋寺しばやでらまで參りしなり其後樣子を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
一體いつたい文學ぶんがくなどいふものは、一人ひとりがよいといひだすと、いつまでもその批評ひひようつゞくものでたれかれも、まへひと言葉ことばからはなれてかんがへることの出來できないものであつて、存外ぞんがいつまらないものでも
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
夫人おくさん! 先刻せんこく貴女あなた左樣さうつしやいましたねえ。わたくし眞個ほんたうに、此世このよでまた貴女あなたにおにかゝらうとはおもまうけませんでした、じつ不思議ふしぎですよ、一體いつたいあのとき如何どうして御助命おたすかりになりました。
さま/″\な批評ひゝやうもてあそばれながら、繪葉書のうへいて行く女優たちの顏!これらがやがていろもなくもなくなつていつた時には一體いつたいどうなるのでせう? それはたとひ、虚榮きよえいあやまられたその不明ふめい
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
一體いつたい、これには、きざみねぎ、たうがらし、大根だいこんおろしとふ、前栽せんざいのつはものの立派りつぱ加勢かせいるのだけれど、どれもなまだからわたしはこまる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
またかはら一體いつたいたいへんおほきく、今日こんにちかはら二倍にばいくらゐもあります。またそのならかた今日こんにちとはすこちがつてをりました。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
「ありや一體いつたいなにをするをとこなんだい」と宗助そうすけいた。このとひ今迄いままで幾度いくたび御米およねむかつてかへされたものであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
いよ/\探險たんけんとは决心けつしんしたものゝ、じつうす氣味惡きみわることで、一體いつたい物音ものおとぬしわからず、またみちにはどんな災難さいなんしやうずるかもわからぬので、わたくし萬一まんいち塲合ばあひおもんぱかつて、れい端艇たんていをば波打際なみうちぎわにシカと繋止つなぎと
ひとが、かつ修學旅行しうがくりよかうをしたとき奈良なら尼寺あまでらあまさんに三體さんたいさづけられたとふ。なかから一體いつたいわたしけられた阿羅漢あらかんざうがある。
松の葉 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
にいさん、佐伯さへきはう一體いつたいどうなるんでせう。先刻さつきねえさんからいたら、今日けふ手紙てがみしてくだすつたさうですが」
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
一體いつたい貝類かひるい動物中どうぶつちゆう比較的ひかくてきはやかたちへやすいものでして、しゞみでもむかしのものは今日こんにちよりはかたちおほきかつたのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
一體いつたい誰彼たれかれといふうちに、さしいそいだたびなれば、註文ちうもんあはず、ことわか婦人をんななり。うつかりしたものもれられねば、ともさしてられもせぬ。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一體いつたいあのへんには、自動車じどうしやなにかで、美人びじん一日いちにちがけと遊山宿ゆさんやど乃至ないし温泉をんせんのやうなものでもるのか、うか、まだたづねてません。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたいみづふものは、一雫ひとしづくなかにも河童かつぱ一個ひとつむとくにりますくらゐ、氣心きごころれないものです。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたい散々さん/″\不首尾ふしゆびたら/″\、前世ぜんせごふででもあるやうで、まをすもはゞかつてひかへたが、もうだまつてはられない。たしか横濱よこはまあたりであつたらうとおもふ。
雨ふり (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたい何處どこでございませう。方角はうがくなにわからなくなつたんだよ。仕樣しやうがないことね、ねえ、おまへさん。」
迷子 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
丁告之以故ていこれにつぐるにゆゑをもつてす。——却説さて一體いつたい此處こゝ何處どこだ、とくと、冥土めいど、とこたへて、わたしあと閻魔王えんまわう足輕あしがる牛頭鬼ごづおにのためにめとられて、いまつまつた、とげた。
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いきほひつて、わたし夢中むちう駈上かけあがつて、懷中電燈くわいちうでんとうあかりりて、戸袋とぶくろたなから、觀世音くわんぜおん塑像そざう一體いつたい懷中くわいちうし、つくゑしたを、壁土かべつちなかさぐつて、なきちゝつてくれた
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みぎ一體いつたい牛頭ごづ馬頭めづの、あの、誰方どなた御存ごぞんじの——たれ御存ごぞんじなものですか——牛頭ごづおにざうがあつたが、砂埃すなほこりまみれたうへへ、かほ半分はんぶん、べたりとしやぼんをながしたやうに
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
さもければ那樣そんなことをこはがると理窟りくつがないて。一體いつたいまへさんにかぎらず、乘合のりあひ方々かた/″\またうぢや、初手しよてからほど生命いのち危險けんのんだとおもツたら、ふねなんぞにらぬがいて。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
わし一體いつたい京都きやうともので、毎度まいど金澤かなざはから越中ゑつちうはう出懸でかけるが、一あることは二とやら、ふねで(一人坊主ひとりばうず)になつて、乘合のりあひしうきらはれるのは今度こんどがこれで二度目どめでござる。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一體いつたい若旦那わかだんなは、やしき河下三里かはしもさんりばかりのところに、ながれのぞんだ別業べつげふがあるのを、元來ぐわんらいいろこのめる男子をとこ婦人ふじん張氏ちやうし美而びにしてなりとふので、浮氣うはきをする隱場處かくればしよにして、別業べつげふ
みつ柏 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたいは、すぐにもいてしまはずなんですが、生憎あいにく何處どこ停車場ステイシヨンにも暖爐ストオブ時分じぶん茶屋小屋ちややこや火鉢ひばちにほはすと、いた一端ひとはし燒切やけきらないうちに、ぎつけられて、あやしまれて
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
そ、それが五分ごぶがない、はなくち一所いつしよに、ぼくかほとぴつたりと附着くツつきました、——あなたのお住居すまひ時分じぶんから怪猫ばけねこたんでせうか……一體いつたいねこ大嫌だいきらひで、いえ可恐おそろしいので。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたいが、一寸ちよつと手先てさきで、障子しやうじ破穴やぶれあなやうかほでる、ひたひしろ洒落しやれもので。……
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……一體いつたいだいすきなのだが、ちつともかない。ほとんどひとこゑきこえないのである。
番茶話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたい童謠どうえう收録しうろくするのに、なまりをたゞしたり、當推量あてずゐりやう註釋ちうしやくだい禁物きんもつなり。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「おりう、」とおもはず抱占だきしめたときは、淺黄あさぎ手絡てがらと、ゆきなすうなじが、あざやかに、狹霧さぎりなかゑがかれたが、る/\、いろがあせて、うすくなつて、ぼんやりして、一體いつたいすみのやうになつて、やがて
三尺角拾遺:(木精) (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一體いつたいじゆくでは小説せうせつ嚴禁げんきんなので、うつかり教師けうし見着みつかると大目玉おほめだまふのみならず、この以前いぜん三馬さんば浮世風呂うきよぶろ一册いつさつ沒收ぼつしうされて四週間ししうかん置放おきつぱなしにされたため、貸本屋かしほんやから嚴談げんだんつて、大金たいきんられ
怪談女の輪 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
一體いつたい三間みまばかりの棟割長屋むねわりながやに、八疊はちでふも、京間きやうま廣々ひろ/″\として、はしら唐草彫からくさぼりくぎかくしなどがあらうとふ、書院しよゐんづくりの一座敷ひとざしきを、無理むり附着つきつけて、屋賃やちんをおやしきなみにしたのであるから、天井てんじやうたかいが
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うらやま一體いつたいふんださうです。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
失禮しつれい此處こゝ一體いつたい何處どこなんですか。」
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一體いつたいそれうしたんです。」
三人の盲の話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)