つく)” の例文
寶鼎はうてい金虎きんこそんし、芝田しでん白鴉はくあやしなふ。一瓢いつぺう造化ざうくわざうし、三尺さんじやく妖邪えうじやり、逡巡しゆんじゆんさけつくることをかいし、また頃刻けいこくはなひらかしむ。
花間文字 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
そうだ、これをおとうとせてやろう。そして、りこうなはちが、どうしてつくり、また子供こどもそだてるのに苦心くしんするかをおしえてやろう。
ある夏の日のこと (新字新仮名) / 小川未明(著)
これもなんの目的もくてきのために出來できたものであるかはわかりませんが、やはり宗教的しゆうきようてき意味いみをもつてつくられたものであらうとおもはれます。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
また維新の際にもる米人のごとき、もしも政府において五十万ドル支出ししゅつせんには三せきの船をつくりこれに水雷を装置そうちしててきに当るべし
さても秋風あきかぜきりひとか、らねばこそあれ雪佛ゆきぼとけ堂塔だうとういかめしくつくらんとか立派りつぱにせんとか、あはれ草臥くたびれもうけにるがおう
経つくゑ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此雪にてつくりたる物、天又人工じんこうをたすけて一夜の間にこほりて鉄石の如くになるゆゑ、いかほど大入にてもさじきのくづるる気づかひなし。
とうさんもたこあげたり、たこはなしいたりして、面白おもしろあそびました。自分じぶんつくつたたこがそんなによくあがつたのをるのもたのしみでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
扨是等の石器は如何いかにしてつくられしやと云ふに、石斧石鏃の塲合ばあひとは事變はりて、半成品はんせいひん見當みあたらず、細工屑も見當みあたらざれば
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
まえにものべたとおり、こちらの世界せかいつくりつけの現界げんかいとはことなり、場所ばしょも、家屋かおくも、また姿すがたも、みな意思おもいのままにどのようにもかえられる。
甘酒あまざけ時間じかんみじかいのとかうぢすくないのとであつつくむのがれいである。それだからたちまちにあまるけれどもまたたちまちに酸味さんみびてる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しばらまつててゐるうちに、いしかべ沿うてつくけてあるつくゑうへ大勢おほぜいそうめしさいしる鍋釜なべかまからうつしてゐるのがえてた。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
それであいちやんは、なぐさみに雛菊ひなぎく花環はなわつくつてやうとしましたが、面倒めんだうおもひをしてそれをさがしたりんだりして勘定かんぢやうふだらうかと
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
金工かざりや仕事場しごとばすわって、黄金きんくさりつくっていましたが、家根やねうえうたっているとりこえくと、いいこえだとおもって、立上たちあがってました。
こなたに歩み給へとて、さきに立ちてゆくゆく、幾ほどもなく、ここぞと聞ゆる所を見るに、門高くつくりなし、家も大きなり。
それでは、野見宿禰のみのすくね獻言けんげんしてつくした埴輪はにわ土偶どぐうとはべつに、すでに三千ねんぜん太古たいこおいて、土偶どぐうつくられてつたのですね
その小屋は丸太まるたやしばをつかねてつくったもので、屋根も木のえだのたばをみ重ねて、雪が間から流れこまないようにかたくなわでしめてあった。
さうだ ニャン子のいふ通りだ とにかく何千哩ぜんまいるもの運河をつくつてゐるとすれば 測量術そくりやうじゆつだけは発達はつたつしてゐることになる
つくぬしに從ひかへらうとする願ひなのだ。時々私は祈りを——それはもう實に短い祈りだけれど、しかし本當に心からのものをはじめたのですよ。
日本の社会状態で、かう云ふ機会を、随意につくる事は、三四郎に取つて困難である。三四郎は成るべく此機会をながく引きばして利用しやうと試みた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
罹災者りさいしやたゞちにまたみづか自然林しぜんりんからつて咄嗟とつさにバラツクをつくるので、がう生活上せいくわつじやう苦痛くつうかんじない。
日本建築の発達と地震 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
印刷機械のさび付きそうな会社の内部にって、利平達は、職長仲間の団体をつくって、この争議に最初の間は「公平なる中立」の態度を持すと声明していた。
(新字新仮名) / 徳永直(著)
さがしといで。つくれるなら造ってごらん。まあ、そこはいいようにするさ。あっちへおいで。つべこべいわずに!
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
しかし近頃ちかごろきつね毛皮けがは帽子ぼうし首卷くびまきなどがつくられます。米國べいこくから移入いにゆうして飼養しようされてゐるものもあります。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
見ると、そこには、同じような馬がずらりとならび、そのにはそれぞれ、それこそつくりつけた人形のような少女たちが、まばたき一つせずじっとしています。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
明治時代もあらゆる時代のやうに何人かの犯罪的天才をつくり出した。ピストル強盗も稲妻いなづま強盗や五寸くぎ虎吉とらきちと一しよにかう云ふ天才たちの一人ひとりだつたであらう。
本所両国 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
つく極月ごくげつ廿八日は吉日なりとて西濱にて新艘卸しんざうおろしをなし大坂へまはして一商賣ひとしやうばいせんつもりなりし此事はかねて吉兵衞も承知しようちの事なれば心に思ふ樣是より西濱にしはまに到り船頭せんどう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
ほんとうの讃岐さぬき造麻呂みやつこまろといふのでしたが、毎日まいにちのように野山のやま竹藪たけやぶにはひつて、たけつて、いろ/\のものつくり、それをあきなふことにしてゐましたので
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
第九期まで有つて十期の無いのははなは勘定かんじやうが悪いから、是非ぜひ第十期をつくりたいとかんがへも有るので
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
坂上田村麻呂さかのうえのたむらまろいまから千年余ねんあまりもむかし桓武天皇かんむてんのう京都きょうとにはじめて御所ごしょをおつくりになったころ、天子てんしさまのおともをして奈良ならみやこからきょうみやこうつってたうちの一人ひとりでした。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
然し先程、薔薇と鈴振花と茉莉花まつりくわの香と仰有おつしやいましたでは御座いませんか、ひとつ品の良い香のする奇麗な花環はなわをおつくり申しませう、庚申薔薇かうしんばら葉鷄頭はげいとうでもあしらひまして。
わるい花 (旧字旧仮名) / レミ・ドゥ・グルモン(著)
この大きい絵看板ゑかんばんおほ屋根形やねがたのきには、花車だしにつけるやうなつくばなが美しく飾りつけてあつた。
すみだ川 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
もし、時間さえあったなら、ニールスは、いろんな物のつくりかたを、残らずおぼえてしまうことができたでしょう。ニールスは、このほかにも、いろんなものを見ました。
若しすべての文学者ぶんがくしやかつ兵役へいえき従事じゆうじせしめば常備軍じやうびぐんにはか三倍さんばいして強兵きやうへいじつたちまがるべく、すべての文学者ぶんがくしや支払しはら原稿料げんかうれうつもれば一万とん甲鉄艦かふてつかん何艘なんざうかをつくるにあたるべく
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
ほとけつく真朱まそほらずはみづたまる池田いけだ朝臣あそはなうへ穿れ 〔巻十六・三八四一〕 大神朝臣
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ぼく批評家ひゝやうか御注文ごちゆうもんおうずべく神樣かみさまぼくおよ人類じんるゐつくつてれなかつたことを感謝かんしやする。
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
軍艦ふねつくるの、戦争いくさするのツて、税は増す物は高くなる、食ふの食へねエので毎日苦んで居るんだが、かつら大臣の邸など見りや、裏の土手へ石垣を積むので、まるで御城の様な大普請おほふしん
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
わたしつてゐるのは、かみひと熱血ねつけつと、神經しんけいとよりつくつたと事丈ことだけです! また有機的組織いうきてきそしきは、れが生活力せいくわつりよくつてゐるとすれば、すべての刺戟しげき反應はんおうおこすべきものである。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
畢竟ひっきょう今日の日本をつくり出さんがために、反対の方向から相槌あいづちを打ったに過ぎぬ。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
そのためにどうでせう、わたしどもねん年中ねんぢうふやはずなんです。神樣かみさま、なんとかおつしやつてくれませんか。どうしてあなたはあんなさけつくかたなんか人間にんげんにおをしえになつたんです。
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
床の間の天井に鼠が巣をつくっている。お母さんは此れを大層気にしていた。乃公は留守の中に退治して置いてやろうと思って、天井へ登った。天井は湯殿ゆどの垂木たるきを匍って行けば訳なく入られる。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
それから、おてらってあったかねも、なかなかおおきなもので、あれをつぶせば、まず茶釜ちゃがまが五十はできます。なあに、あっしのくるいはありません。うそだとおもうなら、あっしがつくってせましょう。
花のき村と盗人たち (新字新仮名) / 新美南吉(著)
ロミオ 御婦人ごふじん、これは事壞ことこはしのため神樣かみさまつくらせられたをとこぢゃ。
一生懸命につくつてゐます。
ゆづり葉 (新字旧仮名) / 河井酔茗(著)
「ああ。わかった。わたしは、あのくわをつくるときに、こめや、まめが、たくさんみのってくれるようにとばかりおもっていた。それだからだ。」
おじいさんとくわ (新字新仮名) / 小川未明(著)
此雪にてつくりたる物、天又人工じんこうをたすけて一夜の間にこほりて鉄石の如くになるゆゑ、いかほど大入にてもさじきのくづるる気づかひなし。
もしかしてざるのかはりに釣竿つりざををかついで、なにかもつとほかさかなをもりたいとおもときには、ぢいやにたのんで釣竿つりざをつくつてもらひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
彼等かれらむし自分じぶんうちつくつたものゝはう佳味うまいにもかゝわらず大勢おほぜいともさわぐのが愉快ゆくわいなので、水許みづばかりのやうな甘酒あまざけ幾杯いくはいかたむけるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
……なんと、兩足りやうあしから、下腹したばらけて、棕櫚しゆろのみが、うよ/\ぞろ/\……赤蟻あかありれつつくつてる……わたし立窘たちすくみました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一つの姿すがたから姿すがたうつかわることのはやさは、到底とうていつくけの肉体にくたいつつまれた、地上ちじょう人間にんげん想像そうぞうかぎりではございませぬ。
此順序は遺跡發見物中に存在するつくけの土噐を比較ひかうして明かに知るを得るなり。土噐の底面には網代の痕又は木の葉の痕を存するものあり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)