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無理
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むり
ふりがな文庫
“
無理
(
むり
)” の例文
十六ではまだ
針
(
はり
)
を
持
(
も
)
たなくつてもいゝといふのはそれは
無理
(
むり
)
ではない。
然
(
しか
)
し
勘次
(
かんじ
)
の
家
(
いへ
)
でおつぎの一
向
(
かう
)
針
(
はり
)
を
知
(
し
)
らぬことは
不便
(
ふべん
)
であつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
其
(
それ
)
では
魔物
(
まもの
)
が
不承知
(
ふしようち
)
ぢや。
前方
(
さき
)
に
些
(
ちつ
)
とも
無理
(
むり
)
はねえ、
気
(
き
)
に
入
(
い
)
るも
入
(
い
)
らぬもの……
出来
(
でき
)
不出来
(
ふでき
)
は
最初
(
せえしよ
)
から、お
前様
(
めえさま
)
の
魂
(
たましひ
)
にあるでねえか。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
無理
(
むり
)
に申させても取上には
相成
(
あひなら
)
ぬぞ其源次郎と申はナ細川の
家來
(
けらい
)
にて井戸源次郎と云者新吉原の三浦屋四郎左衞門
抱
(
かゝ
)
への
遊女
(
いうぢよ
)
空
(
うつ
)
せみを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
このおじいさんが、これほど、
骨
(
ほね
)
をおって
釣
(
つ
)
り
上
(
あ
)
げた
魚
(
うお
)
を、だれが、
食
(
た
)
べるのだろうか? そう
思
(
おも
)
ったことに、
無理
(
むり
)
はなかったのです。
都会はぜいたくだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これは
無理
(
むり
)
なことでありました。そこで
人力曳
(
じんりきひ
)
きの
海蔵
(
かいぞう
)
さんも、まんじゅう
笠
(
がさ
)
をぬいで、
利助
(
りすけ
)
さんのためにあやまってやりました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
「何、
無理
(
むり
)
にも
掴
(
つか
)
まえようと思えば、
一人
(
ひとり
)
ぐらいは掴まえられたのです。しかし掴まえて見たところが、それっきりの話ですし、——」
保吉の手帳から
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
あゝ
貴君
(
あなた
)
のやうにもないお
力
(
りき
)
が
無理
(
むり
)
にも
商買
(
しようばい
)
して
居
(
ゐ
)
られるは
此力
(
このちから
)
と
思
(
おぼ
)
し
召
(
め
)
さぬか、
私
(
わたし
)
に
酒氣
(
さかけ
)
が
離
(
はな
)
れたら
坐敷
(
ざしき
)
は三
昧堂
(
まいどう
)
のやうに
成
(
な
)
りませう
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
蓋
(
けだ
)
し論者のごとき当時の
事情
(
じじょう
)
を
詳
(
つまびら
)
かにせず、
軽々
(
けいけい
)
他人の言に
依
(
よっ
)
て事を
論断
(
ろんだん
)
したるが
故
(
ゆえ
)
にその論の全く事実に
反
(
はん
)
するも
無理
(
むり
)
ならず。
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
シュリオはニヴェルネ
運河
(
うんが
)
の
水門守
(
すいもんもり
)
をしているのだが、知ってのとおり植木
職人
(
しょくにん
)
の世話を水門守にしてもらうのは
無理
(
むり
)
だからね。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
今
(
いま
)
から
數分
(
すうふん
)
以前
(
いぜん
)
にかの
船
(
ふね
)
が
本船
(
ほんせん
)
右舷
(
うげん
)
後方
(
こうほう
)
の
海上
(
かいじやう
)
に
於
(
おい
)
て
不思議
(
ふしぎ
)
にも
難破信號
(
なんぱしんがう
)
を
揚
(
あ
)
げた
事
(
こと
)
とで
考
(
かんが
)
へ
合
(
あは
)
せると
斯
(
かゝ
)
る
配慮
(
しんぱい
)
の
起
(
おこ
)
るのも
無理
(
むり
)
はあるまい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
『それだから
今度
(
こんど
)
の
瀑布
(
たき
)
の
修行場
(
しゅぎょうば
)
となったのじゃ。
汝
(
そち
)
も
知
(
し
)
る
通
(
とお
)
り、こちらの
世界
(
せかい
)
の
掟
(
おきて
)
にはめったに
無理
(
むり
)
なところはない……。』
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「だから、
無理
(
むり
)
をしても、もう一二ヶ
月
(
げつ
)
の
所
(
ところ
)
丈
(
だけ
)
は
間
(
ま
)
に
合
(
あは
)
せるから、
其内
(
そのうち
)
に
何
(
ど
)
うかして
下
(
くだ
)
さいと、
安
(
やす
)
さんが
左
(
さ
)
う
云
(
い
)
ふんだつて」
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
おそろしく
背
(
せ
)
のたかい武士。
筋骨
(
きんこつ
)
も太く、
容貌
(
ようぼう
)
がまたなくすごいようにみえたが——オオなるほどこれには蛾次郎が仰天したのも
無理
(
むり
)
ではない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
けれどもなぜかまた
額
(
ひたい
)
に
深
(
ふか
)
く
皺
(
しわ
)
を
刻
(
きざ
)
んで、それにたいへんつかれているらしく、
無理
(
むり
)
に
笑
(
わら
)
いながら男の子をジョバンニのとなりにすわらせました。
銀河鉄道の夜
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
しかしこの手紙が、松江にとってどれほど
無理
(
むり
)
な注文であるかを先生は知っていた。赤ん坊のユリエはいなくなっても、松江にはまだ
弟妹
(
ていまい
)
が二人あった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ここに於て
雲飛
(
うんぴ
)
は
初
(
はじめ
)
て
此
(
この
)
老叟
(
らうそう
)
決
(
けつし
)
て
唯物
(
たゞもの
)
でないと
氣
(
き
)
が
着
(
つ
)
き、
無理
(
むり
)
やりに
曳張
(
ひつぱつ
)
て
家
(
うち
)
へ
連
(
つ
)
れ
歸
(
かへ
)
り、
跪
(
ひざまづ
)
いて
石
(
いし
)
を
求
(
もと
)
めた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
考へて見れば
無理
(
むり
)
の無い所で、
而
(
さう
)
して
此間
(
このかん
)
の事は
硯友社
(
けんいうしや
)
のヒストリイから
云
(
い
)
ふと大いに
味
(
あぢは
)
ふ
可
(
べ
)
き
一節
(
いつせつ
)
ですよ
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
そして時たま友
達
(
たち
)
なんかとどこともない
球突塲
(
たまつきば
)
で
突
(
つ
)
いてはみるが、以前ほど
面
(
おも
)
白くない、持
點
(
てん
)
も百
點
(
てん
)
は
少
(
せう
)
々
無理
(
むり
)
になつてまあ八十
點
(
てん
)
といふ
處
(
ところ
)
になつてしまつた。
文壇球突物語
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それと見て、かかりのごけらいは、ながもちのとめがねをはずして、りっぱなきものをとりだし、
無理
(
むり
)
むたいに若いものに
行水
(
ぎょうずい
)
をつかわせて、それを着せました。
かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そんな
心掛
(
こころがけ
)
は、この
子
(
こ
)
たちにはそもそも
註文
(
ちゅうもん
)
するだけ
無理
(
むり
)
なのです。そういうところは、この子たちも
大人
(
おとな
)
も
同
(
おな
)
じです。「
進
(
すす
)
めッ」と、
世間
(
せけん
)
の
強
(
つよ
)
い人たちはいいます。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
お
氣
(
き
)
に
入
(
い
)
りの
紀
(
こつな
)
さへ
席
(
せき
)
を
遠
(
とほ
)
ざけられて、
何
(
なに
)
かしら
込
(
こ
)
み
入
(
い
)
つた
話
(
はなし
)
のありさうなのを、
玄竹
(
げんちく
)
は
氣
(
き
)
がかりに
思
(
おも
)
ひつゝ、
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
かぬ
腰
(
こし
)
を
無理
(
むり
)
から
落
(
お
)
ち
着
(
つ
)
けて、
天王寺屋
(
てんわうじや
)
、
米屋
(
よねや
)
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
乳母 はれまア、
可愛相
(
かはいさう
)
に!
其樣
(
そのやう
)
に
叱
(
しか
)
らしゃりますは、
殿
(
との
)
さま、それは
貴下
(
こなた
)
が
無理
(
むり
)
でござります。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
無理
(
むり
)
やりに、
手習
(
てなら
)
いッ
子
(
こ
)
に
筆
(
ふで
)
を
握
(
にぎ
)
らせるようにして、たった二
行
(
ぎょう
)
の
文
(
ふみ
)
ではあったが、いや
応
(
おう
)
なしに
書
(
か
)
かされた、ありがたく
存
(
ぞん
)
じ
候
(
そうろう
)
かしこの十一
文字
(
もじ
)
が
気
(
き
)
になるままに
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
「うん、きみもかわいそうな人だな、なるほど奥さんも
無理
(
むり
)
はない。ああ奥さんもかわいそうだ」
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
彼女
(
かのぢよ
)
はその
時
(
とき
)
自分
(
じぶん
)
の
境遇
(
きやうぐう
)
をふりかへつて、
再婚
(
さいこん
)
に
心
(
こゝろ
)
の
動
(
うご
)
くのは
無理
(
むり
)
もないことだと
自
(
みづか
)
ら
裁
(
さば
)
いた。それを
非難
(
ひなん
)
する
人
(
ひと
)
があつたならば、
彼女
(
かのぢよ
)
は
反對
(
はんたい
)
にその
人
(
ひと
)
を
責
(
せ
)
めたかもしれない。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
また重吉の家は村一番の大金持ちでしたが、六兵衛の家は村一番の
貧乏
(
びんぼう
)
でした。それでいて二人が兄弟のように仲がいいのですから、村の人々が
不思議
(
ふしぎ
)
に思ったのも
無理
(
むり
)
はありません。
とんまの六兵衛
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
來
(
く
)
ると、
宛然
(
まるで
)
空々
(
そら/″\
)
しい
無理
(
むり
)
な
元氣
(
げんき
)
を
出
(
だ
)
して、
強
(
し
)
ひて
高笑
(
たかわらひ
)
をして
見
(
み
)
たり、
今日
(
けふ
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
顏色
(
かほいろ
)
が
好
(
い
)
いとか、
何
(
なん
)
とか、ワルシヤワの
借金
(
しやくきん
)
を
拂
(
はら
)
はぬので、
内心
(
ないしん
)
の
苦
(
くる
)
しく
有
(
あ
)
るのと、
恥
(
はづか
)
しく
有
(
あ
)
る
所
(
ところ
)
から
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
今夜
(
こんや
)
あなたのお
父
(
とう
)
さんが、
僕
(
ぼく
)
を
罵倒
(
ばたう
)
して
追
(
お
)
ひ
出
(
だ
)
したのも、
親
(
おや
)
として
無理
(
むり
)
なことではありません。
全
(
まつた
)
く
僕
(
ぼく
)
といふ
男
(
をとこ
)
は、あなたを
何
(
なに
)
ひとつ
幸福
(
かうふく
)
にしてあげる
事
(
こと
)
なんかできない
人間
(
にんげん
)
なんですから……
彼女こゝに眠る
(旧字旧仮名)
/
若杉鳥子
(著)
揉
(
も
)
みくしゃにしている、それを
無理
(
むり
)
に引き放そうっていうんで、あたしゃ、汗をかきましたよ。それでいて、このあたしをそんなふうに抱き締めてくれたことなんか、ありゃしないんですからね
にんじん
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
『けど、もつと
分明
(
はつきり
)
云
(
い
)
へと
云
(
い
)
つたつてそれは
無理
(
むり
)
よ』
愛
(
あい
)
ちやんは
極
(
きは
)
めて
愼
(
つゝ
)
ましやかに
答
(
こた
)
へて、『でも、
私
(
わたし
)
は
初
(
はじめ
)
ッから
自分
(
じぶん
)
で
自分
(
じぶん
)
が
解
(
わか
)
らないんですもの、
幾度
(
いくど
)
も
大
(
おほ
)
きくなつたり
小
(
ちひ
)
さくなつたりしたんで、 ...
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
無理
(
むり
)
ないわ あたしだつて
悲
(
かな
)
しくなつちまつたわ アーン アーン
小熊秀雄全集-22:火星探険―漫画台本
(新字旧仮名)
/
小熊秀雄
(著)
想像
(
そう/″\
)
し
得
(
え
)
なかつたのも
無理
(
むり
)
のないことである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
くやしがるのも
無理
(
むり
)
はありません。
葛の葉狐
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
朝
(
あさ
)
から
晩
(
ばん
)
まで
無理
(
むり
)
ばかり
赤い旗
(旧字旧仮名)
/
槙本楠郎
(著)
なるほど、いつかないということが、
勇
(
ゆう
)
ちゃんにもわかったから、このうえ
無理
(
むり
)
にお
父
(
とう
)
さんにお
願
(
ねが
)
いしても、むだだと
悟
(
さと
)
ったのでした。
青い石とメダル
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
(
急
(
きふ
)
に
低
(
ひく
)
くなりますから
気
(
き
)
をつけて。こりや
貴僧
(
あなた
)
には
足駄
(
あしだ
)
では
無理
(
むり
)
でございましたか
不知
(
しら
)
、
宜
(
よろ
)
しくば
草履
(
ざうり
)
とお
取交
(
とりか
)
へ
申
(
まを
)
しませう。)
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
目が
覚
(
さ
)
めると雪がやんでいた。わたしは外をながめた。雪はひじょうに深かった。
無理
(
むり
)
に出て行けばひざの上までうずまりそうであった。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
致し
左
(
と
)
に
右
(
かく
)
宜敷計らひ候はん初瀬留樣にも
此程
(
このほど
)
は日毎に
御噂
(
おうはさ
)
ばかりなりと
無理
(
むり
)
に手を取り
其邊
(
そのあた
)
りなる茶屋へ
伴
(
ともな
)
ひ
酒
(
さけ
)
肴
(
さかな
)
など
出
(
いだ
)
させて種々
馳走
(
ちそう
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それが
此
(
この
)
日
(
ひ
)
は
自分
(
じぶん
)
でも
酷
(
ひど
)
く
厭
(
いや
)
であつたが、
冬至
(
とうじ
)
が
來
(
く
)
るから
蒟蒻
(
こんにやく
)
の
仕入
(
しいれ
)
をしなくちや
成
(
な
)
らないといつて
無理
(
むり
)
に
出
(
で
)
たのであつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
斯
(
こ
)
んなことをするのも、
矢張
(
やは
)
り
修行
(
しゅぎょう
)
の
一
(
ひと
)
つじゃ。
神
(
かみ
)
として
無理
(
むり
)
にはすすめぬから、
有
(
あ
)
りのままに
答
(
こた
)
えるがよい。
何
(
ど
)
うじゃ
逢
(
あ
)
って
見
(
み
)
る
気
(
き
)
はないか?
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
お
前
(
まへ
)
さん
其
(
その
)
お
酒
(
さけ
)
が
買
(
か
)
へるほどなら
嫌
(
い
)
やとお
言
(
い
)
ひなさるを
無理
(
むり
)
に
仕事
(
しごと
)
に
出
(
で
)
て
下
(
くだ
)
されとは
頼
(
たの
)
みませぬ、
私
(
わたし
)
が
内職
(
ないしよく
)
とて
朝
(
あさ
)
から
夜
(
よ
)
にかけて十五
錢
(
せん
)
が
關
(
せき
)
の
山
(
やま
)
にごりえ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
二
本目
(
ほんめ
)
は
無理
(
むり
)
に
呑
(
の
)
んだ。三
本目
(
ぼんめ
)
にも
醉
(
よ
)
へなかつた。
宗助
(
そうすけ
)
は
脊
(
せ
)
を
壁
(
かべ
)
に
持
(
も
)
たして、
醉
(
よ
)
つて
相手
(
あひて
)
のない
人
(
ひと
)
の
樣
(
やう
)
な
眼
(
め
)
をして、ぼんやり
何處
(
どこ
)
かを
見詰
(
みつ
)
めてゐた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それから
横
(
よこ
)
からじっとおみちを見るとまだ泣きたいのを
無理
(
むり
)
にこらえて口をびくびくしながらぼんやり
眼
(
め
)
を赤くしているのが
酔
(
よ
)
った
狸
(
たぬき
)
のようにでも見えた。
十六日
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
洋畫
(
やうぐわ
)
に
依
(
よ
)
つて
身
(
み
)
を
立
(
た
)
てやうといふ
僕
(
ぼく
)
の
空想
(
くうさう
)
としては
此處
(
こゝ
)
に
永住
(
えいぢゆう
)
の
家
(
いへ
)
を
持
(
も
)
ちたいといふのも
無理
(
むり
)
ではなからう。
湯ヶ原より
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
これを
冷静
(
れいせい
)
にみるという
伊那丸
(
いなまる
)
のことばは、
余人
(
よじん
)
なら知らずこの
血
(
ち
)
の
気
(
け
)
の多い人たちへは、
無理
(
むり
)
ないましめ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
更
(
さ
)
らに第二の徳川政府を見るに
過
(
す
)
ぎざるべしと一般に
予想
(
よそう
)
したるも
無理
(
むり
)
なき
次第
(
しだい
)
にして、
維新後
(
いしんご
)
の
変化
(
へんか
)
は
或
(
あるい
)
は当局者においては
自
(
みず
)
から
意外
(
いがい
)
に思うところならんに
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
ロレ
人聲
(
ひとごゑ
)
がする。……こりゃ
姫
(
ひめ
)
よ、ま、
早
(
はや
)
う
出
(
で
)
てござれ、そこは
死
(
し
)
や
疫癘
(
えきれい
)
や
無理
(
むり
)
な
睡眠
(
すゐみん
)
の
宿
(
やど
)
ぢゃほどに。
人間以上
(
にんげんいじゃう
)
の
力
(
ちから
)
の
爲
(
ため
)
に
折角
(
せっかく
)
の
計畫
(
はかりごと
)
が
皆
(
みな
)
敗
(
やぶ
)
れた、さ、
早
(
はや
)
うござれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
おまえの
腹立
(
はらだ
)
ちにすこしも
無理
(
むり
)
はないのだから、おまえの胸はおれがよく
知
(
し
)
ってるから、となりの家へでもいってな、となりのおかあさんにおまえの胸をよく聞いてもらえよ。
告げ人
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
庭
(
には
)
に
古池
(
ふるいけ
)
が
在
(
あ
)
つて、
其
(
その
)
畔
(
ほとり
)
に
大
(
おほ
)
きな
秋田蕗
(
あきたふき
)
が
茂
(
しげ
)
つて
居
(
ゐ
)
たので、
皆
(
みな
)
が
無理
(
むり
)
に
蕗
(
ふき
)
の
本宗匠
(
もとそうせう
)
にして
了
(
しま
)
つたのです、
前名
(
ぜんめう
)
は
柳園
(
りうゑん
)
と
云
(
い
)
つて、
中央新聞
(
ちうわうしんぶん
)
が
創立
(
そうりつ
)
の
頃
(
ころ
)
に
処女作
(
しよぢよさく
)
を出した事が有る
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
又
(
また
)
あの
藪
(
やぶ
)
の
茂
(
しげ
)
つてゐるのを
見
(
み
)
ては、さう
云
(
い
)
ふのも
無理
(
むり
)
はありますまい。わたしはこれも
實
(
じつ
)
を
云
(
い
)
へば、
思
(
おも
)
ふ
壺
(
つぼ
)
にはまつたのですから、
女
(
をんな
)
一人
(
ひとり
)
を
殘
(
のこ
)
した
儘
(
まま
)
、
男
(
をとこ
)
と
藪
(
やぶ
)
の
中
(
なか
)
へはひりました。
藪の中
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無
常用漢字
小4
部首:⽕
12画
理
常用漢字
小2
部首:⽟
11画
“無理”で始まる語句
無理強
無理遣
無理難題
無理解者
無理無體
無理矢理
無理作
無理使
無理力
無理死