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壁
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かべ
ふりがな文庫
“
壁
(
かべ
)” の例文
つまり
河流
(
かりゆう
)
と
上汐
(
あげしほ
)
とが
河口
(
かこう
)
で
暫時
(
ざんじ
)
戰
(
たゝか
)
つて、
遂
(
つひ
)
に
上汐
(
あげしほ
)
が
勝
(
かち
)
を
占
(
し
)
め、
海水
(
かいすい
)
の
壁
(
かべ
)
を
築
(
きづ
)
きながらそれが
上流
(
じようりゆう
)
に
向
(
むか
)
つて
勢
(
いきほひ
)
よく
進行
(
しんこう
)
するのである。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
白樺
(
しらかば
)
の皮を
壁
(
かべ
)
にした殖民地式の小屋だが、内は可なり
濶
(
ひろ
)
くて、
畳
(
たたみ
)
を敷き、奥に
箪笥
(
たんす
)
柳行李
(
やなぎごうり
)
など
列
(
なら
)
べてある。
妻君
(
かみさん
)
も
善
(
よ
)
い顔をして居る。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
塗
(
ぬ
)
りたての
壁
(
かべ
)
は
狹苦
(
せまくる
)
しい
小屋
(
こや
)
の
内側
(
うちがは
)
を
濕
(
しめ
)
つぽく
且
(
かつ
)
闇
(
くら
)
くした。
壁
(
かべ
)
の
土
(
つち
)
の
段々
(
だん/\
)
に
乾
(
かわ
)
くのが
待遠
(
まちどほ
)
で
卯平
(
うへい
)
は
毎日
(
まいにち
)
床
(
ゆか
)
の
上
(
うへ
)
の
筵
(
むしろ
)
に
坐
(
すわ
)
つて
火
(
ひ
)
を
焚
(
たい
)
た。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
つづいて、おとうさんの
鉄砲
(
てっぽう
)
を見あげました。これは、
壁
(
かべ
)
にかかっているデンマークの国王と
皇后
(
こうごう
)
の
肖像画
(
しょうぞうが
)
のそばにかけてありました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
(
第二十四圖
(
だいにじゆうしず
)
)
壁
(
かべ
)
に
懸
(
かゝ
)
つてゐる
牛
(
うし
)
、
馬
(
うま
)
、
鹿
(
しか
)
などの
繪
(
え
)
はかれ
等
(
ら
)
が
洞穴
(
ほらあな
)
の
中
(
なか
)
の
石壁
(
いしかべ
)
に
彫
(
ほ
)
りつけたり、また
描
(
か
)
いたりした
繪
(
え
)
の
寫
(
うつ
)
しであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
▼ もっと見る
天井は思切ツて
煤
(
すゝ
)
けてゐて、而も低い。
壁
(
かべ
)
は、古い
粘土色
(
へなつちいろ
)
の紙を張りつめてあツたが、
處々
(
ところ/\
)
破
(
やぶ
)
れて
壁土
(
かべ
)
が
露
(
はみ
)
出て、鼠の穴も出來ている。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
せんと思ふ所に
斯
(
かく
)
の如く
住持
(
ぢうぢ
)
の
情
(
なさ
)
け深く教へて
呉
(
くれ
)
ける故大いに悦び拜々有難う御座りますと
云
(
いひ
)
つゝ彼の位牌壇より
壁
(
かべ
)
に有る
足溜
(
あしだま
)
りへ足を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
ある日も、王子は
芝生
(
しばふ
)
の上に
寝
(
ね
)
ころんで、
向
(
むこ
)
うの高い
壁
(
かべ
)
をぼんやり
眺
(
なが
)
めていました。
壁
(
かべ
)
の
向
(
むこ
)
うには、青々とした山の
頂
(
いただき
)
が
覗
(
のぞ
)
いていました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ひのきの
一杯
(
いっぱい
)
にしげっている谷の底に、五つ六つ、白い
壁
(
かべ
)
が見えその谷には海が
峡湾
(
きょうわん
)
のような風にまっ
蒼
(
さお
)
に入り
込
(
こ
)
んでいました。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
暫
(
しばら
)
く
立
(
た
)
ち
止
(
と
)
まつて
見
(
み
)
てゐるうちに、
石
(
いし
)
の
壁
(
かべ
)
に
沿
(
そ
)
うて
造
(
つく
)
り
附
(
つ
)
けてある
卓
(
つくゑ
)
の
上
(
うへ
)
で
大勢
(
おほぜい
)
の
僧
(
そう
)
が
飯
(
めし
)
や
菜
(
さい
)
や
汁
(
しる
)
を
鍋釜
(
なべかま
)
から
移
(
うつ
)
してゐるのが
見
(
み
)
えて
來
(
き
)
た。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
舞台
(
ぶたい
)
はまだ昔のままになっていました。
壁
(
かべ
)
を
塗
(
ぬ
)
った側面と、背景に二つのアーチがあって、そこから以前の時代と同じ
装飾
(
そうしょく
)
が見えました。
絵のない絵本:01 絵のない絵本
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
そして、仕立屋さんは腹だちまぎれに、
壁
(
かべ
)
からものさしをとって、むすこをピシピシうって、家から
追
(
お
)
いだしてしまいました。
「テーブルよ、ごはんの用意」と、金貨をうむロバと、「こん棒、ふくろから」
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
眠
(
ねむ
)
くはないので、ぱちくり/\
目
(
め
)
を
睜
(
あ
)
いて
居
(
ゐ
)
ても、
物
(
もの
)
は
幻
(
まぼろし
)
に
見
(
み
)
える
樣
(
やう
)
になつて、
天井
(
てんじやう
)
も
壁
(
かべ
)
も
卓子
(
テエブル
)
の
脚
(
あし
)
も
段々
(
だん/\
)
消
(
き
)
えて
行
(
ゆ
)
く
心細
(
こゝろぼそ
)
さ。
怪談女の輪
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
昔
(
むかし
)
のまゝ
練壁
(
ねりかべ
)
は
處々
(
ところ/″\
)
崩
(
くづ
)
れ
落
(
お
)
ちて、
瓦
(
かはら
)
も
完全
(
くわんぜん
)
なのは
見當
(
みあたら
)
ぬ
位
(
くらゐ
)
それに
葛蔓
(
かづら
)
が
這
(
は
)
い
上
(
のぼ
)
つて
居
(
ゐ
)
ますから、
一見
(
いつけん
)
廢寺
(
ふるでら
)
の
壁
(
かべ
)
を
見
(
み
)
るやうです。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
壁
(
かべ
)
の
衣紋竹
(
えもんだけ
)
には、紫紺がかった派手な色の新調の
絽
(
ろ
)
の羽織がかかっている。それが明日の晩着て出る羽織だ。そして幸福な帰郷を飾る羽織だ。
遁走
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
肩
(
かた
)
や胸の歯形を
愉
(
たの
)
しむようなマゾヒズムの
傾向
(
けいこう
)
もあった。
壁
(
かべ
)
一重の隣家を
憚
(
はばか
)
って、
蹴上
(
けあげ
)
の旅館へ寺田を連れて行ったりした。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
更にヨリ一層椿岳の個性を発揮したのは、モウ二十年も前に
毀
(
こぼ
)
たれたが、この室に続く
三方
(
さんぼう
)
壁
(
かべ
)
の明り窓のない部屋であった。
淡島椿岳:――過渡期の文化が産出した画界のハイブリッド――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
おかあさんの
顔
(
かお
)
にさわってみて、少年はどきりとした。おかあさんは、ぴくりとも動かない。おまけに、まるで
壁
(
かべ
)
みたいにつめたくなっている。
キリストのヨルカに召された少年
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
三
人
(
にん
)
は、うす
暗
(
ぐら
)
い、
建物
(
たてもの
)
の
壁
(
かべ
)
にそって
歩
(
ある
)
いていました。そこの
電信柱
(
でんしんばしら
)
の
下
(
した
)
にも、
長
(
なが
)
い
機械
(
きかい
)
のねているように、
大
(
おお
)
きな
鉄管
(
てっかん
)
が
転
(
ころ
)
がっていたのです。
石段に鉄管
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
屋根
(
やね
)
あり、
天井
(
てんじやう
)
あり、
壁
(
かべ
)
のあると
言
(
い
)
ふばかり、
野宿
(
のじゆく
)
の
露
(
つゆ
)
の
哀
(
あは
)
れさにまさつて、それは
冷
(
つめ
)
たい
情
(
なさけ
)
ない、こぼれる
涙
(
なみだ
)
の
氷
(
こほ
)
らぬが
不思議
(
ふしぎ
)
で
御座
(
ござ
)
ります。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
壁
(
かべ
)
の小さい柱鏡に
疲
(
つか
)
れた僕の顔と、
頬
(
ほお
)
のふくれた彼女の顔が並んだ。僕は
沁々
(
しみじみ
)
とした気持ちで彼女の抜き
衿
(
えり
)
を女学生のように
詰
(
つ
)
めさせてやった。
魚の序文
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
壁
(
かべ
)
一
重
(
え
)
隣
(
となり
)
の
左官夫婦
(
さかんふうふ
)
が、
朝飯
(
あさめし
)
の
膳
(
ぜん
)
をはさんで、
聞
(
きこ
)
えよがしのいやがらせも、
春重
(
はるしげ
)
の
耳
(
みみ
)
へは、
秋
(
あき
)
の
蝿
(
はえ
)
の
羽
(
は
)
ばたき
程
(
ほど
)
にも
這入
(
はい
)
らなかったのであろう。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
その
頂上
(
てうじやう
)
には
古
(
ふる
)
い
昔
(
むかし
)
から、
大理石
(
だいりせき
)
のやうに
硬
(
かた
)
くて
真白
(
ましろ
)
な
雪
(
ゆき
)
が
凍
(
こほ
)
りついてゐて、
壁
(
かべ
)
のやうにそゝり
立
(
た
)
つ、そこまで、まだ
誰一人
(
だれひとり
)
攀
(
よ
)
ぢ
登
(
のぼ
)
つた
者
(
もの
)
がない。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
数日後ニネヴェ・アルベラの地方を
襲
(
おそ
)
った
大地震
(
だいじしん
)
の時、博士は、たまたま自家の書庫の中にいた。彼の家は古かったので、
壁
(
かべ
)
が
崩
(
くず
)
れ
書架
(
しょか
)
が
倒
(
たお
)
れた。
文字禍
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
が目ざめてのち、ぼくはあのひとの
幻
(
まぼろし
)
だけとともに、まわりはつめたい鉄の
壁
(
かべ
)
にとりかこまれ
漸
(
ようや
)
く生きている気がする。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
それから、又ぽかんとして
壁
(
かべ
)
を
眺
(
なが
)
めた。が、
最後
(
さいご
)
に、自分を此薄弱な生活から救ひ得る方法は、たゞ一つあると考へた。さうして
口
(
くち
)
の
内
(
うち
)
で云つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは、ご飯を家じゅう三人でたべるとき、お嫁さんがいつも、顔を横にむけて
壁
(
かべ
)
の方を見ていることでありました。
和太郎さんと牛
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
まずクック氏は、蛇類は建築物や著しき廃址に寓し、
池
(
いけ
)
壁
(
かべ
)
樹
(
き
)
の
周囲
(
ぐるり
)
を
這
(
は
)
い、不思議に地下へ消え去るので、鳥獣と別段に気味悪く人の注意を
惹
(
ひ
)
いた。
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
濠
(
ほり
)
の向こうはなまこ
壁
(
かべ
)
の
築地
(
ついじ
)
、
橋
(
はし
)
のあるところに
巨大
(
きょだい
)
な石門がみえ
土手芝
(
どてしば
)
の上には
巨松
(
きょしょう
)
がおどりわだかまっている。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
壁
(
かべ
)
さん、
壁
(
かべ
)
さん、あなたは
世
(
よ
)
の中でいちばんえらいお
方
(
かた
)
です。どうぞうちの
娘
(
むすめ
)
をお
嫁
(
よめ
)
にもらって
下
(
くだ
)
さいまし。」
ねずみの嫁入り
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
金魚鉢
(
きんぎょばち
)
の
位置
(
いち
)
から、
庭
(
にわ
)
の
楓
(
かえで
)
の
葉
(
は
)
がくれではあるが、
島本医院
(
しまもといいん
)
の
白壁
(
しらかべ
)
が
見
(
み
)
えていて、もしその
壁
(
かべ
)
に
穴
(
あな
)
があると、こつちを
見
(
み
)
おろすこともできるはずである。
金魚は死んでいた
(新字新仮名)
/
大下宇陀児
(著)
お
隣
(
となり
)
の
高
(
たか
)
い
石垣
(
いしがき
)
や
白
(
しろ
)
い
壁
(
かべ
)
なぞがそこへ
行
(
ゆ
)
くとよく
見
(
み
)
えました。
桑
(
くは
)
の
實
(
み
)
の
生
(
な
)
る
時分
(
じぶん
)
には
父
(
とう
)
さんは
桑
(
くは
)
の
木
(
き
)
の
側
(
そば
)
へ
行
(
い
)
つて
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
おれはこんど乗っていく船や、ゆく先の
港
(
みなと
)
のことを
考
(
かんが
)
えて歩いていた。その時、どういうきっかけだったかわからないが、ひょいとよこの
壁
(
かべ
)
に目をやった
透明人間
(新字新仮名)
/
ハーバート・ジョージ・ウェルズ
(著)
同じように黒ずんだ
壁
(
かべ
)
、同じような
窓枠
(
まどわく
)
、その古い
額縁
(
がくぶち
)
の中にはいって来る同じような庭、同じような植込み
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
「一と坪の
壁
(
かべ
)
へ、これを一枚
竝
(
なら
)
べに塗り込んだとしたら、何枚竝ぶだらう、——慶長小判は横一寸三分の縱二寸三分五厘だ、壁の廣さは五尺七寸四方として」
銭形平次捕物控:165 桐の極印
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
外の
色
(
いろ
)
が、内の
暗
(
くら
)
さを
征服
(
せいふく
)
した。私は北に
連
(
つ
)
らなる
頑固
(
ぐわんこ
)
な
壁
(
かべ
)
を
知
(
し
)
らずしらずの間に頭の中から
忘
(
わす
)
れ出した。
美しい家
(新字旧仮名)
/
横光利一
(著)
よく見ると、それは透明碗の
壁
(
かべ
)
が、どうしたわけかうす紫色に着色したのである。なおよく見ると、それは
縞
(
しま
)
になっている。そして縞がこまかくふるえている。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
右
(
みぎ
)
の
御鏡
(
みかがみ
)
は
早速
(
さっそく
)
岩屋
(
いわや
)
の
奥
(
おく
)
の、
程
(
ほど
)
よき
高
(
たか
)
さの
壁
(
かべ
)
の
凹所
(
くぼみ
)
に
据
(
す
)
えられ、
私
(
わたくし
)
の
礼拝
(
らいはい
)
の
最
(
もっと
)
も
神聖
(
しんせい
)
な
目標
(
もくひょう
)
となりました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一日
(
あるひ
)
左門同じ里の
何某
(
なにがし
)
が
許
(
もと
)
に
訪
(
とぶら
)
ひて、いにしへ今の物がたりして興ある時に、
壁
(
かべ
)
を
隔
(
へだ
)
てて人の
痛楚
(
くるし
)
む声いともあはれに聞えければ、
主
(
あるじ
)
に尋ぬるに、あるじ答ふ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
光吉
(
こうきち
)
は、学校にいたときのままのやぶれズボンのひざをだいて、くったくそうに
壁
(
かべ
)
によりかかっていた。
美しき元旦
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
ゴロリ
手枕
(
てまくら
)
、
壁
(
かべ
)
に貼った十七人の名前を見上げて、つぎの犠牲者とその
襲撃法
(
しゅうげきほう
)
でも考えているところだ。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
運動場の見わたせる
土手
(
どて
)
の
柳
(
やなぎ
)
の下に立つと、竹一は見あたらず、まっさきにとらえたのは松江だった。松江はなぜかひとり校舎の
壁
(
かべ
)
にもたれてしょんぼりしていた。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
部屋
(
へや
)
の中は、
障子
(
しょうじ
)
も、
壁
(
かべ
)
も、
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
も、ちがいだなも、昼間のように明るくなっていた。おばあさまの
影法師
(
かげぼうし
)
が大きくそれに
映
(
うつ
)
って、
怪物
(
ばけもの
)
か何かのように動いていた。
火事とポチ
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
公爵夫人の横には、窓と窓の間の
壁
(
かべ
)
をほとんど全部ふさいで、薄色の髪の毛を
渦
(
うず
)
まかせた立派な青年の立っているのが、逆光線の中に、だんだんはっきり見えてきた。
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
つら/\此
住居
(
すまゐ
)
を見るに、
礎
(
いしずえ
)
もすえず
掘立
(
ほりたて
)
たる
柱
(
はしら
)
に
貫
(
ぬき
)
をば
藤蔓
(
ふぢづる
)
にて
縛
(
くゝ
)
りつけ、
菅
(
すげ
)
をあみかけて
壁
(
かべ
)
とし小き
窓
(
まど
)
あり、戸口は大木の
皮
(
かは
)
の一
枚
(
まい
)
なるをひらめて
横
(
よこ
)
木をわたし
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
ドアがどしんと
壁
(
かべ
)
にぶっつかって、
誰
(
だれ
)
やら
赤
(
あか
)
い顔をしてにこにこ笑っている
子供
(
こども
)
がはいって
来
(
き
)
た。
身体検査
(新字新仮名)
/
フョードル・ソログープ
(著)
診察
(
しんさつ
)
の
時
(
とき
)
、
患者
(
くわんじや
)
の
臆病
(
おくびやう
)
、
譯
(
わけ
)
の
解
(
わか
)
らぬこと、
代診
(
だいしん
)
の
傍
(
そば
)
にゐること、
壁
(
かべ
)
に
懸
(
かゝ
)
つてる
畫像
(
ぐわざう
)
、二十
年
(
ねん
)
以上
(
いじやう
)
も
相變
(
あひかは
)
らずに
掛
(
か
)
けてゐる
質問
(
しつもん
)
、
是等
(
これら
)
は
院長
(
ゐんちやう
)
をして
少
(
すくな
)
からず
退屈
(
たいくつ
)
せしめて
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それが白い
壁
(
かべ
)
を背景にして、ふわりと宙にういているのが哀れで痛ましく、急いで便所の電燈のスイッチをひねり、
扉
(
ドア
)
をあけると、そこに、いつも見馴れた俵的の小さい
親馬鹿入堂記
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
富士男はトンネルの奥で、しきりに
壁
(
かべ
)
をほっていると、どこやらに
奇妙
(
きみょう
)
なうなり声をきいた。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
壁
(
かべ
)
にかかっている西洋の名画、外国からわざわざ取りよせた、名人のこしらえたイスやテーブル、ほりものの美しいかざりだな、ペルシャ製のじゅうたんなど、こりにこった
大金塊
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
“壁”の解説
壁(かべ、en: wall)とは、建物において床と屋根または天井を除く四方を囲うもの、または部屋と部屋の隔てとなるもの、建物の仕切りとなる平板状の部分。広義には屋外で領域を区切るための「塀」も含む。
(出典:Wikipedia)
壁
常用漢字
中学
部首:⼟
16画
“壁”を含む語句
絶壁
合壁
岩壁
煉瓦壁
胸壁
白壁
壁際
墻壁
壁板
壁間
城壁
牆壁
四壁
金壁
壁掛
外壁
壁越
壁隣
壁炉
壁代
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