友達ともだち)” の例文
ことしは芳之助よしのすけもはや廿歳はたちいま一兩年いちりやうねんたるうへおほやけつまとよびつまばるゝぞとおもへばうれしさにむねをどりて友達ともだちなぶりごともはづかしく
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ある日ちょんさんは、お友達ともだちといっしょにうらあそんでいました。するうち、どうかしたはずみで、ちょんさんは井戸いどちました。
長い名 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「そうかね」と病人は云ったが、何事にらず友達ともだちの言う事を猜疑さいぎの耳を持って聞く癖が付いているので、うれしくも思わなかった。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
坂井さかゐふよりも、坂井さかゐ所謂いはゆる冒險者アドヹンチユアラーとして宗助そうすけみゝひゞいたそのおとゝと、そのおとゝ友達ともだちとしてかれむねさわがした安井やすゐ消息せうそくにかゝつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
「お父さん、私の友達ともだちの六さんはうらないがうまいよ。だから掛け物のある場所をうらなわせてみてごらんよ。」と言いました。
とんまの六兵衛 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
昨日きのうまでのあそびの友達ともだちからはにわかにとおのいて、多勢おおぜい友達ともだち先生達せんせいたち縄飛なわとびに鞠投まりなげに嬉戯きぎするさまを運動場うんどうじょうすみにさびしくながめつくした。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
とすると、先祖せんぞへはともかく、友達ともだちかほにかゝはる……とたん廊下らうかつてくと、女中ぢよちう案内あんないされたのは、これまた心易こゝろやすい。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
当時四十二さいでありましたが、ジェンナーの温順な性質がすっかり気にいって、弟子でしというよりもむしろ友達ともだちあつかいにしてかわいがりました。
ジェンナー伝 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
「カムパネルラのお父さんとうちのお父さんとは、ちょうどおまえたちのように小さいときからのお友達ともだちだったそうだよ」
銀河鉄道の夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
そこでそれがふたゝせないやうに、あいちやんはそれをわきしたみ、それからその友達ともだちほも談話はなしつゞけやうとしてもどつてきました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
けれども、先生せんせいのように親切しんせつをしへてくださるひとはなく、やすみの時間じかんにお友達ともだち面白おもしろあそぶことが出來できないから、ときには退屈たいくつすることもありませう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
あとは、酒。飲みすぎると、げっそりせてしまって寝込む。そのうえ、あちこちに若い女の友達ともだちなどもある様子だ。
桜桃 (新字新仮名) / 太宰治(著)
友達ともだちや、しんるいの者たちは、行かせまいとして、いろんなことを言って、引きとめにかかりましたが、私はどうしても、しょうちしませんでした。
「いやア、よく来た。よく来なすった。昔の友達ともだちを忘れずにナ、ありがたい」あんまりありがたくもないが
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
されば、ちかしい友達ともだちをばたんだ五六めいかぎまねくことにしませう。……したが、貴下こなた木曜日もくえうびでようござるか?
主人ながら友達ともだち共思ふ仲よしのかうはいつた物の、言過て病にさわりはせぬかと今更冷汗色をかえての心配顏、嬉敷うれしいに附我身のかひなさ堪兼たえかねて夜着に顏差入て忍なき
うづみ火 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
つくす故夫婦のよろこび一方ならず久八も手習てならひより歸れば何時も近所の子供と遊びけるがをりふれては少しのあらそひより友達ともだち子供等が久八の捨子々々と云ければ何とて我が事を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
まつりれて友達ともだちのうちへとまつた一分始終いちぶしヾう祖母ばヾはなしてきかせました。すると、祖母ばヾをみはつて、そのかたはちヽ最初まへの「つれあひ」だつたとおどろかれました。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
ひげへても友達ともだち同士どうしあひだ無邪氣むじやきなもので、いろ/\のはなしあひだには、むかしとも山野さんや獵暮かりくらして、あやまつ農家ひやくしやうや家鴨あひる射殺ゐころして、から出逢であつたはなしや、春季はる大運動會だいうんどうくわい
私の村の北に貝越かひごしとて、小貝川に沿うた小さな部落がある。一つ年下の、だけ知り合うて言葉を交したことのない友達ともだちがゐた。いひなづけの細君とはなれて行つた※を悲しんで
筑波ねのほとり (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
それからこちらの世界せかいからの見舞者みまいては、だい一が、ははよりもきへ歿なくなったちち、つづいて祖父じじ祖母ばば肉身にくしん親類しんるい縁者えんじゃしたしいお友達ともだち、それからはは守護霊しゅごれい司配霊しはいれい産土うぶすな御神使おつかい
「ああ、」とおとうさんがった。「おれはうれしくって、仕方しかたがない。まるでこう、がぱーッとしてでもるような気持きもちだ。まるでひさしくわない友達ともだちにでもまえのようだ。」
そして、ふらふらしながらあるつづけてゐるうち現實的げんじつてき意識いしきほとんえて、へんにぼやけたあたまなか祖母そぼ友達ともだちかほうかあがつたり、三四日前かまへにKくわん活動寫眞くわつどうしやしん場面ばめんはしつたりした。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
またその蒼々あを/\としたおほきなうみ無事ぶじにわたりつて、をかからふりかへつてそのうみ沁々しみ/″\ながめる、あの氣持きもちつたら……あのときばかりは何時いつにかゐなくなつてゐる友達ともだち親族みうちもわすれて
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
息子は近頃随分親しくしているのですから、断ると感情を害しますからね。それに午餐といっても極近い親類や友達ともだちの外は呼んでないのだそうです。それで燕尾服えんびふくにも及ばないといって来た位です。
友達ともだちらしい娘と何ごとかを語り合いながら歩いてきた。
少女病 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
其頃そのころ宗助そうすけいまちがつておほくの友達ともだちつてゐた。じつふと、輕快けいくわいかれえいずるすべてのひとは、ほとんど誰彼だれかれ區別くべつなく友達ともだちであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
友達ともだちかほつぶれては、むらにはられねえから、當分たうぶんこれがおわかれにらうもれねえ。隨分ずゐぶん達者たつしやてくんねえよ。
一席話 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
とうさんのおうちにはにはいろ/\なうゑてありました。とうさんはその自分じぶんのお友達ともだちのやうにおもつておほきくなりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
なるほど友達ともだちの医学士が窓に近づいて来た。マリイと握手した。それからフェリックスにこう云った。「帰って来たね。」
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
水煙みづけむりてました——ねえさんは三月兎ぐわつうさぎ友達ともだちとが何時いつになつてもきない麺麭ぱん分配ぶんぱいしたときに、茶碗ちやわんるのを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
はやるほどなほ落附おちつきてお友達ともだちたれさま御病氣ごびやうきときく格別かくべつなかひとではあり是非ぜひ見舞みまひまをしたくぞんじますがと許容ゆるし
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しばらくすると、おとうさんは、親類しんるいやお友達ともだちにすすめられるまま、二めの奥方おくがたをもらいました。
鉢かつぎ (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そのかた生前せいぜんわたくしたいへんになかかったお友達ともだち一人ひとりで、名前なまえ敦子あつこ……あの敦盛あつもりあつというくのでございます。生家せいか畠山はたけやまって、たいそう由緒ゆいしょある家柄いえがらでございます。
はらやつに目にもの見せんとの思案しあんなり友達ともだち好誼よしみに賣てくれそれ即金そくきんだとて二分取り出してさしおけば三五郎は打笑ひ夫程に入用ならもつて行れよ金は入らぬといふをば重四郎そんならかうようと彼の二分を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
わたしは随分お友達ともだちがございますわ。
「君の立場たちばから見れば、僕は君を裏切りした様に当る。しからん友達ともだちだと思ふだらう。左様さう思れても一言いちごんもない。まない事になつた」
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
山家育やまがそだちの石臼いしうす爐邊ろばた夜業よなべをするのがきで、ひゞや『あかぎれ』のれたいとはずにはたらくものゝいお友達ともだちでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
やがては墨染すみぞめにかへぬべきそでいろ發心はつしんはらからか、ぼうおやゆづりの勉強べんきようものあり、性來せいらいをとなしきを友達ともだちいぶせくおもひて、さま/″\の惡戯いたづらをしかけ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
加減かげんにしねえな。おい、串戲じようだんぢやねえ。おまへまへだがね、惡女あくぢよ深情ふかなさけつてのを通越とほりこしてるから、おにはれやしねえかツて、みな友達ともだちあんじてるんだ。
鑑定 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
フェリックスは着布団をあごのところまで掛けて寝ていて、友達ともだちの這入って来たのを見て、合点合点がてんがてんをした。
みれん (新字新仮名) / アルツール・シュニッツレル(著)
『それはわたしのお友達ともだちです——朝鮮猫てうせんねこです』とつてあいちやんは、『おそれながら御紹介ごせうかいまをげます』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
このとおり今日きょうも、ころされたお友達ともだちのついた着物きものをこうしてあらっているのです。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
幽界ゆうかいおいても矢張やは知識ちしき必要ひつようはあるので、現世げんせおなじように書物しょもつませたり、また小供こどもには小供こども友達ともだちもなければならぬので、その取持とりもちをしてやったり、精神統一せいしんとういつ修行しゅぎょうをさせたり
さうして土山つちやまから人物じんぶつうちでは、千兩凾せんりやうばこへてはりつけになつたのが一番いちばんおほきいのだと一口話ひとくちばなし矢張やは友達ともだちからいたとほかへした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
るくするととりかへしのかぬことになるとまをしまして、れで其時そのときまをしました、わたし郷里きやうりおさ友達ともだちれ/\つて、かんもちの、はつきりとして
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ある夕方ゆふがたこととうさんはなにかのことで三らうさんとあらそひまして、このあそ友達ともだちかせてしまひました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
人柄ひとがら風采とりなり※妹きやうだいともつかず、主從しうじうでもなし、したしいなか友達ともだちともえず、從※妹いとこでもないらしい。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
こうおもったので、頼光らいこう家来けらいの四天王てんのうほかには、一ばんなかのいい友達ともだち平井保昌ひらいのほうしょうだけをつれて行くことにしました。世間せけんではこの保昌ほうしょうのことを四天王てんのうならべて、一人武者ひとりむしゃといっていました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
板戸いたどひとつがまちの、みせの八でふ古疊ふるだたみ眞中まんなかつくゑいて對向さしむかひに、洋燈ランプひたひ突合つきあはせた、友達ともだち二人ふたりで、くに地誌略ちしりやくふ、學校がくかう教科書けうくわしよんでた。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)