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其儘
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そのまゝ
ふりがな文庫
“
其儘
(
そのまゝ
)” の例文
彼
(
かれ
)
は
苦
(
くる
)
しさに
胸
(
むね
)
の
邊
(
あたり
)
を
掻
(
か
)
き
毟
(
むし
)
り、
病院服
(
びやうゐんふく
)
も、シヤツも、ぴり/\と
引裂
(
ひきさ
)
くので
有
(
あ
)
つたが、
施
(
やが
)
て
其儘
(
そのまゝ
)
氣絶
(
きぜつ
)
して
寐臺
(
ねだい
)
の
上
(
うへ
)
に
倒
(
たふ
)
れて
了
(
しま
)
つた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
春枝夫人
(
はるえふじん
)
は
痛
(
いた
)
く
心配
(
しんぱい
)
して『あまりに
御身
(
おんみ
)
を
輕
(
かろ
)
んじ
玉
(
たま
)
ふな。』と
明眸
(
めいぼう
)
に
露
(
つゆ
)
を
帶
(
お
)
びての
諫言
(
いさめごと
)
、
私
(
わたくし
)
は
實
(
じつ
)
に
殘念
(
ざんねん
)
であつたが
其儘
(
そのまゝ
)
思
(
おも
)
ひ
止
(
とゞま
)
つた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
私はかうさへ僻んだ。而して
其儘
(
そのまゝ
)
むつつり黙り込んで了つた。私の胸の血は、彼らに対する反抗で、嵐のやうに湧き立つてゐた。
良友悪友
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
止
(
とゞ
)
めの一刀を
刺貫
(
さしとほ
)
し
脆
(
もろ
)
い奴だと重四郎は彼の
荷物
(
にもつ
)
を
斷落
(
きりおと
)
して
荷
(
に
)
の
中
(
うち
)
より四五百兩の金子を奪ひ取つゝ
其儘
(
そのまゝ
)
此所を
悠然
(
いう/\
)
と立去り
頓
(
やが
)
て
旅支度
(
たびじたく
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
若しお前の白状だけで外の証拠に疑わしい所が有れば
情状酌量
(
じょう/\しゃくりょう
)
と云て罪を軽める事も有り又証拠不充分と云て
其儘
(
そのまゝ
)
許す事も有る
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
▼ もっと見る
御米
(
およね
)
は
特別
(
とくべつ
)
の
挨拶
(
あいさつ
)
もしなかつた。
小六
(
ころく
)
は
其儘
(
そのまゝ
)
起
(
た
)
つて六
疊
(
でふ
)
へ
這入
(
はい
)
つたが、やがて
火
(
ひ
)
が
消
(
き
)
えたと
云
(
い
)
つて、
火鉢
(
ひばち
)
を
抱
(
かゝ
)
えて
又
(
また
)
出
(
で
)
て
來
(
き
)
た。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
亡母
(
おつか
)
さん
其儘
(
そのまゝ
)
で
在
(
い
)
らつしやるんですもの——此の
洋琴
(
オルガン
)
はゼームス
様
(
さん
)
が亡母さんの為めに寄附なされたのですから、貴嬢が之をお弾きなされば
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
蒼白
(
あをじろ
)
う、
灰
(
はひ
)
のやうに
蒼白
(
あをじろ
)
うなって、
血
(
ち
)
みどろになって、どこもどこも
血
(
ち
)
が
凝
(
こご
)
りついて。
見
(
み
)
ると
其儘
(
そのまゝ
)
、わしゃ
氣
(
き
)
を
失
(
うし
)
なうてしまひましたわいの。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
書生は
其儘
(
そのまゝ
)
引き
下
(
さが
)
る。杉村博士は主人の部屋にはいつて、坐りもせずに、右の手で
脱
(
はづ
)
した鼻目金をいぢりながら、そこいらを見廻してかう云つた。
魔睡
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
微温湯
(
ぬるまゆ
)
だから
其儘
(
そのまゝ
)
ゴツクリ
飲
(
の
)
むと、
空
(
から
)
ツ
腹
(
ぱら
)
へ五六十
両
(
りやう
)
の
金子
(
かね
)
と
餅
(
もち
)
が
這入
(
はいつ
)
たのでげすからゴロ/\/\と
込上
(
こみあ
)
げて
来
(
き
)
た。源
黄金餅
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
脚本のトガキだけを書き直して
其儘
(
そのまゝ
)
絵入の草双紙にしたもの、又は狂言の筋書役者の芸評等によつて、自分は黙阿弥翁が脚本作家たる一面に於て
虫干
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
成程
(
なるほど
)
、
左様
(
さう
)
言はれて見れば、
落魄
(
らくはく
)
の
画像
(
ゑすがた
)
其儘
(
そのまゝ
)
の様子のうちにも、どうやら武士らしい威厳を具へて居るやうに思はるゝ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
女房
(
にようぼ
)
曰
(
いわ
)
く、
御大層
(
ごたいそう
)
な事をお言ひでないうちのお米が
井戸端
(
ゐどばた
)
へ持つて出られるかえ
其儘
(
そのまゝ
)
鳴
(
な
)
りの
鎮
(
しづま
)
つたのは、
辛辣
(
しんらつ
)
な後者の
勝
(
かち
)
に帰したのだらう(十八日)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
少し渓流の
畔
(
ほとり
)
でも歩いて見ようと、
其儘
(
そのまゝ
)
焼跡をくるりと廻つて、柴の垣の続いて居る細い道を静かに村の方へと出た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
誰にでも
突掛
(
つゝか
)
かりたがる興世王も、大親分然たる小次郎の太ッ腹なところは
性
(
しやう
)
に合つたと見えて、
其儘
(
そのまゝ
)
遊んで居た。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
何
(
ど
)
うかすると夜間に
此
(
この
)
界隈へ
大通
(
おほどほり
)
から一歩迷ひ込んだ
旅客
(
りよかく
)
の一人や二人が
其儘
(
そのまゝ
)
生死
(
しやうじ
)
不明になつて
仕舞
(
しま
)
ふ例もあると云ふ。
併
(
しか
)
し其れは昔のことに違ひない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
しかし是は或る老先生が田口も善いが其漢文には閉口すると云ひたりとか云ふ評判なれば
其儘
(
そのまゝ
)
掲げたる
耳
(
のみ
)
。余自身には御立派な御文章のやうに拝見
仕候也
(
つかまつりさふらふなり
)
。
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
これは
面白
(
おもし
)
ろい、
彼奴
(
きやつ
)
を
寫
(
うつ
)
してやらうと、
自分
(
じぶん
)
は
其儘
(
そのまゝ
)
其處
(
そこ
)
に
腰
(
こし
)
を
下
(
おろ
)
して、
志村
(
しむら
)
其人
(
そのひと
)
の
寫生
(
しやせい
)
に
取
(
と
)
りかゝつた。
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
今
(
いま
)
はと
決心
(
けつしん
)
の
臍
(
ほぞ
)
固
(
かた
)
まりけんツト
立上
(
たちあが
)
りしが
又
(
また
)
懷中
(
ふところ
)
に
手
(
て
)
をさし
入
(
い
)
れて
一思案
(
ひとしあん
)
アヽ
困
(
こま
)
つたと
我知
(
われし
)
らず
歎息
(
たんそく
)
の
詞
(
ことば
)
唇
(
くちびる
)
をもれて
其儘
(
そのまゝ
)
に
身
(
み
)
はもとの
通
(
とほ
)
り
舌打
(
したうち
)
の
音
(
おと
)
續
(
つゞ
)
けて
聞
(
きこ
)
えぬ
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
『いや、
上
(
あが
)
らんで
其儘
(
そのまゝ
)
が
好
(
い
)
い。
掘
(
ほ
)
りに
行
(
ゆ
)
くのだから、フアーマーが
結構
(
けつかう
)
だ』と
東皐氏
(
とうくわうし
)
はいふ。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
搖
(
ゆ
)
り
戻
(
もど
)
しと
餘震
(
よしん
)
との
混同
(
こんどう
)
は
單
(
たん
)
に
言葉
(
ことば
)
の
上
(
うへ
)
の
誤
(
あやま
)
りとして、
其儘
(
そのまゝ
)
これを
片附
(
かたづ
)
けるわけにはゆかぬ。
地震の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
化物的神佛
(
ばけものてきしんぶつ
)
の
實例
(
じつれい
)
は、
印度
(
いんど
)
、
支那
(
しな
)
、
埃及方面
(
えじぷとはうめん
)
に
極
(
きは
)
めて
多
(
おほ
)
い。
釋迦
(
しやか
)
が
既
(
すで
)
にお
化
(
ば
)
けである。卅二
相
(
さう
)
を
其儘
(
そのまゝ
)
現
(
あら
)
はしたら
恐
(
おそ
)
ろしい
化物
(
ばけもの
)
が
出來
(
でき
)
るに
違
(
ちが
)
ひない。
印度教
(
いんどけう
)
のシヴアも
隨分
(
ずゐぶん
)
恐
(
おそろ
)
しい
神
(
かみ
)
である。
妖怪研究
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
廊下にもはめました。
欄間
(
らんま
)
もそれにしました。一家の者が
開閉
(
あけたて
)
の重い不便さを訴へるので、父は仕方なしにそれを浜の道具蔵へしまはせてしまひました。けれど欄間だけは長く
其儘
(
そのまゝ
)
でした。
私の生ひ立ち
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
が妙な行きがかりで
其儘
(
そのまゝ
)
あっさり読む気にはなれなかった。それで
恭三の父
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
私は当時の新聞に掲げられた話
其儘
(
そのまゝ
)
を読者にお伝えしよう。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
拔手
(
ぬきて
)
も見ず
柄
(
つか
)
も
徹
(
とほ
)
れと突立れば哀むべし天一は
其儘
(
そのまゝ
)
其處へ倒れ伏ぬ天忠は
仕遂
(
しすまし
)
たりと法衣を
脱捨
(
ぬぎすて
)
裾
(
すそ
)
をからげ
萬毒
(
ばんどく
)
の木の根を
掘
(
ほり
)
て天一が
死骸
(
しがい
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
其儘
(
そのまゝ
)
持行きて目科に示すに彼れ
右見左見
(
とみこうみ
)
打眺
(
うちなが
)
めたるすえ「コレハ大変な手掛だ」と云い嚊煙草の空箱を取出す間も無く喜びの色を浮べたれば
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
使者は
其儘
(
そのまゝ
)
引き取つた。續いて尾張家附成瀬
隼人正正虎
(
はやとのしやうまさとら
)
、紀伊家附安藤
帶刀
(
たてはき
)
直次並に瀧口豐後守が來て面會を求めた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
ロミオ (前へ進みて)おゝ、
取
(
と
)
りませう。
言葉
(
ことば
)
を
其儘
(
そのまゝ
)
。
一言
(
ひとこと
)
、
戀人
(
こひゞと
)
ぢゃと
言
(
い
)
うて
下
(
くだ
)
され、
直
(
すぐ
)
にも
洗禮
(
せんれい
)
を
受
(
う
)
けませう。
今日
(
けふ
)
からは
最早
(
もう
)
ロミオで
無
(
な
)
い。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
尤
(
もつと
)
も丑松の目に触れたは、式の始まるといふ前、
審
(
くは
)
しく読む暇も無かつたから、
其儘
(
そのまゝ
)
懐中
(
ふところ
)
へ押込んで来たのであつた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
御米
(
およね
)
は
此
(
この
)
存在
(
ぞんざい
)
な
言葉
(
ことば
)
を
聞
(
き
)
いて
其儘
(
そのまゝ
)
宅
(
うち
)
へ
歸
(
かへ
)
つたが、
心
(
こゝろ
)
の
中
(
なか
)
では、
果
(
はた
)
して
道具屋
(
だうぐや
)
が
來
(
く
)
るか
來
(
こ
)
ないか
甚
(
はなは
)
だ
疑
(
うたが
)
はしく
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
私
(
わたくし
)
は、一たび、二たび、お
答
(
こた
)
へ
申
(
まう
)
しましたが、
四邊
(
あたり
)
は
眞
(
しん
)
の
闇
(
やみ
)
で、
何處
(
どこ
)
とも
分
(
わか
)
らず、
其儘
(
そのまゝ
)
永
(
なが
)
いお
別
(
わか
)
れになりました。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
将門はそれで
宜
(
よ
)
いが、良兼等は
其儘
(
そのまゝ
)
指を
啣
(
くは
)
へて終ふ訳には、これも阪東武者の腹の虫が承知しない。
平将門
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
老人
(
らうじん
)
は
先
(
さき
)
に
立
(
たつ
)
て
行
(
ゆ
)
くので
若者
(
わかもの
)
も
其儘
(
そのまゝ
)
後
(
あと
)
に
從
(
つ
)
き、
遂
(
つひ
)
に
老人
(
らうじん
)
の
宅
(
うち
)
に
行
(
い
)
つたのです、
砂山
(
すなやま
)
を
越
(
こ
)
え、
竹藪
(
たけやぶ
)
の
間
(
あひだ
)
の
薄暗
(
うすぐら
)
き
路
(
みち
)
を
通
(
とほ
)
ると
士族屋敷
(
しぞくやしき
)
に
出
(
で
)
る、
老人
(
らうじん
)
は
其屋敷
(
そのやしき
)
の
一
(
ひとつ
)
に
入
(
はひ
)
りました。
日の出
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
中老漢
(
ちゆうおやぢ
)
は岩の上に卸した背負籠を
担
(
にな
)
つて、
其儘
(
そのまゝ
)
歩き出さうとして居たが、自分に尋ねられて
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
つまり、
畑
(
はた
)
に
開
(
ひら
)
き
難
(
にく
)
いので
其儘
(
そのまゝ
)
放棄
(
はうき
)
されて
居
(
ゐ
)
る、それだけ
貝層
(
かいそう
)
が
深
(
ふか
)
いのである。
探検実記 地中の秘密:03 嶺の千鳥窪
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
黙
(
だま
)
つてゐな、
己
(
おら
)
ア
馬鹿
(
ばか
)
が
好
(
すき
)
だ……
其儘
(
そのまゝ
)
却
(
かへ
)
つて
綿服
(
めんぷく
)
で
往
(
ゆ
)
け、
先方
(
むかう
)
へ
往
(
ゆ
)
くと
寄附
(
よりつ
)
きへ
通
(
とほ
)
すか、それとも
広間
(
ひろま
)
へ
通
(
とほ
)
すか知らんが、
鍋島
(
なべしま
)
か
唐物
(
からもの
)
か
何
(
なに
)
か
敷
(
し
)
いて
有
(
あ
)
るだらう、
囲
(
かこ
)
ひへ
通
(
とほ
)
る、
草履
(
ざうり
)
が出て
居
(
ゐ
)
やう
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
銀髪のロダン夫人が
白茶
(
しらちや
)
色にダンテルを
配
(
あしら
)
つた
寛
(
ゆた
)
かな一種のロオブを着て玄関の
石階
(
いしばし
)
を降りて来られた。
何時
(
いつ
)
か写真版で見た事のあるロダン翁の製作の夫人の像
其儘
(
そのまゝ
)
の
鬢
(
びん
)
の
膨
(
ふくら
)
ませ
様
(
やう
)
だと思つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
今
(
いま
)
は
何處
(
どこ
)
に
家
(
うち
)
を
持
(
も
)
つて、お
内儀
(
かみ
)
さんも
御健勝
(
おまめ
)
か、
小兒
(
ちツさい
)
のも
出來
(
でき
)
てか、
今
(
いま
)
も
私
(
わたし
)
は
折
(
をり
)
ふし
小川町
(
をがはまち
)
の
勸工塲
(
くわんこうば
)
見物
(
み
)
に
行
(
ゆき
)
まする
度々
(
たび/\
)
、
舊
(
もと
)
のお
店
(
みせ
)
がそつくり
其儘
(
そのまゝ
)
同
(
おな
)
じ
烟草店
(
たばこみせ
)
の
能登
(
のと
)
やといふに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
まするを
十三夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
紳士は
其儘
(
そのまゝ
)
かき
抱
(
いだ
)
きて、其の白きもの
施
(
ほど
)
こせる額を
恍惚
(
うつとり
)
と
眺
(
なが
)
めつ「どうぢや、浜子、嬉しいかナ」と言ふ顔、少女は
媚
(
こび
)
を
湛
(
たゝ
)
へし
眸
(
め
)
に見上げつゝ「
御前
(
ごぜん
)
、奥様に
御睨
(
おにら
)
まれ申すのが
怖
(
こは
)
くてなりませんの」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
この
命題
(
めいだい
)
の
下
(
もと
)
に見るにまかせ聞くにまかせ、
且
(
かつ
)
は思ふにまかせて
過現来
(
くわげんらい
)
を問はず、われぞ
数
(
かず
)
かくの歌の
如
(
ごと
)
く
其時々
(
そのとき/″\
)
の
筆次第
(
ふでしだい
)
に
郵便
(
いうびん
)
はがきを
以
(
もつ
)
て
申上候間
(
まうしあげさふらふあひだ
)
願
(
ねが
)
はくは
其儘
(
そのまゝ
)
を
紙面
(
しめん
)
の一
隅
(
ぐう
)
に
御列
(
おんなら
)
べ
置
(
おき
)
被下度候
(
くだされたくさふらふ
)
もゝはがき
(新字旧仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
見合せ一
聲
(
せい
)
叫
(
さけ
)
んで肩先より乳の下まで一刀に切放せば茂助はウンとばかりに
其儘
(
そのまゝ
)
死
(
しゝ
)
たる處へ以前の
曲者
(
くせもの
)
石塔
(
せきたふ
)
の
蔭
(
かげ
)
より
現
(
あらは
)
れ出るを
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日出雄少年
(
ひでをせうねん
)
は
此
(
この
)
犬
(
いぬ
)
の
爲
(
た
)
めに、
晩餐
(
ばんさん
)
の
美味
(
おい
)
しい「ビフステーキ」を、
其儘
(
そのまゝ
)
窓
(
まど
)
から
投
(
な
)
げてやつてしまつた。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
チッバルトは
其儘
(
そのまゝ
)
一
旦
(
たん
)
逃去
(
にげさ
)
りましたが、やがて
又
(
また
)
取
(
と
)
って
返
(
かへ
)
すを、
今
(
いま
)
や
復讐
(
ふくしう
)
の
念
(
ねん
)
に
滿
(
み
)
ちたるロミオが
見
(
み
)
るよりも、
電光
(
でんくわう
)
の
如
(
ごと
)
く
切
(
き
)
ってかゝり、
引分
(
ひきわ
)
けまする
間
(
ひま
)
さへもござらぬうちに
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
宇津木が刀を受け取るやうに、
俯向加減
(
うつむきかげん
)
になつたので、
百会
(
ひやくゑ
)
の
背後
(
うしろ
)
が
縦
(
たて
)
に六寸程骨まで切れた。宇津木は
其儘
(
そのまゝ
)
立つてゐる。大井は少し
慌
(
あわ
)
てながら、二の
太刀
(
たち
)
で宇津木の腹を刺した。
大塩平八郎
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
佳
(
い
)
い
心持
(
こゝろもち
)
になつて、
自分
(
じぶん
)
は
暫時
(
しばら
)
くぢつとして
居
(
ゐ
)
たが、
突然
(
とつぜん
)
、さうだ
自分
(
じぶん
)
もチヨークで
畫
(
か
)
いて
見
(
み
)
やう、さうだといふ一
念
(
ねん
)
に
打
(
う
)
たれたので、
其儘
(
そのまゝ
)
飛
(
と
)
び
起
(
お
)
き
急
(
いそ
)
いで
宅
(
うち
)
に
歸
(
か
)
へり、
父
(
ちゝ
)
の
許
(
ゆるし
)
を
得
(
え
)
て
画の悲み
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
母屋の方に廻つて見たが、元より不知案内の身の、何う為る事も出来ぬので、
寧
(
むし
)
ろ
足手纏
(
あしてまと
)
ひに為らぬ方が得策と、
其儘
(
そのまゝ
)
土蔵の前の
明地
(
あきち
)
に引返して、
只々
(
たゞ/\
)
その成行を傍観して居た。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
いかに
金尽
(
かねづく
)
でも、この人種の
偏執
(
へんしふ
)
には勝たれない。ある日の暮、籠に乗せられて、夕闇の空に紛れて病院を出た。籠は
其儘
(
そのまゝ
)
もとの下宿へ
舁
(
かつ
)
ぎ込まれて、院長は毎日のやうに来て診察する。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
小六
(
ころく
)
には
始
(
はじ
)
めから
話
(
はな
)
してない
事
(
こと
)
だから、
其儘
(
そのまゝ
)
にして、わざと
知
(
し
)
らせずに
置
(
お
)
いた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
返す言葉の暇さえ惜しく、
其儘
(
そのまゝ
)
帽子を
戴
(
いたゞ
)
きて彼れに従い珈琲館を
走出
(
はしりいで
)
たり。
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
其
漢検準1級
部首:⼋
8画
儘
漢検準1級
部首:⼈
16画
“其”で始まる語句
其
其処
其方
其處
其様
其許
其奴
其所
其後
其中