二人ふたり)” の例文
南洋なんようのあまり世界せかいひとたちにはられていないしまんでいる二人ふたり土人どじんが、難船なんせんからすくわれて、あるみなといたときでありました。
幸福に暮らした二人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「おやおや、まあ。めずらしい大きなうりだこと、さぞおいしいでしょう。うちへってかえって、おじいさんと二人ふたりべましょう。」
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
三十七ねんぐわつ十四幻翁げんおう望生ぼうせい二人ふたりとも馬籠まごめき、茶店ちやみせ荷物にもつ着物きものあづけてき、息子むすこ人夫にんぷたのんで、遺跡ゐせきむかつた。
わたし其時分そのじぶんなんにもらないでたけれども、母様おつかさん二人ふたりぐらしは、この橋銭はしせんつてつたので、一人前ひとりまへ幾于宛いくらかづゝつてわたしました。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ひるすこしまえにはもう二人ふたりにいさんが前後ぜんごして威勢いせいよくかえってた。一人ひとりにいさんのほう袖子そでこているのをるとだまっていなかった。
伸び支度 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「お富の貞操」の登場人物はお富と乞食と二人ふたりだけである。その二人とも実在の人物に似てゐると云ふのは珍らしい暗合あんがふに違ひない。
続野人生計事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お前の料簡りょうけんは充分に判ったけれど、よく聞けおとよ……ここにこうして並んでる二人ふたりは、お前を産んでお前を今日まで育てた親だぞ。
春の潮 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
宗助そうすけにも御米およねにもおもけないほどたまきやくなので、二人ふたりともなにようがあつての訪問はうもんだらうとすゐしたが、はたして小六ころくくわんするけんであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
どうかあなたの方からおっしゃって貰いたいといいますから、それならどうか人二人ふたりばかりと馬三疋ばかり世話して貰えぬだろうか。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
こっちで二人ふたり、向こうで一人ひとりの委員を出して、その委員会によって、扶助規則を作るということにしたら、どうだろうと思うのだがね
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
どこまでも執着しゅうじゃくつよわたくしは、自分じぶん家族みうちのこと、とりわけ二人ふたり子供こどものことがにかかり、なかなか死切しにきれなかったのでございます。
大丈夫だいじょうぶ二十分かかりません。なるべくせいのたような人と、二人ふたりで一つずつかついで下さい。そうです、町の裏を通って行くのです。
イーハトーボ農学校の春 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
足袋たび草鞋わらじぎすてて、出迎う二人ふたりにちょっと会釈しながら、廊下に上りて来し二十三四の洋服の男、提燈ちょうちん持ちし若い者を見返りて
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
と、清兵衛せいべえを引き起こそうとするのを見た朝月は、いきなり一人ひとりかたさきをくわえ、空中にほうり上げ、さらに二人ふたりをけつぶした。
三両清兵衛と名馬朝月 (新字新仮名) / 安藤盛(著)
二人ふたりは暫く黙って対坐していた。障子を透して麗かな外光が感じられるようだった。川部はその方を見やったが、急に立ち上った。
生あらば (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
勘次かんじころからおしなのいふなりにるのであつた。二人ふたりとほくはけないので、隣村となりむら知合しりあひとうじた。兩方りやうはう姻戚みよりさわした。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
二人ふたりの間の挨拶あいさつはそれなりで途切れてしまったので、田川博士はかせはおもむろに事務長に向かってし続けていた話の糸目をつなごうとした。
或る女:1(前編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あかつきころになつてやうやみづきたので、二人ふたりそのなかり、いま何處いづく目的めあてもなく、印度洋インドやう唯中たゞなかなみのまに/\漂流たゞよつてるのである。
さて比良野貞固、小野富穀ふこく二人ふたりを呼んで、いかにこれに処すべきかを議した。幼い成善も、戸主だというので、その席につらなった。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今一つは駱駝らくだに乗りたる武者二人ふたり、馬に乗れる二人ふたり、一つおきに並びて鎗、刀などを振れる形のものにさふらふ。馬は黒く、駱駝らくだは栗色にさふらふ
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
それはおぢさんが貧乏びんぼふなために、金持かねもちのやうに大切にしてやられなかつたからだ。だがおぢさんにはまだ二人ふたり子供こどもがある。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
それから一週間たったあの夕方、治療に使う枇杷の葉を看護婦と二人ふたりで切ってかごに入れていると、うしろからちょっとと一代の声がした。
競馬 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
二人ふたりだとおもつても駄目だめよ!とつて、一人ひとりだけ立派りつぱひとにするんでは滿つまらないわ!』とあいちやんは可哀相かあいさうにもさうおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
上のお姉様方はお二人ふたりとももうかたづいていらっしゃるから、お姫様ひいさまはこのおひと方だ。伯爵家ではお姫様方はみんなお成績がおよろしい。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
神聖たふとことば二人ふたりむすはしてくだされば、こひほろぼため此身このみ如何樣どのやうにならうとまゝ。つまぶことさへかなへば、心殘こゝろのこりはない。
こゝにわれ鍋の鍋にもたれて熱をうくる如く互に凭れて坐しゐたる二人ふたりの者を見き、その頭より足にいたるまで瘡斑點かさまだらをなせり 七三—七五
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
食堂から寝室しんしつおごそかにやっていく時には、元気げんきのいい行進曲マーチそうした。時によっては、二人ふたりおとうとといっしょに行列ぎょうれつをつくった。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
うはさがきか、あるひ事實じじつきか——それはとにかくがさしたのだと彼女かのぢよはあとでぢつゝかたつた——もなく彼女かのぢよ二人ふたり子供こどもとも
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
そんなことを、あまり熱心ねつしんに、そして感傷的かんしやうてきはなつたのちは、二人ふたりとも過去くわこやまかはにそのこゝろいとられたやうに、ぽかんとしてゐた。
追憶 (旧字旧仮名) / 素木しづ(著)
や、巡査じゅんさ徐々そろそろまどそばとおってった、あやしいぞ、やや、またたれ二人ふたりうちまえ立留たちとどまっている、何故なぜだまっているのだろうか?
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
彼は舌鼓したつづみをうって、案内者なしに妻と二人ふたり西を指して迦南カナンの地を探がす可く出かけた。牧師は玉川の近くで千歳村ちとせむらだと大束おおたばに教えてくれた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
名人めいじんとか上手じょうずとか評判ひょうばんされているだけに、坊主ぼうずぶ十七八の弟子でしほかは、ねこぴきもいない、たった二人ふたりくらしであった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
とも二人ふたりでブラリといへた。もとより何處どこかうといふ、あてもないのだが、はなしにもきがたので、所在なさに散歩さんぽ出掛でかけたのであツた。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
兵十は今まで、おっ母と二人ふたりきりで、貧しいくらしをしていたもので、おっ母が死んでしまっては、もう一人ぼっちでした。
ごん狐 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
てゝせり呉服ごふくるかげもなかりしが六間間口ろくけんまぐちくろぬり土藏どざうときのまに身代しんだいたちあがりてをとこ二人ふたりうちあに無論むろんいへ相續あととりおとゝには母方はゝかたたえたるせい
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
そして、ばたばた近寄ちかよつて夏繪なつゑ敏樹としきしづかにさせながら、二人ふたり兩方りやうはうからいだきよせたままはち動作どうさながめつゞけてゐた。
画家とセリセリス (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
みのおやのこともわすれて、こゝのお二人ふたりしたしみましたので、わたしはおそばはなれてくのが、ほんとうにかなしうございます
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
あるばんのこと、諭吉ゆきちのところにしりあいのおきゃくがあって、おさけをのみながら、二人ふたりはさかんにはなしあっていました。
廊下にずるものあり、煙草に火を点ずるものあり、また二人ふたり三人みたりは思い思いに椅子いすを集め太き声にて物語り笑い興ぜり。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼此かれこれ似つかはしき中なるに、マリアが所有なりといふカラブリアの地面はいと廣しといへば、おん二人ふたり生計たつきさへ豐かなることを得べきならん。
くさなか半身はんしんぼつして、二人ふたりはいひあらそつてゐた。をとこはげしくなにかいひながら、すぶるやうにをんなかた幾度いくど小突こづいた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
何方がわりいといふこともねえ、嫁がわりいわけでもねえ、子息がわりいわけでもねえ——あゝいふ二人ふたりなんだで……。
迅雷 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
二人ふたり少年せうねんとまつたいへは、隣村りんそんにもだたる豪家がうかであつた。もんのわきにはおほきなひいらぎが、あをそらにそヽりたつてゐた。
桜さく島:見知らぬ世界 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
そんなことを言つてゐるうちに二人ふたりは泣いたやうだつた。現實の空想家の眼はぬれた。私は勝手にしやべりつづける。
あるとき (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
其処そこへ若い二人ふたりも呼んで、にぎやかな、わたしの心の保養になる夏を過さうと計画もくろむで、の間娘にその由を知らせてやつたのだが、何の音沙汰おとさたもない。
愚かな父 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
この二人ふたり先輩せんぱいうた手本てほんにして、だん/\自分じぶん本領ほんりようしてたのが、さきべた山部赤人やまべのあかひとなのです。このひとうたでは、特別とくべつ名高なだかいものとして
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
此方こつちへお出でなはツとくれやす。』と女は、むつかしい字の書いてある唐紙からかみを開けて、二人ふたりを次ぎの十疊へいざなふた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
と時代にゆるめていひ「一人ひとりならず二人ふたり三人さんにん首綱くびづな」にて右手を頸へやり「のかからぬ内、早く金を出しやあがれ」にて肘をつき離し、体を起して左へねじ
それからまた魔女まじょるのは、大抵たいてい日中ひるまだから、二人ふたりはいつも、れてから、うことに約束やくそくめました。
が女二人ふたり竝べたてまつれるゆゑは、石長比賣を使はしては、天つ神の御子のみいのちは、雪り風吹くとも、恆にいはの如く、常磐ときは堅磐かきはに動きなくましまさむ。