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荒
>
あ
ふりがな文庫
“
荒
(
あ
)” の例文
これでは、まるで冬にとざされた
荒
(
あ
)
れはてた国に来ているようです。ニールスはたまらなくなって、大声で泣きだしたくなりました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
それがこのごろになって、この
湖
(
みずうみ
)
を
時々
(
ときどき
)
荒
(
あ
)
らしにまいりまして、そのたんびにわたくしどもの
子供
(
こども
)
を
一人
(
ひとり
)
ずつさらって行くのです。
田原藤太
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
「すこし
遠
(
とお
)
いけど、
人
(
ひと
)
の
住
(
す
)
んでいない
荒
(
あ
)
れた
屋敷
(
やしき
)
で、
大
(
おお
)
きなくりの
木
(
き
)
があるの。
学校
(
がっこう
)
の
帰
(
かえ
)
りに、
松野
(
まつの
)
さんがつれていってくれたのよ。」
夕雲
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こうして、王子がみじめな思いをして、二年、三年とさまよいまわったあげく、とうとう、あの
荒
(
あ
)
れ
野
(
の
)
のなかへまよいこみました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
やがて、とことはの
闇
(
やみ
)
となり、
雲
(
くも
)
は
墨
(
すみ
)
の
上
(
うへ
)
に
漆
(
うるし
)
を
重
(
かさ
)
ね、
月
(
つき
)
も
星
(
ほし
)
も
包
(
つゝ
)
み
果
(
は
)
てて、
時々
(
とき/″\
)
風
(
かぜ
)
が
荒
(
あ
)
れ
立
(
た
)
つても、
其
(
そ
)
の
一片
(
いつぺん
)
の
動
(
うご
)
くとも
見
(
み
)
えず。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
「印度洋の方では、何とかいふ軍艦がたつた一隻で
荒
(
あ
)
ばれまはつてゐるんだつてね。それがちつとも
捉
(
つか
)
まらないと云ふから面白いねえ」
医師高間房一氏
(新字旧仮名)
/
田畑修一郎
(著)
卯平
(
うへい
)
はそれと
共
(
とも
)
に
其
(
そ
)
の
乾燥
(
かんさう
)
した
肌膚
(
はだ
)
が
餘計
(
よけい
)
に
荒
(
あ
)
れて
寒冷
(
かんれい
)
の
氣
(
き
)
が
骨
(
ほね
)
に
徹
(
てつ
)
したかと
思
(
おも
)
ふと
俄
(
にはか
)
に
手
(
て
)
の
自由
(
じいう
)
を
失
(
うしな
)
つて
來
(
き
)
たやうに
自覺
(
じかく
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「敵空軍の目をのがれるため、外観は出来るだけ
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てたままにしておいた。しかし、あの煙突だけは、仕方なく建てた」
毒瓦斯発明官:――金博士シリーズ・5――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
美濃
(
みの
)
の
揖斐
(
いび
)
郡の山村では、十一月の三日が、氏神の出雲から還りたまう日であって、お
神楽
(
かぐら
)
荒
(
あ
)
れと称して天気がよく荒れる。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
「ははあ、少し
荒
(
あ
)
れたね。」セロ弾きは云いながらいきなりマッチを舌でシュッとすってじぶんのたばこへつけました。
セロ弾きのゴーシュ
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
もう、お姫さまは、花の手入れもしてやりません。ですから、草花は、まるで
荒
(
あ
)
れ
野
(
の
)
のように、道の上までぼうぼうとおいしげってしまいました。
人魚の姫
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
それさえあるに、やがておとずれていた一堂の玄関もまたひどく
荒
(
あ
)
れ
寂
(
さ
)
びていて、いくど呼んでみても
答
(
いら
)
えはなかった。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
はっきり
判
(
わか
)
ります。
私達
(
わたくしたち
)
は
気
(
き
)
の
荒
(
あ
)
らい、
惨
(
むご
)
い
人間
(
にんげん
)
が
大嫌
(
だいきら
)
いでございます。そんな
人間
(
にんげん
)
だと
私達
(
わたくしたち
)
は
決
(
けっ
)
して
姿
(
すがた
)
を
見
(
み
)
せませぬ。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
それを考えると、この村を
去
(
さ
)
るのが
残念
(
ざんねん
)
でたまりませんでした。わたしは
打穀場
(
だこくば
)
のうらてをぬけて
谷
(
たに
)
へくだり、
荒
(
あ
)
れ地のほうへのぼって行きました。
百姓マレイ
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
不意に飛び出したこの六尺豊かの壮漢が、痛快というよりは乱暴極まる
荒
(
あ
)
れ方をして、あっというまもなく、
賭場
(
とば
)
を根柢から
覆
(
くつが
)
えしてしまいました。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
大空の神のお子よ、ここから
奥
(
おく
)
へはけっしてはいってはいけませんよ。この向こうには
荒
(
あ
)
らくれた神たちがどっさりいます。今これから私が
八咫烏
(
やたがらす
)
を
古事記物語
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
私自身はもうそんなものは見たくもなかったのだけれど、その
荒
(
あ
)
れ果てたヴェランダから
夕暮
(
ゆうぐ
)
れの眺めがいかにも美しかったのを思い出して、夕食後
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
洛中
(
らくちう
)
がその始末であるから、羅生門の
修理
(
しゆり
)
などは、元より誰も捨てゝ
顧
(
かへりみ
)
る者がなかつた。するとその
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てたのをよい事にして、
狐狸
(
こり
)
が棲む。
盗人
(
ぬすびと
)
が棲む。
羅生門
(旧字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
子羔。しかし、もう無駄ですよ。かえって難に遭うこともないとは限らぬし。子路が声を
荒
(
あ
)
らげて言う。孔家の
禄
(
ろく
)
を
喰
(
は
)
む身ではないか。何のために難を避ける?
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
空は暗く
曇
(
くも
)
って、
囂々
(
ごうごう
)
と風が
吹
(
ふ
)
いていた。水の上には
菱波
(
ひしなみ
)
が立っていた。いつもは、
靄
(
もや
)
の立ちこめているような
葦
(
あし
)
の
繁
(
しげ
)
みも、からりと
乾
(
かわ
)
いて風に吹き
荒
(
あ
)
れていた。
河沙魚
(新字新仮名)
/
林芙美子
(著)
ニキタはぱツと
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けるより、
阿修羅王
(
あしゆらわう
)
の
荒
(
あ
)
れたる
如
(
ごと
)
く、
兩手
(
りやうて
)
と
膝
(
ひざ
)
でアンドレイ、エヒミチを
突飛
(
つきとば
)
し、
骨
(
ほね
)
も
碎
(
くだ
)
けよと
其鐵拳
(
そのてつけん
)
を
眞向
(
まつかう
)
に、
健
(
したゝ
)
か
彼
(
かれ
)
の
顏
(
かほ
)
を
敲
(
たゝ
)
き
据
(
す
)
ゑた。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
それから
一直線
(
いつちよくせん
)
に
降
(
お
)
りて、
丁度
(
ちやうど
)
自分
(
じぶん
)
の
立
(
た
)
つてゐる
縁鼻
(
えんばな
)
の
土
(
つち
)
が、
霜柱
(
しもばしら
)
を
摧
(
くだ
)
いた
樣
(
やう
)
に
荒
(
あ
)
れてゐた。
宗助
(
そうすけ
)
は
大
(
おほ
)
きな
犬
(
いぬ
)
でも
上
(
うへ
)
から
轉
(
ころ
)
がり
落
(
お
)
ちたのぢやなからうかと
思
(
おも
)
つた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
以前
(
いぜん
)
猫
(
ねこ
)
を
飼
(
か
)
つて、
不潔
(
ふけつ
)
なものを
吐
(
は
)
かれて
困
(
こま
)
つたばかりか、
臺所
(
だいどころ
)
を
荒
(
あ
)
らしたといふので
近所
(
きんじよ
)
から
抗議
(
かうぎ
)
を
申
(
まう
)
し
込
(
こ
)
まれて、ために
面倒
(
めんどう
)
な
外交關係
(
がいかうかんけい
)
を
起
(
おこ
)
したことがあつてから
ねこ
(旧字旧仮名)
/
北村兼子
(著)
その
癖
(
くせ
)
、心のなかには、
潮
(
うしお
)
のように、温かいなにかが、ふツふツと
沸
(
わ
)
き、
荒
(
あ
)
れ
狂
(
くる
)
ってくるのでした。
オリンポスの果実
(新字新仮名)
/
田中英光
(著)
追
(
お
)
へども
撃
(
う
)
てども
敵
(
てき
)
も
強者
(
さるもの
)
、
再
(
ふたゝ
)
び
寄
(
よ
)
する
七隻
(
しちせき
)
の
堅艦
(
けんかん
)
、
怒濤
(
どたう
)
は
逆卷
(
さかま
)
き、
風
(
かぜ
)
荒
(
あ
)
れて、
血汐
(
ちしほ
)
に
染
(
そ
)
みたる
海賊
(
かいぞく
)
の
旗風
(
はたかぜ
)
いよ/\
鋭
(
するど
)
く、
猛
(
たけ
)
く、
此
(
この
)
戰
(
たゝかひ
)
何時
(
いつ
)
果
(
は
)
つ
可
(
べ
)
しとも
覺
(
おぼ
)
えざりし
時
(
とき
)
。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
先
(
ま
)
づ
目
(
め
)
は
海
(
うみ
)
ぢゃ、
終始
(
たえず
)
涙
(
なみだ
)
の
滿干
(
みちひき
)
がある、
身體
(
からだ
)
は
船
(
ふね
)
、
其
(
その
)
鹽辛
(
しほから
)
い
浪
(
なみ
)
を
走
(
はし
)
る、
溜息
(
ためいき
)
は
風
(
かぜ
)
ぢゃ、
涙
(
なみだ
)
の
浪
(
なみ
)
と
共
(
とも
)
に
荒𢌞
(
あれまは
)
り、
涙
(
なみだ
)
はまたそれを
得
(
え
)
て
倍〻
(
ます/\
)
荒
(
あ
)
るゝ、はて、
和
(
なぎ
)
が
急
(
きふ
)
に
來
(
こ
)
なんだら
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
用心口
(
ようじんぐち
)
を
鎖
(
さ
)
してお
寢間
(
ねま
)
へ
戻
(
もど
)
り
給
(
たま
)
ひしが
再度
(
ふたゝび
)
立
(
た
)
つてお
菓子戸棚
(
くわしとだな
)
のびすけつとの
瓶
(
びん
)
とり
出
(
いだ
)
し、お
鼻紙
(
はながみ
)
の
上
(
うへ
)
へ
明
(
あ
)
けて
押
(
おし
)
ひねり、
雪灯
(
ぼんぼり
)
を
片手
(
かたて
)
に
縁
(
ゑん
)
へ
出
(
いづ
)
れば
天井
(
てんぜう
)
の
鼠
(
ねづみ
)
がた/\と
荒
(
あ
)
れて
われから
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
常に
鶯
(
うぐいす
)
を飼っていて
糞
(
ふん
)
を
糠
(
ぬか
)
に
交
(
ま
)
ぜて使いまた
糸瓜
(
へちま
)
の水を
珍重
(
ちんちょう
)
し顔や手足がつるつる
滑
(
すべ
)
るようでなければ気持を悪がり地肌の
荒
(
あ
)
れるのを最も
忌
(
い
)
んだ
総
(
す
)
べて絃楽器を弾く者は絃を
春琴抄
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それからは、
猿
(
さる
)
は大きな
鬼
(
おに
)
の人形をこしらえ、
甚兵衛
(
じんべえ
)
は
荒
(
あ
)
れはてた
寺
(
てら
)
を
尋
(
たず
)
ねて歩きました。
人形使い
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
水谷氏
(
みづたにし
)
は
非常
(
ひじやう
)
に
兒島家
(
こじまけ
)
の
好意
(
かうい
)
を
喜
(
よろこ
)
び、
一人
(
いちにん
)
の
以
(
もつ
)
て
此聖跡
(
このせいせき
)
を
荒
(
あ
)
らすべきで
無
(
な
)
いとして、
斯道
(
しだう
)
のオーソリチーたる
坪井博士
(
つぼゐはかせ
)
、それから
華族人類學會
(
くわぞくじんるゐがくくわい
)
の
牛耳
(
ぎうじ
)
を
執
(
と
)
らるゝ
二絛公爵
(
にでうこうしやく
)
に
通知
(
つうち
)
し
探検実記 地中の秘密:20 大森貝塚の発掘
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
ただ
農作
(
のうさく
)
を
妨
(
さまた
)
ぐるのみにして、米の
収穫
(
しゅうかく
)
如何
(
いかん
)
は貿易上に関係なしといえども、東北地方は我国の
養蚕地
(
ようさんち
)
にして、もしもその地方が戦争のために
荒
(
あ
)
らされて生糸の
輸出
(
ゆしゅつ
)
断絶
(
だんぜつ
)
する時は
瘠我慢の説:04 瘠我慢の説に対する評論について
(新字新仮名)
/
石河幹明
(著)
フロツクコオトを着て山高
帽
(
ぼう
)
を
被
(
かぶ
)
つた姿は
固陋
(
ころう
)
な在所の人を驚かした。再び法衣を着たことは着たが、
永
(
なが
)
の留守中
荒
(
あ
)
れ
放題
(
はうだい
)
に荒れた
我寺
(
わがてら
)
の
状
(
さま
)
は気にも掛けず格別修繕しようともせぬ。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
これはちょっと
見
(
み
)
ると、「
雲
(
くも
)
飛
(
と
)
び
亂
(
みだ
)
れ」、「
荒
(
あ
)
れて
吹
(
ふ
)
く」などいふ
言葉
(
ことば
)
が、ごた/\してゐるようであるが、
私
(
わたし
)
の
解釋
(
かいしやく
)
したように
荒
(
あ
)
れて
吹
(
ふ
)
くから、
別
(
べつ
)
に
考
(
かんが
)
へて
見
(
み
)
ると、
空模樣
(
そらもよう
)
に
更
(
さら
)
に
加
(
くは
)
へて
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
しぜん人も馬も重苦しい気持に
沈
(
しず
)
んでしまいそうだったが、しかしふと
通
(
とお
)
り
魔
(
ま
)
が過ぎ去った
跡
(
あと
)
のような
虚
(
むな
)
しい
慌
(
あわただ
)
しさにせき立てられるのは、こんな日は
競走
(
レース
)
が
荒
(
あ
)
れて大穴が出るからだろうか。
競馬
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
それから四、五年の間、その寺は
荒
(
あ
)
れるままに
任
(
まか
)
せて、
狐
(
きつね
)
や
狢
(
むじな
)
の住み家となっていたが、それでは
困
(
こま
)
るというので、村の人たちは
隣村
(
となりむら
)
の寺から一人の
若
(
わか
)
い
坊
(
ぼう
)
さんを
呼
(
よ
)
んで来てそこの住職とした。
鬼退治
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
しかし、この
神武天皇
(
じんむてんのう
)
の
御陵
(
ごりよう
)
は
久
(
ひさ
)
しく
荒
(
あ
)
れはてゝをつて、
實
(
じつ
)
はその
形
(
かたち
)
もよくわかりませんし、
場所
(
ばしよ
)
についてもいろ/\の
説
(
せつ
)
がありますが、とにかくあまり
大
(
おほ
)
きくない
圓
(
まる
)
い
塚
(
つか
)
であつたと
思
(
おも
)
はれます。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
しかも人間はそのことにさえいつしかなれてしまって、立ちどまり、ふりかえることを忘れ、心の奥までざらざらに
荒
(
あ
)
らされたのだ。荒れまいとすれば、それは生きることをこばむことにさえなった。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
ふとこそ、
荒
(
あ
)
れし
夕庭
(
ゆふには
)
の
朽木
(
くちき
)
の
枝
(
えだ
)
に
白羊宮
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
、
薄田淳介
(著)
荒
(
あ
)
れはてたジャングルだとしても
死の淵より
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
おお、この
荒
(
あ
)
れに、どの屋根で
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
荒
(
あ
)
れにし野邊も
藤村詩抄:島崎藤村自選
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そのうちに、
青
(
あお
)
ざめた
月
(
つき
)
が
空
(
そら
)
に
上
(
のぼ
)
りました。そして、この
荒
(
あ
)
れはてた
景色
(
けしき
)
と、ぼんやりと
考
(
かんが
)
え
込
(
こ
)
んでいる
哀
(
あわ
)
れな
乞食
(
こじき
)
とを
照
(
て
)
らしたのです。
塩を載せた船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
これで、
毎年
(
まいねん
)
村
(
むら
)
を
荒
(
あ
)
らして、
人身御供
(
ひとみごくう
)
を
取
(
と
)
る
荒神
(
あらがみ
)
の
正体
(
しょうたい
)
が、じつは
猿
(
さる
)
の
化
(
ば
)
け
物
(
もの
)
であったことが
分
(
わ
)
かって、
村
(
むら
)
のものはやっと
安心
(
あんしん
)
しました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
そういえば、いつだったか、ふたりがあんな小屋や、ヒースの
生
(
は
)
えているひろい
荒
(
あ
)
れ地のことを話していたことがありました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
此
(
こ
)
の
物語
(
ものがたり
)
を
聞
(
き
)
き、
此像
(
このざう
)
を
拝
(
はい
)
するにそゞろに
落涙
(
らくるゐ
)
せり。(
略
(
りやく
)
)かく
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てたる
小堂
(
せうだう
)
の
雨風
(
あめかぜ
)
をだに
防
(
ふせ
)
ぎかねて、
彩色
(
さいしき
)
も
云々
(
うん/\
)
。
甲冑堂
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
そればかりか、ばあさんはなさけようしゃもなく、かわいそうなラプンツェルを
荒
(
あ
)
れ
野原
(
のはら
)
へ
追
(
お
)
いやってしまいました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
そうしてその窓がすっかり
釘
(
くぎ
)
づけになっていて、その庭なんぞもすっかり
荒
(
あ
)
れ果て、いまにも
壊
(
こわ
)
れそうな木戸が半ば開かれたままになっているのを認めると
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
で、いよいよ
暴風雨
(
あらし
)
が
荒
(
あ
)
れ
出
(
だ
)
しますと、
右
(
みぎ
)
の
婦人
(
ふじん
)
が
早速
(
さっそく
)
私
(
わたくし
)
の
墓
(
はか
)
に
駆
(
か
)
けつけて一
心
(
しん
)
不乱
(
ふらん
)
に
祈願
(
きがん
)
しました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一つは屍体の伸ばした右手から一尺ほど前方に、もう一つは、消えている街灯の根っこに、それから最後の一つは、倉庫のような
荒
(
あ
)
れ
果
(
は
)
てた建物の直ぐ傍に……。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ニキタはぱッと
戸
(
と
)
を
開
(
あ
)
けるより、
阿修羅王
(
あしゅらおう
)
の
荒
(
あ
)
れたる
如
(
ごと
)
く、
両手
(
りょうて
)
と
膝
(
ひざ
)
でアンドレイ、エヒミチを
突飛
(
つきとば
)
し、
骨
(
ほね
)
も
砕
(
くだ
)
けよとその
鉄拳
(
てっけん
)
を
真向
(
まっこう
)
に、
健
(
したた
)
か
彼
(
かれ
)
の
顔
(
かお
)
を
敲
(
たた
)
き
据
(
す
)
えた。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
荒
常用漢字
中学
部首:⾋
9画
“荒”を含む語句
荒廃
荒野
荒海
荒男
荒神
荒磯
荒涼
荒寥
荒地
荒魂
吹荒
荒蕪地
荒増
荒凉
荒立
荒熊
荒天
荒庭
荒甲
荒唐無稽
...