)” の例文
かはつてかへつてたのはくま膏薬かうやく伝次郎でんじらう、やちぐさんだかさかむたぬき毛皮けがはそでなしをて、糧切まぎりふぢづるでさや出来できてゐる。
木曾きそ檜木ひのき名所めいしよですから、あのうすいたけづりまして、かさんでかぶります。そのかさあたらしいのは、檜木ひのき香氣にほひがします。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
ところが彼女のこうした不可思議な創作能力は、それからさらに百尺竿頭百歩を進めて、真に意表に出ずる怪奇劇をみ出す事になった。
少女地獄 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
どこの家でも績殻おがらで杉の葉をんで、仏壇を飾って、代々の位牌いはいを掃除して、萩の餅やら団子やら新里芋やら玉蜀黍とうもろこしやら梨やらを供えた。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
「では澤山召上つてその證據を見せて下さらなくては。私がこの段をんでしまふ間に、あなたはその急須きふすにおぎになつて下さらない。」
なんでも、みなみほうからきたので、人々ひとびと姿すがたかるやかに、かおけて、には、つるでんだかごをぶらさげていました。
港に着いた黒んぼ (新字新仮名) / 小川未明(著)
また履物はきもの黒塗くろぬりりのくつみたいなものですが、それはかわなんぞでんだものらしく、そうおもそうにはえませんでした……。
されば我今更となりて八重にかかはる我身のことをたねとして長き一篇の小説をいださん事かへつてたやすきわざならず。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
僕の母の話によれば、法界節ほうかいぶしが二、三人がさをかぶって通るのを見ても「敵討かたきうちでしょうか?」と尋ねたそうである。
追憶 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
やがて八門の陣をシックリとんで、あたかも将軍しょうぐん寝間ねまをまもる衛兵えいへいのように、三十六人が屹然きつぜんとわかれて立った。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
入り口と周壁しうへきの或る部分ぶぶんにはむしろを下げ置きしなるべく、地上ちじやうには木材をならべ、其上に席、もの獸皮じうひ木皮抔もくひなどつらねて座臥の塲所とせしなるべし。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
わたしの姿を見た夫人は、室内帽子をかぶった頭を、ばりの先でくと、いきなりわたしに向って、請願書せいがんしょを一通清書してもらえまいかと問いかけた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
そして達二たつじは、牛と、原の入口にきました。大きなならの木の下に、兄さんのなわんだふくろげ出され、沢山たくさんの草たばがあちこちにころがっていました。
種山ヶ原 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
卯平うへいるから不器用ぶきよう容子ようすをしてて、おそろしく手先てさきわざ器用きよう性來たちであつた。それでかれ仕事しごとるとつてからは方々はう/″\やとはれてたわらんだ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
あらたなる刑罰を詩にみ、これを第一の歌沈める者の歌のうちなるカント第二十の材となすべき時は至れり 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
それをいて、ラプンツェルがんだ頭髪かみしたらすと、魔女まじょはそれにつかまって、のぼってきました。
著者ちよしやんだ第一項だいゝつこうは、最初さいしよ一瞬間いつしゆんかんおいて、それが非常ひじよう地震ぢしんなるかいなかを判斷はんだんせよといふのである。
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
「御覽の通り、頸には、絞め殺した時のひもあとが付いて居るが、それで見ると、刀のか前掛の紐か、——兎に角、恐ろしく丈夫な一風み方の變つた眞田紐さなだひもだ」
『春夏秋冬』は明治の俳句を集めて四季にわかち更に四季の各題目によりてみたる一小冊子なり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
そのくせ家の戸口では五、六人の女がものをしたり、おしゃべりをしているのを見た。
佐伯さへき叔母をばたづねてたのは、土曜どえう午後ごごの二時過じすぎであつた。其日そのひれいになくあさからくもて、突然とつぜんかぜきたかはつたやうさむかつた。叔母をばたけんだまる火桶ひをけうへかざして
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
おかあさんはそれから、一晩ひとばんのうちにたくさんのふじのつるで、着物きものはかまと、くつから靴下くつしたまでって、んで、って、その上にやはりふじのつるで、ゆみをこしらえてくださいました。
春山秋山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
誰にんでもらったの? いやなひと、にやにや笑いなんかしてさ、知っていますよ、節ちゃんさ、兄ちゃんにはね、あたしと節ちゃんと二人の女性しか無いのさ、なにせ丙種だから
律子と貞子 (新字新仮名) / 太宰治(著)
本當ほんたうやつなれば、今度こんどぼくくつしたをみてたまはるときれにもなにこしらへてたまはれ、よろしきか姉樣ねえさま屹度きつとぞかし姉樣ねえさま、と熱心ねつしんにたのみて、覺束おぼつかなき承諾しようだくことば其通そのとほさとしつたふれば
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「……とうんだ四斗樽よんとだるよりまだ少し大きい籠を三個陸揚げすることを頼まれたなア。持ち上げようとすると、それは何が入っているのか三人でやっと上るほどの重さじゃった。……」
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
南屋みなみや普請ふしんかゝつてるので、ちやうど與吉よきち小屋こや往來わうらいへだてた眞向まむかうに、ちひさな普請小屋ふしんごやが、眞新まあたらしい、節穴ふしあなだらけな、薄板うすいたつてる、三方さんぱうかこつたばかり、むでつないだなは
三尺角 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
また十節—十二節は「汝は我を乳の如くそそ牛酪ぎゅうらくの如くに固め給いしにあらずや、汝は皮と肉とを我に着せ骨とすじとをもて我をみ、生命いのち恩恵めぐみとを我に授け我をかえりみてわがいきを守り給えり」
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
そしてまたみやこへお帰りになろうとなさいますと、その出雲の国をおあずかりしている、国造くにのみやつこという、いちばん上の役人が、かわの中へかりのお宮をつくり、それへ、細木ほそきんだ橋を渡して
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
真先まっさきかの留吉とめきち、中にお花さんが甲斐〻〻かいかいしく子をって、最後に彼ヤイコクがアツシを藤蔓ふじづるんだくつ穿き、マキリをいて、大股おおまたに歩いて来る。余は木蔭からまたたきもせず其行進マアチを眺めた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
奥さんは手持ぶさたに、茶の間でみものをしていたというのです。
妻に失恋した男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ロミオ あ、これ、おち。やがて、あのてら塀外へいそとへ、おぬしにわたために、繩梯子なはばしごのやうにあはせたものを家來けらいたせてりませう。それこそはしの夜半やはうれしいこと頂點ちゃうてん此身このみはこえんつな
一人ひとりかみの二三ずんびたあたまして、あしには草履ざうり穿いてゐる。いま一人ひとりかはんだばうかぶつて、あしには木履ぽくり穿いてゐる。どちらもせてすぼらしい小男こをとこで、豐干ぶかんのやうな大男おほをとこではない。
寒山拾得 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
めば牛蒡締ごぼうじめくらいのふとさはあるであろう。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
くつしたむ女なりしが
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
わらんだむしろいてある爐邊ろばたで、數衛かずゑのこしらへてれた味噌汁おみおつけはお茄子なすかはもむかずにれてありました。たゞそれが輪切わぎりにしてありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
これをくと、二人ふたりは、さすがにひどくたれたようにかお見合みあったが、さきは、そのまましたいて、ものぼううごかしていました。ひとり、令二れいじ
金歯 (新字新仮名) / 小川未明(著)
メァリーの明るい栗色くりいろの髮は、分けて綺麗きれいまれてゐた。ダイアナの少し黒味くろみがゝつた髮は、大きくウェーヴされて、首筋を蔽つてゐる。時計は十時を打つた。
丁度ちやうど荷鞍にぐらほねのやうな簡單かんたん道具だうぐである。そのあしからあしわたしたぼうわら一掴ひとつかみづゝてゝは八人坊主はちにんばうずをあつちへこつちへちがひながらなはめつゝむのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
が、授業のには弔辞を作ったり、教科書をんだり、御前ごぜん講演の添削てんさくをしたり、外国の新聞記事を翻訳ほんやくしたり、——そう云うことも時々はやらなければならぬ。
文章 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女は、むしり取った髪の毛を丁寧ていねいにそろえると、自分の指に巻きつけて、っちゃな輪にんだ。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
せいに照らし、正を史にみ、一系の天子をあきらかにし、一体の国土を、民心に徹底せしめる。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたがおでいになるたんびに、絹紐きぬひもを一ぽんずつってください、ね、あたしそれで梯子はしごんで、それが出来上できあがったら、したりますから、うませて、れてって頂戴ちょうだい
それが五、六人ただ半日の仕事しごとなのだ。塩水選をする間は父はそこらの冬の間のごみをあつめていた。もみができると父は細長ほそながくきれいにわらを通してんだたわらにつめて中へつめた。
或る農学生の日誌 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
但し其舟は丸木舟まるきふねのみならずして、くさみて作れる輕き物も有りと云へり。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
なんの、お前様めえさまさるとほ二十八方仏子柑にじふはつぱうぶしかん山間やまあひぢや。伐出きりだいて谿河たにがはながせばながす……駕籠かごわたしの藤蔓ふぢづるむにせい、船大工ふなだいくりましねえ。——私等わしらうちは、村里町むらざとまち祭礼まつり花車人形だしにんぎやう
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
余は『春夏秋冬』をむに当り四季の題を四季にわかつに困難せり。そは陽暦を用ゐる地方(または家)と陰暦を用ゐる地方(または家)と両様ありてそれがために季の相異を来す事多ければなり。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
わたくし服装みなり瞬間しゅんかんかわりましたが、今日きょう平常いつもとはちがって、には白練しろねり装束しょうぞくには中啓ちゅうけいあしにはつるんだ一しゅ草履ぞうり頭髪かみはもちろん垂髪さげがみ……はなはださッぱりしたものでございました。
一々もつとも、お前の言葉に少しの無理もない。が、『禁制の賦』は三代前の一色家の主人あるじ、一色宗六といふ方が、『寢取り』からんだ世にも怪奇な曲で、あれを作つて間もなく狂死したと言はれる。
「あの足袋はたしか御前がんでやったのだったね」
彼岸過迄 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
旧稿叢残手自編 〔旧稿きゅうこう叢残そうざん手自てずか
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)