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八人坊主
其庖丁のとん/\と
鳴る
間に
忙しく
八人坊主を
動かしてはさらさらと
藁を
扱く
音が
微かに
交つて
聞える。お
品は
二人の
姿を
前にして
酷く
心強く
感じた。
丁度荷鞍の
骨のやうな
簡單な
道具である。
其足から
足へ
渡した
棒へ
藁を
一掴みづゝ
當てゝは
八人坊主をあつちへこつちへ
打つ
違ひながら
繩を
締めつゝ
編むのである。
八人坊主といふのは
其繩を
捲いたいはゞ
小さな
錘である、
八つあるので
八人坊主といつて
居る。
小作米を
入れる
藁俵を四五
俵分作らねば
成らぬことが
稼ぎに
出る
時から
彼には
心掛りであつた。