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藁俵
勘次はお
品がどうにか
始末をして
置いた
麥藁俵を
明けて
仕上げた
計りの
藁俵へ
米を
量り
込んだ。
米には
赤い
粒もあつたが
籾が
少し
交つて
居てそれが
目に
立つた。
勘次は
藁俵を
編み
了へて、さうして
端を
縛つた
小さな
藁の
束を
丸く
開いて、それを
足の
底に
踏んで
踵を
中心に
手と
足とを
筆規のやうにしてぐる/\と
廻りながら
丸い
俵ぼつちを
作つた。
八人坊主といふのは
其繩を
捲いたいはゞ
小さな
錘である、
八つあるので
八人坊主といつて
居る。
小作米を
入れる
藁俵を四五
俵分作らねば
成らぬことが
稼ぎに
出る
時から
彼には
心掛りであつた。